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2026.01.19
霧島酒造の挑戦 ― 焼酎副産物から生まれたサツマイモ発電と地域共生
地域に根差した企業がいかにして社会課題を解決し、新たな市場を切り拓くかをテーマにした講演イベント「宣伝会議サミット/環境ビジネス・カンファレンス in Fukuoka」が2025年12月12日、福岡で開かれた。 霧島酒造(宮崎県都城市)の奥村隆享氏が登壇し、焼酎製造の副産物をエネルギーに変える「サツマイモ発電」を通じた地域循環型モデルの構築について紹介した。
焼酎造りの副産物と「地域資源」への転換
霧島酒造は1916年創業、売上高525億円(2024年度)、「品質をときめきに」をスローガンに掲げ、主力商品「黒霧島」をはじめとする本格焼酎を製造している。登壇したグリーンエネルギー部 部長の奥村隆享氏は、経営戦略やマーケティングの専門家ではなく、現場一筋で歩んできた人物だ。
同社の焼酎造りのこだわりは「100%」にある。麹米には国産米を100%、サツマイモは九州産を100%、仕込み水には都城盆地の地下水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」を100%使用し、焼酎はすべて地元の自社工場で製造している。
しかし、年間約10万トン、1日あたり約400トンものサツマイモを使用する大規模な製造工程からは、毎日大量の「焼酎粕(850トン/日)」が発生し、サツマイモの収穫期には「芋くず(15トン/日)」も発生する。
かつて2000年ごろまでは、これらの焼酎粕は畑への肥料として農地還元していたが、生産量の増加や法規制の強化により、その処理が大きな経営課題となった。奥村氏は、これらを単なる「厄介者(廃棄物)」として処理するのではなく、天の恵みであるサツマイモから生まれた「宝物(地域資源)」と捉え直し、有効活用する道を探り続けたと語る。
失敗を乗り越えて実現した「サツマイモ発電」
同社が構築したのは、焼酎粕や芋くずをメタン発酵させてバイオガスを取り出し、工場のボイラー燃料や発電に利用するシステムである。この道のりは平坦ではなかった。
2002年、地元企業と組合を設立してリサイクルプラントを建設したが、技術的な問題からトラブルが頻発し、焼酎の製造自体をストップせざるを得ない事態にも直面したという。この苦い経験を糧に、2006年に鹿島建設との共同研究の末、新たなリサイクルプラントを建設。ここでの運用が順調に進み、2012年には生成されたバイオガスを焼酎製造のボイラー燃料として利用することに成功した。さらに、固定価格買取制度(FIT)の導入を機に、使いきれない余剰ガスを活用した売電事業「サツマイモ発電」を2014年に開始した。
このシステムにより生成されるバイオガスは、一般家庭約2万2000世帯分に相当するエネルギー量を生み出す。そのうち、発電される電気量は約2400世帯分に達する。現在では、焼酎製造工程で使用する燃料の約30%をこのバイオガスで賄っており、都市ガス換算で年間2億円以上のコスト削減効果を生んでいる。
また、メタン発酵後の残渣(発酵液)は脱水・分離され、固形分は堆肥として畑に還元、液体分は浄化して放流するという完全なリサイクルループを実現している。
これらの取り組みは、「KIRISHIMA SATSUMAIMO CYCLE」という全体構想のもと、サツマイモが持つエネルギーを地域全体で循環させるモデルへと昇華している。
脱炭素社会への貢献と「地域共生」の新たなフェーズ
霧島酒造は「霧島環境アクション2030」を策定し、2030年度までに工場・事務所からのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。2024年度時点で2013年度比37%の削減を達成しており、残りの削減分については更なる省エネ施策をはじめ再生可能エネルギーの導入やJ-クレジットの活用などで実現を目指す。
さらに、この「サツマイモ発電」の電力は、地域防災や新たな顧客接点づくりにも活用されている。社用車として導入された電気自動車「e-imo(イーモ)」は、災害時に避難所へ電力を供給する協定を都城市と締結している。 また、2026年1月には、スターバックスとコラボレーションした施設「KIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)」をオープン予定だ。この施設の電力もサツマイモ発電で賄う計画であり、環境に配慮した憩いの場を地域に提供する。
奥村氏は、自然の恵みを享受する企業として、地域社会と共生しながら持続可能な焼酎造りを続けることが使命であると強調し、今後は自社だけでなく近隣の焼酎メーカーやレストランからの廃棄物受け入れも拡大し、地域全体を巻き込んだサーキュラーエコノミーを推進していく決意を示した。
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2026.01.18
商船三井と伊藤忠、低炭素輸送の環境属性証明書を相互取引 空海連携し日本初
商船三井(東京都港区)と伊藤忠商事(同)は1月9日、代替燃料を使用した低炭素な輸送サービスの環境属性をデジタル証書として取引可能な形とした「環境属性証明書」の普及に向けて協働を開始すると発表した。海運・空運の業界の枠を超えた日本初の協業モデルとして、マーケティング・広報・営業などの分野で連携し、輸送サービスを利用する企業のスコープ3削減を支援する仕組みの構築を目指す。
環境属性証明書の相互売買を実施
「環境属性証明書」とは、企業がサプライチェーン上の活動で発生する間接的な温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ3)について、その削減効果を「証書」として発行・活用できる仕組みをいう。
今回、商船三井と伊藤忠商事は「環境属性証明書」の活用に関する戦略的提携の覚書を締結。この取り組みの一環で、両社はユーザー企業として、それぞれのスコープ3削減を目的に、環境属性証明書の相互売買を実施した。
具体的には、商船三井は、従業員の航空機出張に伴うGHG排出(スコープ3・カテゴリー6)を削減するため、伊藤忠商事が創出した「空(航空旅客輸送・貨物輸送など)」の環境属性証明書を購入した。伊藤忠商事は、海上輸送サービス利用に伴うGHG排出(スコープ3・カテゴリー4)を削減するため、商船三井が創出した「海(海上貨物輸送など)」の環境属性証明書を購入した。
この取引は、オランダの123Carbon社が提供する輸送・物流分野の脱炭素化を加速するためのプラットフォームを活用して実施した。このプラットフォームでは厳格な監査体制のもと、輸送に関連するスコープ3排出量の削減に利用できる環境属性証明書の発行・移転・保管・償却までを一元管理している。取引のトレーサビリティと信頼性を担保しつつ、グローバル基準に則った高い透明性を実現している。
輸送におけるスコープ3を削減へ仕組み構築
国内外の多くの企業にとって大きな割合を占めるスコープ3排出量の削減は、サプライチェーンが複雑であるため、トレーサビリティ確保の難しさなどが障壁となっている。
商船三井は船舶用低炭素燃料の使用により、伊藤忠商事はSAF(持続可能な航空燃料)の利用により、双方の強みを生かした海・空の物流領域での協業を通じて、輸送サービスを利用する企業のスコープ3削減を支援する仕組みを構築し、輸送サプライチェーン全体での連携による脱炭素の実現に取り組んでいく。
輸送サプライチェーン全体で連携、ネットゼロ実現へ
商船三井グループは、「環境ビジョン2.2」において、ネットゼロ実現のためのアクションの一つとして「ネットゼロを可能にするビジネスモデル構築」を挙げている。
商船三井は2025年2月に、海上輸送サービスを利用する企業がスコープ3排出量の削減を実現できる、新プログラム「BLUE ACTION NET-ZERO ALLIANCE(ブルー アクション ネットゼロ アライアンス)」を立ち上げた。このプログラムでは、123Carbonと協業し、同社グループが運航する船隊での代替燃料を使用した低炭素航海の実施から、デジタル証書を発行し顧客に割り当てるもの。また、発行済みのデジタル証書について、NIPPON EXPRESSホールディングスなど3社との取引を実行した。
ネットゼロ実現のためには輸送サプライチェーン全体での連携が不可欠であり、伊藤忠商事との戦略的提携は、このプログラムの下で推進する関連ステークホルダーとの共創の具体的事例の一つとなる。
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2026.01.17
東京センチュリーとアイリスオーヤマ、LEDで寄付型Jークレジットを創出へ
東京センチュリー(東京都千代田区)は1月13日 、アイリスオーヤマ(宮城県仙台市)と「社会貢献型省エネプログラム」によるクレジット創出事業を開始することで合意したと発表した。顧客のLED照明導入による削減量をJークレジット化し、売却した利益の一部を寄付する。複数のCO2削減活動を取りまとめ、1つのJークレジット創出プロジェクトとして申請する「プログラム型」の登録形態で運用する。
LED照明導入により削減されたCO2をクレジット化 売却し収益を寄付する
アイリスオーヤマが、複数の事業者の設備にLED照明を導入し、東京センチュリーが代表事業者として、これらのCO2排出量削減活動をとりまとめ事務局へ申請し、創出されたJークレジットを売却する。収益の一部は同社を通じて、顧客が指定する非営利団体へ寄付される。
両者は連携し、顧客となる事業者がJークレジット創出に伴う煩雑な登録・審査手続きなどの業務やコストを負うことなく、環境価値を創出できるようにするとともに、収益の一部を寄付することで顧客の社会貢献活動も支援する。
東京センチュリーは、「社会貢献型省エネプログラム」について、2026年度中のプロジェクト登録を目指し現在手続きを進めている。同プロジェクトでは今後、LED照明に加えて、その他の省エネ・再エネ関連の取り組みについてもJークレジット創出を検討していく。
中小企業や自治体では、J-クレジット制度の煩雑な手続きが障壁
Jークレジット制度とは、省エネ設備の導入などによる温室効果ガス(GHG)の排出削減活動や、植林などによる吸収量の相殺活動を申請することで、国が認証しクレジット化する制度で、環境価値の売買ができる。Jークレジット創出の登録・審査手続きは煩雑さやコスト負担が大きく、中小企業や自治体が活用しにくいという課題がある。
同社とアイリスオーヤマは、こうした課題を踏まえ、小規模でも複数の同種の排出削減活動をとりまとめて1つのプロジェクトとして登録できる「プログラム型」を活用し、創出から販売・寄付までを一括して支援することで、大企業以外の脱炭素化ニーズにも対応していく。
両者は2025年1月に「通常型」プロジェクトとして、介護施設におけるLED照明への更新による省エネJークレジット創出事業を開始した。この取り組みでの実績を踏まえ、今回は「プログラム型」による創出支援で連携する。
今後、地域企業と連携した地産地消型プログラムも視野に入れる東京センチュリー
東京センチュリーは2025年度に、「地域共創営業部」を新設し、地域のパートナー企業との協業により、地域のカーボンニュートラルと地域経済の発展に向けた取り組みを行う。今後はその地域で生まれた環境価値をクレジット化し、地域内の企業や団体へ還元する「地産地消型」プロジェクトの創出も目指す。
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2026.01.16
デジタルグリッドのPPA発電所マッチング利用拡大 登録数200社突破
デジタルグリッド(東京都港区)は1月8日、法人向け再エネマッチングプラットフォーム「RE Bridge(アールイーブリッジ)」の2025年12月末時点での登録数(発電家+需要家)が200社を突破したことを明らかにした。コーポレートPPAを再エネ調達の手段と捉える企業が増えたことが一因だという。
国内で高まるコーポレートPPAの機運
「RE Bridge」は、日本初のバーチャルPPAに特化した再エネ取引のマッチングを行うサービスで、2023年7月に運用が始まった。再エネを供給したい発電家と再エネを調達したい需要家をオークション形式(四半期に1回開催)で結び付け、再エネ導入を促進する。取引の効率化や透明性の向上、契約後の需給管理までをサポートし、追加性のある再エネ調達も可能となる。
需要家の登録数が増えた背景として、同社は、
・2030年度をめどに一定水準の脱炭素化目標を掲げる多くの企業の取り組みが本格化してきた
・2021年ごろから国内でのコーポレートPPAによる再エネや環境価値の調達が、選択肢の1つとして定着しつつあること
という2つの要因を挙げる。
需要家の登録者は、製造業や不動産業、データセンター事業者などの東証プライム上場企業が多く、これまで発電家と接点を持つ機会がなかった利用者からは「多様な発電所があり、選択肢の幅が広がった」「相見積を取る必要がなくなった」「今のPPAの価格相場を認識できた」 などの声が寄せられているという。
直近のマッチングでは容量・件数ともに運用開始以来最多に
2025年の第5回オークション(5月7日〜6月27日)では、マッチングした設備の容量が運用開始以降最多となる約107MWに達した。またマッチング件数も31件と過去最多となり、第4回オークション(容量37MW・計15件)から大幅に増加した。
同社は今後も、同オークションサイトの運営を通じて、再エネ普及促進を図っていく考えだ。
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2026.01.15
イーレックス、東電管内で蓄電所開発 出力2MW・容量8MWh
イーレックス(東京都中央区)は1月9日、アグリゲーション事業の一環として、系統用蓄電所プロジェクト第2号案件への投資を決定したと発表した。東京電力管区に、出力2MW・容量8MWh規模の蓄電所を建設する。2026年度第3四半期の運転開始を目指す。
アグリゲーターとして、蓄電所の保有・運用を実施
イーレックスは、アグリゲーターとして、蓄電所を保有し、運用・制御を手がける。小売電気事業で20年以上培ったトレーディングのノウハウを活かし、卸電力市場・需給調整市場・容量市場での取引を通じて、収益向上を図る。
同プロジェクトの建設工事は、グリーンエナジー&カンパニー(徳島県松茂町)の100%子会社であるグリーンエナジー・プラス(東京都杉並区)が請け負う。
宮崎県で開発中の第1号案件に続く蓄電所プロジェクト第2弾
今回の開発は、2025年9月に発表された宮崎県串間市の系統用蓄電所に続くもので、イーレックスにおける系統用蓄電池プロジェクトのさらなる拡大と実績構築に向けた重要なステップとなると、同社は説明している。
なお、同蓄電所は、東京電力管区の新施設と同規模で、工事も同じくグリーンエナジー・プラスが担当する。運転開始は2026年度第2四半期の予定。
アグリゲーションを事業の柱に、韓サムスンとの協業を開始
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再エネ比率を40~50%程度とする方針が示され、太陽光や風力などの再エネ電源が主力化に応じた安定した電力供給に向け、電力の需給バランス調整がより重要となる。また、現在は大口需要家を中心に、再エネ電源の調達ニーズが高まっている。
イーレックスは2025年6月、新たな事業の柱としてアグリゲーション事業を展開すると発表。国内外の戦略的パートナーと連携し、事業拡大を図っている。同年10月には、韓国の大手商社サムスンと、日本国内の系統用蓄電池システム事業の共同開発に関する覚書を締結。折半出資の合弁会社を通じて、蓄電所開発プロジェクトを進めている。2026年には、20MW以上の大型案件にも取り組む計画だ。
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2026.01.14
地上設置型の事業用太陽光発電、2027年度から支援対象外に 屋根型は継続へ
資源エネルギー庁は1月7日、第110回調達価格等算定委員会を開催し、事業用の地上設置(野立て)型太陽光発電に関して、2027年度以降、固定価格買取制度(FIT)およびフィード・イン・プレミアム(FIP)制度による支援を終了する方向を固めた。屋根設置型の太陽光発電は引き続き、支援対象として残る見通し。
野立て太陽光発電はFIT/FIP支援廃止 技術革新によるコスト低減や地域共生の課題で
事業用の地上設置型の太陽光については、
・FIT制度開始以降、認定量・導入量が大幅に拡大した
・すべての規模において、技術革新などにより着実なコスト低減が実現された
・入札上限価格を下回る落札が継続的に見られている
・PPAによる収益確保などにより、FIT/FIP制度によらない案件の形成が進んでいる
・自然環境・安全・景観などの地域共生上の課題が顕在化している
などの背景を上げ、「2027年度以降、FIT/FIP制度における支援の対象外とする」とする事務局案を公表。委員会はこれを了承した。
2026年度の調達価格・基準価格、地上設置型太陽光発電は修正
2026年度の地上設置型の太陽光調達価格・基準価格は「10kW以上50kW未満」、「50kW以上」の区分について、以下とする案が示された。
50kW以上に関しては、これまで複数年にわたり、実際のコストデータが想定値を上回っていたものの、効率的な事業の実施を促す観点から想定値を据え置いてきた。効率的な事業の実施を促すことは重要であるものの、今後は、コストデータの上昇分を調達価格・基準価格に適切に反映するという方向性が示された。具体的な価格については、今後の委員会で示される予定。
「屋根設置型」太陽光発電はFIT/FIP継続
屋根設置型(10kW以上)の太陽光発電は、2027年度以降もFIT/FIPによる支援が継続される見通しとなった。2026・2027年度の調達価格・基準価格は、昨年に設定した2026年の想定値が据え置きとなる方針だ。
住宅用太陽光発電の「初期投資支援スキーム」は猶予期間を設定
同委員会では、事業用・住宅用(10kW未満)に適用する「初期投資支援スキーム」や、ペロブスカイト太陽電池の新区分についても議論された。
初期投資支援スキームは、想定ほど活用が進んでおらず、住宅用については、「『階段型の価格』を採用してFIT期間後期に低価格での支援を受けるよりも、買取メニューによる売電を行ったほうが、より大きな収益を確保できる」との意見もあり、制度変更を含めた検討が行われてきた。
その後、階段型の価格設定については、FIT制度に依らない事業モデルの構築に一定の時間を要することや、事業者の予見可能性が担保されるよう、2026年度まで一定の猶予期間を設定。2027年度以降については同委員会で議論することとして意見がとりまとめられていた。
一方で、一般社団法人太陽光発電協会からはPPA事業におけるFIT制度を前提としないビジネスモデルの構築に向けた協議が金融機関との間で行われているものの、結論を得るまでに一定の期間を要することや、FIT制度による支援終了後に単年度契約となる点に対する懸念に関する要望が同委員会に届いており、今後はFIT制度を前提としないビジネスモデルの構築や自立化に向けた業界団体による取り組みの継続を前提としつつ、卒FIT後のビジネスモデルが成熟するまでの猶予期間として、さらに2年程度の準備期間を設け、2029年度に支援期間短縮の適用を開始することを基本とすることとした。
ペロブスカイト太陽電池の新区分創設は継続検討に
次世代型太陽電池の早期社会実装に向けては、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出を三位一体で進め、2030年を待たずにGW級の生産体制の構築、2040年には約20GWの導入を目指す。全国各地でのペロブスカイト太陽電池の社会実証や量産化に向けた3000億円規模の設備投資が進められているほか、今年度から予算による需要家向けの補助が開始するなど、社会実装に向けた取組みも進んでいる。
ただし、委員会は、ペロブスカイト太陽電池について「国産エネルギーとして重要であり、早期の社会実装を進めることが必要不可欠である」としつつも、FIT・FIP制度による支援については「国民負担の抑制や、将来的に自立化する見込みがあることを前提とする必要がある」として、引き続き、「発電コストが電気料金水準未満になる時点を目安に、新区分による支援を開始する方向で検討を継続」するとした。
太陽光発電、2025年に大きく話題になった「地域共生上の課題」が支援打ち切りの結果に
FIT制度開始以降、太陽光発電の認定量・導入量は大幅に拡大し、PPAによる導入も増加している。民間調査によれば、国内におけるオフサイトコーポレートPPAの年間締結容量は2021年以降増加傾向にあり、2024年における年間オフサイトコーポレートPPA締結容量のうち約75%が太陽光発電となっている。
しかし、導入拡大に伴い大規模太陽光発電事業(メガソーラー)における地域共生上の課題も顕在化している。政府は昨年12月23日に「大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議」を開催し、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を決定。環境アセスメントの対象の見直しや実行性強化、再エネ地域共生連絡会議の設置などに加え、2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)のFIT・FIP制度からの廃止を含めた検討を方針として示していた。
今回の委員会では、この方針に沿った形で支援打ち切りの最終判断が下されたことになる。
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2026.01.13
エナリス、再エネ併設蓄電池事業への参入や収益最大化を支援 サービス開始
エナリス(東京都千代田区)は4月から、太陽光発電に併設運用する系統用蓄電池事業をワンストップで支援するサービスの提供を開始する。
太陽光発電に併設された蓄電池(特別高圧・高圧)を対象に、蓄電池や太陽光発電設備を制御するシステムの提供から運用業務までを一括し、非FIT、特にFIP再エネ発電事業者の収益向上を図る。契約は拠点単位で、契約容量は原則1MW以上。サービス期間は最大3年間。
エナリスの強みを活かしたサービスの概要
新たに提供するサービス名は「再エネ併設蓄電池 制御支援サービス」。エナリスの強みを活かしたサービスの特徴として以下の3つを挙げる。
(1)VPP×再エネのノウハウを融合した高度な制御技術
エナリスは、VPPおよび再エネ分野で培った独自のノウハウと予測技術をかけ合わせ、複雑化する市場環境下でも蓄電池の価値を最大限に引き出す制御を行う(2)システム提供から電力取引実務までワンストップ
蓄電池制御システム(DERMS)の提供に加え、日々の充放電計画作成、電力の売買、通告業務、さらには環境価値の管理までを一括で提供。専門的な運用体制を自社で構築することなく、スムーズな事業開始を後押しする(3)複数市場へのマルチユース対応で収益を最大化
複数の市場への参入を踏まえたマルチユース対応により、FIT売電以上の収益性向上を目指す事業参入や収益最大化へ知識・ノウハウを提供
サービスの対象は、太陽光発電設備に併設される特別高圧・高圧の蓄電池で、沖縄・離島を除く全国で提供を開始する。
再エネ併設蓄電池は、発電量の不安定性や出力制御による機会損失など、再エネが持つ課題を解消する手段として注目される。
これまで出力制御の対象となっていた時間帯に発電し、電力を系統への直接送電や蓄電池への充電に最大限活用することで、市場価格に応じた最適なタイミングでの取引が可能となる。一方で、FIP電源をはじめとする再エネ併設蓄電池の制御・運用には、日々の発電量予測、市場価格の変動を見越した充放電計画の作成、複雑な入札業務など、高度な運用スキルが欠かせない。
そこで、エナリスは、再エネ併設蓄電池事業に特化したサービスに着手した。同社は、再エネ併設蓄電池の運用支援については、すでに実事業としての提供実績もある。サーラエナジー(愛知県豊橋市)が2025年10月に運用を開始した「サーラ東三河太陽光併設蓄電所」において、エナリスはアグリゲーターとして参画している。
再エネ併設蓄電池は増加傾向、優先給電ルールでの出力制御順の見直しにも影響
太陽光発電などの再エネ設備に蓄電池を併設して運用する事業者は増加傾向にある。西部ガス(福岡県福岡市)のグループ会社であるエネ・シード(同)は2025年10月、太陽光発電所(長崎県長崎市)に蓄電池を導入し運用を開始。同発電所では、東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS/神奈川県川崎市)がアグリゲーターとして電力を運用している。
また今後は、FITからFIPへ移行する太陽光発電設備に蓄電池を併設する事業者が増えるとみられる。FIP電源は早ければ2026年度から、優先給電ルールの変更により出力制御の順番がFIT電源よりも後になる予定。経産省は、一定の電源がFIP電源に移行するまでの間、集中的に、FIP電源に係る蓄電池の活用や発電予測などへの支援を強化し、FIP電源への移行を支援する方針を示している。
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2026.01.12
東京センチュリー、米国太陽光発電事業に参画 九電・三菱重工グループと連携
東京センチュリー(東京都千代田区)とキューデン・インターナショナル(KIC/福岡県福岡市)は1月7日、三菱重工グループで米国再エネ開発業者のOriden LLCと、Oridenが開発する太陽光発電プロジェクトの100%持分取得に関する契約を締結したと発表した。 持分は、東京センチュリー・KICそれぞれ50%。九電グループにとって米国再エネ事業への出資は2例目で、今回の参画により、海外発電事業の持分出力は約279万kWとなる。
フィラデルフィア市の公的機関とPPA締結
同太陽光発電プロジェクトは、米国ペンシルバニア州に、出力約20MWの太陽光発電所を建設する計画。2026年10月の商業運転開始後は、東京センチュリーとKICが運営を行う。
運転開始から20年間に関しては、フィラデルフィア市の公的機関フィラデルフィアエネルギー局との間で、全発電量の売電契約(PPA)を締結済みで、長期にわたる安定的な収益が見込まれるという。また両社は、「米国インフレ抑制法(IRA)」に基づく税額控除制度を活用し、事業収益性を高めていく計画だ。
米国の電力需要、年3.4%平均成長との予測
米国では、AI活用やデータセンター増設などを理由に、電力需要の拡大が続くと予想されている。2040年までの同国電力需要の年平均成長率は3.4%に達するとの予測もある。こうした状況を受け、太陽光発電をはじめとする再エネの活用は、需要増に対応する有力な解決策とみなされている。
東京センチュリー、北米の再エネファンドへの出資などを推進
東京センチュリーは、「中期経営計画2027」における成長戦略の中で、欧州・北米を中心とする海外での太陽光や風力発電事業拡大を掲げる。2025年6月には、北米の再エネファンドへの出資および太陽光発電所開発の権益を取得している。同事業の参画により、米国における再エネ事業のさらなる拡大を図る。
九電・三菱重工両グループと連携で、北米事業の拡大図る
KICは、九州電力(福岡県福岡市)の100%子会社で、海外でのエネルギー事業やコンサル事業を展開する。Oridenは、米国ペンシルバニア州に拠点を置き、米国全土で再エネプロジェクトの開発や建設、資金調達、所有、運営を行っている。
東京センチュリーは、KICおよびOridenを擁する三菱重工グループとのパートナーシップを、北米市場での持続的な成長に欠かせない重要なマイルストーンと位置付け、さまざまな連携の可能性を協議していく予定だ。
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2026.01.11
国内初、節水を軸としたカーボンクレジット方法論開発へ Linkholaら
カーボンインフラメーカーのLinkhola(リンコラ/東京都港区)は1月6日、節水を通じた環境保全に取り組むアースアンドウォーター(同・千代田区)とともに、節水を軸としたカーボンクレジットの方法論開発とクレジット化に向けたプロジェクトを開始したと発表した。同プロジェクトは、日常的な節水というアクションをGHG削減量として定量化し、クレジット化する国内初(Linkhola調べ)の試みとなる。
「節湯」によりスコープ1・2を直接削減
両社は今回、上水供給・下水処理・水の加温を節約する効果を割り出し、カーボンクレジットとして定量評価を行い、クレジット売買できる方法論を開発する。開発にあたっては、ベースとなるアースアンドウォーターの取り組みとCO2削減証書発行を応用することで、スピードアップを図る。
今回のクレジット創出は、単に節水装置を設置するだけでなく、アースアンドウォーターが提供する水消費マネジメントの仕組みを通じて、水使用量の管理と最適化を行うことが前提となっている。
削減量を科学的に定量化し、信頼性の高い算定根拠を確立して、適切なオペレーションを実現するとともに、削減効果の可視化により、利用者の意識を高め、節水アクションの強化につなげていく。
ASEAN諸国などグローバル市場への転用も
同プロジェクトのスキームは、人口爆発と産業、都市の発展が著しく、水需要が増大するASEAN諸国において、極めて有効であると、両社は説明する。
両社は今後、日本発の高度な節水技術と信頼性の高い算定方法論をセット展開することで、世界規模での水資源保全と脱炭素化を推進するとしている。
クレジット創出・GHG算定の専門家と連携し、PJを推進
プロジェクト推進に向けては、カーボンクレジットやGHG削減算定評価に造詣の深いPEARカーボンオフセット・イニシアティブ(東京都中央区)代表で、IGESシニアフェロー、理学博士の松尾 直樹氏と連携する。両社は、同氏が開発した節水および節湯に関するGHG削減効果方法論の準用と実装化する方針で、2026年3月のクレジット発行をめどに、方法論化と第1号案件の申請・審査の手続きを進めていく。
ボランタリークレジットのプラットフォーム「EARTHSTORY」を活用
Linkholaは現在、民間主導のボランタリークレジット制度の制度オーナーとして、申請、審査、発行までをワンストップで提供する「EARTHSTORY」を運営している。今回の取り組みにおいても、同プラットフォームを活用する。
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2026.01.10
すかいらーく、関東・中部エリア94店舗で太陽光由来オフサイトPPA導入
すかいらーくホールディングスは12月26日、太陽光発電を活用したオフサイトPPAサービスを関東エリア36店舗・中部エリア58店舗に導入した。年間約3340MWhの電力が再エネで賄われ、CO2排出量は年間約1258t削減できる見込みだ。
オンサイト/オフサイトPPAを活用し、CO2削減を進めるすかいらーくHD
すかいらーくHDは、2050年までのCO2に向け、CO2削減に向けた取り組みを加速させている。特に近年はオンライン・オフサイトPPAの仕組みを活用した施策に重点を置く。
オフサイトPPAでは、2024年に北陸エリアのガストや東北エリアの店舗に導入したほか、2025年12月12日には、CDエナジーダイレクト(東京都中央区)が提供する太陽光発電を活用したオフサイトPPAサービスを関東エリア34店舗に導入した。
オンサイトPPAでは、2024年1月に、同社グループ初となるPPAモデルを、千葉県酒々井町にある食材加工拠点「酒々井マーチャンダイジングセンター」に導入。2025年12月上旬には、鈴与商事(静岡県静岡市)と連携し、飲食チェーン・バーミヤンの低圧受電店舗3店舗に、鈴与商事が提供するオンサイトPPAサービスによる太陽光発電設備を導入し、運転を開始した。この取り組みで想定される3店舗の自家消費量は年間4万3523kWhで、CO2削減量は年間約1万3000kgになるという。
再エネで賄えない分はオフセットも検討
なお、今回の導入により、同社における太陽光発電設備の導入数は、624店舗となった。すかいらーくグループは引き続き、脱炭素社会の実現に向けて、再エネの積極的な導入を進める方針で、太陽光発電の導入ではカバーしきれないCO2に関しては、炭素クレジットの購入によるオフセットの活用を検討するとしている。
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