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2018.04.10
電気・ガス料金5月上げ 九電・沖縄電と西部ガス
九州電力と沖縄電力、西部ガスは、原燃料価格を料金に反映する原燃料調整(燃調)制度に基づき、2018年5月の料金を発表した。標準的家庭で九電(月間使用量250キ…
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2018.04.09
国交省、住宅省エネ義務化の議論開始へ、適合率引き上げへ施策策定狙う、これまでの課題抽出踏まえ
- 2017年9月から住宅の省エネ性能の実態について調査し、議論を進めてきた国土交通省の「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」(座長=坂本雄三東京大学名誉教授)は3月27日、とりまとめ案を報告し、了承された。同研究会は、20年までに住宅の省エネ基準の段階的義務化するという2016年の地球温暖化対策計画などでの閣議決定を踏まえ、実態調査を通じて必要な施策を打ち出すために考慮すべき課題の洗い出しを行ってきた。時期は未定だが18年度には、審議会などにおいて議論を開始し、その答申を受けた上で、住宅の省エネ基準の段階的な適合率引き上げに向けた施策を講じたい考えだ。
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2018.04.08
玄海発電再開、佐賀県認めず…安全対策取るまで
玄海原発3号機について、佐賀県は5日、九電に対して、県の専門部会の意見を踏まえた安全対策を取るまで発電再開を認めない意向を伝えた。
県は再稼働の際に意見を聞いた「原子力安全専門部会」に点検方法や、再発防止策について検討してもらい、九電に対策を求めることにしている。
トラブル後、初めて県庁を訪れて陳謝した九電の山元春義取締役に副島良彦副知事が伝えた。副知事は報道陣に「対策が取られるまでは、次のステップ(発電の再開)には進んでほしくない」と述べた。
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2018.04.07
下関でバイオマス専焼発電、「循環流動層ボイラー」で国内最大
住友重機械工業は、山口県下関市のバイオマス発電所向けに、75MW級バイオマス専焼発電設備を納入すると発表した。
下関バイオマスエナジー(山口県下関市)の計画する木質バイオマス発電所に納める。同社には、九州電力グループが出資している。発電所のEPC(設計・調達・施工)サービスを担う西日本プラント工業(福岡市)から受注した。2022年1月に運転を開始する予定。
調印式の様子循環流動層ボイラー(CFBボイラー)や蒸気タービン設備など、再熱方式の高効率バイオマス専焼発電設備一式を提供する。同社のCFBボイラーは国内外で490缶以上の採用実績があり、バイオマス発電の分野で高いをシェアを占めるという。今回、これらの実績が評価され採用につながったとしている。
発電端出力は74.980MWで、CFBボイラーを用いたバイオマス専焼発電設備としては国内最大級となる。年間発電量は約5億kWhを見込み、これは一般家庭約14万世帯分に相当する。主燃料は、木質ペレットやパーム椰子殻(PKS)を主に東南アジアやカナダなどから輸入し、年間約30万t使用する。
下関バイオマスエナジーは、九電みらいエナジー(福岡市)、西日本プラント工業、九電産業(福岡市)の九電グループ企業3社が共同で設立した。今年2月、下関バイオマスエナジーが、下関市と「事業用定期借地権設定契約のための覚書」を締結していた(関連記事)。
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2018.03.31
再稼働の3号機が発送電停止へ、配管の蒸気漏れ
九州電力、放射性物質の漏れもない
九州電力は30日、玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の2次系配管から微量の蒸気漏れがあり、31日に発電と送電を停止すると発表した。九電によると、原子炉の運転に問題はなく、放射性物質の漏れもないという。3号機は23日に7年3カ月ぶりに再稼働したばかりで、発電出力を段階的に上昇させていた。今後の3号機の工程がずれ込むのは必至で、5月中の再稼働を見込む玄海4号機にも影響を与えそうだ。
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2018.03.30
話題の「ゼロエネ住宅」に泊まってみた
太陽光発電の創エネと断熱による省エネで住宅のエネルギー収支を実質ゼロにする「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」。家庭部門の二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指して政府主導で導入が進むなか、記者は環境省の体験宿泊事業を利用し、販売首位の積水ハウスのZEHに泊まってみた。
2月13日午後5時。記者が入室したのは、東京・葛飾の3階建ての集合住宅の1室。賃貸住宅でのZEH化を見据え、積水ハウスが3階部分の2LDKをモデルルームとして整備した。
「窓にはペアガラスを使い、冷気を通しにくくしています」。入室すると宿泊事業の担当者はこう説明した。外気は6度だったが室内は暖房無しで15度だった。
部屋には4.6キロワット分の太陽光発電パネルがひも付く。家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の目盛りを読むと、快晴だったのでこの日は計17~18キロワット時を発電したもよう。これより少ない電気量で過ごせば「実質ゼロ」のエネルギーで生活したことになる。
担当者が退出すると早速、暖房とテレビをつけた。持ち込んだ豚肉をIHヒーターで焼き、電子レンジで冷凍食品も解凍して夕飯を食べた。食後は窓際のソファに座り、テレビを見続けた。外気は3度を切ったが、窓の存在を忘れるほどの断熱性能だった。
午後11時ごろに入浴。一人暮らしの記者は普段はシャワーだが、せっかくなので浴槽を利用する。電気給湯器でお湯をはり、自宅には無い「追いだき」機能も物珍しさから使ってしまった。
入浴後、暖房を入れていなかった寝室に移動した時も冷気を感じない。断熱性が高く、暖かい空気が2LDKに均等に行き渡っているようだ。午前1時前に就寝、室温は19.5度だった。
朝7時に起きると室内の気温計は16度を示している。ベランダに出ると肌を刺すような寒さで、外気は1度だった。
午前9時に退出する前にHEMSで電気の消費量を確認。寝ているはずの夜間に約8キロワット時分も消費していた。ふんだんに使ったお湯を補充するため電気給湯器が夜に稼働していたのだ。
結局、電気の消費量は19キロワット時を超し、1日のエネルギー収支では足が出た。だが、ZEHは年間の収支で実質ゼロと算出するため、春や秋に消費を抑えられることを考えれば許容範囲と言えそうだ。1日の滞在では電気代の優位性は感じなかったが、それ以上に断熱性能が快適だった。
積水ハウスは2月、金沢市で全戸ZEHとなる同社初の賃貸住宅を建てた。家賃は数千円高いものの、断熱性能のほか太陽光での余剰発電分が借り主に還元される仕組みで利点を訴求する。「まずは省エネ賃貸のマーケットを作る」(同社担当者)ことから展開する。
日本のCO2排出の総量のうち家庭部門は16%を占め、国際協定のパリ条約を守るためにもZEH普及は欠かせない。ただ正直なところ、CO2削減目標よりもZEHの快適さや経済合理性が消費者に浸透することで、急速に広まる可能性があるように感じた。
(企業報道部 大平祐嗣)
[日経産業新聞 3月29日付]
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2018.03.29
エネルギー自由化の認知、電気92.3%・ガス77.4%、電通調べ
(株)電通のエネルギー関連のグループ横断組織、チーム「DEMS(ディームス)」は、第6回「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」を行った。調査時期は2017年12月22日~12月27日。対象エリアは9電力会社管内(沖縄電力管内を除く)。対象者は全国20~69歳の男女5,600名。調査方法はインターネット。
それによると、電力自由化について「内容まで知っている」は25.1%(前回24.6%)、「内容はわからないが、自由化されたことは確かに知っている」51.7%(同52.3%)、「見聞きしたことがある」15.4%(同14.7%)を合わせると、全体の92.3%(同91.6%)と電力自由化の存在が広く知れわたり、認知は高止まりの状態であることが分かった。
ガス自由化については、「内容まで知っている」15.2%(前回16.1%)、「内容はわからないが、自由化されたことは確かに知っている」39.7%(同41.7%)、「見聞きしたことがある」22.5%(同22.3%)を合わせると全体の77.4%(同80.1%)が認知されており、ガス自由化の認知については未だ拡大の余地が残っている。
電力自由化で「電気の購入先を変更した人」は11.4%(前回9.8%)、「電気の料金プランを変えた人」は7.9%(同6.9%)と、「変更者」は全体の19.3%となり、前回の16.7%より2.6ポイント増加。管内別では、電気の購入先変更は東京電力管内19.0%、関西電力管内17.6%、北海道電力管内15.0%、電気の料金プラン変更は中国電力管内17.2%、中部電力管内15.0%、四国電力管内12.4%の順。
ガス自由化で「ガスの購入先を変更した人」は7.8%と、前回より3.1ポイント増加。「比較検討したが変更していない」は23.0%と、前回より1.7ポイント増加。
購入先を変更しておらず、かつ変更の意向がない人の理由は、「変更の手続きが面倒 大変そう」(電力27.6%、ガス23.0%)のほか、今まで通り慣れている会社の方がよい」(電力27.1%、ガス25.0%)、「現在と比べて安くならない」(電力24.9%、ガス22.1%)、「メリットがよくわからない」(電力24.8%、ガス22.1%)、「変更することに不安」(電力23.1%、ガス21.2%)、「変更することで損をしたくない」(電力22.9%、ガス21.5%)などが挙がっている。
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2018.03.28
原発新増設は明示せず 経産省エネ調査会方向性案
経済産業省は26日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)基本政策分科会を開き、平成42年度に想定する電源構成の実現へ向けた対応の方向性案を示した。温暖化対策などの観点から火力発電の高効率化や、太陽光など再生可能エネルギー普及への環境を整備。原子力発電は「重要電源」として再稼働を進める方針だが、焦点の新増設は明示しなかった。
経産省は2050(平成62)年に向けた対応を議論する別の有識者会議の意見も盛り込み、今夏にまとめるエネルギー基本計画の改定案に反映する。
方向性案は原子力や再エネなど4分野の対策を整理した。原子力は平成42年度に全電源に占める割合「20~22%程度」を実現するよう、安全性を向上しつつ再稼働を進める。再稼働は現状7基だが、30基程度が必要になる見込みだ。
一方、再エネは国際的に割高な発電費用の低減や、送電線への接続を制限するルールの見直しを図る。東日本大震災前に約10%だった比率を「22~24%程度」まで拡大し、「主力電源」と位置付ける。また、燃料電池車(FCV)などで活用が期待される水素は再エネと並ぶ新エネルギーとして明記する見通しだ。
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2018.03.27
15時間の対決!省エネ住宅と築20年住宅はどっちが快適?
2月5日、今日も寒い。筆者こと、ライターのワタナベは、省エネ住宅の快適性をチェックするため、環境省が実施した「COOL CHOICE ZEH体験宿泊事業」に協力しているモデルハウスに1泊することになった。
泊まるのは相羽建設(東京都東村山市)のモデルハウス「つむじ」だ。2015年に建築家の伊礼智氏が設計し、相羽建設が施工した。ZEH基準を満たす断熱性能を持つ建物だ。
前回は宿泊前に、同モデルハウスの性能などについて話を聞いた(「からくり仕掛けの断熱窓で快適性を生む工夫」を参照)。そして再び、モデルハウスのある東京都東村山市にやって来たというわけだ。
「ZEH」とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、省エネ住宅の一種だ。建物の断熱化や設備の省エネ化で消費するエネルギーを抑えるだけでなく、太陽光発電システムでエネルギーをつくり出す、いわゆる創エネを組み合わせることで、消費エネルギーを年間で差引き正味ゼロにする。
この省エネ住宅で私に課せられたミッションは、(1)室温・外気温を記録する、(2)決められたスケジュールに従い食事や入浴をする、(3)快適性を確認する、という3点。省エネ住宅と築20年の木造住宅を比較するために、この日は、日経 xTECHのYデスクも自宅(築20年の木造住宅)に待機し、こちらと同じように室温を記録することになっている。もちろん、Yデスクも同じタイミングで夕食や入浴をする。
4カ所の温度を測定
温度測定の機器を設置する場所は、リビングと寝室、洗面所、玄関の外の4カ所。省エネ住宅と築20年住宅とも同じ場所に置いて比較することにした。
外気温とリビングの室温については、自動的に温度の変化を記録する機器(データロガー)を用いた。洗面所と寝室には温度・湿度計を置いた。この2カ所については自動的に記録する機能がないので、人力で30分ごとに数値をメモして記録することにした。
Yデスク:すみません、予算の都合で…。文明の利器は2個ずつしか用意できなかったんです。
ワタナベ:そ、そうですか。じゃあ、洗面室と2階の寝室は、手動で計測ガンバリマス!
数日前のそんなやりとりを思い返しながら、午後5時に「つむじ」に到着。日が落ちかけると同時に、すでに冷え込みが襲ってきている。この日は氷点下まで気温が下がる予報だ。
玄関ドアを開けた瞬間、明らかに室内が暖かいことに驚く。前回、下見に訪れたときも「内外で全然温度が違うな」とは思ったが…。あのときと違って、すでに夕闇に包まれて冷え込んできている。しかも、モデルハウスの鍵を渡してくれた、相羽建設のスタッフも既に帰宅した。冬、誰もいない家に帰ってくると、寒々しい空気を感じるものなのに、それがまったくないのだ。
「つむじ」はOMソーラーを搭載している。OMソーラーは、日中、屋根で太陽熱を集熱し、床下にその空気を送り込んで蓄熱する仕組みだ。夕方になっても、日中の熱がしっかりと残っているということなのだろう。「熱が逃げない」というのはこういうことか。
いつまでも玄関で驚いているわけにもいかないので、さっそく室内に入る。温湿度計を設置して、ひと息つくととっぷりと日が暮れた。
外気は3℃でも室内は16℃をキープ
さて、午後6時に1回目の記録。洗面所の室温は15.9℃で湿度が33%。2階の寝室は15.7℃で湿度37%だった。1階と2階とで室温に大きな差がない。筆者の自宅だと、晴れた日は日当たりのいい2階に暖気が集まって、1階のほうが寒いのに。
データロガーを確認すると、外気温は3.2℃で湿度47%。リビングは室温16.6℃で湿度28%だった。まだ暖房を入れていないのに、室内外でこんなに温度差があるとは驚きだ。
温度の記録も終わり、ふと気がついた。16℃なのに「寒くない」のだ。自宅に居る場合、16℃だと確実に暖房のスイッチを入れている。しかし、「つむじ」だと同じ16℃にもかかわらず暖房が無くても気にせず過ごせるのだ。「つむじ」の鍵を受けとる際に、「実は2階のエアコンが壊れていて使えません」と聞いて「ええっ、マジかよ」と思っていたのだが、これならなんとか乗り切れそうだ。
しばらくは30分ごとにせっせと室温と湿度の記録に励む。1階の洗面所と2階の寝室である和室を往復するのは、思ったより面倒で落ち着かないことも分かった。
Yデスクが用意した予定表にしたがって、午後7時に食事、午後9時に入浴を済ませる。キッチンを使ったり、風呂を沸かしたりしたせいだろうか、午後9時にはリビングと洗面所の温度が16.4℃に上がった。外気は2.4℃まで下がっており、暖房は一切使用していないのだが…。
築20年住宅に比べて優越感
ちょっとここで築20年の木造住宅に住むYデスクに電話してみる。
ワタナベ:お疲れ様です! 省エネ住宅、すごいですね。こちらは暖房入れずに過ごせてますよ!
Yデスク:こっちは午後5時半にはリビングの温度が14℃だったので、なんだか寒くて…。我慢できず、ガスファンヒーターを付けましたよ。今、リビングは22℃あります。でも洗面所は11℃と寒い状態です。午後9時に入浴したけれど、湯冷めしそうなので急いでフリースを着込みリビングに逃げ込みました。
ワタナベ:あ、そこはこちらと全然違いますね!
確かに、送ってもらったYデスクの自撮り画像はなんだか寒そうだ。こちらは洗面所もリビングとほぼ同じ室温なので、それほどの肌寒さは感じない。湯上がりもぽかぽかしているので、Yデスクとは逆にフリースを脱いだ状態で過ごしていた。
この解放感はちょっといい。室内に温度差が少ないというのは、こういうメリットもあるのか。
Yデスクに対して思いがけずに優越感を覚えたところで、持ち込んだノートパソコンでここまでのメモをまとめる。1時間ほどしてフリースを着たが、室内に冷え込む感覚はまったくない。
結局、この日は一度も暖房をつけずにすんだ。一晩寝てみて、どこまでこの室温が下がるのだろうか。温度計を見るのが楽しみだ。あ、午後10時台の計測と記録を忘れた…。室内が快適なせいだ、ということでYデスクに言い訳しよう…。
次回は、冷え込みが激しくなる朝の様子を紹介する。かなりの差が出たので、筆者とYデスクは正直驚いてしまった。
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2017.12.25
原発解体 もんじゅ廃炉決定 税金1兆円投入、稼働250日
◆核燃サイクル 失敗認めず維持
政府は二十一日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を廃炉にし、より実用炉に近い「高速実証炉」の開発に着手する方針を決めた。発電に使った以上の核燃料を生み出す「夢の原子炉」と言われたもんじゅは国民の税金を一兆円も投じながら、稼働日数二百五十日で退場する。しかし政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」事業は続ける方針だ。 (吉田通夫)
政府はもんじゅを核燃サイクルの中核に位置付けてきた。一九九四年に稼働させたが、爆発しやすいナトリウム漏れ事故が発生。その後もトラブル続きで、ほとんど稼働しなかった。
二〇一二年には機器の大量の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は昨年、運営主体を文部科学省所管の「日本原子力研究開発機構(原子力機構)」から代えるよう求めたが、見つからなかった。また、再稼働には八年間で五千四百億円以上かかるとの見通しから廃炉を決定した。松野博一文部科学相は「一定の成果はあった」と失敗を認めなかったが、「フル出力での運転はできなかった」として議員歳費とは別に受け取る五カ月分の大臣給与と、賞与の計六十六万円を自主返納する考えを示した。原子力機構の児玉敏雄理事長も給与の10%の六カ月分の約六十六万円を返上する。
政府は一方で使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物(核のごみ)」を減らすためにも、「高速炉開発を推進することが重要だ」(菅義偉官房長官)と強調。仏政府が計画する高速炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を拠出するなどして続け、原型炉の次の段階の「実証炉」の建設を目指す。開発の工程表を一八年中に作る。
政府は廃炉には三十年で少なくとも三千七百五十億円かかると試算。二二年までに使用済み核燃料を取り出し、解体作業に入る工程を示した。だが、福井県の西川一誠知事は原子力機構が廃炉作業を担うことに「極めて不安」と反発している。政府は福井県と継続的に協議する場をつくり、説得を続ける。
写真
<もんじゅ> プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉。実用化までの4段階のうち2段階目の原型炉で出力は28万キロワット。政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」の中核の一つに位置付けていた。
<核燃料サイクル> 原発で燃やした使用済み燃料から再処理工場でプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX(モックス)燃料に加工し、通常の原発や高速炉で使う構想。青森県六ケ所村に巨費を投じ、再処理工場とMOX燃料工場が建設されているが、いずれも未完成。高速炉開発も、原型炉の「もんじゅ」の段階でつまずき、ウラン資源のリサイクルは行き詰まっている。本紙の調べで、核燃料サイクルには、少なくとも計12兆円が費やされてきたことが判明している。
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