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2026.06.16
ペロブスカイト太陽電池を公共施設に導入、福岡市・滋賀県で 京セラ系が施工
京セラコミュニケーションシステム(KCCS/京都府京都市)は6月8日、滋賀県と福岡県福岡市において、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を公共施設へ設置する工事を受託し、同日より着工したと発表した。
3月に発売された積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)製のペロブスカイト太陽電池を、滋賀県内の県立高校など3カ所、福岡市内の公立小中学校3カ所に設置する。
福岡市、市内小中学校3校の体育館屋根に設置 政令市初の商用導入
福岡市は市内の小中学校3校の体育館の屋根に、総容量25.08kWのペロブスカイト太陽電池を施工する。高宮中学校(9.24kW)は7月下旬、老司小学校(7.92kW)は8月下旬、原西小学校(7.92kW)は9月下旬に完工する計画。なお高宮中学校では8月の設置完了時に、見学会が開催される予定だ。
同市は2025年12月22日に、積水ソーラーフィルムと「脱炭素社会の実現に向けた連携協定」を締結した。両社はそれ以前から、共同で市内の学校体育館屋根などに次世代型太陽電池を設置する実証実験などに取り組んできたことから、協定を締結しさらに連携を深めた。
今回の取り組みは、この協定の一環で実施されるもの。また、環境省の2025年度「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」に採択された。商用製品としては政令市で初の導入。福岡市では、軽量性を活かし、従来型太陽電池の設置が難しかった学校体育館にも展開するとし、都市部の創エネ場所を広げるとともに、温室効果ガス排出量実質ゼロの促進、児童・生徒への環境教育、避難所機能の強化につなげる。
滋賀県は県有施設3カ所に、総容量29kW導入
一方の滋賀県でも、県立高校や県立博物館など3カ所の施設に、総容量29kWのペロブスカイト太陽電池を設置する工事に、6月8日より順次着工すると発表した。
導入する施設は、八幡工業高校(近江八幡市/12kW・体育館屋根、7月中旬に完工)、守山北高校(守山市/12kW・体育館屋根、8月下旬に完工)、琵琶湖博物館(草津市/5kW・うみっこ広場、9月下旬に完工)。
これらの工事完了後、電気事業法に基づく国への承認手続きを経て発電を開始する。なお同県も、上記の福岡市と同様に環境省の2025年度補助事業に採択され、この取り組みを実施する。
積水化学グループが「SOLAFIL(ソラフィル)」を3月より事業化 東京都事業にも提供
近年、再生可能エネルギーの導入が加速する中、次世代の選択肢として「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた動きが加速している。従来のシリコン系太陽光パネルは、重量や設置場所の制約からビルの壁面や工場屋根などへの導入が困難だったが、軽量で柔軟(フレキシブル)な特性を持つペロブスカイト太陽電池は、これまで諦めていた場所への設置を可能にする新たなソリューションとして期待されている。
積水化学工業(大阪府大阪市)は3月27日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う積水ソーラーフィルムとともに開発してきた「SOLAFIL」の本格的な事業化を開始したと発表した。同社はこの事業化において、環境省の2025年度公募「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された福岡市および滋賀県のほか、さいたま市、西日本高速道路(NEXCO西日本)の4者へ製品を供給する。また、東京都の「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」にも参画。晴海客船ターミナルに国内最大規模となる50kW程度を設置する予定であり、2026年夏ごろから設置工事が開始される見込みだ。
実用化に向けた動きが加速する中、5月15日にペロブスカイト太陽電池の量産化・標準化に向け、同電池の主要メーカー5社が、「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)」を設立した。設立時の会員は、アイシン(愛知県刈谷市)、パナソニックホールディングス(大阪府門真市)、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、積水ソーラーフィルム、リコー(東京都大田区)の5社。このほか、量産化を進める企業を中心に、東京大学や広島大学の研究者も理事・監事として参画。品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築など産業化に向けた共通課題を、業界横断で解決する狙い。
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2026.06.15
長野県に系統用蓄電所2カ所新設へ SMFLみらいパートナーズが新協業
SMFLみらいパートナーズ(東京都千代田区)、藤巻建設(長野県飯山市)、東芝プラントシステム(神奈川県川崎市)は6月8日、共同出資により合同会社を設立し、系統用蓄電池事業を開始するため、2カ所に蓄電所を新設すると発表した。
東芝プラントシステムと東芝(同)が、両蓄電所のEPC(設計・調達・建設)、運用保守と、蓄電所の電気をアグリゲーターとして市場で売買するアグリゲーション業務を受注した。
運転開始は2028年度を予定
この事業では、木島平蓄電所(長野県下高井郡)と蓮蓄電所(同・飯山市)の2カ所に蓄電所を新設する。
木島平蓄電所は出力約52MW、容量約160MWhで、2026年6月に建設工事に着工した。蓮蓄電所は出力約32MW、容量約90MWhで、2026年8月に建設工事に着工する予定。両蓄電所の運転開始は2028年度を予定。系統用蓄電池を送配電ネットワークに直接接続し、時間帯に応じて各電力市場への充放電を行う市場運用型事業を実施する。
共同出資により設立した「合同会社OPTIRON北信」への出資比率は、SMFLみらいパートナーズが61%、藤巻建設が34%、東芝プラントシステムが5%。
SMFLみらいパートナーズは事業主体として、接続検討申込、出資者に債務保証を求めないノンリコースプロジェクトファイナンスの調達支援、また、アセットマネージャーとして特別目的会社(SPC)の運営管理を担う。藤巻建設は、事業用地の権利確保、地域との合意形成や行政協議、地盤調査などの土木設計に関する支援を担う。東芝プラントシステムは、電力会社への申請業務と各種技術協議に関するサポートを担う。
今回の協働にあたり、2023年に事業用地を選定し、約3年間にわたってプロジェクト開発を行ってきた。3月、3社はEPC契約をはじめとする各プロジェクト関連契約と、ノンリコースプロジェクトファイナンスの融資関連契約の締結に至った。
系統用蓄電池は、天候や時間帯によって発電量が変動する再エネを安定的に供給するための調整機能を担う。電力系統の安定化や再エネの導入拡大に向けて、系統用蓄電池の設置は今後さらに増加すると見込まれている。
協業により系統用蓄電池事業を推進
SMFLみらいパートナーズは、三井住友ファイナンス&リース(東京千代田区)の戦略子会社で、再エネや省エネ機器の設備投資におけるファイナンスサービスや、太陽光・風力などの再エネ事業を通じたCO2フリー電力の供給、脱炭素に関する補助金支援サービスなどの事業を展開している。蓄電池事業においては、2031年度までに累計1GWの取り組みを目指している。5月には、スパークス・グループ(東京都港区)と共同で新潟県新潟市において蓄電所事業に参画することを発表している。この事業でも東芝がEPCを受注している。
藤巻建設グループは、長野県内を中心に太陽光発電所や小水力発電所など、企画・設計から施工、運営まで一貫対応することを基本とした再エネ事業を展開している。
グループで蓄電所の建設から安定稼働、運用収益の向上を支援
今回の事業において、東芝グループは、蓄電所のEPCや運用保守、アグリゲーション業務などを提供する。東芝プラントシステムは、国内外で手掛けた多数のEPC案件で培ったノウハウと技術を生かし、機器設計、土木工事、各種機器設備の調達、据付工事を担う。東芝は、太陽光発電所の運用保守において定格出力で累計1GWを超える受託実績を有する。これらの知見を基に、蓄電所の運用保守と保安業務を行う。
また、アグリゲーション業務においては、アグリゲーター(特定卸供給事業者)として市場価格予測、各種電力市場での取引、蓄電池の充放電計画の作成、制御など一連の運用を行う。これまでの実績を踏まえた蓄電池の最適運用により、蓄電所全体の運用収益の向上を目指す。
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2026.06.14
太陽光発電を増設してPPA 物流施設側が入居するメーカーの脱炭素化を支援
物流施設を開発・運営する日本GLP(東京都中央区)は6月4日、自動制御機器メーカーであるSMC(同)の専用物流施設「GLP常総」(茨城県常総市)に100%再エネ電力を導入したと発表した。
SMCとPPAサービス契約を締結、既存の自家消費型太陽光発電設備を拡張し、2025年11月より電力供給を開始。約40%の電力自給と非化石証書付き電力メニュー契約を合わせて4月より100%再エネ化を実現した。
太陽光パネルを大幅増設 電力の約4割を再エネ化
「GLP常総」は、2021年7月に竣工した地上3階建ての物流施設で、SMCの専用施設として稼働している。
同施設には竣工時より一部の自家消費型太陽光発電設備(563.04kW)が設置されていたが、今回、顧客である入居するテナントのESG経営における脱炭素化をより強力にサポートするため、既存設備の大幅な拡張を決定した。
日本GLPとして、既設の太陽光発電設備を増設したのは初めてで、下記画像のようなスキームで入居する顧客の協力を得て稼働中の物件に自家消費型太陽光発電設備を導入するのは4件目となる。
今回の太陽光発電PPAサービスの導入にあたっては、グループ会社のGLP投資法人(東京都中央区)が投資を行い、同施設の屋根に新たに1,492.26kWの太陽光パネルを増設。施設全体の発電容量は当初の約4倍となる合計2,055.30kWに拡大するとともに再エネを館内に直接供給することが可能になった。これより、施設で使用する電力の約4割を再エネに転換し、年間約382tのCO2削減効果を見込む。
なお、このシステムの導入にあたっては、テス・エンジニアリング(大阪府大阪市)が太陽光発電システムのEPC(設計・調達・建設)からO&M(運営・保守)までを担い、安定的な運用体制を構築している。
PPAモデルは、テナント企業にとって初期投資やメンテナンスの負担をかけず、安定した料金で再エネを利用できるため、導入企業のコスト削減と持続可能な経営をサポートし、ESGやCSR活動の強化にも貢献する。また、初期投資やメンテナンスコスト、契約終了後の原状回復義務も不要であることから、長期的に安定した電力供給を受けられる。
テナントの脱炭素化を強力にサポート
SMCは、空気圧制御システムをはじめとする自動制御機器の総合メーカーとして、顧客の工場全体のエネルギー消費量を削減するトータルソリューションを提供している。また、スコープ1、スコープ2とスコープ3の温室効果ガス(GHG)の排出量を削減に向けて、中・長期目標を策定し、さまざまな取り組みを推進している。
日本GLPは、今回の取り組みにより、環境保全に対して高い意識と目標を持つSMCを直接的かつ強力にサポートする。同社代表取締役社長の帖佐 義之氏は、「単なる設備の導入にとどまらず、稼働中の施設において既存設備を活かしながら、そのキャパシティを約4倍にまで引き上げた、非常に意義深い事例である」とコメントしている。
SMC取締役執行役員の北條 秀実 製造本部長は、「当社がESG経営を推進する上で大きな成果であり、持続可能な社会の実現に向けた確かな一歩であると確信している。今後も物流・製造現場における脱炭素化に向けた取り組みを続け、施設で使用する電力を可能な限り再生可能エネルギーでまかなっていきたいと考えており、引き続き日本GLPの支援に期待している」と述べている
持続可能な社会の実現と事業成長を両立
日本GLPは、持続可能な社会の実現と事業成長を両立させるため、ESGを経営戦略の中核に据えている。管理・運営する物件には、高効率LED照明や雨水タンクの設置、太陽光発電の導入を通じて環境負荷の低減に積極的に取り組み、入居企業のESG経営の推進に貢献する。また、快適な労働環境の提供や、災害時の地域の防災拠点としての役割を果たすことで、入居企業の事業継続計画(BCP)をサポートしている
太陽光発電設備については、管理・運営する物件の50%超にあたる72施設の屋根に設置済みだ(外部PPA事業者による設置分3件を含む)。2024年における再エネ総発電容量は99737MWh、共用部LED化率は100%、これらによるCO2削減量は43,685トンとなっている。
なお、オルタナティブ投資運用会社の米アレス・マネジメント・コーポレーション(アレス)が、2025年3月にGLPキャピタル・パートナーズと、その関連会社の一部の国際事業を買収し、日本GLPもその傘下となった。アレスは物流不動産事業の新たな統一ブランドとして、「Marq Logistics(マークロジスティクス)」を立ち上げる。「GLP常総」は、2026年9月1日に「Marq 常総」に名称を変更する。
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2026.06.13
系統用蓄電池×AIで新たな社会インフラを データ分析と一貫管理で収益最大化
日本の電力市場は、脱炭素社会の実現に向けた大きな転換期を迎えている。2026年3月には再生可能エネルギーの調整力を売買する需給調整市場が「30分単位入札・24時間運用」に移行した。福岡から全国へ展開を加速させるENEFORWARD(エネフォワード)は、次世代系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」を軸に、AIと電力が融合する新しい社会インフラの構築に挑む。
代表取締役の簑下祐一氏に系統用蓄電池事業を含むエネルギーの未来像を聞いた「エネルギーこそ国防」 自給を見据えた起業理念
エネフォワードの代表取締役である簑下氏は現在42歳。26歳のころから再生可能エネルギー関連事業に携わってきた。簑下氏の原動力は、日本のエネルギー自立に対する強い危機感と使命感にある。「日本は自国にエネルギーがない。エネルギーこそが国防であり、豊かな国の礎である」という認識のもと、2020年に同社を設立した。
当初は太陽光発電所の開発を中心に手がけていたが、太陽光が持つ「不安定電源」という課題を克服するため、蓄電池併設型へのシフトを早期から模索。需給調整市場の拡大を予見し、2022年頃から系統用蓄電池事業への「全振り」を決断した。同社の経営理念の根底には「信頼持ちはお金持ち」という言葉があり、社会に信頼されるインフラ企業として100億円規模の事業展開を目指している。
福岡から東京へ 再生可能エネルギーの「中心地」から「需要地」に展開
エネフォワードは福岡市に本社を置く。九州を拠点としたのは、簑下氏自身が熊本県出身ということに加え、「九州が日本における再生可能エネルギー導入の最先端であり、出力制御などの課題と直接向き合う必要がある」(簑下氏)と考えたためである。
一方で事業の急成長に伴い、2026年には福岡本社を移転し、さらに東京支社を開設した。東京への進出は、100億円を超える規模のプロジェクトを支えるための金融機関との連携強化や、高度な専門人材の確保を目的としている。
設計・施工からデータ分析、金融支援・運用までの一気通貫体制が強み
エネフォワードの最大の特徴は、用地選定から設計・施工(EPC)、データ分析、資金調達支援、運用・保守(O&M)、メンテナンスまでを自社グループおよび独自のネットワークで完結させる「一気通貫体制」にある。
単なる仲介ではなく、案件の成立可能性を高めるための実効性のあるプレイヤーとの強固なネットワークを構築。「金融商品取引業(二種)を取得し、今後は金融・投資支援にも注力します。多額の電力工事負担金を一時的に肩代わりする『接続権利ファンド』や投資家向けの『インカムファンド』の組成が可能になります」(簑下氏)
すでに系統用蓄電池の契約済み案件は42件に上り、これまでに系統接続済みの案件は九州などを中心に7件。 2026年度内には計20件の連系を予定するなど、業界内でも大きな実績がある。
系統用蓄電池市場の制度改正と「先行者利益」の最大化
2026年3月の制度改正により、電力市場は「止まらない運用」が収益を左右する構造へと変化した。入札頻度が激増するため、わずかなシステム停止が大きな機会損失やペナルティに直結するからだ。
エネフォワードは、2026年から2027年初旬を、最も高い単価で稼働できる「ゴールデンタイム」と位置づけている。経済産業省が公開した一次調整力オフライン単価などの追い風もあり、インフラ投資としては異例の「3年以内」の投資回収を目指せる好機が到来していると分析する。
さらに、一定条件を満たせば「特定生産性向上設備等投資促進税制」による即時償却も可能であり、初年度のキャッシュインパクトを最大化できる点も投資家にとっての大きな魅力となっている。
次世代蓄電池システム「ENE FORCE」の冗長設計
市場制度の変化に対応するために開発されたのが、自社ブランドの系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」だ。コンセプトは「止めない。待たせない。」。機械、設備、システムの一部が故障しても全体の機能を維持できるよう、同じ機能を持つ要素を用意し、ペナルティゼロを実現する「冗長設計」が特徴だ。パワーコンディショナ(PCS)を分散配置し、バックアップシステムを標準装備することで、一部の故障が全体の停止に繋がらない設計になっている。
故障時に数週間を要する海外メーカーの課題を解決するため、重要部品を国内に常時在庫。万一の際も48時間以内に現場へ急行する保守体制を完備している。蓄電池本体だけでなく、PCS、EMS、キュービクルまでを一体で管理・保証し、長期20年の延長保証にも対応する。大規模向けの「高圧コンテナ型」から、敷地形状に合わせやすい「高圧キャビネット型」まで、プロジェクト規模に応じた柔軟な提案が可能だという。
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2026.06.12
セコム、東芝とバーチャルPPAを締結 新設の屋根置き太陽光発電を活用
セコム(東京都渋谷区)は6月3日、東芝(神奈川県川崎市)と、再エネの環境価値を取引するバーチャルPPAを締結したと発表した。10月に運転開始予定の屋根置き太陽光発電による環境価値を活用する。セコムグループは2045年までに事業活動で使用する電力を再エネ由来に100%転換する目標を掲げており、今回の取り組みをその達成に向けた調達の一環と位置づける。
屋根置き太陽光の環境価値を長期調達
今回、東芝がアグリゲーターとして、発電事業者が新設する屋根置き太陽光発電の環境価値をセコムに供給する。対象となる設備は物流倉庫の屋根に設置される太陽光発電で、定格出力はAC換算700kW。発電した再エネ電力のうち、自家消費後の電力に由来する環境価値を、非FIT非化石証書として長期間にわたりセコムへ提供する。
バーチャルPPAは、需要家が敷地外の再エネ発電所から、電力そのものではなく環境価値を仮想的に調達する仕組み。従来の電力契約を継続しながら、地域をまたいで非FIT非化石証書を調達できる点が特徴となる。セコムが調達する非FIT非化石証書は、同社の事業所向け電力に用いられる予定で、使用電力の再エネ比率向上につなげる。
東芝は、対象となる屋根置き太陽光の再エネ電力について、発電量の予測や発電計画の作成・提出を担う。計画と実績の差を調整するインバランス費用も負担し、買い取った再エネ電力は、卸電力市場に売電し環境価値をセコムに供給する。
追加性のある再エネの調達を推進
セコムグループは2045年までに事業活動で使用する電力を再エネ由来に100%転換することを掲げ、RE100に加盟。また、その達成に向けて追加性のある再エネの利用を重視、自社施設の拠点以外からの再エネ調達も積極的に進めてきた。
2023年には豊田通商(愛知県名古屋市)と、警備業界で初めてバーチャルPPAを締結し、2024年3月から新設の太陽光発電所を活用したバーチャルPPAスキームを活用した再エネの利用を開始した。
2025年12月には、コスモエコパワー(東京都品川区)とバーチャルPPAを締結し、追加性のある陸上風力発電によるバーチャルPPAスキームの活用した再エネを導入した。多様な再エネ電源を確保することを狙いとしている。
また、データセンターを運営するグループ会社のアット東京(東京都江東区)では、2024年4月から、東京都内にある自社のデータセンターでの使用電力について、実質再エネの使用を標準仕様とした。さらに、2024年7月から、アット東京 第3センターにおいて、フィジカルPPAにより、実質再エネを使用しつつ、供給される電力の一部を、追加性のある生グリーン電力としている。
セコムグループは、「再生可能エネルギー調達原則」において、RE100などの国際基準に準拠していること、社会全体の再エネ比率向上に貢献すること、地域社会に貢献できる電源を活用すること、生物多様性に配慮し、山林を切り拓く開発は行わないこと、などを掲げている。
追加性を有した再エネとは、社会全体に対して新しい再エネを生み出すこと、新たな再エネ設備に対する投資を促す効果があることを表している。昨今では、需要家が再エネを調達する際の判断基準として、追加性の重要度が高まっている。
セコムは、今後も引き続き新設の再エネ発電所を活用しながら、長期安定的な再エネの利用を拡大しつつ、自社の排出削減のみならず、社会全体の再エネ比率の向上に貢献していく。
セコムの再エネ導入率は100%、グループ全体では65%
セコムグループでは、温室効果ガス排出削減のために再エネ由来のグリーン電力の調達などを進めるとともに、創エネのために自社施設への太陽光発電設備を設置している。2024年度は、日本国内において186,705MWh、海外では6,287MWhの再エネ電力を利用し、計192,992MWhの再エネ電力を利用した。また、自社施設においては235MWhを発電した。現在、セコムの再エネ導入率は100%、グループ全体では65%まで向上している。
セコムグループは、温室効果ガス削減目標(スコープ1+2)として、2045年までに排出ゼロを目指すとともに、その通過点である2030年度までに2018年度比で45%削減することを掲げている。サプライチェーン全体(スコープ3)においても、2050年までに排出ゼロを目指すとともに、2030年度までに2018年度比で40%削減する目標を掲げている。
この温室効果ガス削減目標は、世界の気温上昇抑制に向けた妥当なものであるとして「SBTイニシアチブ」から認められ、2021年に警備業界初となる「SBT」認定を取得している。また、2021年にRE100に加盟している。
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2026.06.11
JR東海、蓄電システムを小牧研究施設内に設置 需給調整市場に参入
東海旅客鉄道(JR東海/愛知県名古屋市)は6月3日、愛知県小牧市の小牧研究施設内に蓄電システムを設置し、需給調整市場を通じて電力系統に調整力を提供すると発表した。
蓄電池の出力は2MW、容量は6.7MWh。2026年度に着工し、2028年度の運用開始を目指す。再エネの拡大に貢献するため、受変電設備など既存の鉄道アセットを活用し、電力の安定供給に必要な調整力を提供する蓄電システムを初めて設置する。
調整力として期待される蓄電システム、実質的な市場参入
このシステムは、リチウムイオン蓄電池・制御装置などで構成され、小牧研究施設の受変電設備を通じて電力系統に接続する。需給調整市場を通じて、このシステムによる調整力を提供し、需給バランスの調整が必要な場合に、このシステムが充電/放電を行う。
今回の取り組みは、実質的には系統用蓄電池事業への参入とみられる。現時点で蓄電池システムのメーカーは公表されていない。
政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、太陽光発電や風力発電などの再エネが拡大しつつあるが、再エネの出力は気象条件などにより大きく変動するため、電力の安定供給に必要な需給バランスの調整力として蓄電システムなどの普及が期待されている。
JR東海は、このシステムの検討・運用を通じて得られる知見を活かし、今後もカーボンニュートラルへのさらなる貢献を目指していく。
JR東日本も系統用蓄電池事業を展開
これまで、鉄道事業では、電車のブレーキ時に発生する回生電力の活用や、駅や鉄道施設の使用電力削減に向けた取り組みで、蓄電池が活用されてきた。
系統用蓄電池関連では、東日本旅客鉄道(JR東日本/東京都渋谷区)など9社が2025年3月、北海道札幌市に「北海道札幌蓄電所」(出力10MW、容量30MWh)を新設し、系統用蓄電池事業を展開することを発表している。稼働開始は2027年4月の予定。JR東日本は電力取引結果の管理を担う。この事業では国の補助金を活用している。
鉄道事業者関連では、東急パワーサプライ(同・世田谷区)が4月、「創エネ」「蓄エネ」のさらなる拡大を目指し、系統用蓄電所事業に参入すると発表している。同社は、再エネ100%電力による東急電鉄(同・渋谷区)の東急世田谷線の運行サポートをはじめ、東急線沿線を中心として「脱炭素・循環型社会」に向けた取り組みを展開している。
また、東急(同)は、東京都の系統用大規模蓄電池導入支援事業に採択され、2027年度までの稼働開始を目指す総開発規模46MW/184MWhの系統用蓄電所事業を推進している。この事業では、東急と東急パワーサプライの両社がそれぞれ投資を行う予定。
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2026.06.10
太陽光発電アセス対象拡大、パブコメ募集開始 7月1日まで
環境省は6月2日、太陽光発電事業を対象とする環境影響評価(環境アセスメント)の規模要件見直しに向け、「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令案」に関するパブリックコメントの募集を開始した。募集期間は7月1日まで。
今回の改正案は、近年各地で発生している大規模太陽光発電事業(メガソーラー)を巡る環境影響や地域とのトラブルへの対応強化を目的としたもの。環境省は、太陽光発電事業に対する環境アセスメントの対象規模を見直し、事業計画の早い段階から環境保全上の配慮を促す考えだ。
アセス必須の第1種は4万→2万kW、個別判断の第2種は3万→1.5万kWに 経過措置も
改正案では、太陽光発電事業に係る環境アセスメントの対象規模を引き下げる。現行制度では、出力4万kW以上の事業を環境影響評価が義務付けられる「第一種事業」、出力3万kW以上4万kW未満の事業を、個別にアセス実施の要否を判断する「第二種事業」としている。
これを見直し、第一種事業の対象を出力2万kW以上に拡大するとともに、第二種事業の対象を出力1万5000kW以上2万kW未満へ引き下げる。新設工事に加え、発電設備の新設を伴う変更工事も対象となる。
改正により、これまで環境影響評価法の対象外だった中規模の太陽光発電事業も新たにアセス手続きの対象となり、環境影響への配慮や地域との合意形成の促進を図る。
また、現行制度で第二種事業に該当し、改正後に第一種事業へ移行する案件については経過措置を設ける。施行前に既に環境影響評価法に基づく手続きを開始している場合は、施行後も引き続き第二種事業として手続きを進められるようになる。施行日は2027年4月1日を予定している。
メガソーラーを巡る環境・地域課題を受け制度見直し
環境アセスメントは、大規模な開発事業の実施前に環境への影響を調査・予測・評価し、その結果を事業計画に反映させる制度。太陽光発電事業については、出力4万kW以上の案件が環境影響評価法に基づく第一種事業、出力3万kW以上4万kW未満の案件が第二種事業として区分されている。
環境省はこれまで、有識者による検討会を設置し、太陽光発電事業に対する環境アセス制度のあり方について議論を進めてきた。検討会では、太陽光発電設備の大型化や開発地域の拡大に伴い、森林伐採や土砂災害リスクの増大、景観や生態系への影響などが課題として指摘されていた。
また、再エネ導入の拡大を進める一方で、地域住民の理解や合意形成を確保することが重要との認識も共有されている。こうした背景から、環境省は2025年末に公表した「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を踏まえ、環境アセスメント制度の見直しを進めており、今回の政令改正案はその具体化に当たる。
今回のパブリックコメントは、これまでの検討結果を踏まえた政令改正案について広く意見を募るもの。環境省は寄せられた意見を踏まえて必要な検討を行い、政令改正に向けた手続きが進められる見通しだ。
なお、太陽光発電事業の環境アセス対象規模見直しの具体的な内容や検討会での議論の詳細については、関連記事で詳報している。
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2026.06.09
カルコパイライト太陽電池、雪国×室内設置で性能検証 新潟県の補助金も活用
大日本ダイヤコンサルタント(東京都千代田区)は6月2日、新潟県妙高市役所にて、雪国環境下における次世代型太陽電池の有効性を検証する実証事業を開始したと発表した。
この事業は、新潟県の補助金を活用し、SOLABLE(同)と共同で実施。PXP(神奈川県相模原市)のフレキシブルな「カルコパイライト型太陽電池」を用いて、雪国における発電性能や災害時を見据えた運用体制を検証する。
カルコパイライト太陽電池を雪国×室内設置 実用化に向けデータを蓄積、運用手順を確立
PXPのカルコパイライト型太陽電池は、従来型太陽電池の1/10以下の軽さで、柔軟に曲がり曲面にもフィット、衝撃や振動に強く割れないなどの特長を持つ。従来型太陽電池の課題を克服した新技術の太陽電池として、国内でも実用化が期待されている。
今回の実証では、通常時は市役所コラボサロンのガラス面に設置し、通常時の発電性能検証、市民への普及啓発を行う。雪に影響されない「室内での設置効果」や、「雪面からの反射光」をどれだけ効率よく電気に変えられるかを詳細に検証する。
また、非常電源としての活用を想定し、各種イベント時や緊急時に屋外へ迅速に持ち出して利用するための簡易設置・運用手法を検証する。さらに市民へのPRとして、来庁者が次世代のクリーンエネルギーの利用を肌で感じられるよう、体感型の無料充電コーナーを提供する。これらの検証を通じて、実用化に向けたデータの蓄積と運用手順の確立を目指す。
「次世代型太陽電池×PPA」など新事業の展開も視野に
総合建設コンサルタントの大日本ダイヤコンサルタントは、この実証を通じて次世代型太陽電池の導入に向けたFS(実現可能性)調査や事業化手法・導入手法に関する知見を得るとともに、事業協力者とともにPPA(電力販売契約)などの新たな事業を展開していく。また、これらの取り組みを通じて、地域の脱炭素化と防災力向上に貢献していく。
カルコパイライト型太陽電池は、耐荷重制限により導入できなかった古い工場や、カーポートの屋根などに設置することで、PPAビジネスの拡大にも寄与することが期待されている。
PXPの次世代太陽電池には、多くの企業が注目し、出資・業務提携している。東京センチュリー(東京都千代田区)は5月、PXPに追加出資し、製品の優先供給を見据えた業務提携契約を締結したことを発表している。PXPは、カルコパイライト型とペロブスカイト型を組み合わせたタンデム型太陽電池の開発で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業にも採択されている
SOLABLEグループでは、技術革新を通じた社会・環境課題の解決を目指して、森林事業の成長産業化に向けたフォレストソリューションや、テクノロジーソリューションを展開している。テクノロジーソリューションの1つとして、次世代太陽電池の開発・製造を行うPXPに出資、研究開発をサポートしている。
新潟県の2026年度の次世代型太陽電池補助金、まだ公募中
新潟県は、2050年までの脱炭素社会の実現に向けて、積雪地域における再エネの導入を推進している。しかし、積雪地域における太陽光発電の普及には、積雪による荷重や厳しい気象条件への対応が大きな課題となっている。
そこで、今回の実証で活用する新潟県の「次世代型太陽電池実証支援事業補助金」では、商用化されていない次世代型太陽電池を用いた、豪雪地帯での太陽電池の設置に関する課題解決に資する実証事業を支援している。
JFEエンジニアリング(東京都千代田区)など3社は5月、この補助金を活用して、カルコパイライト太陽電池を活用した自治体向け太陽光PPAサービスを開始したことを発表している。
また、新潟県は、この補助金について、2026年度の公募を6月30日まで実施している。補助率は1/2で、補助上限額は1500万円。2件程度に交付する予定。
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2026.06.08
大分県日出町の系統用蓄電事業(51MW)、伊藤忠エネクスも出資
伊藤忠エネクス(東京都千代田区)は5月29日、大分県日出町で計画されている系統用蓄電池事業に参画すると発表した。
同社は本事業を推進する特別目的会社(SPC)に対し、国内企業3社と共同で匿名組合出資を行う。再エネの導入拡大に伴って高まる調整力需要への対応を図るとともに、電力系統の安定化に貢献する。
事業の対象となる蓄電池設備は、定格出力51MW・定格容量204MWhの特別高圧系統用蓄電所。九州エリアにおける大型案件のひとつで、2028年9月の運転開始を予定している。SPCでは、あおぞら銀行(東京都千代田区)をアレンジャーとするプロジェクトファイナンスを組成しており、事業キャッシュフローを返済原資とするノンリコース型の資金調達スキームを採用する。
系統用蓄電池の重要性高まり、参入プレイヤー増加中
九州エリアは全国有数の太陽光発電導入地域として知られ、再エネ比率の上昇に伴う出力制御や需給調整への対応が強く求められるエリアだが、再エネの有効活用や電力系統の安定化を支える重要なインフラとして系統用蓄電池への期待は一層高まっている。
発電設備に併設される蓄電池とは異なり、送配電網に直接接続される系統用蓄電池は、電力価格の変動に応じた充放電や需給調整市場への参加を通じて収益を確保するとともに、周波数調整や需給逼迫時の電力供給など、多面的な役割を担う。
上記のような背景もあり、容量市場や需給調整市場、卸電力市場といった新たな収益機会も整備され、国内の系統用蓄電池市場はここ数年で急速に拡大中だ。商社やエネルギー事業者、金融機関、インフラファンドなど幅広いプレーヤーが参入している。
伊藤忠グループも蓄電池事業を重点分野のひとつに位置付けており、伊藤忠商事は2023年に東京都と連携して日本初となる系統用蓄電池専業ファンドを立ち上げたほか、その後も運用規模の拡大を進めている。系統用蓄電所への投資を通じて、再エネ導入拡大と電力系統の安定化を後押しする考えだ。
また、伊藤忠商事はAIを活用した蓄電池運用技術の開発や蓄電システム事業にも注力しており、全国で系統用蓄電池プロジェクトへの参画を進めている。6月には福岡県筑前町における系統用蓄電所事業の共同推進も発表しており、蓄電池を活用した電力調整力ビジネスの拡大を加速している。
伊藤忠エネクスは、LPガスや石油製品販売を中心とした従来事業に加え、近年は再エネやPPA、蓄電池など脱炭素関連事業を強化している。自家消費型太陽光発電サービスや再エネ電力供給サービスの展開を進めるほか、企業の脱炭素経営を支援するソリューション提供にも力を入れている。
今回の出資参画もその一環と位置付けられる。再エネの普及が進むほど、発電量の変動を吸収する調整力の価値は高まる。系統用蓄電池は脱炭素社会を支える基盤インフラとして注目されており、伊藤忠エネクスは本事業を通じてエネルギー供給の安定化とカーボンニュートラル実現への貢献を目指す。
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2026.06.07
トヨタグループ、自社サプライチェーンにPPAで再エネ供給 中部電力と連携
中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)は6月1日、豊田通商(同・豊田市)と協働し、トヨタグループの自動車部品メーカー・東海理化(同・丹羽郡大口町)が取引を行うサプライヤー12社に、オフサイトPPAの仕組みを活用した新たなCO2フリー電気メニューを提供開始したと発表した。
同メニューは豊田通商グループのユーラスエナジーホールディングス(東京都千代田区)が九州地方に保有する風力発電所由来の環境価値を中部電力ミライズが調達し、さらに別途調達する環境価値(非化石証書)を活用することでCO2フリー電気とし、トヨタグループ社のサプライヤーに供給するもの。
東海理化の仕入先12社がこの新メニューを導入したことにより、サプライチェーンにおいて年間約2,219tのCO2排出量削減が見込まれる。
トヨタグループの再エネ電源をグループ内で活用 サプライチェーンと連携するPPA導入事例が増える
今回、中部電力ミライズと豊田通商が共同開発した同メニューは、トヨタグループが保有する再エネ電源をグループ内で有効に循環させ、サプライチェーン脱炭素化につなげることを目的とし、同メニューの契約期間は最大で約5年間と、通常のオフサイトPPAサービス(契約期間20年間)と比べ、脱炭素目標の達成状況などに合わせて柔軟に導入できる設計にされている。
2027年3月期から時価総額3兆円以上、2028年3月期からは時価総額1兆円以上の企業を対象に、「有価証券報告書」へのGHG排出量の記載が段階的に義務化される。このためトヨタ自動車など日本を代表する超巨大企業は、グループのサプライヤーを含めたCO2排出量の情報開示および削減が早急に求められている。
サプライヤーが使用する電力由来の排出量は、当該サプライヤー自身にとってはScope2排出量にあたるが、発注側企業にとっては購入部品・材料などに伴うScope3排出量にあたる。今後、SSBJ基準に基づくサステナビリティ開示の段階的な適用が進むなか、サプライヤーの排出量データの把握や、調達先を巻き込んだ削減策の実装は、大企業グループにとって実務上の重要性を増している。
たとえば、山善(大阪府大阪市)は2021年にDaigasエナジー(同)と共同ブランド「DayZpower(デイズパワー)」を立ち上げコーポレートPPA事業を展開。山善の仕入先企業を中心に再エネ電力の供給を行うというモデルを拡大している。このモデルでは、契約を結んだ顧客(仕入先企業)の工場・店舗・物流拠点の屋上や敷地の遊休地などに、太陽光発電パネルを無償で設置するオンサイトPPAの仕組みで再エネを供給することでサプライチェーンの脱炭素化を促進する。
また、JFEエンジニアリング(JFEエンジニアリング/東京都千代田区)は6月1日より、笠岡モノパイル製作所(岡山県笠岡市)、JFEエンジニアリング100%出資の子会社で新電力のアーバンエナジー(神奈川県横浜市)が提供する太陽光発電コーポレートPPAサービスを導入し運用開始したと発表した。
この取り組みは、JFEグループの3社が、需要家、PPA事業者、太陽光発電設備のEPC(設計・調達・建設)を担い、グループ内で再エネ導入を完結させている事例。
再エネ電気の需要家である笠岡モノパイル製作所のオンサイトに太陽光発電設備を設置し、これによる電力を用いて洋上風力発電設備の基礎となる「モノパイル」の製造に充当するだけでなく、オンサイトで余剰となった電力を近接するJFEグループの拠点に融通するという取り組みだ。
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