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2025.12.03
日立、設備シェアとマイクログリッドを融合した新たな電力活用モデル構築へ
日立製作所(東京都千代田区)は11月27日、日立パワーソリューションズ(同)とともに、茨城県ひたちなか市にある工業エリア内で、設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントのモデル構築に着手したと発表した。今後は、東京電力エナジーパートナー(東電EP/同・中央区)およびそのグループ会社の日本ファシリティ・ソリューション(JFS/同・品川区)と連携し実行する。
再エネ調達の効率化を図るとともに運用最適化、CO2削減につなげる
この取り組みでは、
・受変電システム更新および設備シェアリング型ファシリティマネジメントを用いた設備管理を効率化
・エネルギーマネジメントシステムによるエネルギー運用の全体最適化
・再エネ電力の共同利用によるCO2排出量削減
の3点に注力するという。
10事業者で国際規格に準拠した受変電システムをシェア
ファシリティマネジメントとして、日立パワーソリューションズは、日立産機システム(東京都千代田区)や日立エナジー(同・品川区)とともに、国際規格に準拠した受変電システム(デジタライズドアセット)に更新し、茨城県ひたちなか市にある工業エリア内の10事業者で設備をシェアリングする。また、エネマネシステムと連携することで、再エネ電力・系統電力の最適分配を図る。運用・保守においては、JFSとの協業を通じて、各事業者の設備管理に関する負担を軽減、人財不足の課題にも貢献する。
事業者ニーズに合わせて再エネ電力と系統電力分配
エネルギー運用の全体最適化では、三菱HCキャピタルとの連携に基づき、デジタル技術を活用したエネマネシステムを導入し、エネルギー運用最適化の支援を行う。具体的には、エリア内全体のエネルギーデータを統合し、各事業者のニーズに応じて再エネ電力と系統電力を最適に分配することで、再エネ電力を無駄なく活用するという。今後、データ蓄積とともに分配範囲の拡張を進め、全体最適の観点でのさらなるCO2排出量削減に活用していく。
使用電力量の約60%以上を再エネ電力に置き換え
再エネ電力の共同利用に向けては、東電EPが提供するオフサイトフィジカルコーポレートPPAサービスを活用し、関東エリアに設置する太陽光発電所からの再エネ電力を、日立が一括調達する。この再エネ電力をエリア内日立グループ5事業者が活用し、当該エリアで使用する電力量の約60%以上を再エネ電力に置き換える。この取り組みにより、CO2排出量は年間約1万5000t削減が見込まれる。
2027年2月に運用開始、将来的には自治体向けに取り組み拡大も
日立と日立パワーソリューションズでは、「エネルギー&ファシリティマネジメントサービス(EFaaS)」の下、日立グループ内におけるファシリティとエネルギーの複合型マネジメントの導入を進めている。今回の取り組みは、こうした活動を基に日立グループ外の事業者に初展開するもので、2027年2月の運用開始を目指す。
また、データ活用事例を増やし、同エリア内にて日立ビルシステムが展開を予定している「HMAX for Buildings : BuilMirai(ビルミライ)」とデータ連携し、効率的かつ持続可能なエリアマネジメントへと進化させていくという。さらに、日立市と日立が推進する次世代未来都市の実現に向けた共創プロジェクトをはじめ、自治体でのマイクログリッド構築に向けた取り組みでのサービス展開も検討していく。
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2025.12.02
九州電、「CO2鉱物化」に関する覚書締結 国内実証に向けた協力体制構築
九州電力(福岡県福岡市)は11月27日、ENEOS Xplora(東京都港区)および一般財団法人 カーボンフロンティア機構(JCOAL/同)と、「CO2鉱物化」の社会実装に向けた協力に関する包括的な覚書を締結した。CO2を岩石と水に反応させ、安定した鉱物として地下に固定・貯留する新たな技術の早期実用化を目指す。
「CO2鉱物化」に向けた新たな枠組み
九州電力は、これまでもカーボンニュートラル実現を目的に、それぞれの立場からビジョンやロードマップを策定し、技術開発や知見の蓄積、国内外の関係機関との連携に取り組んできた。今回の覚書締結は、国内におけるCO2鉱物化の実証・事業化に向け、具体的かつ協調的に進めることを目的としており、各社は、活動の経験やノウハウを活かし、社会実装に向けた検討を共同で進めていく。
国内に広く分布する「火成岩」を活用するCCS技術
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが世界的に加速する中、「CO2鉱物化」は、長期的かつ安全にCO2を地中に埋められるとして、新たなCCS技術のひとつとして注目を集めている。
一般的なCCSでは、CO2を圧入する先は「砂岩」が対象となるが、CO2鉱物化は、マグマが冷却、固結してできた岩石である「火成岩」を利用する。火成岩は国内に広く存在するため、CO2圧入の新たな技術が確立されることで、貯留先となる岩石の選択肢が増え、日本国内におけるCO2貯留可能量の増加が期待されると、九州電力は取り組みの意義を強調する。
3者は今後、国内外の知見を融合し、将来的な国内実証試験や事業化に向けた検討を加速・深化させることで、日本だけでなく、世界のカーボンニュートラル実現に貢献していく。
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2025.12.01
パナソニックエナジー、ロボタクシー分野に参入 米アマゾン系にEV電池供給
パナソニック エナジー(大阪府守口市)は11月25日、米Amazon傘下のZoox, Inc.(ズークス)が開発するロボタクシー(自動運転)車両向けに、EV電池を供給すると発表した。提供は複数年の予定で、2026年初頭から、最新の円筒形EV電池セル「2170」の供給を開始する。
完全自動運転の配車サービスを展開するズークスに提供
ズークスは、米国カリフォルニア州に本社を構える企業で、自動運転技術を活用した配車サービスを展開する。ロボタクシー開発では、既存車両の改造でなく、専用に設計された車両を手がけている。
6月には同州ヘイワードにロボタクシーを量産する初の生産施設を設け、同年9月からラスベガスにてロボタクシーによる完全自動運転の配車サービスを開始した。
パナ、今後は米国内でもEVセルを生産
パナソニック エナジーは、2025年9月末時点で、グローバル全体において、EV約400万台分に相当する累計約200億個の車載用円筒形EV電池を供給。これまで同社電池に起因する車両リコールは1件も発生しておらず、高品質で信頼性の高い電池セルとして評価されているという。ズークス向けに供給するセル「2170」に関しても、高いエネルギー密度や安全性、信頼性を兼ね備え、高性能ロボタクシーにとって不可欠な電池になるとしている。
今回供給するセルは、初期は日本で生産し、将来的には同社カンザス工場でも生産される予定。
パナソニック エナジー社長執行役員の只信 一生氏は、「ズークスは非常に独創的な存在であり、このパートナーシップは、次世代のモビリティ革新に貢献する機会として、同社にとって重要な一歩になる」とコメント。また「都市交通の変革に挑むズークスに動力を供給することで、より安全で持続可能かつコネクテッドな未来の実現に貢献していく」と述べた。
米国ロボタクシー市場、2024年に約703億円規模に
インドと米国に拠点を置く市場調査会社Grand View Research(グランドビューリサーチ)の最新市場レポートによると、米国のロボタクシー市場は、2024年に約4億5000万ドル(約703億円)規模に達し、2030年までに年平均成長率70%超まで拡大すると予測されている。
市場規模拡大の背景には、サンフランシスコ・ロサンゼルス・オースティン・マイアミなどの先進的な都市政策推進がある。特にフェニックスやサンフランシスコ、ラスベガスなどの都市圏では、オンデマンド型のロボタクシーの導入が加速している。
世界市場は、2030年までに400~500億ドル(6兆2496億円〜7兆8116億円)を超える見込みで、北米およびアジア太平洋地域が主要市場として台頭すると予想される。
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2025.11.30
ENEOS、千葉県でセルロースを活用した藻場造成を実証 有効性確認
ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE/東京都港区)は11月21日、千葉県内房で、コンブの一種「アラメ」の遊走子を混合したセルロースポリマー溶液を海中に散布する手法による藻場造成を行い、一定の有効性があることを確認したと発表した。同手法は北海道大学が中心となり研究を進めてきたもの。道内では実績があったが、同エリア以外の海域では初の実証となる。
散布地点でアラメの密度、1.78から6.4倍に
この実証は、千葉県内房地域での磯焼け対策への取り組みの一環として、EREが北海道大学と岡部(東京都墨田区)に委託し、2023年から実施している。北海道大学は、北海道海域で同実証の実績があり、建設関連製品事業や海洋事業を手がける岡部は、自社施設において、同手法の先行試験実績を持つ。
千葉県内房地域においては、アラメを対象とし、水深約3mの岩盤に対してセルロースポリマー溶液に遊走子(海中を遊泳する胞子)を混合させ散布を数回実施した。2024年10月に散布を行い、2025年8月に追跡調査を行ったところ、散布地点の1m2当たりのアラメの密度は、無散布地点に比べ1.78~6.4倍と高い数値となった。散布地点では周囲にアラメが確認されていることから、天然由来の加入に加え、この手法による散布の効果があったと、EREは解説する。
セルロースを活用した藻場造成について
この手法は、コンブ類の遊走子をセルロースなどの粘弾性ポリマー溶液と混合させて海中に散布することで、海中において胞子が飛散しにくい状態のまま海底面に運ぶことを可能とする。これにより、特定の狙った範囲において効率的にコンブ類の海藻を着生・増殖させることができるようになる。また、セルロースは天然成分由来の原料であり、環境への負荷も小さく、低コストで特殊技術も必要としない。
ブルーカーボン・クレジットの認証も視野に
EREは洋上風力発電の事業者として海洋環境を改善するためにさまざまな取り組みを検討している。今回の実証を通じて藻場が造成されることで、海洋環境の改善や漁業資源の回復につながるとともに、海中でCO2を吸収するブルーカーボンが創出される。JREは、将来的にはブルーカーボン・クレジットの認証取得も視野に入れ、洋上風力発電事業と地域への貢献、海からの地球温暖化防止に寄与することを目指している。
岡部は2024年に、海藻種苗培養技術を生かし、CO2の効果的な固定方法についての検証試験を開始した。1月にはブルーカーボンを専門事業領域とする新規部署を立ち上げた。同社が従来行ってきた海藻種苗生産、藻場礁の製作・設置にとどまらず、今回の手法に代表されるようなさまざまな手法を検討・模索し、磯焼け対策とブルーカーボンの創出に引き続き貢献する。
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2025.11.29
ウエストHDと東芝ESS、再エネと蓄電池分野で業務提携 協業強化へ
ウエストホールディングス(ウエストHD/広島県広島市)と東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS/神奈川県川崎市)は11月25日、再生可能エネルギーおよび蓄電池分野での協業推進を目的に、業務提携基本契約を締結したと発表した。需要家に対し、再エネと蓄電池を活用した総合的なエネルギーマネジメントを提供する。
提携における両社の役割
今回の業務提携でウエストHDは、再エネ発電所および蓄電所の開発、建設、維持・保有を担う。
一方、東芝ESSは、ウエストHDが開発した発電所・蓄電所の運用において、電⼒の市場価格予測、蓄電池の充放電計画の作成、本蓄電所の制御、市場取引による収益化及びバランシング業務注などのアグリゲーション業務を担う。
これにより、発電事業者や蓄電事業者に対して、開発から電力運用まで一貫したサービス提供が可能になる。特に再エネ関連事業では、FIP転換したFIT発電所や非FIT発電所を主な対象に需要家に対し電力と環境価値を提供する。
また、両社の知見を活かし、GX経営を進める企業や自治体に対して、自家消費型太陽光、蓄電池、バーチャルPPA、余剰売電を含む総合エネルギーサービスの提案も行う考えだ。
脱炭素エネルギーへの転換をめざし、新サービス開発も視野
今回の提携について東芝ESSは、「ウエストホールHDの開発⼒と東芝ESSのアグリゲーション技術を融合させることで、分散型電源を活かした新たなエネルギービジネスを創出する」とコメント。両社は今後、国内の脱炭素エネルギーへの転換をめざし、非FIT発電所や自治体資産を活用したコーポレートPPA、既存発電所への蓄電池併設による新サービス開発など、継続的な共同検討を進める。
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2025.11.28
晴れた昼間は電気料金が安くなる傾向 7割以上が「知らない」 民間調査
Looop(東京都台東区)は11月25日、20~60代の男女を対象に「天気と電気のつながり」に関する調査を実施した結果を発表した。
この調査では、需給バランスを保つために発電量を抑制する「出力制御」と「晴れた昼間は電気が安くなる」傾向について7割以上が「知らない」と回答。一方で、7割以上が「晴れの日に電気代が安くなるサービスを利用したい」と回答した。
正しい理解の促進と情報提供が必要
電気には市場(日本卸電力取引所 スポット市場)が存在し、需給バランスや天候などさまざまな要素によりその価格が変動する。特に近年は太陽光発電の普及により、晴天の昼間には発電量が需要を上回り、発電量を抑制する「出力制御」という社会問題も発生している。
今回、暖房器具の使用が増える冬を目前に控え、電気代意識が高まる中、「天気と電気のつながり」に関する生活者の意識や、「出力制御」・「晴れ割」の認知度を探る調査を実施した。その結果、天気と電気との関係性はまだまだ知られていないことがわかった。「出力制御」や「晴れの日に電気が安くなる傾向がある」という事実は、再エネの有効活用のためにも、正しい理解の促進と情報提供をする必要性があるとレポートしている。
調査結果の概要は以下の通り。
日常的に電気代をチェックする頻度は低い
はじめに、「『天気』をどの程度チェックしているか?」と質問したところ、「ほぼ毎日」と回答した方の割合は67.4%で、「週に数回程度」も含めると9割近くの人が日常的に天気をチェックする習慣があることが伺えた。
続いて「『電気代』をどの程度チェックしているか?」と質問したところ、「チェックしない」と「月に1回程度」を合わせると8割近くの人が電気代をチェックする習慣がなく、天気とは反対に、電気代を頻繁に確認する習慣のある人は少ないことがわかった。
晴れたときに電気代の削減を想起する人はわずか
「天気が『晴れ』だった場合、どのようなことを思うか?」と質問したところ、「洗濯物がよく乾く」(64.2%)、「外出したくなる」(36.5%)、「気持ちが前向きになる」(24.1%)が上位にあがった。一方で、「電気代を削減できそう」と回答した人は4.3%と少なかった。
「晴れた昼間は電気が安くなる」傾向を4人中3人が知らず
「晴れた昼間に太陽光発電由来の電気が余って捨てられてしまうため発電量を抑える『出力制御』という問題を知っているか?」との質問に、65.5%が「知らない」と回答、また、「太陽光発電の普及により、電力の市場において、晴れた昼間の電気が安くなる傾向にあることを知っているか?」との質問に、73.9%が「知らない」と回答した。
「晴れの日に電気代が安くなるサービス」への期待は高い
「晴れの日に電気代が安くなるサービスがあった場合、利用したいと思うか?」と質問したところ、「非常に思う」(21.5%)、「やや思う」(48.8%)を合わせ、約7割が前向きな回答を示した。
Looop、「晴れ割」第2弾の募集開始
今回の調査は、10月31日~11月4日にインターネット調査で実施した。調査人数は1019人、調査回答時に20~60代の男女と回答したモニターを対象とした。
なお、調査を行ったLooopは、電気を使う時間帯を変える「ピークシフト」という新しい電気の使い方を提案している。7月には、天気と連動した電気代割引「晴れ割」を実施。今回、電気の需要が高まる年末年始の時期にあわせて、11月21日より第2弾の募集を開始した。
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2025.11.27
名古屋電機、道路設備にカルコパイライト太陽電池活用 福岡県で実証
名古屋電機工業(愛知県あま市)は12月から、福岡県内で、道路情報板および道路監視カメラにカルコパイライト太陽電池を活用した実証実験を順次開始する。発電性能の評価とともに、将来的な設備のオフグリッド化を念頭に、実用性を検証する。
災害時の自立稼働など設備のオフグリッド化実現へ
同実証では、福岡県大牟田市・京都郡みやこ町・八女市の県内3カ所に設置されている道路情報板・道路監視カメラに、PXP(神奈川県相模原市)製のカルコパイライト太陽電池を設置し、発電量や耐久性、実運用における効果を検証する。
また、同実証は、当該設備の外部電源に依存しない独立電源化(オフグリッド化)を目的としており、単なる発電性能の評価にとどまらず、電源インフラが限定的な場所での使用や、災害など電力供給が断絶された状況を想定し、道路設備が自立的に稼働できるかなども検討する予定。
福岡県補助金事業の一環として実施
同実証は、福岡県「ペロブスカイト太陽電池等実証事業補助金」に採択されており、実証の成果は、2026年3月までに結果をとりまとめ報告を行う。また同社は補助金事業の期間終了後も開発や検証を継続し、実用化を目指す方針。
同補助金事業では、同社のほか、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)の福岡空港国際線ターミナルビル屋根にカルコパイライト太陽電池を設置する実証や、九州旅客鉄道(JR九州/同)の「博多駅ホーム屋根におけるペロブスカイト太陽電池の発電実証実験」がある。
タンデム型太陽電池の実用化も視野に
名古屋電機工業は現在、ペロブスカイトとカルコパイライトを組み合わせた、タンデム型太陽電池の技術検証を進めている。今後は、今回の実証で得た基礎データを、同技術の実用化に活用するとしている。
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2025.11.26
パナソニック、電力市場価格の安価な時間にEV充電 100世帯で実証開始
パナソニック(大阪府門真市)は11月20日、TGオクトパスエナジー(東京都港区)と、東京都の戸建て住宅に住む100世帯を対象に、電力市場価格が安い時間帯へ自動的に電気自動車(EV)の充電時間をシフトする遠隔制御の実証を開始すると発表した。
ユーザーの手を煩わせることなく電気代負担を削減し、電力消費を需要ピークから移す「ピークシフト(上げDR)」の効果を検証する。実証に参加するモニターの募集を始めた。
ピークシフトとユーザー利便性の両立を検証
太陽光発電の比率が高まる昼間や、需要が集中する夕方以降の時間帯など、電力市場価格の上下動が顕著になる中、家庭部門においても、電力使用を電力市場価格の安い時間帯にシフトする「デマンドレスポンス(DR)」が求められている。
そこで、今回の実証では、電力市場価格に応じたEV充電の最適化を通じて、家庭部門におけるピークシフトの可能性とユーザー利便性の両立を検証する。具体的には、パナソニックの戸建てEV所有者向けアプリ「おうちEV充電サービス」を活用し、顧客のライフスタイルを加味した上で、EV充電設備(IoT EVコンセント)を遠隔制御することで、電力市場価格の安い時間に自動でEV充電する。実証期間は2026年3月~5月の3カ月間を予定。
事業としての成立性も検証
今回の取り組みは、家庭・家電・電力をつなぐスマートエネルギー実証として、両社が協力して実施する。検証項目として、次の3つをあげる。
・電力市場価格が安く、かつ利用者の生活/充電ニーズに沿った時間帯での充電自動制御(遠隔制御のもとEV充電に消費された電力量には特別料金単価を適用)
・利用者の便益(電気代削減、利便性)の評価と電力消費のピークシフト効果の定量分析
・事業としての成立性(ユニット粗利、参加率、運用コストなど)の検証
TGオクトパスエナジーは、モニター(実証対象者)への電力供給、充電スケージュルの策定を担う。パナソニックは、遠隔制御プラットフォーム(機器・システム・アプリ)を提供し、沿革制御を実施する。
TGオクトパスエナジーの顧客を対象にモニターを募集
TGオクトパスエナジーは、電力プラン「EVオクトパス」の電気需給契約を結ぶ顧客のうち、東京都内の戸建てに住み、EV・EV充電設備を持つ契約者を対象に、モニターの募集を開始した。募集期間は11月21日〜12月15日(予定)。モニターは上限数に達し次第受付を終了する。モニターの要件として、EVコンセントにIoT制御モジュールを組み合わせた「IoT EVコンセント」の設置など、必要となる準備を2026年2月末までに実施することなどがあげられている。
英国・オクトパスエナジーは、2016年から英国で電力小売事業をスタートし、現在、日本を含む8か国で、1000万以上の世帯に再エネ由来の電力を提供している。日本では、2021年に東京ガス(東京都港区)との合弁会社「TGオクトパスエナジー」を設立し、事業を開始した。
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2025.11.25
ファストリ、2030年までのスコープ3削減目標引き上げ 19年度比30%
ファーストリテイリング(山口県山口市)は11月19日に、サプライチェーン(スコープ3)における2030年度のGHG排出量削減目標を、「従来の2019年土比20%削減」から「同30%削減」に引き上げると発表した。生産パートナーとの協業による効率化などにより、当初目標を前倒しで達成できる見込みとなったためだと説明している。
店舗・主要オフィス由来のGHG排出量、2019年度比8割以上削減
同社では、サプライチェーンにおけるGHG排出量を、同社ブランド「ユニクロ」「ジーユー」商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量と位置付け、削減に向けた取り組みを推進。2024年8月期までに18.6%削減を実現した。
具体的な進捗としては、
・自社領域(店舗・主要オフィス)におけるGHG排出量:「2030年8月期までに90%削減する」という目標に対 し、2024年8月期時点(以下同)で、2019年度比83.3%削減を達成
・再エネの調達比率:「2030年8月期までに100%達成」に対し、84.7%に上昇
・リサイクル素材などGHG排出量が少ない素材の使用割合:「2030年8月期までに全使用素材の約50%」という目標に対し、19.4%を達成
などが確認されている。
こうした各種取り組みの着実な進捗を踏まえ、今回2030年8月期までの削減目標を30%に上方修正した。同社は今後も、石炭使用量削減や再エネへの切り替えのさらなる推進、GHG排出量の少ない素材の使用拡大、工事におけるエネルギー効率改善などを進めていく方針。
同社取締役 グループ上席執行役員 柳井 康治氏は、今回の成果について、「生産パートナーとの緊密な協働により、サプライチェーンのGHG排出量削減が計画を上回るペースで進捗し、目標の引き上げにつながった」と説明。また「これからも、LifeWearを軸に、社会の持続的な発展に貢献できる新たなビジネスモデルを追求していく」と意欲を示す。
なお、新目標は、科学的知見と整合した目標として、Science Based Targetsイニシアティブより認定されている。
トレーサビリティに関する新施策も実施中
GHG削減の新目標は、同社の新ビジョン「LifeWear=新しい産業」に関するメディア・アナリスト説明会にて発表されたもので、併せて、豪州でのトレーサービリティの新プロジェクトやサステナビリティの主要領域における2030年度目標に向けた進捗、生産現場における取引先工場とのパートナーシップの実践についての紹介があった。
豪州のプロジェクトは、同社が進める、最終商品から原材料調達レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、品質や調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を全行程に適用する施策の一環で、ウールを指定農場から調達するという取り組みを2025年に開始した。
同国ではこれまでも、2023年に綿商品を対象に紡績工場を特定し、定期監査を導入。2024年にはカシミヤ100%商品の生産に携わるサプライヤーを特定し、「2024年秋冬商品」から、洗毛工場および紡績工場への定期トレーサビリティ監査を導入している。
同社は今後も、「LifeWear」の考え方の下、持続可能性と事業の成長を両立する新たなビジネスモデルへの転換を進めていく。
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2025.11.24
マクニカ、亜熱帯環境下のタイでペロブスカイト太陽電池実証 JCMの一環
マクニカ(神奈川県横浜市)は11月19日、タイで、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の亜熱帯環境下における世界初の実証事業を開始したと発表した。高温・高湿、大気汚染(PM2.5)など厳しい亜熱帯環境下において、PSCがどの程度性能を維持できるか、耐久性と発電性能を検証する。実証は、タイの再エネ企業SENA Green Energy Company Limitedと共同で行う。
なお、同事業は、環境省の「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業」に採択されており、同制度を活用し、日本からタイへの優れた脱炭素技術の普及を目指す。
運用からメンテナンスまで一貫した実施体制の確立目指す
PSCは、「軽い・薄い・曲がる」といった特性を活かし、これまで太陽光パネルの設置が難しかった建物の壁面などへの設置を可能にする。その一方で、熱や湿気、紫外線などの影響を受けやすく、亜熱帯環境下での性能検証が求められていた。今回の実証が行われるタイはこれまでPSCの導入実績がなく、また現地の電気規格に適合するシステムがないことも検討事項であった。
そこで、同社は今回、高温・湿潤な環境下でのPSC適合性を検証する。さらに、現地における運用からメンテナンスまでの一貫した実施体制を確立し、継続的なCO2排出削減に寄与することを実証することで、タイをはじめとする東南アジアでのPSC普及促進を目指す。
PSC初期評価は実施済み、2025年度は本格的な実証を実施
取り組みは、2024年度からすでに始まっており、現地での電気規格調査や現地規格に適合するシステムの構築および稼働検証が完了。SENA社保有の住宅屋上にPSCを8枚設置し、初期的な評価も実施済みである。
2025年度は、本格的な実証と運用体制の確立を進める。今後は、屋根だけでなく、住宅の壁を含め全方位にPSC約60枚を設置し、亜熱帯仕様(高温多湿かつ多量な紫外線)および大気汚染(PM2.5)された環境での耐久性と発電性能を検証。またPSCをIoT機器と接続し、出力をモニタリングすることで、メンテナンス体制の確立も実証する。
実証において、マクニカは、実証向けPSCの開発・提供や実証環境のシステム構築・技術的指導、性能モニタリング・データ収集・解析を行う。SENA社は、タイ王国内のPSC実証環境の提供とともに、実証環境での設置工事。性能モニタリングを担当する。
実証期間は、2025年10月中旬から2026年2月中旬まで。
環境省JCM資金支援事業、2024年度から3年間の実証
同実証は、環境省の2024年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業」に採択されたことを受け実施するもの。期間は2024年度からの3年間。実施に向けては、PSCの発明者である桐蔭横浜大学の宮坂 力特任教授の指導の下、マクニカは代表事業者として、共同実施者であるSENA社と2社で推進している。
マクニカホールディングス 執行役員兼マクニカ イノベーション戦略事業本部 本部長の佐藤 篤志氏は、「今回の実証事業はその目標に向けた記念すべき第一歩であり、今後はペロブスカイト太陽電池を用いた自家発電・自家消費を広く普及させていきたい」と述べた。
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