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2026.01.23
高市首相、GX・次世代太陽電池・エネルギー安保で「進退かける」解散・総選挙
高市早苗首相は1月19日、衆議院の解散を表明する記者会見を首相官邸で行った。「日本列島を、強く豊かに」のスローガンの下、グリーントランスフォーメーション(GX)の加速や次世代エネルギーの確保などを含む環境関連の重要政策を掲げ、選挙で国民に信を問う姿勢を明確にした。
会見では、エネルギー安定供給の確保を大前提としたGX推進の方針が改めて強調され、特に次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の早期社会実装や、脱炭素電源の拡大に向けた取り組みに触れた。
高市首相は「エネルギー・資源安全保障の強化は重要だ。電力を安定的に安価に供給できる対策を講ずることは、私たちの暮らしと日本の産業を守るために必要な道だ」と述べ、エネルギー問題を国際情勢や安全保障の観点も踏まえて重点的に推進する考えを示した。
首相は「日本で発明されたペロブスカイト太陽電池の普及、小型モジュール炉などの次世代革新炉、日本企業の技術が優位性を持つフュージョンエネルギーの早期社会実装、冷媒適用技術や光電融合技術などによる省エネ型データセンターの普及、酸化物型全固体電池の社会実装など、日本の強みを生かさなければもったいない」とも述べ、日本の技術を生かした脱炭素電源の拡大に意欲を示した。
GXを「産業構造転換」の柱に
「GX実現に向けた基本方針」によると、政府はGXの実現を通じて2030年度の温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラルの国際公約の達成を目指しており、安定・安価なエネルギー供給につながるエネルギー需給構造の転換、産業構造・社会構造の変革を同時に進める方針だ。
特に「製造業の構造転換(燃料・原料転換)」として、水素還元製鉄の活用や高炉から電炉への生産体制転換、アンモニア燃焼型ナフサクラッカーなどによる低炭素循環型生産体制への転換、石炭自家発電の燃料転換などへの集中的支援を推進。大規模需要家に対して非化石エネルギー転換に関する中長期計画の提出と定期報告を義務化し、主要5業種(鉄鋼業・化学工業・セメント製造業・製紙業・自動車製造業)に対しては国が非化石エネルギー転換の目安を示している。
ペロブスカイト太陽電池の早期実装
再生可能エネルギーの主力電源化に関しては、太陽光発電の更なる導入拡大や技術自給率の向上にも資する次世代型太陽電池の早期の社会実装に向けて研究開発・導入支援やユーザーと連携した実証を加速するとともに、需要創出や量産体制の構築を推進する方針である。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟などの特徴を持ち、従来型の太陽光発電パネルの設置が困難であった耐荷重性の低い建築物の屋根や建物の壁面等への設置が可能となる次世代技術である。主な原料のひとつであるヨウ素は日本が世界シェアの約30%を占めており、再エネ導入拡大と強靭なエネルギー供給構造の実現につながると期待されている。
2025年度予算では、「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」として、ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業が措置されており、環境省と経済産業省が連携して推進している。補助対象は、耐荷重等の制約により従来型の太陽光パネルの設置が困難だった場所へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入で、補助率は原則3分の2、特定要件を満たす場合は4分の3となる。
第7次エネルギー基本計画における次世代太陽光
2025年2月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、次世代型太陽電池に関する具体的な数値目標が示されている。2025年までに発電コスト20円/kWh、2030年までに14円/kWh、2040年までに10〜14円/kWh以下の水準を目指すとともに、2030年を待たずにGW級の量産体制構築を目指す方針が明記された。
また、2040年には約20GWの導入を目標とし、官民関係者が総力を挙げて、世界に引けを取らない規模とスピードで量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組むとしている。海外市場への本格展開と、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)などの専門機関とも連携した信頼性評価等に関する国際標準の策定も目指す。
GX経済移行債による20兆円規模の先行投資支援
政府は「GX実現に向けた基本方針」に基づき、今後10年間で官民協調により150兆円を超えるGX投資を実現する方針だ。そのための具体的手段として、「GX経済移行債」を活用した20兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。
投資促進策は、新たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置と一体的に講じられる。現時点で想定される投資や事業の見通しに基づき、企業規模を問わず、再生可能エネルギーや原子力等の非化石エネルギーへの転換、鉄鋼・化学など製造業を始めとする需給一体での産業構造転換や抜本的な省エネの推進、資源循環・炭素固定技術等の研究開発等への投資に対して支援が実施される。
支援策は個々の事業の実用化の段階、事業リスク、市場・製品の性質などに応じて、補助、出資、債務保証などを適切に組み合わせて実施される方針だ。
次世代型太陽電池の開発・実装に係る具体的支援内容
グリーンイノベーション基金事業として実施されている「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトでは、2025年9月29日に改定された研究開発・社会実装計画において、以下の研究開発内容が示されている。
基盤技術開発事業では、ペロブスカイト太陽電池の最適な材料組成の開発、変換効率と耐久性を両立する太陽電池セルの要素技術開発、分析・評価技術の開発、国際標準策定の推進、タンデム型ペロブスカイト太陽電池の要素技術および信頼性評価技術の開発が進められる。
単接合太陽電池実用化事業では、2030年度までに発電コスト14円/kWh以下を実現する見通しを得ることを目標とし、製品レベルの大型化を実現するための各製造プロセスの個別要素技術の確立に向けた研究開発が行われる。
単接合太陽電池実証事業では、量産化技術の確立と並行して、ペロブスカイト太陽電池の特徴である軽量性・柔軟性を活かした設置方法や施工方法等を含めた性能検証のため、国内外の市場を想定したフィールド実証が実施される。
タンデム太陽電池量産技術実証事業では、2030年度までに住宅用発電コスト12円/kWh以下と変換効率30%以上を達成することを目標としている。
企業向けGX推進の取組表明が補助要件に
また、先程触れた「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」では、民間企業が申請する場合、温室効果ガス排出削減のための取組実施について表明することが要件となっている。
具体的には、国内におけるScope1・Scope2に関する排出削減目標を2025年度、2030年度について設定し、実施期間が含まれる年度分の排出実績及び目標達成に向けた進捗状況を第三者による検証を実施のうえ毎年報告・公表することが求められる。目標を達成できない場合にはJクレジットやJCM(二国間クレジット制度)、その他国内の温室効果ガス排出削減に貢献する適格クレジットを調達する、または未達理由を報告・公表することが必要となる。
ただし、算定・報告・公表制度に基づく2022年度二酸化炭素排出量が20万t未満の企業又は中小企業基本法に規定する中小企業に該当する企業については、その他の温室効果ガスの排出削減のための取組の提出をもって代えることができる。
成長志向型カーボンプライシングの導入
政府は、「成長志向型カーボンプライシング構想」も同時に進める。GX投資を官民協調で実現するため、「GX経済移行債」などを活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用の3つの措置を講ずるものである。
具体的なカーボンプライシングの制度設計については、多排出産業を中心に企業ごとの状況を踏まえた野心的な削減目標に基づく「排出量取引制度」と、炭素排出に対する一律のカーボンプライシングとしての「炭素賦課金」を併せて導入することとしている。
排出量取引制度は2026年度から本格稼働する計画で、2023年度から試行的に開始するGXリーグにおける制度を発展させる形で進められている。発電事業者に対する「有償オークション」は2033年度から段階的に導入され、「炭素に対する賦課金」は2028年度から導入される予定だ。
脱炭素製品の需要創出に向けた取組
政府は需要側からのGX推進について、カーボンフットプリントなど排出量の「見える化」を含めた新たな需要創出策を進める方針も示している。
市場に一定程度普及している低炭素製品については、官民による調達を更に拡大するため、カーボンフットプリント、環境ラベルの活用等を進めるほか、グリーン購入法等において調達すべき製品の判断基準や算定方法などについて見直し・検討を行う。
革新的技術・製品の需要創出のためには、製品・技術の革新性や調達実現に対するインセンティブ付与など、購入主体等の特性を踏まえつつ、需要を拡大するための適切な方策を検討する。
サプライチェーン全体での排出削減と製品・産業の競争力強化を図る観点から、カーボンフットプリントの算定等に関するガイドラインを策定し、ガイドラインに準拠して算定等されたグリーン製品の官民による調達を推進する方針だ。
衆院解散、環境対策実務者にどう影響?
今回の衆院解散表明により、GX、エネルギー、脱炭素電源など環境関係の政策が国政上の重要な論点として位置づけられたことで、環境対策を推進する企業の実務担当者にとっては以下のような影響が想定される。
第一に、次世代型太陽電池導入に関する補助制度の継続と拡充が続くかどうかである。ペロブスカイト太陽電池については、従来型太陽光発電パネルの設置が困難であった場所への導入が可能となるため、既存施設の脱炭素化を進める上で新たな選択肢となるが、選挙の結果によっては政府方針が変更される可能性もある。実務者は早期の制度活用も含め、政策動向を見極める必要がある。
第二に、企業のGX推進に関する情報開示要件の強化である。補助事業の申請要件として排出削減目標の設定と第三者検証を伴う実績報告が求められるようになっており、今後はこうした要件が補助事業に限らず広がる可能性がある。実務者は選挙の結果にかかわらず、自社の排出削減目標の設定と情報開示体制の整備を急ぐ必要があるだろう。
第三に、カーボンプライシング制度の本格導入が2026年度以降に控えている点である。排出量取引制度や炭素に対する賦課金の導入により、炭素排出に対する経済的負担が段階的に増加していく見通しだ。選挙の結果次第で多少の方針変更はありうるものの、基本的な方向性に変更はないとみられ、中長期的な脱炭素投資計画の策定が急務となる。
第四に、サプライチェーン全体での脱炭素化要請である。カーボンフットプリントの算定ガイドライン策定、グリーン製品の調達推進により、取引先からの排出削減要請や製品のカーボンフットプリント開示要求が増加することが予想される。サプライチェーンの脱炭素化については世界的な推進事項であり、選挙結果に関係なく進められるべきだろう。
第五に、脱炭素関連技術に関する国際標準化の動きである。ペロブスカイト太陽電池を含む次世代技術については、産総研などの専門機関と連携した信頼性評価等に関する国際標準の策定が進められている。ペロブスカイトを推進する方針は政権がどの枠組みになっても大きな変更はないとみられており、国際市場での競争力確保の観点から、常に動向を注視する必要がある。
今回の解散表明会見では、GX推進が高市政権の根幹政策として改めて位置づけられたものの、2026年度予算案の成立遅れ、政治空白の大きさなど政策面への影響は非常に大きい。環境対策の実務担当者にとっては、選挙の結果によって政策の継続性が担保されるかどうか慎重に見極めながら、より野心的な目標設定と実行が求められるだろう。
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2026.01.22
ウエストHDと千葉エコ・エネルギー、資本提携 ソーラーシェアリング拡大へ
ウエストホールディングス(広島県広島市西区)は1月15日、千葉エコ・エネルギー(千葉県千葉市稲毛区)と営農型太陽光発電事業における資本業務提携契約を締結した。
この提携は、日本国内における食料安全保障と脱炭素社会の実現という2つの社会課題の解決に貢献することを目的としている。
食料生産と再生可能エネルギー発電の両立を目指す
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農地の上部空間に太陽光発電パネルを設置し、農業を継続しながら発電事業も行う仕組み。政府が掲げるカーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大が求められる中、農地を維持しながら発電が可能な営農型太陽光発電は、食料安全保障と脱炭素を同時に実現する手法として注目を集めている。
一方で、営農と発電を両立させるための栽培技術や、品質維持・収量確保に関する知見が十分に蓄積されていないことが、ソーラーシェアリングの課題とされてきた。
今回の資本業務提携では、ウエストホールディングスの太陽光発電所の開発力と千葉エコ・エネルギーの営農分野における知見を融合し、地域創生も加味した営農型太陽光発電所の開発拡大を目指すとしている。具体的には以下の3つの領域で提携を進めていく。
・営農型太陽光発電所における協業:発電所の開発・建設をウエストホールディングスグループが対応し、営農分野においては千葉エコ・エネルギーの知見を活 用して開発を拡大する。
・特定地域での営農型太陽光発電所の開発:ウエストホールディングスグループが提携する自治体において、自治体、ウエストホールディングス、千葉エコ・エネルギーの3者で提携する。具体的には、福島県・広島県の自治体で、営農型太陽光発電の協定を締結する予定だ。
・営農型太陽光発電所の共同研究:営農型太陽光発電所における電動農機具の開発、自家消費モデルの遂行における蓄電池の開発、最新のテクノロジーを活用した架台など、両社で共同研究を実施する。
じわじわ増える営農型太陽光発電の事例
営農型太陽光発電は、地上設置型の太陽光発電と比べて新たに設置できる場所が限られるため、農地上空を有効活用して発電を行うことができる点で、地域共生型の取り組みとして期待されている。千葉エコ・エネルギーが関わったケースだけでも、例として以下のような事例がある。
東北電力(宮城県仙台市)は2025年8月、千葉エコ・エネルギーとCyrinx(東京都渋谷区)と営農型太陽光発電の展開に向け業務提携契約を締結。3社は共同実証を行い、Cyrinxが特許を取得した可倒式架台を開発し、協業で採用している。
また、ヤンマーホールディングス(大阪府大阪市)は2025年6月、営農型太陽光発電の技術を活用した発電事業を2026年4月頃から開始すると発表。地域農家が営農し営農支援金をヤンマーが支払う「農家営農型モデル」と、ヤンマーグループが農地所有者から土地を借用し、営農から作物の販売までを自社で行う「自社営農型モデル」の2つのモデルを構築するとしている。
さらに、千葉大学はクリーンエナジーコネクト(東京都千代田区)と2025年5月に営農型太陽光発電設備を活用したバーチャルPPAサービス契約を締結。国立大学法人がPPAスキームを活用して再エネの環境価値のみを購入する国内初の事例となった。
2023年5月には、日東工業が静岡県掛川市の荒廃農地(1,685m²)をソーラーシェアリング施設に有効活用する取り組みを実施した。同施設の太陽光発電設備(最大発電能力:約49.5kW)にはリユースパネル252枚を採用しており、オリーブ約100本を観葉植物用として栽培する取り組みを行っている。この実証実験では、千葉エコ・エネルギーは荒廃農地再生計画や栽培計画の立案、許認可取得でサポートしている。
千葉エコ・エネルギーのソーラーシェアリング事業実績
千葉エコ・エネルギーは、千葉大学発の環境・エネルギー系企業で、ソーラーシェアリング事業を2013年から手がけている。単に発電事業によって農業者の所得を増やすだけでなく、農業・農村におけるエネルギー問題の解決を太陽光発電によって進め、再生可能エネルギーによる脱炭素化により持続可能な社会を作るという視点で取り組みを広げている。
ウエストホールディングスは、「ウエストグループのカーボンニュートラルビジョン2025」をスタートし、社会全体のCO2排出量削減に取り組んでいる。同グループが開発・建設・販売する太陽光発電所、保有する太陽光発電所、メガソーラー再生事業、ASEAN諸国での太陽光発電所の開発・建設などを中心として、国内外で200万kWの再エネ電源の普及に貢献していくとしている。
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2026.01.21
シチズンファインデバイス、山梨県富士河口湖町に太陽光設置の新生産拠点完成
シチズンファインデバイス(山梨県富士河口湖町)は1月16日、建設を進めてきた「河口湖事業所」(同)の新棟が完成したと発表した。新施設のコンセプトは「環境に優しく、安全に配慮したモノづくり」で、省エネ機器や太陽光発電設備が導入された。
省エネ化・再エネ利用により、年間CO2排出量約38t削減
「河口湖事業所」は、自然豊かな富士北麓地域における持続可能な成長を目的に、省エネ機器や太陽光発電設備を導入した。年間発電量は約94MWhを見込んでおり、CO2排出量は年間約38t削減できると試算している。
また、環境負荷物質の代替に加え、環境対応型加工技術を採用した。新施設では、2027年度までに該当工程における環境負荷物質の使用量35%削減を目指す。
同施設は、自動車部品および時計部品を製造する生産拠点で、建築面積2100m2、延床面積7230m2。2026年9月以降に本格稼働する。
同社は今後も、工場の自動化やIoT活用を通じて、製造現場のDXを推進し、環境・安全・効率性の3つの柱を軸に、持続可能な未来志向のモノづくりを進める。
グループ主要8拠点に太陽光発電施設を導入
同社グループは、再エネ利用拡大を推進している。2022年の本社および「河口湖事業所」への導入を皮切りに、2023年には「北御牧事業所」(長野県東御市)・「タイ工場」、2024年「中国工場」「フィリピン工場」「シチズンマイクロ」(埼玉県日高市)に順次導入した。
また、2025年5月に「御代田事業所」(長野県北佐久郡)、6月には子会社のシチズン千葉精密(千葉県八千代市)の発電設備が稼働開始。目標としてきたグループ主要8拠点すべてでの導入が完了した。設置された太陽光パネルの総面積は2万3380m2、年間発電量は5859MWh。CO2排出量削減効果として年間約2925tを見込んでいる。
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2026.01.20
SGリアルティ、屋根・壁面に太陽光導入した物流拠点竣工 グループ連携強化
SGホールディングスグループで不動産業を展開するSGリアルティ(京都府京都市)は1月16日、「SGリアルティ新砂」(東京都江東区)の竣工を発表した。屋根には自家消費型太陽光発電設備を、バルコニー壁面には太陽光パネルを設置するなど環境に配慮した物流拠点で、関東エリアにおける中継機能の強化と輸送ネットワークの高度化を担う。7月には佐川急便の「東京中継センター」(仮称)が入居し、稼働する。
首都圏中継機能を強化、グループ各社が入居
同施設は2025年12月25日に竣工した。佐川急便の「東京中継センター」のほか、ワールドサプライ(東京都江東区)、SDトランスライン(同)が入居する予定で、SGホールディングスグループ内事業会社の連携強化やオペレーションの一体化による効率化を図る。
再エネや森林保全の活動連携など環境への取り組みを強化、地域にも配慮
同施設では、環境配慮型の設計も積極的に取り入れた。
具体的には、屋根面には自家消費型太陽光発電設備を設置。さらに、同社として初となるバルコニー(壁面)への太陽光パネルも導入した。これにより年間約341MWhの発電量を見込んでおり、施設運営におけるエネルギー効率の向上に寄与する。
さらに、グループで進める森林保全活動とも連携。佐川林業(京都府京都市)が四国で管理する「さがわの森」の天然木材を施設内の内装に採用。快適な室内空間と環境負荷低減の両立を実現したほか、外構部には植栽を充実させ、壁面緑化と併せて、緑豊かな空間を作り、地域環境への貢献も図った。
災害対策としては、停電時でも施設全体を72時間稼働可能とする非常用発電設備を整備。マンホールトイレの設置や緊急地震速報システムの導入など、防災・減災機能の強化にも力を入れている。
同社は今後も顧客のニーズや社会課題に対応しながら、環境に配慮した物流不動産開発を継続的に推進するとしている。
高い交通利便性と配車効率を両立
新拠点の立地は、首都高速湾岸線「新木場IC」および首都高速9号線「枝川IC」へのアクセスに優れ、首都圏広域配送に適した環境を備える。また、東京メトロ東西線「南砂町駅」から徒歩2分と従業員の通勤環境の利便性も高い。
施設内には大型車用の駐車場201台分と待機場40台分を確保。中継センターへの配車を円滑化するとともに、周辺地域への交通負荷軽減にもつなげる。
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2026.01.19
霧島酒造の挑戦 ― 焼酎副産物から生まれたサツマイモ発電と地域共生
地域に根差した企業がいかにして社会課題を解決し、新たな市場を切り拓くかをテーマにした講演イベント「宣伝会議サミット/環境ビジネス・カンファレンス in Fukuoka」が2025年12月12日、福岡で開かれた。 霧島酒造(宮崎県都城市)の奥村隆享氏が登壇し、焼酎製造の副産物をエネルギーに変える「サツマイモ発電」を通じた地域循環型モデルの構築について紹介した。
焼酎造りの副産物と「地域資源」への転換
霧島酒造は1916年創業、売上高525億円(2024年度)、「品質をときめきに」をスローガンに掲げ、主力商品「黒霧島」をはじめとする本格焼酎を製造している。登壇したグリーンエネルギー部 部長の奥村隆享氏は、経営戦略やマーケティングの専門家ではなく、現場一筋で歩んできた人物だ。
同社の焼酎造りのこだわりは「100%」にある。麹米には国産米を100%、サツマイモは九州産を100%、仕込み水には都城盆地の地下水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」を100%使用し、焼酎はすべて地元の自社工場で製造している。
しかし、年間約10万トン、1日あたり約400トンものサツマイモを使用する大規模な製造工程からは、毎日大量の「焼酎粕(850トン/日)」が発生し、サツマイモの収穫期には「芋くず(15トン/日)」も発生する。
かつて2000年ごろまでは、これらの焼酎粕は畑への肥料として農地還元していたが、生産量の増加や法規制の強化により、その処理が大きな経営課題となった。奥村氏は、これらを単なる「厄介者(廃棄物)」として処理するのではなく、天の恵みであるサツマイモから生まれた「宝物(地域資源)」と捉え直し、有効活用する道を探り続けたと語る。
失敗を乗り越えて実現した「サツマイモ発電」
同社が構築したのは、焼酎粕や芋くずをメタン発酵させてバイオガスを取り出し、工場のボイラー燃料や発電に利用するシステムである。この道のりは平坦ではなかった。
2002年、地元企業と組合を設立してリサイクルプラントを建設したが、技術的な問題からトラブルが頻発し、焼酎の製造自体をストップせざるを得ない事態にも直面したという。この苦い経験を糧に、2006年に鹿島建設との共同研究の末、新たなリサイクルプラントを建設。ここでの運用が順調に進み、2012年には生成されたバイオガスを焼酎製造のボイラー燃料として利用することに成功した。さらに、固定価格買取制度(FIT)の導入を機に、使いきれない余剰ガスを活用した売電事業「サツマイモ発電」を2014年に開始した。
このシステムにより生成されるバイオガスは、一般家庭約2万2000世帯分に相当するエネルギー量を生み出す。そのうち、発電される電気量は約2400世帯分に達する。現在では、焼酎製造工程で使用する燃料の約30%をこのバイオガスで賄っており、都市ガス換算で年間2億円以上のコスト削減効果を生んでいる。
また、メタン発酵後の残渣(発酵液)は脱水・分離され、固形分は堆肥として畑に還元、液体分は浄化して放流するという完全なリサイクルループを実現している。
これらの取り組みは、「KIRISHIMA SATSUMAIMO CYCLE」という全体構想のもと、サツマイモが持つエネルギーを地域全体で循環させるモデルへと昇華している。
脱炭素社会への貢献と「地域共生」の新たなフェーズ
霧島酒造は「霧島環境アクション2030」を策定し、2030年度までに工場・事務所からのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。2024年度時点で2013年度比37%の削減を達成しており、残りの削減分については更なる省エネ施策をはじめ再生可能エネルギーの導入やJ-クレジットの活用などで実現を目指す。
さらに、この「サツマイモ発電」の電力は、地域防災や新たな顧客接点づくりにも活用されている。社用車として導入された電気自動車「e-imo(イーモ)」は、災害時に避難所へ電力を供給する協定を都城市と締結している。 また、2026年1月には、スターバックスとコラボレーションした施設「KIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)」をオープン予定だ。この施設の電力もサツマイモ発電で賄う計画であり、環境に配慮した憩いの場を地域に提供する。
奥村氏は、自然の恵みを享受する企業として、地域社会と共生しながら持続可能な焼酎造りを続けることが使命であると強調し、今後は自社だけでなく近隣の焼酎メーカーやレストランからの廃棄物受け入れも拡大し、地域全体を巻き込んだサーキュラーエコノミーを推進していく決意を示した。
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2026.01.18
商船三井と伊藤忠、低炭素輸送の環境属性証明書を相互取引 空海連携し日本初
商船三井(東京都港区)と伊藤忠商事(同)は1月9日、代替燃料を使用した低炭素な輸送サービスの環境属性をデジタル証書として取引可能な形とした「環境属性証明書」の普及に向けて協働を開始すると発表した。海運・空運の業界の枠を超えた日本初の協業モデルとして、マーケティング・広報・営業などの分野で連携し、輸送サービスを利用する企業のスコープ3削減を支援する仕組みの構築を目指す。
環境属性証明書の相互売買を実施
「環境属性証明書」とは、企業がサプライチェーン上の活動で発生する間接的な温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ3)について、その削減効果を「証書」として発行・活用できる仕組みをいう。
今回、商船三井と伊藤忠商事は「環境属性証明書」の活用に関する戦略的提携の覚書を締結。この取り組みの一環で、両社はユーザー企業として、それぞれのスコープ3削減を目的に、環境属性証明書の相互売買を実施した。
具体的には、商船三井は、従業員の航空機出張に伴うGHG排出(スコープ3・カテゴリー6)を削減するため、伊藤忠商事が創出した「空(航空旅客輸送・貨物輸送など)」の環境属性証明書を購入した。伊藤忠商事は、海上輸送サービス利用に伴うGHG排出(スコープ3・カテゴリー4)を削減するため、商船三井が創出した「海(海上貨物輸送など)」の環境属性証明書を購入した。
この取引は、オランダの123Carbon社が提供する輸送・物流分野の脱炭素化を加速するためのプラットフォームを活用して実施した。このプラットフォームでは厳格な監査体制のもと、輸送に関連するスコープ3排出量の削減に利用できる環境属性証明書の発行・移転・保管・償却までを一元管理している。取引のトレーサビリティと信頼性を担保しつつ、グローバル基準に則った高い透明性を実現している。
輸送におけるスコープ3を削減へ仕組み構築
国内外の多くの企業にとって大きな割合を占めるスコープ3排出量の削減は、サプライチェーンが複雑であるため、トレーサビリティ確保の難しさなどが障壁となっている。
商船三井は船舶用低炭素燃料の使用により、伊藤忠商事はSAF(持続可能な航空燃料)の利用により、双方の強みを生かした海・空の物流領域での協業を通じて、輸送サービスを利用する企業のスコープ3削減を支援する仕組みを構築し、輸送サプライチェーン全体での連携による脱炭素の実現に取り組んでいく。
輸送サプライチェーン全体で連携、ネットゼロ実現へ
商船三井グループは、「環境ビジョン2.2」において、ネットゼロ実現のためのアクションの一つとして「ネットゼロを可能にするビジネスモデル構築」を挙げている。
商船三井は2025年2月に、海上輸送サービスを利用する企業がスコープ3排出量の削減を実現できる、新プログラム「BLUE ACTION NET-ZERO ALLIANCE(ブルー アクション ネットゼロ アライアンス)」を立ち上げた。このプログラムでは、123Carbonと協業し、同社グループが運航する船隊での代替燃料を使用した低炭素航海の実施から、デジタル証書を発行し顧客に割り当てるもの。また、発行済みのデジタル証書について、NIPPON EXPRESSホールディングスなど3社との取引を実行した。
ネットゼロ実現のためには輸送サプライチェーン全体での連携が不可欠であり、伊藤忠商事との戦略的提携は、このプログラムの下で推進する関連ステークホルダーとの共創の具体的事例の一つとなる。
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2026.01.17
東京センチュリーとアイリスオーヤマ、LEDで寄付型Jークレジットを創出へ
東京センチュリー(東京都千代田区)は1月13日 、アイリスオーヤマ(宮城県仙台市)と「社会貢献型省エネプログラム」によるクレジット創出事業を開始することで合意したと発表した。顧客のLED照明導入による削減量をJークレジット化し、売却した利益の一部を寄付する。複数のCO2削減活動を取りまとめ、1つのJークレジット創出プロジェクトとして申請する「プログラム型」の登録形態で運用する。
LED照明導入により削減されたCO2をクレジット化 売却し収益を寄付する
アイリスオーヤマが、複数の事業者の設備にLED照明を導入し、東京センチュリーが代表事業者として、これらのCO2排出量削減活動をとりまとめ事務局へ申請し、創出されたJークレジットを売却する。収益の一部は同社を通じて、顧客が指定する非営利団体へ寄付される。
両者は連携し、顧客となる事業者がJークレジット創出に伴う煩雑な登録・審査手続きなどの業務やコストを負うことなく、環境価値を創出できるようにするとともに、収益の一部を寄付することで顧客の社会貢献活動も支援する。
東京センチュリーは、「社会貢献型省エネプログラム」について、2026年度中のプロジェクト登録を目指し現在手続きを進めている。同プロジェクトでは今後、LED照明に加えて、その他の省エネ・再エネ関連の取り組みについてもJークレジット創出を検討していく。
中小企業や自治体では、J-クレジット制度の煩雑な手続きが障壁
Jークレジット制度とは、省エネ設備の導入などによる温室効果ガス(GHG)の排出削減活動や、植林などによる吸収量の相殺活動を申請することで、国が認証しクレジット化する制度で、環境価値の売買ができる。Jークレジット創出の登録・審査手続きは煩雑さやコスト負担が大きく、中小企業や自治体が活用しにくいという課題がある。
同社とアイリスオーヤマは、こうした課題を踏まえ、小規模でも複数の同種の排出削減活動をとりまとめて1つのプロジェクトとして登録できる「プログラム型」を活用し、創出から販売・寄付までを一括して支援することで、大企業以外の脱炭素化ニーズにも対応していく。
両者は2025年1月に「通常型」プロジェクトとして、介護施設におけるLED照明への更新による省エネJークレジット創出事業を開始した。この取り組みでの実績を踏まえ、今回は「プログラム型」による創出支援で連携する。
今後、地域企業と連携した地産地消型プログラムも視野に入れる東京センチュリー
東京センチュリーは2025年度に、「地域共創営業部」を新設し、地域のパートナー企業との協業により、地域のカーボンニュートラルと地域経済の発展に向けた取り組みを行う。今後はその地域で生まれた環境価値をクレジット化し、地域内の企業や団体へ還元する「地産地消型」プロジェクトの創出も目指す。
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2026.01.16
デジタルグリッドのPPA発電所マッチング利用拡大 登録数200社突破
デジタルグリッド(東京都港区)は1月8日、法人向け再エネマッチングプラットフォーム「RE Bridge(アールイーブリッジ)」の2025年12月末時点での登録数(発電家+需要家)が200社を突破したことを明らかにした。コーポレートPPAを再エネ調達の手段と捉える企業が増えたことが一因だという。
国内で高まるコーポレートPPAの機運
「RE Bridge」は、日本初のバーチャルPPAに特化した再エネ取引のマッチングを行うサービスで、2023年7月に運用が始まった。再エネを供給したい発電家と再エネを調達したい需要家をオークション形式(四半期に1回開催)で結び付け、再エネ導入を促進する。取引の効率化や透明性の向上、契約後の需給管理までをサポートし、追加性のある再エネ調達も可能となる。
需要家の登録数が増えた背景として、同社は、
・2030年度をめどに一定水準の脱炭素化目標を掲げる多くの企業の取り組みが本格化してきた
・2021年ごろから国内でのコーポレートPPAによる再エネや環境価値の調達が、選択肢の1つとして定着しつつあること
という2つの要因を挙げる。
需要家の登録者は、製造業や不動産業、データセンター事業者などの東証プライム上場企業が多く、これまで発電家と接点を持つ機会がなかった利用者からは「多様な発電所があり、選択肢の幅が広がった」「相見積を取る必要がなくなった」「今のPPAの価格相場を認識できた」 などの声が寄せられているという。
直近のマッチングでは容量・件数ともに運用開始以来最多に
2025年の第5回オークション(5月7日〜6月27日)では、マッチングした設備の容量が運用開始以降最多となる約107MWに達した。またマッチング件数も31件と過去最多となり、第4回オークション(容量37MW・計15件)から大幅に増加した。
同社は今後も、同オークションサイトの運営を通じて、再エネ普及促進を図っていく考えだ。
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2026.01.15
イーレックス、東電管内で蓄電所開発 出力2MW・容量8MWh
イーレックス(東京都中央区)は1月9日、アグリゲーション事業の一環として、系統用蓄電所プロジェクト第2号案件への投資を決定したと発表した。東京電力管区に、出力2MW・容量8MWh規模の蓄電所を建設する。2026年度第3四半期の運転開始を目指す。
アグリゲーターとして、蓄電所の保有・運用を実施
イーレックスは、アグリゲーターとして、蓄電所を保有し、運用・制御を手がける。小売電気事業で20年以上培ったトレーディングのノウハウを活かし、卸電力市場・需給調整市場・容量市場での取引を通じて、収益向上を図る。
同プロジェクトの建設工事は、グリーンエナジー&カンパニー(徳島県松茂町)の100%子会社であるグリーンエナジー・プラス(東京都杉並区)が請け負う。
宮崎県で開発中の第1号案件に続く蓄電所プロジェクト第2弾
今回の開発は、2025年9月に発表された宮崎県串間市の系統用蓄電所に続くもので、イーレックスにおける系統用蓄電池プロジェクトのさらなる拡大と実績構築に向けた重要なステップとなると、同社は説明している。
なお、同蓄電所は、東京電力管区の新施設と同規模で、工事も同じくグリーンエナジー・プラスが担当する。運転開始は2026年度第2四半期の予定。
アグリゲーションを事業の柱に、韓サムスンとの協業を開始
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再エネ比率を40~50%程度とする方針が示され、太陽光や風力などの再エネ電源が主力化に応じた安定した電力供給に向け、電力の需給バランス調整がより重要となる。また、現在は大口需要家を中心に、再エネ電源の調達ニーズが高まっている。
イーレックスは2025年6月、新たな事業の柱としてアグリゲーション事業を展開すると発表。国内外の戦略的パートナーと連携し、事業拡大を図っている。同年10月には、韓国の大手商社サムスンと、日本国内の系統用蓄電池システム事業の共同開発に関する覚書を締結。折半出資の合弁会社を通じて、蓄電所開発プロジェクトを進めている。2026年には、20MW以上の大型案件にも取り組む計画だ。
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2026.01.14
地上設置型の事業用太陽光発電、2027年度から支援対象外に 屋根型は継続へ
資源エネルギー庁は1月7日、第110回調達価格等算定委員会を開催し、事業用の地上設置(野立て)型太陽光発電に関して、2027年度以降、固定価格買取制度(FIT)およびフィード・イン・プレミアム(FIP)制度による支援を終了する方向を固めた。屋根設置型の太陽光発電は引き続き、支援対象として残る見通し。
野立て太陽光発電はFIT/FIP支援廃止 技術革新によるコスト低減や地域共生の課題で
事業用の地上設置型の太陽光については、
・FIT制度開始以降、認定量・導入量が大幅に拡大した
・すべての規模において、技術革新などにより着実なコスト低減が実現された
・入札上限価格を下回る落札が継続的に見られている
・PPAによる収益確保などにより、FIT/FIP制度によらない案件の形成が進んでいる
・自然環境・安全・景観などの地域共生上の課題が顕在化している
などの背景を上げ、「2027年度以降、FIT/FIP制度における支援の対象外とする」とする事務局案を公表。委員会はこれを了承した。
2026年度の調達価格・基準価格、地上設置型太陽光発電は修正
2026年度の地上設置型の太陽光調達価格・基準価格は「10kW以上50kW未満」、「50kW以上」の区分について、以下とする案が示された。
50kW以上に関しては、これまで複数年にわたり、実際のコストデータが想定値を上回っていたものの、効率的な事業の実施を促す観点から想定値を据え置いてきた。効率的な事業の実施を促すことは重要であるものの、今後は、コストデータの上昇分を調達価格・基準価格に適切に反映するという方向性が示された。具体的な価格については、今後の委員会で示される予定。
「屋根設置型」太陽光発電はFIT/FIP継続
屋根設置型(10kW以上)の太陽光発電は、2027年度以降もFIT/FIPによる支援が継続される見通しとなった。2026・2027年度の調達価格・基準価格は、昨年に設定した2026年の想定値が据え置きとなる方針だ。
住宅用太陽光発電の「初期投資支援スキーム」は猶予期間を設定
同委員会では、事業用・住宅用(10kW未満)に適用する「初期投資支援スキーム」や、ペロブスカイト太陽電池の新区分についても議論された。
初期投資支援スキームは、想定ほど活用が進んでおらず、住宅用については、「『階段型の価格』を採用してFIT期間後期に低価格での支援を受けるよりも、買取メニューによる売電を行ったほうが、より大きな収益を確保できる」との意見もあり、制度変更を含めた検討が行われてきた。
その後、階段型の価格設定については、FIT制度に依らない事業モデルの構築に一定の時間を要することや、事業者の予見可能性が担保されるよう、2026年度まで一定の猶予期間を設定。2027年度以降については同委員会で議論することとして意見がとりまとめられていた。
一方で、一般社団法人太陽光発電協会からはPPA事業におけるFIT制度を前提としないビジネスモデルの構築に向けた協議が金融機関との間で行われているものの、結論を得るまでに一定の期間を要することや、FIT制度による支援終了後に単年度契約となる点に対する懸念に関する要望が同委員会に届いており、今後はFIT制度を前提としないビジネスモデルの構築や自立化に向けた業界団体による取り組みの継続を前提としつつ、卒FIT後のビジネスモデルが成熟するまでの猶予期間として、さらに2年程度の準備期間を設け、2029年度に支援期間短縮の適用を開始することを基本とすることとした。
ペロブスカイト太陽電池の新区分創設は継続検討に
次世代型太陽電池の早期社会実装に向けては、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出を三位一体で進め、2030年を待たずにGW級の生産体制の構築、2040年には約20GWの導入を目指す。全国各地でのペロブスカイト太陽電池の社会実証や量産化に向けた3000億円規模の設備投資が進められているほか、今年度から予算による需要家向けの補助が開始するなど、社会実装に向けた取組みも進んでいる。
ただし、委員会は、ペロブスカイト太陽電池について「国産エネルギーとして重要であり、早期の社会実装を進めることが必要不可欠である」としつつも、FIT・FIP制度による支援については「国民負担の抑制や、将来的に自立化する見込みがあることを前提とする必要がある」として、引き続き、「発電コストが電気料金水準未満になる時点を目安に、新区分による支援を開始する方向で検討を継続」するとした。
太陽光発電、2025年に大きく話題になった「地域共生上の課題」が支援打ち切りの結果に
FIT制度開始以降、太陽光発電の認定量・導入量は大幅に拡大し、PPAによる導入も増加している。民間調査によれば、国内におけるオフサイトコーポレートPPAの年間締結容量は2021年以降増加傾向にあり、2024年における年間オフサイトコーポレートPPA締結容量のうち約75%が太陽光発電となっている。
しかし、導入拡大に伴い大規模太陽光発電事業(メガソーラー)における地域共生上の課題も顕在化している。政府は昨年12月23日に「大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議」を開催し、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を決定。環境アセスメントの対象の見直しや実行性強化、再エネ地域共生連絡会議の設置などに加え、2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)のFIT・FIP制度からの廃止を含めた検討を方針として示していた。
今回の委員会では、この方針に沿った形で支援打ち切りの最終判断が下されたことになる。
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