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2026.06.22
川崎市のスタジアムなど、市内産「太陽光+廃棄物発電」で100%再エネ化
神奈川県川崎市は、多数の運動施設を有する総合公園「等々力緑地」において、主要な施設であるスタジアム・アリーナ・野球場に、廃棄物発電や太陽光発電など、すべて川崎市民由来の再エネを組み合わせた再エネ電力を7月1日から導入すると発表した。
同市によると、すべて市民由来の再エネを組み合わせた電力を市内の複数の大規模運動施設に供給し、100%再エネ電力化する取り組みは国内でも初めて。
川崎産のグリーン電力でスタジアムを100%再エネ化 非化石証書を活用
この取り組みで供給される電力は、川崎市内の家庭から排出された普通ごみなどを焼却した市処理センターの廃棄物発電由来の電力と、市内の家庭用太陽光発電の電力を組み合わせたもの。
指定管理者として等々力緑地を管理・運営する川崎とどろきパーク(神奈川県川崎市)は、自治体新電力の川崎未来エナジー(同)と、等々力緑地の「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)」、「東急ドレッセとどろきアリーナ」、「等々力球場」における電力契約を締結した。川崎未来エナジーは、事業パートナーである東急パワーサプライ(東京都世田谷区)と連携し、それぞれが取り扱っている川崎市民が関与する再エネ電力を組み合わせ、実質100%の再エネ電力を供給する。これにより、等々力緑地の主要な施設で使用する電力(一般家庭約854戸分)は、すべて再エネに切り替わる。
電源比率は、川崎市内廃棄物発電が約80%、家庭用卒FIT電気が約20%で、いずれも川崎市内電源。これらの電源に由来する環境価値を示す証書である非FIT非化石証書(再エネ指定あり)を活用する。小売電気事業者である東急パワーサプライが供給する電気を、取次事業者である川崎未来エナジーが販売する。
電力使用量は、「Uvanceとどろきスタジアム(等々力陸上競技場)が117万3976kWh/年、「東急ドレッセとどろきアリーナ」が212万9543kWh/年、「等々力球場」が53万3146kWh/年。陸上競技場は、サッカーJリーグの川崎フロンターレ(川崎市)のホームスタジアムだ。
川崎市は、市内の家庭から排出されるごみや太陽光、そこから生まれた電気が、スタジアムやアリーナを動かし、市民一人ひとりの暮らしがスポーツの熱狂につながる「まちの中でエネルギーが循環する仕組み」をスポーツの聖地等々力緑地から発信していく。
地元産のグリーン電力で都市の価値、スポーツの価値UP 市民の環境意識向上、地域活性化に寄与
川崎市では2050年までに市域の温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指し、再エネの地域循環によるエネルギーの地産地消に取り組んでいる。市域の再エネ利用を拡大するため、市が過半数出資して、2023年に地域エネルギー会社の川崎未来エナジーを設立した。
川崎未来エナジーが供給する実質再エネ電力はこれまでにも、ごみ焼却由来の電力を市内の小中高校や区役所などの公共施設、約300の施設で活用してきた。ヤマト運輸(東京都中央区)の高津千年営業所(川崎市)や、東急ストア(東京都目黒区)の元住店(川崎市)のほか、市役所通りイチョウ並木のライトアップでも川崎産グリーン電力を供給している。
川崎市長の福田 紀彦氏は、今回の取り組みについて、「市内の各家庭の太陽光発電の電力と組み合わせ、暮らしの中から生まれたエネルギーを組み合わせた再生可能エネルギーを、いよいよ川崎が誇る『スポーツの聖地』にも導入する。こういったカーボンニュートラルの取り組みで、都市の価値を上げ、スポーツの価値も上げる」とコメントしている。
等々力緑地は、スポーツ庁と経済産業省が推進する「スタジアム・アリーナ改革」において、地域活性化やまちづくりの核となる「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」に選定されている。スポーツ庁は、「そういった場所で、今般のような取り組みを実施することは、地域としての環境問題への取り組み姿勢を発信するものであり、さらには人々の環境意識の啓発・向上につながると考えている。引き続き、等々力緑地から、全国に向けて環境意識の向上、さらには地域活性化に資する先進的な取り組みが発信されることを期待している」とコメントしている。
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2026.06.21
環境省、地域脱炭素マッチングイベント開催 自治体と企業の連携創出を支援
環境省は6月13日、地域脱炭素の推進に向け、地方公共団体と民間事業者を対象とした「地域脱炭素マッチングイベント」の参加者募集を開始した。自治体が抱える脱炭素課題と、企業が持つ技術やサービスを結び付けることで、再エネ導入や地域新電力、資源循環などの事業創出を後押しする。
イベントは10月23日に「ベルサール秋葉原」(東京都千代田区)で開催する。参加費は無料。参加規模は地方公共団体20団体程度、民間事業者40社程度を予定している。参加申し込み期限は、自治体は7月20日、企業は6月30日まで。
自治体の脱炭素課題と企業の技術・サービスを結び付ける場を提供
同イベントでは、自治体が地域課題や事業構想を提示し、企業が技術やサービス、事業スキームを提案する。
自治体にとっては、再エネ導入や脱炭素事業の実現に向けて、技術やノウハウを持つ企業との接点を得られることがメリットとなる。構想段階のテーマについても相談できるため、事業化に向けた具体的な検討を進めやすい。
一方、企業側は自治体のニーズを直接把握できるほか、実証事業や共同事業、地域展開に向けた提案機会を得られる。自治体とのネットワーク構築や新たな事業創出につながる場として活用できる。
各自治体は、公共施設への太陽光導入などのテーマを提案
地域脱炭素を進める自治体では、公共施設への再エネ導入や地域新電力の設立、J-クレジット創出、地域資源を活用した循環型事業の構築などを進める一方、事業パートナーや専門人材の不足が課題となっている。
昨年度参加の自治体は、公共施設への太陽光発電設備導入、地域マイクログリッド構築、水素利活用、ペロブスカイト太陽電池の実証、ブルーカーボン創出、地域資源循環、中小企業向け脱炭素経営支援など、多様なテーマを提案した。
たとえば、千葉県柏市はペロブスカイト太陽電池を含む太陽光発電設備の導入やソーラーシェアリング、香川県坂出市は水素やブルーカーボン、Jブルークレジットの活用、鹿児島県志布志市は農林水産業と再エネを組み合わせた地域循環型事業について連携先を募集した。
昨年度は東京ガス、エナリスやe-dashなど81社が参加
企業からは、再エネ事業者やエネルギー会社、コンサルティング企業、建設会社、GX支援事業者など81社が参加。東京ガス(東京都港区)やe-dash(同)、エナリス(同・千代田区)、日本ガイシ(愛知県名古屋市)などが名を連ねた。
参加企業の分野は、再エネ導入支援、PPA、地域新電力、排出量可視化、J-クレジット、資源循環、EV・水素、ZEB化支援など多岐にわたる。自治体にとっては地域課題に応じた連携先を探す機会となり、企業にとっては自治体との協業や地域展開の足がかりとなる。
昨年度の参加者一覧
昨年度に参加した自治体および事業者は以下の通り。
自治体
- 青森県
- 秋田県
- 岩手県
- 山形県
- 福島県
- 茨城県
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県
- 千葉県
- 東京都
- 神奈川県
- 新潟県
- 富山県
- 石川県
- 福井県
- 山梨県
- 長野県
- 岐阜県
- 静岡県
- 愛知県
- 三重県
- 滋賀県
- 京都府
- 大阪府
- 兵庫県
- 奈良県
- 和歌山県
- 鳥取県
- 島根県
参加事業者
- アイチューザー(東京都港区)
- アクシスITパートナーズ(鳥取県鳥取市)
- アグリツリー(福岡県那珂川市)
- アジア航測(神奈川県川崎市麻生区)
- イーエスジーテクノロジーズ
- e-dash(東京都港区)
- イクト(静岡県袋井市)
- invox(東京都新宿区)
- 宇部興機(山口県宇部市)
- exroad(東京都港区)
- エコロミ(東京都千代田区)
- エナリス
- エヌ・ティ・ティエムイー(東京都新宿区)
- NTT東日本(東京都新宿区)
- ENEOSグローブ(東京都千代田区)
- エネルギーソリューションジャパン(東京都千代田区)
- エレビスタ(東京都中央区)
- 応用地質(東京都千代田区)
- ALCA合同会社(東京都千代田区)
- カナデビア(大阪府大阪市)
- ガリレオ(福岡県福岡市)
- グーン(神奈川県横浜市)
- 一般社団法人Green innovation(東京都港区)
- 建設技術研究所(東京都中央区)
- Sustech(東京都港区)
- JFE商事(東京都千代田区)
- 自然エネルギー市民ファンド
- 商船三井テクノトレード(東京都千代田区)
- スキルアップNeXt
- 住友三井オートサービス(東京都新宿区)
- ZEエナジー(東京都中央区)
- 大日本ダイヤコンサルタント(東京都千代田区)
- 大和リース(大阪府大阪市)
- 一般社団法人地球温暖化対策技術会(東京都港区)
- ティーエムエルデ(滋賀県長浜市)
- 東京エネシス(東京都中央区)
- 東京ガス
- 東京理科大学インベストメント・マネジメント(東京都新宿区)
- 東芝(東京都港区)
- 道東電機(北海道帯広市)
- 東洋設計(石川県金沢市)
- TOPPANエッジ(東京都港区)
- 西松建設(東京都港区)
- 日東工業(愛知県長久手市)
- 日本工営エナジーソリューションズ(東京都千代田区)
- 日本エヌ・ユー・エス(東京都新宿区)
- 日本ガイシ
- 日本工営都市空間(愛知県名古屋市)
- 日本再生エネリンク(東京都千代田区)
- 日本地下水開発(山形県山形市)
- ノーリツ(兵庫県神戸市)
- Permanent Planet(東京都中央区)
- バイウィル(東京都中央区)
- パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)
- パナソニック(東京都港区)
- 浜田(大阪府高槻市)
- 日比谷アメニス(東京都港区)
- フィンテック グローバル(東京都品川区)
- プロロジス(東京都千代田区)
- HorizonXX(東京都渋谷区)
- 三井住友ファイナンス&リース(東京都千代田区)
- 三ッ輪ホールディングス(東京都新宿区)
- みらい建設工業(東京都千代田区)
- 武蔵精密工業(愛知県豊橋市)
- 明治電機工業(愛知県名古屋市)
- 明電舎(東京都品川区)
- メンバーズ(東京都中央区)
- モノクローム(東京都中央区)
- 森のエネルギー研究所(東京都青梅市)
- 八千代エンジニヤリング(東京都台東区)
- 山下PMC(東京都中央区)
- ヤマト運輸(東京都中央区)
- ヤマハ発動機(静岡県磐田市)
- ユニヴァ・ジャパン(東京都港区)
- UNIVERGY(東京都港区)
- 横河ソリューションサービス(東京都武蔵野市)
- リコージャパン(東京都港区)
- リジェネス(東京都千代田区)
- 菱機工業(石川県金沢市)
- レジル(東京都千代田区)
- 一般社団法人ローカルグッド創成支援機構(福岡県北九州市)
同省ウェブサイトでは、昨年度参加者が提示したマッチング企業と取り組みたい事業や、地方公共団体の脱炭素の目標や課題に対する提供可能なソリューションなどが確認できる。
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2026.06.20
1.2MWソーラーカーポートを導入 リコーPFU鳥取工場、電力2割を供給
リコーPFUコンピューティング(神奈川県海老名市)は6月11日、生産拠点である鳥取事業所(鳥取県鳥取市)の従業員駐車場に、約1.2MWメガソーラー規模のソーラーカーポートを導入し、運用を開始したと発表した。
広大な平置き駐車場という未利用スペースを活用することで、建屋屋根の重量制限や将来の増築を見据えた用地確保などの課題に対応し、オンサイトPPAの仕組みで同拠点へ再エネを導入した。
事業活動における約2割の電力をカバー 地域の防災拠点、夏の遮熱・遮光機能も
同生産拠点の消費電力の約2割が太陽光発電による電力で賄われる。年間発電量は1,407MWhで、一般家庭約230世帯分の消費電力量に相当する。この取り組みによる初年度のCO2排出量の削減効果は、年間で約727tを見込む。
また、災害時に近隣住民が利用できる「防災拠点」としての機能を持たせた。災害などで停電した際、近隣住民にカーポート下のスペースを一時避難場所として開放するとともに、蓄電池に貯めた電力でスマートフォンの充電を行うなど、緊急時の連絡手段確保を支援する。
社員にとっては、大規模なカーポート設置により、雨天や降雪時の駐車場から工場棟への移動が安全で快適なものとなるほか、夏季は日差しを遮ることで車内温度上昇の抑制効果もある。
同社は、リコーグループにおいて産業向けコンピュータ製品の開発・製造を行う。同社グループは、2017年4月に日本企業では初の「RE100」への参加を皮切りに、再エネの使用率向上および質の確保を両立させるため取り組んできた。自社拠点スペースを活用したオンサイトフィジカルPPAや、オフサイトバーチャルPPAの運用実績を持つ。
今回のソーラーカーポート導入は、こうした取り組みの一環。オンサイトPPA方式を採用することで、カーポート型の太陽光発電設備としては稀少なメガソーラー規模となる。
ソーラーカーポート設置事例、再エネを製造拠点や施設などに活用
川崎重工業(兵庫県神戸市)は5月25日、同市の西神工場にソーラーカーポートを導入し運用開始したと発表した。東京センチュリー(東京都千代田区)および京セラコミュニケーションシステム(KCCS/京都府京都市)との3社連携による「寄付型コーポレートPPA(自家発電サポートサービス)」により、東京センチュリーとKCCSが太陽光発電設備導入にかかる初期投資などのコストおよび手続きを引き受け、需要家である川崎重工業は初期コストの負担なく太陽光発電システムを導入する。年間約1,220MWhの発電量を見込む。
国の補助金で自社の駐車場を発電拠点化
国は、脱炭素目標の達成に向けて再生可能エネルギーの導入拡大を進める一方、送電網の空き容量や発電設備の適地の不足が課題となる中、 送電網への負荷なく、かつ自然破壊に加担しない駐車場などの敷地内の遊休地を活用した自家消費型発電を後押ししている。
環境省が行う、駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備と、定置用蓄電池・車載型蓄電池・充放電設備・充電設備などの導入を支援する補助金(2026年度は公募終了)では、交付額は最大で1億円。ソーラーカーポート、垂直型ソーラー以外に、発電機能と舗装の路面機能を一体化させたソーラーロードも補助対象となる。PPAの仕組みで導入するソーラーカーポートも補助対象とされており、その場合PPA事業者が代表者となり、電力の需要家が共同事業者として申請が必要。
地域特性も勘案し駐車場敷地を有効活用する施策として垂直ソーラー導入事例も
豪雪地域においては、積雪の影響を受けにくい垂直ソーラーの設置が望ましい。環境省補助金においてもこのタイプも補助対象となる。
エア・ウォーター(大阪府大阪市)は2025年12月2日、豪雪地帯の鳥取市に立地する日本郵政グループのコールセンター駐車場敷地に、オンサイトPPAサービスにより「垂直ソーラー」を設置し運転を開始した。積雪の影響を受けにくい垂直型ソーラー発電システム「VERPA」を用いた。山陰地方では初の導入事例だという。
神戸製鋼所(兵庫県神戸市)は2025年4月に、みずほ丸紅リース(東京都千代田区)とのオンサイトPPAにより神戸総合技術研究所にソーラーカーポート型太陽光発電設備を設置し運用開始。車路部分にも太陽光パネルを設置する車路一体型を採用し、年間発電量は約700MWh、CO2排出量を年間約300t削減する見込み(当時)と発表し、製鉄プロセスにおける大幅なCO2削減および事業所での再エネ利用により、グループ全体の脱炭素目標につなげていくとした。
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2026.06.19
福島・須賀川に系統用蓄電所 大阪ガスとJA三井リース系が初の共同出資
JA三井エナジーソリューションズ(JMES/東京都中央区)と大阪ガス(大阪府大阪市)は6月11日、須賀川蓄電所合同会社を通じて、福島県須賀川市にて、系統用蓄電池「須賀川蓄電所」の開発に着手したと発表した。
JA三井リースグループと大阪ガスが共同出資して取り組む初の系統用蓄電池事業となる。
両者は、再エネのさらなる普及拡大と電力系統の安定化に貢献するため、今後も蓄電池事業の拡大に取り組んでいく。資金・事業管理と電力取引の強みで協業
須賀川蓄電所の定格出力は22MW、定格容量は95MWh。2028年度の営業運転開始を予定している。
この事業において、JA三井リースグループが主に事業運営や資金・事業管理を担い、大阪ガスは、これまで培ってきた電力トレーディングに関する知見を活かし、卸電力市場・需給調整市場・容量市場の3つの電力市場において取引を行う。
近年、再エネの導入拡大に伴い、再エネの出力変動を補完できる蓄電池の必要性が高まっている。系統用蓄電池事業は、大型の蓄電池を電力系統に接続し、再エネ電力の不足や余剰に応じて蓄電池の充放電を行うことで、電力系統の安定化にも寄与するとともに、再エネのさらなる有効活用を可能にする。
事業者となり再エネ事業を推進
JA三井リースグループは、経営基盤強化5カ年計画「Sustainable Evolution」の重点施策の一つに「ビジネスモデルの進化」を掲げ、「エネルギー・トランジション」を成長領域と位置づけている。
JA三井リース(東京都中央区)は、これまではプロジェクトファイナンスによって太陽光、風力などの発電所建設を支え、再エネ普及に寄与してきたが、自身が事業者となり推進するため、2022年6月に、JA三井エナジーソリューションズ(JMES)を設立し、発電・売電事業やエネルギー関連事業投資を開始した。相応の太陽光発電設備を保有・運営するとともに、パートナーシップを組んで、新たなサービスの開発・提供にも注力している。たとえば、2024年に、アイ・グリッド・ソリューションズ(同・千代田区)は蓄電池併設型オンサイトPPAサービスを開始することを発表している。
系統蓄電所について、JA三井リースは同じく2024年に、パワーエックス(同・港区)と、3年間で全国各地に30地点の高圧蓄電所を開発する計画を発表している。両社は2023年1月に資本業務提携を締結しており、それに基づく新たな一歩として、パワーエックスの大型定置用蓄電池「Mega Power」を用いた系統蓄電所の共同開発に合意した。また、JA三井リースは、JMESを通じて、合同会社を新立し系統蓄電所の保有と運営を担う。このプロジェクトの第一弾として、中部エリアで系統蓄電所の開発に取り組んでいる。
また、JA三井リースは、関西電力(大阪府大阪市)、スパークス・グループ(東京都港区)と、茨城県水戸市と静岡県浜松市、熊本県阿蘇郡において系統蓄電所の開発を進めている。
2030年度までに1,000MW規模の蓄電池を運用へ
大阪ガス(Daigas)グループは、「エネルギートランジション2050」のもと、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めている。蓄電池事業においては、再生可能エネルギーの普及拡大と電力系統の安定化に貢献する重要な分野と位置付け、系統用と再エネ併設型を合わせて、2030年度までに蓄電池運用規模1,000MWを目指している。
2025年8月に、伊藤忠商事(東京都港区)、東京センチュリー(同・千代田区)と共同出資する系統用蓄電池「千里蓄電所」(大阪府吹田市)が商業運転を開始している。また、2025年6年、三菱HCキャピタルエナジー(同)、三菱地所(同)、韓国のサムスン物産とともに、北海道千歳市で系統用蓄電事業の設備施工に着手している。
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2026.06.18
全国の再エネ電源を固定価格で買い取り 自然電力、2035年1GWを目標
自然電力(福岡県福岡市)は6月11日、再エネアグリゲーション事業を本格的に強化すると発表した。国内ですでに稼働している非FIT電源やFIP電源、FITの買取期間を終えた卒FIT電源、FIP制度への移行を検討している電源オーナーから電気を固定価格で買い取り、グローバル大手企業や脱炭素化を推進する日系大手企業へのPPAを加速させる取り組みを行う。業務提携なども活用し、取り扱い容量の目標を、2030年度までに500MW、2035年に累計1GW規模とする。
国内に分散する電源と需要家をつなぐサービス 日々の発電量予測、どうする?対応
日本の再エネ市場は、政府がFIP制度普及を後押しし、企業はRE100、CDPなどの国際イニシアティブへ対応するため再エネ調達ニーズが急増している。その一方で、全国に分散する多様な電源と需要家をつなぐ仕組みが整備されておらず、太陽光発電所オーナーがFIT制度の調達期間満了後やFIP制度への移行を検討する際には、売電先の確保に加え、発電量予測やインバランスへの対応、非化石証書の管理など、さまざまな実務が必要となる。
こうした状況を受け、同社は、2021年12月より展開してきた再エネアグリゲーション・サービスの知見を生かし、それぞれの電源オーナーの事業フェーズに合わせたソリューションの提供を本格的に強化するという。
FIP制度や非FITにまつわる複雑な書類も一括代行など、顧客ニーズに沿ったソリューションを提供
同事業は、オーナーは発電所(アセット)をそのまま保有していてもらい、そこから生まれる電気と環境価値を、自然電力が固定価格で買い取る形をとる。電源の特性や事業計画に合わせサポートする。たとえば、バーチャルPPAなどの仕組みや、蓄電池の追加設置、設備のバリューアップ(リパワリング)、さらにはFIP制度や非FITにおける煩雑な需給管理・証書管理のワンストップ代行など、柔軟なソリューションを一元的に提供する。
対象は太陽光、風力、バイオマスなど幅広く、沖縄エリアを除く全国の電源に対応する。自社開発か他社電源かによる格差はなく、あくまでオーナーファーストで収益の最大化を目指す。
グローバル大手企業から国内の主要企業まで、個々の案件の特性に応じて最も有利な供給先を選択
同社は、GoogleやMicrosoftをはじめとする世界的大手企業に対し、バーチャルPPAを通じて累計100MWを超える電力を供給してきた実績がある。グローバル水準の高度な契約ノウハウに加え、再エネの開発から資産管理、運営保守、エネルギーマネジメントまで、サプライチェーンの全機能を一元的に保有しているのが強みだ。
これらの基盤を駆使し、国内外の巨大需要家や小売電気事業者、電力市場などの中から各案件に最も適した売却ルートを厳選。発電所オーナーが持つアセットの資産価値を極限まで高めていく。
加速する「FITからFIP」への運用転換サービス 他社も展開
日本の再エネ市場はFIT制度が終了し、FIP制度や非FITなど完全な市場競争へ移行する中、他社でもこうした移行を強力に後押しするサービスを展開している。
FUSOグループのRE100電力(東京都中央区)は4月17日、四国電力管内と東北電力管内のメガソーラー発電事業者に対し、蓄電池の導入設計から一時調整市場への参入、売電戦略の構築、電力需給を統合的に管理するアグリゲーションなどの支援サービスを開始すると発表した。
同サービスでは「メガソーラー × 系統用蓄電池 × 一次調整市場」を組み合わせ、2026年の出力制御ルール変更を見据えた新たな収益モデルとして、発電事業者と共同で取り組みを展開していく。RE100電力は、たとえば、FIT制度で運用していたメガソーラーをFIP制度へ転用し、さらに系統用蓄電池(出力約1.99MW、容量約8MWh)を組み合わせて運用した場合、九州エリアにおいてはFIPと一次調整市場を活用することで、「20年間の累計売上が従来の約9.4億円から約21.7億円に増加する」と試算する。
今回の取り組みでは、FIP制度で運用するメガソーラーに系統用蓄電池を組み合わせることで、出力制御時の余剰電力の有効活用や市場価格に応じた売電最適化を図るとともに、一次調整市場への参入による新たな収益機会の創出を目指す。単なる設備導入にとどまらず、市場環境を前提とした運用設計により、発電事業の価値最大化を実現する。発電事業者とともに次世代型の再エネ運用を推進していく。
また、需要家側の企業が併設型蓄電池運用により、自社運営のメガーソーラーをFIP移行などに対応する事例では、大阪ガス(大阪府大阪市)の100%子会社のDaigasエナジー(同)が保有・運営する鹿児島県鹿屋市の「鹿屋太陽光発電所」で、再エネ併設型蓄電池(約2MW/約6MWh)を設置する取り組みなど。同事業は12月に運用を開始する。
同発電所は今後、FIT制度からFIP制度への移行を予定しており、発電および蓄電池からの放電による電力は全量を大阪ガスが買い取る計画。さらに、蓄電池を活用して需給調整市場への参入も見据え、系統安定化への貢献と収益機会の拡大につなげる。
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2026.06.17
営農型太陽光発電で新たな提言、「市町村任せ」に警鐘 規制と推進の両立を
社会課題の解決に取り組む産官学連携組織の一般社団法人プラチナ構想ネットワーク(東京都千代田区)は6月8日、「望ましい営農型太陽光発電」の社会実装に向けた政策提言をとりまとめ公表した。
この提言では、営農型太陽光発電をめぐる制度見直しを踏まえ、営農型太陽光発電を農村地域における再エネの中核的な実装モデルとして位置付けることを求めている。そのために必要な政策措置を提案している。
農村地域における再エネの中核的な実装モデルに
農林水産省は4月に開催した有識者会議で、営農型太陽光発電の制度見直し案を提示した。この見直しでは、「望ましい営農型太陽光発電」の姿を明確に定義し、営農の継続を大前提としつつ、発電はあくまで付加的な位置付けとする考え方を打ち出している。不適切な案件への厳格な対応を求める一方で、営農と発電が真に両立し、地域活性化に資する取り組みについては推進する方向性を示している。
今回の提言では、有識者会議の議論を踏まえつつ、営農型太陽光発電を農業・農村・地域エネルギー政策を結ぶ前向きな社会実装の基盤と位置付けることを求めた。営農型太陽光発電は、農地において農業と再エネのどちらかを選ぶものではなく、農地の価値を高め、農地利用を拡大しながら農業経営を支え、地域に再エネを供給し、食料安全保障とエネルギー安全保障を同時に強化する仕組みだとした。
不適切案件を排除しつつ、農業者の所得向上、地域のエネルギー自給、遊休農地の再利用、農業の電化・脱炭素化に資する良質な案件については積極的に推進する制度として実装することにより、営農型太陽光発電は、日本の農村の未来を拓く新しい基盤となり得ると考えている。そのために必要な政策措置として、8つを提言している。
概要は以下の通り。
提言1:「適正化」と「推進」を一体化した制度設計とすること
国は「望ましい営農型太陽光発電」の基準を明確化するだけでなく、その基準を満たす案件を積極的に推進する制度を整備すべきである。望ましい案件として、「地域計画において10年後の農業を担う者として位置づけられている生産者とその生産者が営農する農地」など、4つの基準を満たす場合において、農地一時転用許可や設備整備計画認定の予見可能性を高めるとともに、自治体の離農対策・耕作放棄地対策・温対法・地域脱炭素計画などとも連動させるべきである。具体的には、この基準を満たす設備で発電された電気を自治体関連施設で優先的に活用するなどの施策の検討を求める。
提言2:市町村による地域農業の特徴・特色を活かしやすい制度設計とすること
営農型太陽光発電の技術では、可動式架台、垂直型設備、細型モジュール、透過型モジュール、ペロブスカイト太陽電池など、従来の遮光率のみでは適切に評価しにくい技術も登場している。市町村が作成する農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画でこうした技術革新を事前に想定した運用をすることは困難と考えられることから、対象圃場における単収8割要件と連動し、日射量シミュレーションなどを踏まえた対象圃場における日射量減少率などの新たな指標を導入し、この考え方を国の基本方針の中で明確に位置付け、技術革新を阻害しない運用とすることが必要である。
提言3:対象作物を限定しすぎず、地域性と販売実態に基づき評価すること
地域農業は多様であり、特定品目に偏った運用は地域の創意工夫を損ない、営農型太陽光発電の可能性を狭めるおそれがある。単に「何を栽培するか」ではなく、「その作物が地域農業と地域エネルギーにどのような価値をもたらすか」を評価することが必要である。
したがって、品目の可否は、品目名だけで機械的に判断するのではなく、地域での栽培実績、販売ルート、収益性、農業所得への寄与、地域農業政策との整合性、加工・貯蔵・流通との連携可能性を総合的に評価すべきである。特に、乾燥や冷蔵などの電力需要を伴う作物・経営体については、営農型太陽光発電による電力供給と組み合わせることで、農業経営の安定化と脱炭素化を同時に進めることができる。
提言4:農業者への利益還元を農業経営の強化につなげること
営農型太陽光発電を通じて農業者がエネルギーコストを抑制できれば、農業経営の安定性は高まる。利益還元を「金銭の移転」だけでなく、「農業経営の強靭化」として捉えることが重要である。
発電事業から営農者への利益還元について、単なる地代や協力金に限定されるべきではない。重要なのは、その還元が農業経営の強化、地域農業の維持、農地の価値向上に結びつくこと。具体的には、発電収益の一部を、農業機械やハウス、鳥獣害対策、地域の共同利用施設などに充てることなどが考えられる。また、農業用電力としての自家消費や低廉供給を、営農型太陽光発電事業からの利益還元の一形態として明確に評価すべきである。
提言5:農業の電化・脱炭素化・エネルギー自給を制度目的に明記すること
営農型太陽光発電は、農業の電化・脱炭素化・エネルギー自給を支える政策手段として明確に位置付けるべきである。特に、農業機械の自動化、農業用ヒートポンプ、電動農機、灌水ポンプ、畜舎・園芸施設、ライスセンター、冷蔵・冷凍施設、加工施設などと組み合わせた案件、また、太陽光発電で生み出されるタイミングと消費されるタイミングのズレを解消するための蓄電池システムについては、重点的な支援対象とすべきである。こうした技術開発への支援も必要である。食料安全保障とエネルギー安全保障を同時に強化する観点からも、農業用電力としての活用を制度上高く評価する必要がある。
提言6:市町村に過度な負担を集中させず、国・都道府県による伴走支援体制を整備すること
新たな制度では、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画の作成や設備整備計画の認定において、市町村の役割が重要になる。しかし、多くの市町村では、営農型太陽光発電に関する技術的知見、作物別の栽培影響、発電設備の構造、安全性、金融・撤去費用、電力契約、地域合意の進め方に関する専門人材が不足している。制度上、市町村の役割を重くするだけでは、地域によって審査の質やスピードに大きな差が生じてしまう。また、市町村において農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画が作成されなければ、地域の農業の特徴・特色を活かした営農型太陽光発電事業ができないことになるため、市町村による迅速な計画策定・整備も不可欠である。
したがって、国は全国共通の審査票、協議会運営マニュアル、遮光率・日射量の計算方法、地域計画における協議に際してのガイドラインやマニュアル、地域説明資料のひな形などを整備すべきである。併せて、都道府県単位で営農型太陽光発電の相談窓口または支援センターを設置し、市町村、農業委員会、農業者、事業者に対して技術的助言を行う体制を整えるべきである。
提言7:データベース化と実証研究を国の責務として位置付けること
営農型太陽光発電の制度運用を高度化するには、データに基づく評価が必要であり、また、データに基づく制度運用が、営農型太陽光発電への社会的信頼を高める土台となる。
国は、作物別、地域別、設備形式別の営農型太陽光発電データベースを整備すべきである。また、都道府県の農業試験場、大学、農研機構、民間事業者による実証研究を広く支援し、稲・麦・大豆以外の地域作物、条件不利地での営農、可動式・垂直型・透過型・ペロブスカイトなどの新技術、農業用電力としての自家消費モデルについて科学的知見を蓄積すべきである。
提言8:新たな制度の実施に向けた移行期間を十分に確保すること
新たな基準を導入する場合、すでに事業化に着手している事業について、その予見可能性を損なわない移行措置が必要である。今後は国の基本方針に加えて市町村の基本計画に沿った形での事業化が求められることから、発電事業を計画する側にはそれに適応する準備期間も必要となる。これらを踏まえ、最低でも農山漁村再生可能エネルギー法に関する省令改正から一時転用許可の要件化までは、最低でも2年以上の移行期間を確保するべきである。
営農型太陽光発電の健全な普及拡大を目指して
プラチナ構想ネットワークは、持続可能な地域社会の実現に向けて、理念の形成から普及活動、人財育成から社会実装に至る活動を行っている産官学連携組織だ。2月に、再エネの普及拡大に向けた「2050エネルギービジョン」をとりまとめ、公表している。
今回の提言は、「プラチナ再生可能エネルギー産業イニシアティブ」の社会実装活動の第1弾として、4月に立ち上げた「営農型太陽光発電社会実装推進コンソーシアム」の一環として、取りまとめた。このコンソーシアムは、千葉エコ・エネルギー(千葉県千葉市)がリーダーを務め、2026年5月現在、コアメンバーを含め法人33社、自治体9団体で構成されている。営農型太陽光発電の健全な普及拡大を目指し、農業者に加えて農業機械メーカー・エネルギー・金融・流通・大学・研究機関・自治体などが協働し、地域ごとの最適解を導く「横断型プラットフォーム」として活動していく。
なお、自然エネルギー財団(東京都港区)も3月5日、農林水産省が進める営農型太陽光発電の新たな規制強化の動きに対し、柔軟な制度運用を求める提言を発表している。
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2026.06.16
ペロブスカイト太陽電池を公共施設に導入、福岡市・滋賀県で 京セラ系が施工
京セラコミュニケーションシステム(KCCS/京都府京都市)は6月8日、滋賀県と福岡県福岡市において、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を公共施設へ設置する工事を受託し、同日より着工したと発表した。
3月に発売された積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)製のペロブスカイト太陽電池を、滋賀県内の県立高校など3カ所、福岡市内の公立小中学校3カ所に設置する。
福岡市、市内小中学校3校の体育館屋根に設置 政令市初の商用導入
福岡市は市内の小中学校3校の体育館の屋根に、総容量25.08kWのペロブスカイト太陽電池を施工する。高宮中学校(9.24kW)は7月下旬、老司小学校(7.92kW)は8月下旬、原西小学校(7.92kW)は9月下旬に完工する計画。なお高宮中学校では8月の設置完了時に、見学会が開催される予定だ。
同市は2025年12月22日に、積水ソーラーフィルムと「脱炭素社会の実現に向けた連携協定」を締結した。両社はそれ以前から、共同で市内の学校体育館屋根などに次世代型太陽電池を設置する実証実験などに取り組んできたことから、協定を締結しさらに連携を深めた。
今回の取り組みは、この協定の一環で実施されるもの。また、環境省の2025年度「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」に採択された。商用製品としては政令市で初の導入。福岡市では、軽量性を活かし、従来型太陽電池の設置が難しかった学校体育館にも展開するとし、都市部の創エネ場所を広げるとともに、温室効果ガス排出量実質ゼロの促進、児童・生徒への環境教育、避難所機能の強化につなげる。
滋賀県は県有施設3カ所に、総容量29kW導入
一方の滋賀県でも、県立高校や県立博物館など3カ所の施設に、総容量29kWのペロブスカイト太陽電池を設置する工事に、6月8日より順次着工すると発表した。
導入する施設は、八幡工業高校(近江八幡市/12kW・体育館屋根、7月中旬に完工)、守山北高校(守山市/12kW・体育館屋根、8月下旬に完工)、琵琶湖博物館(草津市/5kW・うみっこ広場、9月下旬に完工)。
これらの工事完了後、電気事業法に基づく国への承認手続きを経て発電を開始する。なお同県も、上記の福岡市と同様に環境省の2025年度補助事業に採択され、この取り組みを実施する。
積水化学グループが「SOLAFIL(ソラフィル)」を3月より事業化 東京都事業にも提供
近年、再生可能エネルギーの導入が加速する中、次世代の選択肢として「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた動きが加速している。従来のシリコン系太陽光パネルは、重量や設置場所の制約からビルの壁面や工場屋根などへの導入が困難だったが、軽量で柔軟(フレキシブル)な特性を持つペロブスカイト太陽電池は、これまで諦めていた場所への設置を可能にする新たなソリューションとして期待されている。
積水化学工業(大阪府大阪市)は3月27日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う積水ソーラーフィルムとともに開発してきた「SOLAFIL」の本格的な事業化を開始したと発表した。同社はこの事業化において、環境省の2025年度公募「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された福岡市および滋賀県のほか、さいたま市、西日本高速道路(NEXCO西日本)の4者へ製品を供給する。また、東京都の「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」にも参画。晴海客船ターミナルに国内最大規模となる50kW程度を設置する予定であり、2026年夏ごろから設置工事が開始される見込みだ。
実用化に向けた動きが加速する中、5月15日にペロブスカイト太陽電池の量産化・標準化に向け、同電池の主要メーカー5社が、「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)」を設立した。設立時の会員は、アイシン(愛知県刈谷市)、パナソニックホールディングス(大阪府門真市)、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、積水ソーラーフィルム、リコー(東京都大田区)の5社。このほか、量産化を進める企業を中心に、東京大学や広島大学の研究者も理事・監事として参画。品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築など産業化に向けた共通課題を、業界横断で解決する狙い。
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2026.06.15
長野県に系統用蓄電所2カ所新設へ SMFLみらいパートナーズが新協業
SMFLみらいパートナーズ(東京都千代田区)、藤巻建設(長野県飯山市)、東芝プラントシステム(神奈川県川崎市)は6月8日、共同出資により合同会社を設立し、系統用蓄電池事業を開始するため、2カ所に蓄電所を新設すると発表した。
東芝プラントシステムと東芝(同)が、両蓄電所のEPC(設計・調達・建設)、運用保守と、蓄電所の電気をアグリゲーターとして市場で売買するアグリゲーション業務を受注した。
運転開始は2028年度を予定
この事業では、木島平蓄電所(長野県下高井郡)と蓮蓄電所(同・飯山市)の2カ所に蓄電所を新設する。
木島平蓄電所は出力約52MW、容量約160MWhで、2026年6月に建設工事に着工した。蓮蓄電所は出力約32MW、容量約90MWhで、2026年8月に建設工事に着工する予定。両蓄電所の運転開始は2028年度を予定。系統用蓄電池を送配電ネットワークに直接接続し、時間帯に応じて各電力市場への充放電を行う市場運用型事業を実施する。
共同出資により設立した「合同会社OPTIRON北信」への出資比率は、SMFLみらいパートナーズが61%、藤巻建設が34%、東芝プラントシステムが5%。
SMFLみらいパートナーズは事業主体として、接続検討申込、出資者に債務保証を求めないノンリコースプロジェクトファイナンスの調達支援、また、アセットマネージャーとして特別目的会社(SPC)の運営管理を担う。藤巻建設は、事業用地の権利確保、地域との合意形成や行政協議、地盤調査などの土木設計に関する支援を担う。東芝プラントシステムは、電力会社への申請業務と各種技術協議に関するサポートを担う。
今回の協働にあたり、2023年に事業用地を選定し、約3年間にわたってプロジェクト開発を行ってきた。3月、3社はEPC契約をはじめとする各プロジェクト関連契約と、ノンリコースプロジェクトファイナンスの融資関連契約の締結に至った。
系統用蓄電池は、天候や時間帯によって発電量が変動する再エネを安定的に供給するための調整機能を担う。電力系統の安定化や再エネの導入拡大に向けて、系統用蓄電池の設置は今後さらに増加すると見込まれている。
協業により系統用蓄電池事業を推進
SMFLみらいパートナーズは、三井住友ファイナンス&リース(東京千代田区)の戦略子会社で、再エネや省エネ機器の設備投資におけるファイナンスサービスや、太陽光・風力などの再エネ事業を通じたCO2フリー電力の供給、脱炭素に関する補助金支援サービスなどの事業を展開している。蓄電池事業においては、2031年度までに累計1GWの取り組みを目指している。5月には、スパークス・グループ(東京都港区)と共同で新潟県新潟市において蓄電所事業に参画することを発表している。この事業でも東芝がEPCを受注している。
藤巻建設グループは、長野県内を中心に太陽光発電所や小水力発電所など、企画・設計から施工、運営まで一貫対応することを基本とした再エネ事業を展開している。
グループで蓄電所の建設から安定稼働、運用収益の向上を支援
今回の事業において、東芝グループは、蓄電所のEPCや運用保守、アグリゲーション業務などを提供する。東芝プラントシステムは、国内外で手掛けた多数のEPC案件で培ったノウハウと技術を生かし、機器設計、土木工事、各種機器設備の調達、据付工事を担う。東芝は、太陽光発電所の運用保守において定格出力で累計1GWを超える受託実績を有する。これらの知見を基に、蓄電所の運用保守と保安業務を行う。
また、アグリゲーション業務においては、アグリゲーター(特定卸供給事業者)として市場価格予測、各種電力市場での取引、蓄電池の充放電計画の作成、制御など一連の運用を行う。これまでの実績を踏まえた蓄電池の最適運用により、蓄電所全体の運用収益の向上を目指す。
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2026.06.14
太陽光発電を増設してPPA 物流施設側が入居するメーカーの脱炭素化を支援
物流施設を開発・運営する日本GLP(東京都中央区)は6月4日、自動制御機器メーカーであるSMC(同)の専用物流施設「GLP常総」(茨城県常総市)に100%再エネ電力を導入したと発表した。
SMCとPPAサービス契約を締結、既存の自家消費型太陽光発電設備を拡張し、2025年11月より電力供給を開始。約40%の電力自給と非化石証書付き電力メニュー契約を合わせて4月より100%再エネ化を実現した。
太陽光パネルを大幅増設 電力の約4割を再エネ化
「GLP常総」は、2021年7月に竣工した地上3階建ての物流施設で、SMCの専用施設として稼働している。
同施設には竣工時より一部の自家消費型太陽光発電設備(563.04kW)が設置されていたが、今回、顧客である入居するテナントのESG経営における脱炭素化をより強力にサポートするため、既存設備の大幅な拡張を決定した。
日本GLPとして、既設の太陽光発電設備を増設したのは初めてで、下記画像のようなスキームで入居する顧客の協力を得て稼働中の物件に自家消費型太陽光発電設備を導入するのは4件目となる。
今回の太陽光発電PPAサービスの導入にあたっては、グループ会社のGLP投資法人(東京都中央区)が投資を行い、同施設の屋根に新たに1,492.26kWの太陽光パネルを増設。施設全体の発電容量は当初の約4倍となる合計2,055.30kWに拡大するとともに再エネを館内に直接供給することが可能になった。これより、施設で使用する電力の約4割を再エネに転換し、年間約382tのCO2削減効果を見込む。
なお、このシステムの導入にあたっては、テス・エンジニアリング(大阪府大阪市)が太陽光発電システムのEPC(設計・調達・建設)からO&M(運営・保守)までを担い、安定的な運用体制を構築している。
PPAモデルは、テナント企業にとって初期投資やメンテナンスの負担をかけず、安定した料金で再エネを利用できるため、導入企業のコスト削減と持続可能な経営をサポートし、ESGやCSR活動の強化にも貢献する。また、初期投資やメンテナンスコスト、契約終了後の原状回復義務も不要であることから、長期的に安定した電力供給を受けられる。
テナントの脱炭素化を強力にサポート
SMCは、空気圧制御システムをはじめとする自動制御機器の総合メーカーとして、顧客の工場全体のエネルギー消費量を削減するトータルソリューションを提供している。また、スコープ1、スコープ2とスコープ3の温室効果ガス(GHG)の排出量を削減に向けて、中・長期目標を策定し、さまざまな取り組みを推進している。
日本GLPは、今回の取り組みにより、環境保全に対して高い意識と目標を持つSMCを直接的かつ強力にサポートする。同社代表取締役社長の帖佐 義之氏は、「単なる設備の導入にとどまらず、稼働中の施設において既存設備を活かしながら、そのキャパシティを約4倍にまで引き上げた、非常に意義深い事例である」とコメントしている。
SMC取締役執行役員の北條 秀実 製造本部長は、「当社がESG経営を推進する上で大きな成果であり、持続可能な社会の実現に向けた確かな一歩であると確信している。今後も物流・製造現場における脱炭素化に向けた取り組みを続け、施設で使用する電力を可能な限り再生可能エネルギーでまかなっていきたいと考えており、引き続き日本GLPの支援に期待している」と述べている
持続可能な社会の実現と事業成長を両立
日本GLPは、持続可能な社会の実現と事業成長を両立させるため、ESGを経営戦略の中核に据えている。管理・運営する物件には、高効率LED照明や雨水タンクの設置、太陽光発電の導入を通じて環境負荷の低減に積極的に取り組み、入居企業のESG経営の推進に貢献する。また、快適な労働環境の提供や、災害時の地域の防災拠点としての役割を果たすことで、入居企業の事業継続計画(BCP)をサポートしている
太陽光発電設備については、管理・運営する物件の50%超にあたる72施設の屋根に設置済みだ(外部PPA事業者による設置分3件を含む)。2024年における再エネ総発電容量は99737MWh、共用部LED化率は100%、これらによるCO2削減量は43,685トンとなっている。
なお、オルタナティブ投資運用会社の米アレス・マネジメント・コーポレーション(アレス)が、2025年3月にGLPキャピタル・パートナーズと、その関連会社の一部の国際事業を買収し、日本GLPもその傘下となった。アレスは物流不動産事業の新たな統一ブランドとして、「Marq Logistics(マークロジスティクス)」を立ち上げる。「GLP常総」は、2026年9月1日に「Marq 常総」に名称を変更する。
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2026.06.13
系統用蓄電池×AIで新たな社会インフラを データ分析と一貫管理で収益最大化
日本の電力市場は、脱炭素社会の実現に向けた大きな転換期を迎えている。2026年3月には再生可能エネルギーの調整力を売買する需給調整市場が「30分単位入札・24時間運用」に移行した。福岡から全国へ展開を加速させるENEFORWARD(エネフォワード)は、次世代系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」を軸に、AIと電力が融合する新しい社会インフラの構築に挑む。
代表取締役の簑下祐一氏に系統用蓄電池事業を含むエネルギーの未来像を聞いた「エネルギーこそ国防」 自給を見据えた起業理念
エネフォワードの代表取締役である簑下氏は現在42歳。26歳のころから再生可能エネルギー関連事業に携わってきた。簑下氏の原動力は、日本のエネルギー自立に対する強い危機感と使命感にある。「日本は自国にエネルギーがない。エネルギーこそが国防であり、豊かな国の礎である」という認識のもと、2020年に同社を設立した。
当初は太陽光発電所の開発を中心に手がけていたが、太陽光が持つ「不安定電源」という課題を克服するため、蓄電池併設型へのシフトを早期から模索。需給調整市場の拡大を予見し、2022年頃から系統用蓄電池事業への「全振り」を決断した。同社の経営理念の根底には「信頼持ちはお金持ち」という言葉があり、社会に信頼されるインフラ企業として100億円規模の事業展開を目指している。
福岡から東京へ 再生可能エネルギーの「中心地」から「需要地」に展開
エネフォワードは福岡市に本社を置く。九州を拠点としたのは、簑下氏自身が熊本県出身ということに加え、「九州が日本における再生可能エネルギー導入の最先端であり、出力制御などの課題と直接向き合う必要がある」(簑下氏)と考えたためである。
一方で事業の急成長に伴い、2026年には福岡本社を移転し、さらに東京支社を開設した。東京への進出は、100億円を超える規模のプロジェクトを支えるための金融機関との連携強化や、高度な専門人材の確保を目的としている。
設計・施工からデータ分析、金融支援・運用までの一気通貫体制が強み
エネフォワードの最大の特徴は、用地選定から設計・施工(EPC)、データ分析、資金調達支援、運用・保守(O&M)、メンテナンスまでを自社グループおよび独自のネットワークで完結させる「一気通貫体制」にある。
単なる仲介ではなく、案件の成立可能性を高めるための実効性のあるプレイヤーとの強固なネットワークを構築。「金融商品取引業(二種)を取得し、今後は金融・投資支援にも注力します。多額の電力工事負担金を一時的に肩代わりする『接続権利ファンド』や投資家向けの『インカムファンド』の組成が可能になります」(簑下氏)
すでに系統用蓄電池の契約済み案件は42件に上り、これまでに系統接続済みの案件は九州などを中心に7件。 2026年度内には計20件の連系を予定するなど、業界内でも大きな実績がある。
系統用蓄電池市場の制度改正と「先行者利益」の最大化
2026年3月の制度改正により、電力市場は「止まらない運用」が収益を左右する構造へと変化した。入札頻度が激増するため、わずかなシステム停止が大きな機会損失やペナルティに直結するからだ。
エネフォワードは、2026年から2027年初旬を、最も高い単価で稼働できる「ゴールデンタイム」と位置づけている。経済産業省が公開した一次調整力オフライン単価などの追い風もあり、インフラ投資としては異例の「3年以内」の投資回収を目指せる好機が到来していると分析する。
さらに、一定条件を満たせば「特定生産性向上設備等投資促進税制」による即時償却も可能であり、初年度のキャッシュインパクトを最大化できる点も投資家にとっての大きな魅力となっている。
次世代蓄電池システム「ENE FORCE」の冗長設計
市場制度の変化に対応するために開発されたのが、自社ブランドの系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」だ。コンセプトは「止めない。待たせない。」。機械、設備、システムの一部が故障しても全体の機能を維持できるよう、同じ機能を持つ要素を用意し、ペナルティゼロを実現する「冗長設計」が特徴だ。パワーコンディショナ(PCS)を分散配置し、バックアップシステムを標準装備することで、一部の故障が全体の停止に繋がらない設計になっている。
故障時に数週間を要する海外メーカーの課題を解決するため、重要部品を国内に常時在庫。万一の際も48時間以内に現場へ急行する保守体制を完備している。蓄電池本体だけでなく、PCS、EMS、キュービクルまでを一体で管理・保証し、長期20年の延長保証にも対応する。大規模向けの「高圧コンテナ型」から、敷地形状に合わせやすい「高圧キャビネット型」まで、プロジェクト規模に応じた柔軟な提案が可能だという。
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