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2020.01.06
エグチHD、宮古島でリゾートホテル建設へ 太陽光、蓄電池でゼロエネめざす 8千平方メートル超の土地取得、21年着工20年に支店開設
太陽光発電所の建設などを手掛けるエグチホールディングス(本社名古屋市守山区大森、江口勝義社長)は、沖縄県の宮古島でエネルギー収支ゼロを目指すリゾートホテルの開発に乗り出す。太陽光や蓄電池などを活用し、使用電力をまかなう。用地を取得済みで、2021年の着工、22年以降の開業を目指す。国内でゼロエネルギーホテルは珍しい。太陽光発電所の建設や運営のノウハウを生かし、宮古島市が目指す持続可能な島づくりに貢献する。
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2019.04.28
四国電力、再エネ固定価格買取期間満了する顧客向けに新サービスを提供
固定価格買取期間が満了する顧客向けに新サービス導入
四国電力株式会社は4月22日、現在行われている再生可能エネルギーの固定価格買取期間が満了する顧客を対象に、新たなサービスを導入し提供すると発表した。これには、同社を仮想蓄電池とみなし顧客から預かった余剰電力が自家消費されたものとして、その相当分を電気料金から割り引く「ためトクサービス」、新たな買取単価にて引き続き余剰電力を購入する「買取プラン」、蓄電池の設置を希望する顧客向けの「蓄電池購入プラン」の三つのプランがある。
「ためトクサービス」は、顧客が太陽光発電でつくり余った電気を、1月当たり最大150kWhまでを同社が預かり、この電力量が自家消費されたものとして、その相当分を電気料金から割引する。また、これを超えた余剰電力については、1kWh当たり8円で買い取るものとし、その相当分を電気料金からさらに割り引く。
なお、同サービス適用に当たっては、サービス利用料2,700円/月がかかる。なお、この実施時期は令和元年11月1日からとなり、5月15日から申込受付を開始する。
また「買取プラン」は、顧客が太陽光発電でつくり余った電気を1kWh当たり7円で買い取り、従来と同様、毎月顧客の口座に振り込むとしている。この実施時期は令和元年11月1日からとなり、5月15日から申込受付を開始するが、現在、太陽光発電の買取契約を同社と締結している顧客は、申し込みは不要となる。…続きを読む
問い合わせ・申込みは同社ホームページか電話でさらに「蓄電池購入プラン」は、万一の災害…
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2019.04.27
四電も「卒FIT」買取メニュー公表、「仮想蓄電サービス」の詳細も
四国電力は4月22日、固定価格買取制度(FIT)による買取期間が終了した「卒FIT」住宅太陽光の顧客向け新サービスを発表した。
引き続き余剰電力を買い取る「買取プラン」では、新たな買取単価を7円/kWhに設定した。現在、同社と買取契約を締結する顧客は加入の申込みをせずに継続利用できる。
また、同社が顧客から余剰電力を仮想的な蓄電池に「預かる」イメージで、相当分を電気料金から割り引く「ためトクサービス」を開始する。同サービスの利用料は月2700円で、1カ月あたり最大150kWhまで預かる。これを超えた余剰電力は、買取単価8円/kWhとしてさらに電気料金から割り引く。同社の試算では、経済メリットは月3380円になるという。「ためトクサービス」のイメージ
(出所:四国電力)
[画像のクリックで拡大表示]「ためトクサービス」を適用した場合の電気料金(税込・季節別時間帯別電灯の場合)
(出所:四国電力)
[画像のクリックで拡大表示]
このほかにも「蓄電池購入プラン」では、四国電力グループの四国エナジーサービスが蓄電池の購入を提案する。初期投資を軽減するローン販売も用意する。なお、同社ではエコキュートの販売も行っている。
各サービスとも5月15日から申込受付を開始し、買取プランとためトクサービスは11月1日から順次開始する。四国電力エリア内の太陽光発電設備のうち約2万2000件・合計9万kWが2019年11月に卒FITとなる見込み。
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2019.04.26
「捨てられた土地」 照らす太陽光発電
半円状の鋼鉄シェルターに覆われた事故現場のチェルノブイリ原発4号機隣に設置された太陽光パネル=ソーラー・チェルノブイリ社提供
旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故から二十六日で、三十三年を迎える。放射能で汚染された原発から半径三十キロ圏内の立ち入り制限区域では、残った送電網を生かし、自然エネルギー発電計画が進められている。昨年夏からは太陽光発電で、電力供給を開始。誰も住めなくなった土地の再生の象徴にしようと取り組んでいる。
立ち入り制限区域の広さは約二十六万ヘクタール(二千六百平方キロメートル)で、神奈川県の面積にほぼ匹敵する。ウクライナ政府は二〇一六年、そのうち85%を自然保護地区に指定。残る15%にあたる爆発事故が起きた4号機周辺地域を産業活用地区に指定した。
産業の用途が限られる中、浮上したのが、自然エネルギーだった。立ち入り制限区域管理庁のビタリー・ペトルク長官は「送電網があり、太陽光パネルが設置しやすい昔の畑も周辺に残っていることから条件が適していた」と話す。政治的に対立するロシアへのエネルギー依存の解消を図る国の方針とも合致した。
太陽光発電は二十四万世帯分にあたる一・二ギガワットの発電量を目指し、二千五百ヘクタールの土地を充当。賃料を相場より安く設定して事業者を募集し、ウクライナとドイツの合弁会社「ソーラー・チェルノブイリ」が第一号となった。
同社は一七年十二月、4号機の隣に、二百世帯分にあたる発電量一メガワット分の太陽光パネルを設置。昨年七月には国と契約を結び、電力供給を始めた。4号機周辺の放射線量は事故時の一万分の一に下がったが、キエフの基準値の三十倍近い毎時三マイクロシーベルト以上。同社のエフゲニー・ワリャーギン最高経営責任者(CEO)によると、長時間の被ばくを防ぐため、設置作業には通常の用地より三倍の人員をかけたという。
今後二年以内に百メガワットの発電を目指すが、設置や運営コストは高く、計八千万ユーロ(約百億円)を見積もる。ワリャーギン氏は「利益が少なくても、企業の社会的責任として取り組んでいる。この国のビジネスマンの使命だ」と強調。すでに日本からの視察もあるといい、「福島でも同様の事業を行うなら技術協力したい」と呼び掛ける。
制限区域では太陽光発電に加え、近く風力発電の試験事業も開始される。4号機は一六年十一月、耐用百年の鋼鉄製シェルターに覆われ、二三年までに構造物の撤去を終える目標だが、その先の核燃料除去は数百年単位の道のりだ。ペトルク長官は「現状で立ち入り制限が解かれる可能性はないが、自然エネルギー発電で、『捨てられた土地』をもう一度生き返らせたい」と意気込みを示している。
(ウクライナの首都キエフで、栗田晃)
<チェルノブイリ原発事故>1986年4月26日、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号機が原子炉の欠陥と運転員の熟練不足から、試験運転中に爆発。ベラルーシ、ロシア、欧州にも放射性物質による汚染が広がった。消火などに当たった数十人が急性放射線障害で死亡し、原発から半径30キロ圏内の立ち入り制限区域の住民12万5000人ら計33万人が避難を強いられた。この記事を印刷する
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2019.04.25
2018年の世界太陽光市場、32カ国が1GW超に、IEA調査
国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)は4月17日、2018年に少なくとも99.9GW(約100GW)の太陽光発電がグローバル市場で導入され、設備容量の合計が500GWを超えたと発表した(図1)。
図1●太陽光発電の2018年のグローバル容量は100GWと前年並みを確保
(出所:IEA PVPS)
[画像のクリックで拡大表示]図2●IEA PVPSが公開した報告書「Snapshot of Global Photovoltaic Markets 2019」の表紙
(出所:IEA PVPS)
[画像のクリックで拡大表示]
IEA PVPSが刊行した報告書「Snapshot of Global Photovoltaic Markets 2019」によるもの(図2)(関連記事1)。
同報告書では、2018年の太陽光発電の世界市場で特筆すべきトレンドとして、中国市場の縮小を挙げている。中国では2017年に設置された設備容量が53GWだったが、2018年にはこれより8GW(約15%)減の45GWと2ケタ台の大幅な減少を記録した(関連記事2)。
太陽光発電の導入で世界最大の市場である中国の成長が鈍化する一方、その設備容量の落ち込みを補う形で中国以外の国々で太陽光の導入が進んだ。中国以外の世界市場は全体で2017年の48.6GWから2018年には54.9GWまで設備容量が増加した(図3)。図3●2018年における太陽光発電のグローバル市場の概況を示した図
(出所:IEA PVPS)
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インドが10Gを超えて2位に
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2019.04.24
イオン、「PPAモデル」で屋根上メガソーラー導入
「PPAモデル」の概略
(出所:イオン)
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イオンは4月18日、再生可能エネルギーの活用拡大に向けて商業施設へPPA(電力購入契約)モデルを導入すると発表した。第1弾として「イオンタウン湖南」(滋賀県湖南市)の屋根スペースを提供し、PPA事業者が太陽光パネルを設置する契約を3月29日に締結した。
イオンタウン湖南は、グループ企業のイオンタウン(千葉市)が運営するショッピングモールで店舗数は41店舗。今回のPPAモデルでは出力1.1616MWの太陽光パネルを設置し、発電された電力をイオンタウン湖南が自家消費分として購入・活用する。PPA事業者は、三菱UFJリースの100%子会社MULユーティリティーイノベーション(東京都千代田区)となる。
イオンは、2018年3月に「イオン 脱炭素ビジョン2050」を発表し、店舗で排出するCO2など温室効果ガスの総量を2030年までに35%削減(2010年比)、2050年までにゼロにすることを目指している。また、同ビジョン策定に合わせて、事業活動で消費する電力を「100%再生可能エネルギー」で調達することを目標に掲げる国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟した(関連記事:イオン、「RE100」加盟、まず本社ビルは再エネに)。
今回のPPAモデル導入は、これらの目標達成に向けた取り組みの一環となる。今後もグループ各社の商業施設のスペースを有効活用し、太陽光発電の利用を拡大していくという。
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2019.04.19
テラドローン、効率的な太陽光発電案件の受注可能な屋根点検ソリューションを提供開始
大幅なバージョンアップによる提供を開始
テラドローン株式会社は4月15日、昨年9月にリリースした屋根点検ソリューション「Terra Roofer」(テラルーファー)に16機能以上を新たに追加し、大幅なバージョンアップによる提供を開始したと発表した。Terra Rooferは、一戸建・集合住宅など建造物の屋根にドローンを用いて自動で簡単に撮影を行うためのアプリケーションソフトで、タブレット端末やスマートフォンの操作により、コントローラーを用いずにドローンを飛行させ、屋根の写真を撮影することが可能となるもの。
新バージョンには、安全性向上のほか現場の要望を採用したことで大幅に機能を追加したものとなり、身近で安全に屋根点検業務が行えるとともに、これには最大1億円のドローン保険(1事故当たりの対人・対物補償)が付帯するという。
このリリース日は4月8日に実施済みで、iPadとiPhoneでの利用ができるが、Android版は現在開発中とのこと。
アップデートの内容としては、「太陽光発電業者向け造成地測量機能」があり、測量士が現場に行かなくてもドローンで撮影して面積の測定計測ができるもの。これにより、撮影当日に面積を算出でき、1日に複数現場の撮影を行うことで効率的に太陽光発電案件を受注できるとしている。
「衝突防止機能」など多数の機能を追加
また、現在DJI社から発売中の「Mavic2 Enterprise Dual」に対応済みで、これにより太陽光パネルの点検にも利用できる。さらに、ドローン操縦中に、障害物が前方にある場合に検知して停止する「衝突防止機能」を搭載し、初心者でも認識できる仕組みを実装した。
このほか、家全体を1枚の写真に収める「全体撮影機能」、Mavicシリーズでの「ズーム機能」、狭小地にてGPS利用し上昇する際の不安定さを解消する「安定化上昇機能」などを搭載している。
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2019.04.18
「2040年も8割弱は化石燃料」「再生エネの限界」大前提のエネルギー政策を!
「エネルギーの部屋」運営者の岩瀬昇さんの著書『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)が、目下エネルギー業界で話題になっている。
同書では、三井物産、三井石油開発などで長年、石油取引の最前線を体験してこられた斯界の第一人者である岩瀬さんが、国家戦略と不可分の関係にあり、特に外交の一助となるべき「地政学」をエネルギーという観点で取り上げ、国際関係のこれまでと今について、実体験を交えて平易に解説している。
著者の岩瀬さんご自身に、読みどころを聞いた。
2大国の「石油の世紀」
――日本人は石油といえば、すぐに中東を思い浮かべる。だが実は長年にわたって、世界の石油はアメリカとロシア(ソ連)が両巨頭だったということを再認識しました。
その通りで、アメリカの今日があるのは石油のおかげなのです。19世紀半ばに機械掘りの商業生産がはじまり、次々と油田が発見されて、世界で最初にして最大の産油国になった。世界に占めるアメリカの比率が50%を切ったのは、1953年のこと。1930年ぐらいまではそれこそ8割ほどを占めていた。だから、アメリカ国内での石油価格が最も大事だった。
石油は光源(ランプ)燃料としての灯油から始まり、自動車用ガソリンとして重要性を増していきます。ところが、1930年に東テキサスで未曾有の大油田が発見されると価格は暴落。倒産が続出するなど、社会は大混乱に陥りました。
そして、無政府状態になることを懸念したテキサス州政府が州兵、警察を動員し、実力で生産を停止させた。さらに、本来は鉄道管理を業務とする「テキサス鉄道委員会」に法的権限を与え、生産制限を強制的に実行させて、結果、この「テキサス鉄道委員会」が価格をコントロールするようになった。こうしてアメリカ国内の石油価格は、実質的に「テキサス鉄道委員会」が決めることになったのです。
さらに海外の価格は、メキシコ湾岸の港からそれぞれの市場までの運賃を上乗せして決めていました。「ガルフ・プラス方式」と呼ばれていたものです。つまり、アメリカ国内の石油価格が世界の石油価格を決めていたのです。
その後は、国際石油資本、いわゆるセブン・シスターズと呼ばれる7社が国際原油市場を牛耳り、それが1970年代初めまで続くわけです。そのうちの5社がアメリカ資本でしたから、やはりアメリカが国際価格をコントロールしていたことは間違いがない。まさに、「石油はアメリカ」だったのです。
今でもシェール革命に見られるように、エネルギー業界では技術革新の先頭を走っています。
一方のロシアも、19世紀から石油開発が始まり、19世紀末から20世紀初めにかけての数年間だけですが、世界一の石油生産国だった時代もあるほどです。その後のボルシェビキ革命でソ連という国家が誕生しますが、この体制も石油が支えてきた。なぜソ連が崩壊したのか、その理由は様々に語られますが、遠因の1つとされているのが、石油価格の暴落です。
1986年、石油価格が30ドルから10ドルに暴落するという、いわゆる「逆オイルショック」が起きました。これは、1979年にアフガニスタンに侵攻して軍事負担が国家財政を圧迫していたソ連にとって、非常に大きな痛手になりました。国家財政が逼迫したソ連は、この「逆オイルショック」もあって、やがて崩壊の道をたどることになったのです。
石油を武器に衛星国を支配していたソ連が崩壊し、ロシアが誕生した後、一時は自由化してオリガルヒ(新興財閥)の勃興をもたらしますが、ウラジーミル・プーチン大統領は再び石油を国家の支配下に置き、政治の道具として用いています。生産量もソ連時代を凌駕し、今ではアメリカ、サウジとならぶ水準にまで押し上げることに成功しました。
このように、20世紀をリードした2つの大国は、軍事やイデオロギーだけでなく、エネルギーという点でも20世紀の世界をリードしたのです。
急速に発言権を増した中東
――では、石油市場で「中東」が勃興してきた経緯は?
本にも書きましたが、20世紀に入ってイランやイラク、バーレーンやサウジアラビア(以下サウジ)など中東では、大油田の発見が相次ぎました。
サウジは、サウド家が建てた国ですが、建国当初の国家財政は、イスラム教の聖地メッカ、メディナへの巡礼者が落とすお金、つまり観光収入に頼りきっていました。ところが1929年の大恐慌でその収入が激減し、サウジは石油利権を外資に売り渡します。以後、国際石油資本(メジャー)に主導権を握られました。
イランでも状況は同様で、石油利権は長らくメジャーが握っていました。1951年に国有化を試みましたが、メジャーにつぶされました。出光興産による「日章丸事件」(国際的経済制裁下にあったイランからタンカーで石油を極秘裏に輸入した。英国との訴訟にもなったが最終的に出光が勝訴。これが石油の自由貿易の契機になったとも言われる)はこの時ですね。
このように、ながらくアメリカが石油を支配していたのですが、第2次世界大戦後、世界全体の需要が急増する中、アメリカの産出量が相対的に減り、かつ石油輸入国に転じる一方で、中東は急速に生産量を伸ばしました。
そして供給余力がなくなっていた1973年のオイルショックが大きな転機となり、中東の産油国が大きな発言権を持つようになりました。それまで、メジャーが供給する安価で豊富な石油を使い、戦後の驚異的な経済復興をなしとげていた日本は、初めて石油の重要性を認識したのです。日本人にとって「石油=中東」というイメージは、このころに定着したと考えられます。
ここ数年、アメリカとロシア、それとサウジの3カ国がそれぞれ1000万BD(バレル/日量)ほどを生産しており、3カ国で世界全体の3割以上となっています。つまり、石油を中心とするエネルギーの世界は、米露の2大国に中東という「三国鼎立」のような状況にあると言っていいでしょう。
再生可能エネルギーだけでは成り立たない
――そうした状況下で、日本は何をどう考えるべきなのか。
資源エネルギー庁の資料によれば、日本のエネルギー自給率は、わずか7%。93%は海外からの輸入に依存しています。しかも、輸入している化石燃料の産出場所は地理的に限られ、偏っている。特に石油は政治的に不安定な地域が多く、「地政学リスク」に大きく左右されるものです。ところが日本人はそのことをきちんと理解していない。たとえば「石油=中東」というイメージだけで、エネルギーが問題なら中東のリスクヘッジを考えればいい、と単純に考えているふしがある。それだけでは不十分なのだ、というのが、この本で言いたかったことの1つです。
日本のエネルギー問題というのは、今日や明日といった近視眼的な、もしくは政局的な課題ではありません。国家百年の計に立って、日本は如何にあるべきか、望ましい日本を支えるために必要なエネルギー供給は如何にあるべきかということをもとに、政策を打ち出していかなければならないはずです。
その一番のキーポイントとなるのがエネルギー基本政策です。それは、資源エネルギー庁がほぼ3年ごとに発表する「エネルギー基本計画」に明示されることになっています。
ところが、2018年7月に発表された最新版、第5次「エネルギー基本計画」でうたわれているのは、電源燃料の「エネルギーミックス」、つまり電気を生み出すためのエネルギーをどうミックスするか、ということだけなんですね。
もちろん、これも大事ですが、もっと大事なのは、日本が必要とする1次エネルギー全体の「エネルギーミックス」をどう位置付け、必要な対応をどう取っていくか、ということです。残念ながら、これまでもそうですが、第5次「エネルギー基本計画」でもこの点が不十分です。
また、電源燃料の「エネルギーミックス」について、誰も指摘していないことがある。いま重視されている再生可能エネルギーですが、これはすべて「地産地消」のものだ、という点です。
太陽光発電といっても、太陽という資源をわれわれ人間があやつることはできない。サハラ砂漠を照りつける太陽を日本に持ってくることはできない。バルト海を吹き荒れる強風を持ってくることもできない。つまり、われわれが生活している場所を支えている自然条件の下で発電して、使用する、あるいは作った電気を蓄電池にためる、ということしかできないわけです。その蓄電池の技術開発もそんなには進んでいないから、大容量の電気を遠くまで、海を越えて運ぶことは容易にはできません。結局、再生可能エネルギーというのは、トレーダブル(交易可能)ではないのです。
われわれは風光明媚で、四季があり、豊かな自然に恵まれた日本という風土で生きていくしかありません。太陽光では、灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠の中東には勝てない。風力では強風が吹き荒れる北海に勝てない。地熱があるじゃないか、といっても、温泉や国立公園という問題を抱えています。また、仮に地熱を100%使えたとしても、電力供給の数%を補えるに過ぎないわけです。
もちろん、再生可能エネルギーは進めなければなりません。でも、結局はその程度のものだという認識が必要なんです。
だからこそ、日本の場合、地産地消のエネルギーだけでは成り立たない。当然、輸入が必要になる。
その意味でも、国際貿易は必要なのです。世界が全体として豊かになるためには必要なことです。100しか需要がないのに、コストが安くて、しかも1000供給できるなら、差し引き900を輸出したほうがその土地の人のためにもなるわけですから。
そういう意味では、エネルギー自給率が7%の日本にとって、国際貿易が成り立つ仕組み、つまり世界の平和を維持するということが大切なのは間違いがない。
他にも種々方策が考えられますが、現実問題はこうなんだという認識がそのスターティングポイントになるわけです。
大きすぎる石油の恩恵
偏在している化石燃料の産出地の政治状況を考えると、エネルギーの安全保障という観点から、やはり石油というものを重視せざるを得ません。
現代という時代は、生活のあらゆる部分で電気が必要です。インターネットにもスマホにも、エアコンにも必要です。でも電源燃料というものは、日本のエネルギー全体から見れば、インプットベースで3分の1、アウトプットで4分の1でしかない。エネルギーを考える場合、電気以外の、インプットの3分の2、アウトプットの4分の3をどうするのか、という問題があることを忘れてはいけないのです。石油はその部分に大きく関わっている。
石油は、電源をはじめ製造部門の燃料であると同時に、たとえば車を走らせる燃料でもあるわけですね。航空機や船舶の燃料でもある。さらにプラスチックや化学繊維をはじめとする石油化学製品は、食べ物以外の生活のあらゆるところに存在している。おもしろいのは、太陽光発電に使われるパネルですら、石油から生まれたプラスチックを使っているわけですよ。
しかも、食料をつくるための肥料に使われるアンモニアですら、石油化学製品であるということを考えると、われわれの生活は石油化学製品を抜きには成り立たない、ということに気がつかなければならないのです。
先ほどの電源燃料という観点だけでいけば、当然原子力発電というものも視野に入ってくるでしょう。原発について国民の関心が高いので、政治的に重要だということを否定するつもりはありません。でも石油と違って原子力は、プラスチックを生み出さないわけですからね。
もう1つ考えなければならないのは、低炭素化社会への移行、という問題です。
前述した第5次「エネルギー基本計画」は、2050年の低炭素化社会を目指し、その時のエネルギー事情を考えようというテーマも検討している。とてもいいことですが、その前提として、化石燃料の枯渇、という条件を置いている。
しかし、2050年までに化石燃料が枯渇するという予測は、誰もしていないのですよ。たとえば、英国石油大手の「BP」にしても米国大手の「エクソン・モービル」にしても、2040年までの長期予測をしています。彼らは世界全体の人口の動態や各国のGDP(国内総生産)の伸び、生活水準の向上といったいろいろな要素を積み重ねて予測していて、おおざっぱに言うと、2040年には石油、石炭、天然ガスがエネルギー全体のそれぞれ25%ずつで、残りが原子力と水力を含む再生可能エネルギーだという結論を導き出している。石油会社の予測じゃないか、と言う人もいるかもしれないけれど、私は案外正鵠を射た数字ではないかと思っています。
エネルギー全体における原子力と再生可能エネルギーの比率は、今より増えることになる。しかし依然として、2040年段階でも75%が化石燃料だということなのです。にもかかわらず日本では、化石燃料が枯渇することを前提にして、2050年のエネルギー問題を考えようとしている。私はそうした日本の議論のありようが何とももどかしく感じてしまうのです。
「油断国断」
大正時代に志賀重昂(しげたか、1863~1927年)という地理学者がいましたが、彼は、「油断国断」という言葉を国民に知らしめることが大事だと言っています。油を断たれたら、国が断たれる。当時もなかなか受け入れられなかったかもしれないけれど、今は「油」を「エネルギー」と広げて理解する必要があると思うのです。
しかし実際には、政府は国民に対し、エネルギー問題で日本が抱えている脆弱性を知らしめていないのですね。
あるテレビ番組で、久米宏さんと「なぜ日本人のエネルギーリテラシーが低いのか」という話をしたとき、久米さんは、かつて訪問した北朝鮮の平壌で暗闇の中で夕食を採らざるを得なかった経験を踏まえて、「停電がないからですよ」と喝破されていました。
停電がない、ということはいいことです。
つまり、このように、心配するようなことが起こらない限りは、国民は何も知らない方が幸せなわけです。しかし、いざ事が起こったときに大慌てするのではないのか。その時のことを考えたら、大慌てしないためにも、自給率が7%といったような現実を正しく認識しておくことが大事だと思うのです。
その意味で、われわれ日本という国が置かれている地政学的な条件の中で、何がどうなっているのかという事実を認識して、そのうえであるべきエネルギー政策とは何かを、より多くの人に考えてもらいたい。この本はそれに資するつもりで書いたものです。
【編集部からのお知らせ】
岩瀬昇さんが、今日4月16日(火)、20時から放送の『BSフジ LIVE プライムニュース』に出演します。
〈先月26日、アメリカエネルギー情報局(EIA)が公表した「月次エネルギー報告書」によると、2018年のアメリカの原油生産はロシア、サウジアラビアを上回り、世界首位に浮上。エネルギー地政学は歴史的な転換点を迎えたとする見方もある。
原油生産の拡大によって、イラン制裁強化を進め、親イスラエルの動きが目立つトランプ氏の中東外交はどこに向かうのか? 米中貿易摩擦の行方は?エネルギー大国・ロシアとアメリカとの関係は?
日米のエネルギー問題の専門家を迎え、エネルギーを背景にしたアメリカの外交戦略と世界戦略の行方について検証する。〉(番組HPより)
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2019.04.17
太陽光さえあれば充電可能!災害時に絶対役立つソーラーチャージャー!
モバイルバッテリーやスマートフォンを直接つなぐだけ!高効率であっという間に充電!
Webetop 40Wソーラーチャージャーは、災害時に絶対役立つソーラーチャージャー。太陽の光さえあれば、備え付けのUSBポートとDCポートから電力を供給できる。スマートフォンへの充電はもちろんモバイルバッテリー等の蓄電池にも電力をためておくこともできる。
40Wで電力を変換していくので、非常に高効率。まるで普通にコンセントで充電しているかのように、あっという間に充電が完了する。夏場の強い日差しではもちろんのこと、冬の弱い光でもしっかり充電できる。
キャンプや登山など、アウトドアでその性能を発揮する。昼間、リュックサックに外向きに掛けて充電し、夜、LEDランタンやモバイルバッテリーにその電力を使う。今まで困っていた夜の明り取りになどにも十分使える。また、地震等の災害時にも大活躍。あってはならないことだが、もしものために備えておくのは重要。いざという時困らないように、家庭に1つ備えておきたい。日常的に使うものではないのでその大きさや価格からなかなか手が出しにくいものではあるが、1つ持っていれば、万が一の時に助かることは間違いないだろう。
Amazon:
・Webetop 40Wソーラーチャージャー ソーラー充電器 18V折りたたみ式 高変換効率 QC3.0急速充電ポート DC出力 単結晶ソーラーパネル スマホ ノートパソコン充電可能 アウトドア 防災
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2019.04.16
錦糸町駅南口の狭い敷地に、技研製作所の機械式地下駐輪場「エコサイクル」が完成
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みんなのチカラで自転車をこいで「人力発電」を行い、その電力で「通天閣」をライトアップ。そんなユニークなイベント「もっと輝け!なにわのシンボルプロジェクト 通天閣篇」がこのほど開催された。明治時代から親しまれてきた「通天閣」。時代が平成から令和に移ろうとしている中、そんな“なにわのシンボル”に人力発電によって希望と感謝の灯りが灯された。
イベントを企画したのは、エコ&エンターテインメントをテーマにした人力発電集団「チームエジソン」。2011年3月11日の東日本大震災を契機に設立され、これまで東京タワーはじめ、気仙沼大島、茨城・亀城公園、毎年行われている東京・中目黒桜祭りなど全国各地で人力発電でのライトアップにチャレンジしてきた。
大阪での開催は17年にライトアップされた四天王寺・五重塔に続き、今回が第2弾。選ばれたのが「昭和」に再建された2代目の通天閣だ。ペダルを回転させて発電する自転車型の人力発電機を用い、事前に大阪市内数カ所を回って蓄電。当日は途中で雨にも見舞われ参加者数も心配されたが、国籍、老若男女問わず、総勢5000人以上のチカラが「電気」に変わり、大阪の街を「元気」にしていった。
イベントのハイライトは20時からのライトアップカウントダウン。ここで通天閣が一時消灯されると、みんなの気持ちが一つになり、直後になにわの夜空にシンボルが白く映し出された。まさに幻想的なシーン。その瞬間、参加者やそれを見守る人たちから歓声と驚きの声が飛び交ったのはいうまでもない。
「通天閣へ今までありがとう!そして、これからもよろしくね」を合言葉に点灯イベントは大盛況。しかし、まだ続きがあった。
イベント当日は、WWF(世界自然保護資基金)の活動の一環として、現地時間の20時30分を迎えた地域から順次消灯を行い、消灯リレーが地球をぐるりと1周するプロジェクト「EARTH HOUR 2019」も開催され、通天閣も同時刻に消灯し、エコ活動への意識も高めた。
イベント主催でもある「なにわのシンボルプロジェクト実行委員会」の担当者は「正直、点灯するかとても不安でしたが、関西を代表するシンボルの灯りを無事に灯すことができ、また、新しいスタイルのエコ&エンターテインメントを通して、通天閣をたくさんの方に見てもらうことができて最高です」と興奮さめやまぬ熱いメッセージを新世界の夜空に送った。
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