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2026.08.13
ペロブスカイト太陽電池設置に全額助成最大3億円 東京都、予算2倍の9億円
東京都は7月27日、ペロブスカイト太陽電池「Airソーラー」を新たに都内に設置する事業者に対する支援する補助事業の申請受付を開始した。
予算額は昨年の4億円から大幅に増額し9億円。補助率は、Airソーラーの設置に要する経費(調査・設計費、設備費、工事費)の10/10、上限額は1件あたり3億円。申請書の提出期限は、2027年3月31日まで。ただし申請総額が予算額に達した時点で終了する。
Airソーラー(ペロブスカイト太陽電池)の普及拡大へ 目標は「2035年に1GW」
都は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を用いた太陽電池を「Airソーラー」とネーミングし、「2035年における都内導入目標約1ギガワット」を掲げ、普及拡大に向けた取り組みを進めている。Airソーラーは、薄く軽くフレキシブルという特徴を有し、設置対象の場所の範囲が広がることが期待されている。
都は、この目標達成に向けて、民間事業者などによるAirソーラーの設置を促進し、Airソーラーの設置事例の蓄積と量産体制構築を目指すため、2025年度に続き、Airソーラーを設置する事業者などに対し、その設置に要する経費を助成する。
助成対象事業者は、自らまたは発電事業者と連携し、Airソーラーを新たに都内に設置する民間事業者など。実施期間は、2026年度から2027年度まで。
交付申請の受付は2026年度、助成金の交付は2026年度と2027年度に行う。
助成対象事業の主な助成要件
助成対象となる主な要件は以下の通り。
・条件を満たすAirソーラーを都内に新たに設置(発電事業者が設置する場合を含む)し、その設備から得られた電気を活用すること
・事業内容や発電量等について情報提供が可能であること
・FITおよびFIPを活用しないこと
・設備の導入に当たって、再エネ特措法に基づく再生可能エネルギー発電事業計画に関し、資源エネルギー庁が発電設備種別ごとに策定する「事業計画策定ガイドライン」および「説明会および事前周知措置実施ガイドライン」に定める遵守事項等を遵守し、適切な事業実施のために必要な措置を講ずるものであること
・設計・施工にあたっては「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガ イドライン」などのガイドラインに沿って実施すること
・系統に接続される場合、IoT製品のセキュリティ対策として、IP通信機能を有する機器のうち、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」(JC-STAR)の取得対象となる機器については、JC-STAR適合ラベル取得製品(★1以上)を使用すること
Airソーラー設置事業者支援事業
・助成対象事業者:Airソーラーを新たに都内に設置する民間事業者など
・助成額:Airソーラーの設置に要する経費(調査・設計費、設備費、工事費)の10/10の額、上限額は3億円
・申請受付期間:3月31日まで。ただし、申請総額が予算額に達した時点で終了する
・事業期間:2026年度と2027年度。実績報告期限は交付申請をした翌年度1月28日まで。
・予算額:9億円
・申請受付窓口:東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)
Airソーラー助成対象設備について
同事業での助成対象となる設備は、脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業)において、一般社団法人環境技術普及促進協会が委託した性能評価機関の評価を受け、性能要件を満たしたことが確認されたフィルム型のAirソーラーモジュール、または、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が行う「グリーンイノベーション基金事業」における「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」において採択決定されている事業者が制作したAirソーラーを用いた製品。
該当するペロブスカイト太陽電池メーカーは現時点で以下の通り。なお対象にできるペロブスカイト太陽電池は「フィルム型」と明記されている。
・積水ソーラーフィルム(大阪市北区):JET認証取得
・長州産業(山口県山陽小野田市):NEDO事業採択
・カネカ(東京都港区):NEDO事業採択
・リコー(東京都大田区):NEDO事業採択
・パナソニックホールディングス(大阪府門真市):NEDO事業採択
・エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町):NEDO事業採択
・積水化学工業(東京都港区):NEDO事業採択
・東芝(神奈川県川崎市):NEDO事業採択
・アイシン(愛知県刈谷市):NEDO事業採択
※国立研究開発法人産業技術総合研究所もNEDO事業に採択されている
「開発・実証」と「設置」を支援で普及へ 関連事業が3種類
東京都は、Airソーラーの普及拡大に向け、開発・実証への支援、都有施設への先行導入、民間事業者への設置支援に取り組んでいる。
開発・実証を支援する「Airソーラー社会実装推進事業」は2024年度に開始し、2026年度も継続している。2025年度には、東京ガスなど4社による住宅施設での実証を採択。日野市のモデルハウスで、壁面やバルコニー、窓などへの設置方法や稼働状況を検証している。
2026年1月には、実際の導入拡大に向けた施策も始めた。都有施設への先行導入では、都庁舎やお台場海浜公園、晴海客船ターミナルへの設置事業者を公募し、3月にリコーや積水ソーラーフィルムなどを選定した。
同時に、民間事業者による設置を支援する「Airソーラー設置事業者支援事業」を2025年度に創設。2026年度も継続し、7月27日から募集を開始。予算額は前年度の4億円から9億円に拡大した。
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2026.08.12
大分県、中小企業脱炭素コンソーシアム始動 支援拡充・補助率最大4/5
大分県は7月24日、県内中小企業の脱炭素化を支援するため、「大分県中小企業等脱炭素推進コンソーシアム」を設立したと発表した。
7月10日には第1回会議が開催され、省エネ機器導入や遮熱シート施工・燃料転換など、県が実施する事業者向けの支援策を共有した。
高効率空調やLED照明導入、補助率は最大4/5に
県は、県独自のおおいたグリーン事業者認証制度に登録された事業者を対象に「省エネ機器(空調、LED)導入補助金」を拡充し、7月1日から募集を開始した。
高効率空調およびLED照明の補助率は、従来の1/2から4/5へと引き上げ、補助上限額も増額した。高効率空調の補助上限額は従来の50万円から80万円に、LED照明は30万円から48万円にそれぞれ拡大された。
同補助金では要件として、高効率空調は20%以上の省CO2効果、LED照明は蛍光灯からの交換設置が求められる。
なお高効率給湯器については補助率1/2、補助上限額15万円のまま据え置かれた。
遮熱シートや燃料転換を支援する新規補助金、無料アドバイザー派遣も
また、県は、より広範な省CO2技術の導入支援に向け、2026年度の新規事業として「省CO2技術等活用補助金」を創設し、同日から募集を開始した。
同補助金は「省CO2技術部門」と「燃料転換部門」の2部門で構成される。補助率はいずれも4/5。
「省CO2技術部門」では、遮熱シート施工による屋根の断熱対策や、全熱交換換気、高効率冷凍冷蔵設備、高性能断熱材などの導入を支援する。補助上限額は480万円。
「燃料転換部門」では、重油ボイラーからLPGボイラーへの転換などを支援する。補助上限額は960万円。
補助金申請には、
・導入によって事業所の年間CO2削減量が該当部門の削減目標値(産業部門マイナス2.8%、運輸部門マイナス3.7%、業務部門マイナス4.0%)を下回ること
・「おおいた省CO2アドバイザー」のアドバイスに基づくこと
が要件となる。
これに伴い、県は「おおいた省CO2アドバイザー派遣制度」を開始した。建築士やエネルギー管理士、環境認証制度の審査員資格を持つ専門家が事業所を直接訪問し、具体的な省エネ方法を提案する。
利用料金は1事業者当たり年間3回まで無料。このアドバイスを受けることで、「省CO2技術等活用補助金」の申請が可能となる。
商用軽EV導入や暑熱対策の支援策
県は、移動手段の脱炭素化や職場環境の改善に向けた支援策も提示した。
「商用軽EV等導入補助金」では、商用軽電気自動車(商用・貨物・タクシーなど)の導入に対し、国の補助金に上乗せする形で定額30万円を補助する。また、普通充電器の導入に対しては補助率1/2、上限7.5万円(最大2基まで)を補助し、充電器単独での申請も受け付ける。
さらに、「暑熱対策事業費補助金」を創設した。対象となる設備や装備には、スポットクーラーや大型扇風機、空調服、水冷服などが含まれる。募集は「通常枠」と「賃上げ枠」の2枠で、通常枠は補助率1/2(上限50万円)、賃上げ枠は補助率2/3(上限70万円)。
このほか会議では、大分県エネルギー産業企業会が実施するエネルギー関連製品の研究開発などを支援する「エコエネルギーチャレンジ支援事業費補助金」や、自家消費型太陽光発電・蓄電池、コージェネレーション設備などを対象とする「中小企業等エコエネルギー導入緊急支援事業(補正)」なども紹介され、中小企業の脱炭素投資を後押しする県内支援制度全体を共有した。
コンソーシアム設立の背景とグリーン事業者認証制度
今回設立した「大分県中小企業等脱炭素推進コンソーシアム」には、大分県エネルギー産業企業会や大分県トラック協会、大分県商工会連合会などの業界団体、大分銀行(大分県大分市)、豊和銀行(同)、大分信用金庫(同)、大分県信用組合(同)、大分みらい信用金庫(同・別府市)などの金融機関、および大分県が参画。県や金融機関、経済団体が中小企業向けの支援策や各業界の課題を共有し、今後の脱炭素施策を検討する。初年度は年3回程度の会議を予定している。
設立の背景には、政府が2026年度から本格開始する「排出量取引制度」がある。同制度の対象は年間CO2排出量10万t以上の大企業などだが、鉄鋼や化学などの大企業が集積する大分県は、産業部門が県内のGHG排出量の約66%を占めており、削減率が低調な製造業や運輸業の中小企業における脱炭素化が課題となっている。
県は2024年度に創設した「おおいたグリーン事業者認証制度」を中小企業支援の基盤として位置付けている。同制度は、CO2削減や脱プラスチックなどの目標を設定して取り組む事業者を認証する県独自の制度で、認証事業者は補助金の活用や金融機関によるサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)などの支援を受けられる。2026年6月1日時点の認証事業者数は207社。
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2026.08.11
島根・邑南町で太陽光・蓄電池導入 NGKら3社、EPC・O&Mで連携
地域新電力のおおなんきらりエネルギー(島根県邑南町)は7月24日、島根県邑南町における太陽光発電設備と蓄電池設備に関するEPCとO&Mについて、NGK(愛知県名古屋市)とJA三井リース(東京都中央区)と契約締結について合意したと発表した。
3社は、この取り組みを通じて、邑南町における再エネの地産地消の推進による地域内経済循環の確立と電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロ、災害時のレジリエンス向上を目指す。
設備の実装とファイナンス面での支援を実施
おおなんきらりエネルギーは、環境省が進める「脱炭素先行地域」に選定されている邑南町において、町の方針を具体的に実行する主体として、町内の公共施設や事業所・住宅などにおいて、PPAモデルなどを活用した太陽光発電設備と蓄電池設備の導入を進めている。
NGKは、この取り組みにおいて、EPCと電力の地産地消を最大化するためのEMS、設備導入後のO&Mを担う。設備導入から運用・保守までを一体で支え、地域の実装課題の解決に寄与する。JA三井リースは、導入施設ごとにリース契約を締結し、この取り組みに係るファイナンス面での支援を行う。なお、これは、JA三井リースとNGK協業による第1号案件となる。
NGK「再エネ地産地消の支援事業」の第1号案件
NGKは7月24日、地域の再エネの地産地消を支援するソリューション事業「NGK eneloco(エネロコ)」を開始したと発表した。地方自治体や地域新電力などの電力事業者が直面する複合的な課題を、企画から運用まで一体的にサポートすることで、再エネ地産地消プロジェクトの円滑な実現に貢献する。
事業を通じて、地域に根ざした持続可能なエネルギー循環の構築に寄与し、2030年度に売上高100億円を目指す。邑南町における太陽光発電設備・蓄電池のEPC、EMS、O&Mサービスの受注は、この事業の第1号案件となる。
再エネ導入などによる地域の地産地消プロジェクトは、資金調達から事業スキームの設計、再エネ関連設備の導入、運用保守や電力販売まで、数多くの段階がある。一方で、各段階のサービスはそれぞれ別の事業者によって提供されることが多く、ノウハウがない自治体や事業者が単独でプロジェクトを成立させることは困難という課題があった。
邑南町、太陽光と蓄電池で地域の再エネを最大限に活用へ
邑南町は2022年4月に、2030年度までに電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを目指す「脱炭素先行地域」として、第1 回に選定された地域。
邑南町は、再エネで輝く「おおなん成長戦略」を掲げ、エネルギーを地域でつくり地域で使う地産地消を通じて、脱炭素と地域課題の同時解決を目指している。その一環として、町外へ流出してきた電気料金支出を抑え、地域内経済循環の確立につなげるため、おおなんきらりエネルギーを設立した。
同社は、自家消費と自立分散型エネルギーの普及により、平時における再エネの活用を拡大するとともに、災害時の電力確保を含む地域レジリエンスの強化に取り組んでいる。今回の取り組みは、この方針の下で、太陽光と蓄電池を組み合わせた設備の導入と運用を一体的に進め、地域の再エネを最大限に活用する運用を目指す。
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2026.08.10
新潟県、ペロブスカイトなど次世代型太陽電池の実証支援 最大300万円補助
新潟県は7月23日、ペロブスカイト太陽電池をはじめとする次世代型太陽電池の早期導入や県内事業者の関連産業への参入促進を目的に、新たな用途開発や設置・施工方法の実証事業を支援する「新潟県次世代型太陽電池用途開発等実証支援事業補助金」の公募を開始した。期間は9月4日まで。
補助率1/2、4件程度を採択予定
同制度の対象は、新潟県内に事業所を有する事業者や団体など。補助率は補助対象経費の1/2以内で、補助上限額は1件当たり300万円。今回の公募では4件程度を採択する予定だ。
本補助金の対象となる事業は、次世代型太陽電池の特性を活かした創意工夫によるものであり、将来的な次世代型太陽電池産業への参入を見据えたものであることが要件となる。
具体的には、以下のいずれかに該当する事業が対象となる。
・次世代型太陽電池の特徴を活かして、建材一体型太陽電池や太陽電池の車載などの新たな用途の開発を行う事業
・耐荷重性の低い屋根や曲面、壁面など、これまで設置が困難であった場所への次世代型太陽電池の設置・施工方法の実証を行う事業
補助対象となる経費は、設計費・設備費・工事費およびその他経費。以下の経費は補助対象外となるため、申請にあたっては注意が必要だ。
・土地の取得または賃借に要する費用
・建屋の建設費
・既存の構築物や設備の撤去費用
・土地の造成、整地、地盤改良工事に準じる基礎工事費用
・電力会社との調整に伴う工事費負担金
事業期間としては、2029年3月末日までにすべての事業を完了させる必要がある。さらに、中間目標として、2027年2月末日までに試作品などの製造や設置を完了させることが義務付けられている。
ペロブスカイト太陽電池、実証・用途開発の取り組みが全国で拡大
次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性があり、曲げられるという特性から、従来のシリコン系太陽電池では設置が困難だった建物の壁面や耐荷重の低い屋根などへの導入が可能となる。
自治体レベルでは、次世代型太陽電池の導入や実証を支援する動きが広がっている。たとえば、福岡県では「福岡県次世代型太陽電池等実証事業補助金」を設け、ペロブスカイト太陽電池などの設置実証に対して最大500万円を補助する公募を実施した。また、札幌市では、YKK AP(東京都千代田区)・西松建設(同港区)・エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)の3社が共同で、積雪寒冷地における建材一体型太陽光発電(BIPV)内窓の発電性能に関する実証実験を札幌市役所本庁舎で開始している。
民間企業においても、NTTアノードエナジー(東京都港区)がシステム構築へ向けたエンジニアリング技術開発を進めるなど、実用化に向けた取り組みが広がっている。
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2026.08.09
3市場対応・系統用蓄電池で運用効率化 日新電機が蓄電システム納入
日新電機(京都府京都市)は7月23日、サンシャイン九州本部(福岡県福岡市)が福岡県飯塚市に整備した高圧系統用蓄電所「飯塚蓄電所」に、コンテナ型蓄電システム、蓄電池用パワーコンディショナー、蓄電池制御装置を納入したと発表した。7月から運用を開始している。
全市場に対応、高精度な需給調整 運用効率を高める
同蓄電所の送電端出力は1,990kW、蓄電池容量は7,460kWh。アグリゲータの運用指令により、容量市場、需給調整市場、卸電力市場の3市場全てに対応する。
このうち需給調整市場では、周波数変動を設備側で検知して自動制御し、原則として10秒以内の応動と5分以上の継続が求められる「一次調整力」を含め、「二次調整力①・②」「三次調整力①・②」の全5区分へ対応する高精度な需給調整が可能だ。
系統用蓄電池では、市場ごとに取引する対象や収益を得る仕組みが異なる。卸電力市場では、電力価格が低い時間帯に充電し、高い時間帯に放電することで、その価格差から収益を得る。需給調整市場では、電力系統の需給バランスを保つための調整力を提供し、その対価を得る。容量市場では、将来必要となる供給力(kW価値)を確保する市場に参加し、落札後、実需給年度に供給力を確保することで、容量確保契約に基づく対価を得る。
複数市場に対応することで、市場価格や調整力の募集状況などに応じて蓄電池の運用を組み合わせ、収益機会を広げることができる。今回導入したシステムは、こうした複数市場での運用を可能にし、アグリゲータからの指令に応じた充放電制御に対応する。
また、周波数変動を設備側で検知して自動制御する機能は、蓄電池が外部からの指令を待たず、系統の状態に応じて自律的に充放電を制御する「自端制御」につながる。特に需給調整市場における一次調整力では、設備が周波数偏差を検知してから原則として10秒以内の応動と5分以上の継続が求められるため、周波数を設備側で高速に計測し、その場で制御判断まで行えることが、一次調整力への対応と電力系統の安定化につながる。
IoT製品の基本的なセキュリティ要件に適合、JC-STAR★1を取得
日新電機によると、蓄電システムの主要機器には、全て国内製品を採用しているという。また、IoT製品のセキュリティ対策を評価する制度「JC-STAR」では、基本的な要件を満たすことを示す★1のラベルを取得している。同制度は、経済産業省が策定した方針に基づき、情報処理推進機構(IPA)が2025年3月に運用を開始した。同年9月に政府機関向けの機器選定基準に反映されており、重要インフラ事業者や地方公共団体などへの活用も働きかけている。
蓄電池はコンテナタイプだが、蓄電池盤とコンテナを分けて輸送し、現地で組み立てる方式により、搬入制限のある道路などでも搬入できる。また、静音設計で周辺環境に配慮した。
なお同事業は、経済産業省の2025年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択された。
複数市場への対応やAI活用 系統用蓄電池の効率的な運用事例
系統用蓄電池の事業では、複数の電力市場への対応や制御技術の高度化により、効率的な運用と収益性の向上を図る取り組みが進んでいる。
同じ補助金に採択された事例では、三菱地所(東京都千代田区)ら3社が福岡県筑前町で6月1日に着工した系統用蓄電所が、3市場に柔軟に対応するほか、AIを活用した高度な運用により、収益性と安定性の両立を目指す。
パワーエックス(岡山県玉野市)とニシム電子工業(福岡県福岡市)は2月5日、電力系統からの充電を行う太陽光併設型蓄電システムとして、一次調整力対応で国内初となる一般送配電事業者の認定を取得したと発表した。同システムは同日、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)が保有する長崎県大村市の「大村メガソーラー第4発電所」で運用を開始した。この取り組みでは、太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせ、周波数変動に応じて出力を自動制御することで一次調整力として機能する点が特徴だ。EMSと連携し、太陽光発電の出力変動と蓄電池の充放電を統合的に制御することで、系統要請に応じた高速な応答を可能としている。
出光興産(東京都千代田区)、三井住友ファイナンス&リース(同)、長瀬産業(同)、レノバ(同・中央区)が共同で開発し、2025年10月に運用を開始した「姫路蓄電所」(兵庫県姫路市、出力15MW/容量48MWh)では、需給調整市場と容量市場を活用。さらに、EPCを担った日揮(神奈川県横浜市)が、複数の蓄電池を統合管理するEMSなどを連携させ、需給調整市場、容量市場、卸電力市場での取引に活用できる蓄電所統括制御ネットワークを構築した。
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2026.08.08
中国の新再エネ5カ年計画受け、日本で高効率太陽光モジュール ジンコソーラー
ジンコソーラーの日本法人であるジンコソーラージャパン(東京都中央区)は7月24日、中国政府が公表した「再生可能エネルギー発展第15次五カ年計画」で、発電の質や長期運用価値が重視されたことを受け、日本市場向けに高効率N型TOPCon技術を搭載した太陽光モジュール「Tiger Neo 3.0」の展開を強化する方針を明らかにした。
限られた設置面積でも高い発電量を実現
「Tiger Neo 3.0」は、次世代のN型TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)技術を採用した太陽光モジュール。
モジュール変換効率24.8%、最大出力670W、両面率85%(±5%)を実現し、中国における最新の国家エネルギー効率基準において最高ランクの「1級」に適合する性能を備える。さらに、高いモジュール効率に加え、低照度時の発電性能、高温環境下での出力低下の抑制、両面発電性能、長期的な出力劣化の抑制などを特徴とする。
日本では住宅や商業施設、工場、物流施設など屋根への設置が多く、限られた設置面積でより多くの発電量を確保することが重要となる。同製品は高いモジュール効率によって設置容量を最大化できるほか、低照度や高温環境でも安定した発電性能を発揮することで、ライフサイクル全体での発電量向上とLCOE(均等化発電原価)の低減に貢献するとしている。
また、長期にわたる出力劣化の抑制や高い信頼性も特徴としており、長期間にわたって安定した発電が求められる国内市場のニーズに対応する。
AI・データセンター需要拡大で高効率・高信頼性への要求高まる
日本国内ではAIやデータセンター、先端製造業の成長に伴い、安定的なグリーン電力への需要拡大が見込まれる。企業の脱炭素化やコーポレートPPAの普及も進む中、太陽光発電は補完的な電源から産業インフラを支える基幹電源の一つへと位置付けが変化しつつある。
こうした環境の下、単に設備容量を増やすだけでなく、限られた設置面積でより多く発電できることや長期間にわたり安定した発電性能を維持できることへの重要性が高まっている。同社は、高効率TOPConモジュールと蓄電システム、エネルギーマネジメントを組み合わせることで、長期的かつ安定した電力供給に貢献できるとしている。
中国政府、再エネの「量拡大」と「質向上」両立へ
中国国家発展改革委員会(NDRC)と国家能源局(NEA)が共同で公表した「再生可能エネルギー発展第15次五カ年計画」では、再エネの導入拡大に加え、発電の質や電力システムへの貢献、高品質な発展を重視する方針を打ち出した。
2030年までに、再生可能エネルギーの消費総量を標準炭換算で約18億t、発電設備容量を約35億kWとする目標を掲げた。このうち風力・太陽光発電の設備容量を28億kW以上、全発電設備容量に占める割合を50%超とし、年間発電量は4兆kWh以上を目指すとした。
さらに同計画で、国内の再エネ導入拡大に加え、再エネ技術・製品の国際展開を強化する方針も打ち出している。
中国は2030年までのカーボンピークアウト、2060年までのカーボンニュートラルを国家目標に掲げる。この実現に向け、再エネの導入拡大と電力システムの高度化を柱とするエネルギー政策を推進している。
中国の「五カ年計画」は、5年間の経済・社会発展に関する国家戦略や政府の重点施策を示す中期計画。2026~2030年を対象とする「国民経済・社会発展第15次五カ年計画綱要」は、2026年3月12日に第14期全国人民代表大会第4回会議で承認された。
6月25日には、エネルギー政策全体の方向性を示す「新型エネルギーシステム建設第15次五カ年計画」を公表。同計画では、2030年までにクリーン・低炭素・安全・効率的な新型エネルギーシステムを初歩的に構築し、風力・太陽光発電の設備容量比率を50%超、非化石エネルギーによる発電量比率を50%とする「ダブル50%」を掲げた。
さらに、同計画を踏まえて再エネ分野の目標を具体化した「再生可能エネルギー発展第15次五カ年計画」を7月23日に公表した。
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2026.08.07
MonotaRO物流拠点に太陽光発電531kW 自社所有で25%再エネに
Looop(東京都台東区)は7月23日、MonotaRO(大阪府大阪市)の物流拠点「茨城中央サテライトセンター」に、出力531.2kWの自家消費型太陽光発電設備を設置し、稼働を開始したことを明らかにした。
本設備はMonotaROが自社資産として保有・運用し、同施設で消費する電力の約25%を賄うことで、脱炭素化と長期的な電力コスト削減を図る。
年間53.4万kWhを発電、電力需要の約25%を再エネ化
今回稼働を開始した太陽光発電設備は、茨城県東茨城郡茨城町にあるMonotaROの物流拠点「茨城中央サテライトセンター」の屋根に設置された。
想定される年間発電量は約53.4万kWhで、同施設で消費する電力の約25%を再エネで賄う。この取り組みによるCO2削減効果は約241tを見込む。
本プロジェクトの特徴は、MonotaROが設備を自社資産として保有・運用する「自社所有モデル」を採用した点にある。自社所有により発電した電力を自家消費することで、電力コスト低減につながる。
操業影響を抑制した施工を実現
物流拠点における太陽光発電設備の導入にあたっては、工事期間中の施設運営への影響をいかに抑えるかが実務上の重要な課題となる。
特に、24時間体制での稼働や頻繁なトラックの入出荷オペレーションが行われる物流施設では、資材の搬入や高所作業、系統連系に伴う一時的な停電などが、日々の業務に支障をきたすリスクもある。
今回の設置工事において、Looopは、物流施設の稼働や入出荷オペレーションに大きな影響を与えず施工を完了した。
両社の脱炭素に向けた背景とサステナビリティ目標
MonotaROは、事業活動に伴うCO2排出量(スコープ1・2)を2030年までに2020年比で50%削減することを中期的なサステナビリティ目標として掲げる。
現在は、事業者向けに工場用間接資材の販売を手がけており、EC需要の拡大に伴い物流拠点の新設や拡張を進めている。これに伴い電力使用量が増加する傾向にあるが、同社は再エネ利用プランへの契約変更や非化石証書の購入、省エネ施策の実施などを通じて、低排出体制の維持に努めてきた。今回の茨城中央サテライトセンターにおける自家消費型太陽光発電の導入は、こうしたサステナビリティ戦略を具体化する取り組みの一環である。
一方、Looopは電力小売事業に加え、再エネ発電所や蓄電池の開発・運用、エネルギーマネジメント事業を展開する。太陽光発電所の設計・建設(EPC)を一貫して手がける体制を構築しており、今回のプロジェクトにおいても、そのノウハウを活かし、物流拠点の稼働や入出荷オペレーションへの影響を抑えながら施工を完了した。
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2026.08.06
ドラマ「VIVANT」制作時電力を営農型太陽光で TBS、脱炭素を推進
TBS Green Transformation(TBS GX/東京都港区)は7月26日、動画配信サービス「U-NEXT」で配信されたドラマ「ドラム ―VIVANT THE ORIGIN STORY―」を、農地で生み出された自家創出の再エネの一部を活用して制作したと発表した。
このドラマとコラボし、ドラマ作りにおける脱炭素の取り組みを「#感動発電」として対外的に発信していく。
自社ドラマ制作に要する電力を福島県の農地(牧草地)の太陽光発電で
「ドラム ―VIVANT THE ORIGIN STORY―」は、第2シーズンがスタートするテレビドラマ「VIVANT」のサイドストーリーとして制作された。
TBS GXは、「ストーリー性のある発電所の建設」を通じ、農業などが抱える社会課題を解決しながら、再エネを作りだす営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を推進している。TBSグループのコンテンツ制作拠点である緑山スタジオ(神奈川県横浜市)では、6月から、UPDATER(東京都世田谷区)の再エネ電力小売事業を通じて、福島県矢吹町の牧草地の上で発電した電力の供給を開始した。6月に緑山スタジオにて撮影がおこなわれた同作の制作にあたっては、この電力が一部使われた。
同作を支える電力が生み出されたのは、福島県矢吹町にある農地(牧草地)で、この発電所では、太陽光パネルの下では牧草が育ち、その牧草を食べて牛が育つなど、農業・畜産・再生可能エネルギーが共存する循環型の営農モデルが形成されている。この取り組みを、背景にある感動も一緒に「#感動発電」として発信していくこととしている。
具体的には、この発電所では、アニマルウェルフェア(動物福祉)に考慮した牛の放牧が行われ、夏の炎天下では、太陽光パネルが作る日陰が牛たちを暑さから守る重要な役割を果たしている。また、広々としたパネルの下で牛が歩き回って運動することで足腰や骨格が柔軟になり、自然分娩の成功率が向上するなど、牛の健康と新しい命の誕生にもつながっている。さらに、牛が自由に歩き回ることで、土地が自然と耕される効果や、尿による窒素供給などにより、耕作放棄地の再生や土壌改良に大きく寄与する。
この発電所は、UPDATERが2022年から地域関係者とともに開発を進めてきたものだ。長年耕作放棄地となっていた農地を活用し、営農パートナーであるアグロエコロジー(栃木県芳賀郡芳賀町)とともに、牧草栽培や放牧など地域の農業と両立する発電所として整備してきた。
TBSグループの脱炭素推進、ソーラーシェアリングで有機農法と若手就農者を支援
TBS GXは、TBSグループの脱炭素を推進するため、TBSホールディングス(東京都港区)とUPDATER(同・世田谷区)が6月に共同で設立した。営農型太陽光発電所などを建設していく発電事業、第三者からの再エネ調達事業、そしてグループ各社への脱炭素支援事業を展開する。将来的には、グループ外への事業展開も検討していく。まずは、緑山スタジオに対し、再エネ供給を進め、「世界に通用するサステナブル・スタジオ」へ歩みを加速させていく。
TBS GXは2025年10月、UPDATERと協働のもと、初の「営農型太陽光発電所」の建設地2件を決定したことを発表している。1号案件は栃木県塩谷町、2号案件は栃木県さくら市に位置しており、発電規模はともに114.835kW、2026年秋頃の完成と稼働開始を予定している。発電所完成後は、UPDATERの再エネ電力小売事業を通じて、自前の再エネとして緑山スタジオへ供給する予定。
2つの建設地は、アグロエコロジーが耕作を担う農地で、同社は栽培期間中、農薬や化学肥料、除草剤を使用しない徹底した有機農法を実践している。しかし、有機農法には多くの手間とコストが伴う。そこでアグロエコロジーは営農型太陽光発電を積極的に活用し、安定した収入源を確保、農業の持続可能性を高めている。
TBS GXはアグロエコロジーの耕作地の上を借りて太陽光パネルを設置し、発電事業を行う。TBS GXは、その対価をアグロエコロジーに継続的に支払っていく。これによりグループに必要な再エネを生み出すだけでなく、今後の有機農法を支える若手就農者の経済的な支援、安心・安全な作物の普及、耕作放棄地の削減など農業課題の解決にも貢献していく。
発電所の建設にあたっては、主案件選定、開発・施工管理などでUPDATERと協働し、環境との調和を大切にしながら、社会から存在を期待され、さらにコンテンツとしても発信できる「ストーリー性のある発電所」をつくることを目指している。
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2026.08.05
「フラクタル型」太陽光発電など次世代再エネ技術3件採択 東京都の実証事業
東京都は7月23日、「次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業」の2026年度採択事業として、カルコパイライト太陽電池や、「フラクタル型」の太陽光発電設備、バイオガス発電設備に関する3件の実証事業を採択した。
離島基地局にカルコパイライト太陽電池を設置、強風・塩害耐性、保守方法などを検証する実証
代表事業者はソフトバンク(東京都港区)。同社が筆頭株主であるPXP(神奈川県相模原市)が開発した、超軽量・薄型で曲げられるカルコパイライト太陽電池を、東京都の島しょ部にある通信基地局へ設置する。
強風や塩害にさらされ、かつ通信アクセスに制限のある離島において、発電性能、施工性、耐久性、接着工法の有用性、効率的な保守方法などを検証する。発電した電力は基地局で使用する。
設置場所は、基地局の鉄塔、周辺のフェンス、倉庫の壁面・屋根、地面の計4カ所。設置は東京ガス(東京都港区)が協力し、同社独自の接着工法で設置面に穴を開けずに施工する。実証期間は2027年5月から2028年12月まで(予定)。
カルコパイライト太陽電池は、銅やインジウムなどで構成される化合物半導体を用いた太陽電池。軽量性や柔軟性を生かし、従来型パネルの設置が難しい耐荷重の低い設備、曲面や突起物のある壁面などへの展開が期待されている。
PXP製のカルコパイライト太陽電池についてはこれまでにも当メディアでも紹介したとおり、以下のような取り組みがある。
PXP(神奈川県相模原市)は7月9日、シリーズBラウンドにおいて、これまでに総額15.6億円を調達したと発表した。同社は現在、相模原市内でカルコパイライト太陽電池を年間25MW生産する初の量産工場の建設を進めている。調達した資金を設備投資に充て、2027年度の操業開始を目指す。
また、神奈川県は6月17日、2050年の脱炭素社会実現に資する研究開発プロジェクト3件を採択したと発表した。このうちの1件が、東京ガス(東京都港区)とPXPによる次世代太陽電池の実用化に向けた研究開発である。
東急不動産(東京都渋谷区)は5月26日、人工光型植物工場「テクノファームけいはんな」(京都府木津川市)において、PXP製カルコパイライト太陽電池を建物壁面に設置する国内初の実証実験に取り組むと発表した。
新潟県妙高市では5月1日、カルコパイライト太陽電池を活用した自治体向けPPA事業として国内初の取り組みが始動した。JFEエンジニアリング(東京都千代田区)と、同社が出資する新電力会社・アーバンエナジー(神奈川県横浜市)、東京センチュリー(東京都千代田区)の3社が、妙高市向けに太陽光PPAサービスを提供する。
「フラクタル型太陽光発電システム」で発電性能や空間冷却効果を検証する実証
代表事業者は一般社団法人日本データサイエンス研究所(JDSC/東京都文京区)。
AI・データサイエンスを活用したソリューションを提供するJDSCは、同社の技術をエネルギー分野に応用し、IoTセンサーを用いて「フラクタル型」の太陽光発電設備の性能や冷却効果、耐久性を検証する。空間や景観上の制約がある都市部への再エネ導入拡大と、都市ヒートアイランド緩和の可能性を探る。
具体的には、東京都内のオフィスビル敷地内の駐車場や歩道など、複数の場所にフラクタル型太陽光発電設備を設置。IoTセンサーでデータを収集し、主に以下について検証する。
・パネル同士が影をつくる相互遮光条件下での発電性能
・空間や路面の冷却効果
・パネルやコネクターなどの耐久性
効率的な光合成のため進化してきた植物の枝・葉など、全体と一部分に似た形が繰り返し現れるフラクタル構造の採用は、バイオミミクリーの一種として様々な研究・取り組みが進められているが、太陽光パネルにおいては3次元配置時の集光効率・自己冷却効果の向上、配線(電極)の短縮化などを目指す先行研究がある。
JDSCはこれまでにも、東急不動産(東京都渋谷区)らが運営する営農型太陽光発電の実証施設で実施した共同実証において、営農手法確立に向けた環境や育成データの高度活用などで協業している。
紙コップなどの難処理紙をバイオガス化、発電性能を検証する実証
代表事業者は八千代エンジニヤリング(東京都台東区)。紙コップなど、プラスチックラミネート加工により通常の紙リサイクルが難しい「難処理紙」を対象に、亜臨界水処理技術を用いたバイオガス化発電の有効性を検証する。
東京都内の紙類リサイクル施設に、分別せずに処理できる独自の粉砕機と、ハイドロライザーと呼ばれる加水分解装置を導入する予定。主に以下の項目を検証する。
・ハイドロライザー(加水分解装置)の前処理性能(有機物分解率・対応廃棄物種類)
・メタン発酵効率(バイオガス発生量・メタン濃度・発酵安定性)
・発電性能(発電出力・設備利用率)
・残渣・環境(消化液成分・CO2削減量)
亜臨界水処理技術は、高温・高圧状態の水を利用し、有機廃棄物を加水分解によって短時間で低分子化する技術。当メディアでは同技術を活用した資源循環の取り組みを紹介している。
日本郵船(東京都千代田区)は2022年8月、サステイナブルエネルギー開発(宮城県仙台市)に出資し、船上廃棄物をエネルギーに転換し船上で利用することに向け共同検討を開始したと発表した。サステイナブルエネルギー開発は、可燃ごみなどの有機物を亜臨界水処理技術で分解して最終的にバイオ燃料などのグリーンエネルギー製品を生成するISOPシステムを展開する企業。現在、この取り組みは、2025年12月26日付で日本海事協会(ClassNK)より基本設計承認(AiP)を取得し社会実装へと歩を進めている。
次世代再エネ技術の社会実装を支援 1件最大1億円
東京都の助成事業「次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業」は、都内を実証フィールドとして、発電性能や耐久性、施工性など、次世代再エネ技術の社会実装に向けた実証実験を支援するもの。助成対象は、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱などを活用した発電システムのうち、研究開発段階を脱し、社会実装に向けた課題解決に取り組む事業。ただし、ペロブスカイト太陽電池を用いる「Airソーラー」は対象外とされる。
事業期間は採択後から2029年3月31日まで。助成限度額は1件あたり1億円で、助成率は対象経費の3分の2以内。2026年度の応募数は5件だった。
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2026.08.04
26年度長期脱炭素電源オークションは500万kW募集 蓄電は計80万kW
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は7月21日、容量市場「長期脱炭素電源オークション(応札年度:2026年度)」について、募集要綱案と容量確保契約約款案を公表し、意見募集を開始した。
今回の改定は、第3回オークション(2025年度)の結果や国の審議会での議論を踏まえたもので、長期エネルギー貯蔵システム(LDES)やLNG専焼火力の供給力提供開始期限を延長するほか、水素・アンモニア案件や蓄電池案件の参加要件、洋上風力の取り扱いなどを見直した。
LDESは7年、LNG専焼火力は11年へ 建設期間の長期化に対応
これまでの実施から大きな変更点となるのが、各電源の供給力提供開始期限の延長だ。
供給力提供開始期限は、容量確保契約を締結した事業者が実際に運転を開始し、供給力を提供しなければならない期限を定めたもの。大型設備では建設や調達期間の長期化が進み、制度と実態との間にずれが生じていた。
長期エネルギー貯蔵システム(LDES)は、大型蓄電設備では設計・実証・建設まで長期間を要する案件も多いことを踏まえ、従来の4年から7年へ延長する。
LNG専焼火力は、2024~2025年度の8年から11年へ延長となる。環境アセスメントをすでに完了している、または不要な案件は7年とした。一方、太陽光(5年)、風力・地熱(8年)、水力(12年)、蓄電池(4年)、原子力(17年)の期限は変更しない。
脱炭素500万kW、LNG600万kWを募集 多様な電源への投資を促進
2026年度オークションでは、脱炭素電源500万kW、LNG専焼火力600万kWを募集する。
脱炭素電源種別毎の募集上限は下記の通り。
・脱炭素火力:50万kW
・リチウムイオン蓄電池:40万kW
・非リチウムイオン蓄電池:40万kW
・揚水式水力・LDES:40万kW
・洋上風力:50万kW
・既設原子力の安全対策投資:150万kW
LNG専焼火力は制度開始当初、2023~2025年度の3年間限定で募集する予定だった。しかし、初回オークションで募集量の大半が落札されたことを受け、募集を継続する方針へ転換した。
広域機関の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」では2040年の需要増加が見込まれており、LNG専焼火力の継続募集が必要と整理されている。
水素・アンモニア案件は低炭素燃料を前提に
制度面では、水素・アンモニア案件に関する見直しも行う。
第4回オークションからは、水素社会推進法に基づく計画認定制度との整合を図るため、入札対象を「低炭素水素・アンモニア」に限定する。制度開始当初は市場形成の初期段階であることを踏まえ、「グレー水素・アンモニア」も対象としていたが、今回は対象外となる。
また、燃料サプライチェーンに関する事前審査を導入し、チェックリスト方式で適合性を確認する。さらに、水素・アンモニア、CCS、LNG専焼火力を対象とする案件では、2050年に向けた脱炭素化ロードマップの作成を求めることも明確化した。
洋上風力や蓄電池も参加要件を見直し
洋上風力では、一定条件を満たす第2・第3ラウンドのゼロプレミアム案件について、長期脱炭素電源オークションへの参加を認める。これは、第1ラウンドの公募選定案件がすべて事業者撤退となるなど、洋上風力を取り巻く環境変化が変化したことが要因とみられる。一方で、プレミアム発生の可能性を完全に排除するため、公募占用計画における供給価格を0円/kWhへ変更するとともに、FIP制度の全支援期間にわたりバランシングコスト相当分のFIP交付金の受領を放棄することを条件とした。
蓄電池では、安全保障の観点を踏まえた見直しも実施する。第3回オークションで導入したセル製造国30%制限ルールに代わり、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定を受けたメーカー(株式・持分50%超の子会社・孫会社を含む)が製造したセルを使用するリチウムイオン蓄電池を優先的に約定する方針を盛り込んだ。
金利上昇を反映し資本コストも見直し
資本コストについては、応札価格に算入できる資本コスト上限を従来より0.5ポイント引き上げ、4.5%、5.5%、6.5%へ見直す。
LNG専焼火力ではLNG基地の整備の有無に応じた上限価格を設定するほか、一般水力・新設揚水・原子力については上限価格算定倍率を従来の1.5倍から2倍へ引き上げる。
制度適用期間は原則20年間としつつ、一般水力・新設揚水・原子力・LNG専焼火力は最長30年、それ以外の火力電源や蓄電池などは最長40年とする。
OCCTOは今後、8月3日まで意見を募集し、2027年1月に第4回長期脱炭素電源オークションを実施する予定だ。
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