- ホーム
- インフォメーション
-
2026.03.09
国産蓄電池を中核にEMS・アグリゲーションを一体提供 パワーエックスら
ニシム電子工業(福岡県福岡市)、丸紅新電力(東京都千代田区)、パワーエックス(岡山県玉野市)は3月3日、太陽光併設型蓄電池・系統用蓄電池パッケージ商品の提供を開始した。
パワーエックス製の国産蓄電池を中核に、ニシム電子工業のエネルギーマネジメントシステム(EMS)と丸紅新電力のアグリゲーション運用とを組み合わせ、高度なセキュリティ要件を満たす蓄電池パッケージ商品の長期安定稼働と事業性の両立を支援する。
高いセキュリティと安定保守を確保、リサイクルスキームも構築
九州電力(福岡県福岡市)子会社のニシム電子工業と、丸紅(東京都千代田区)子会社の丸紅新電力は1月、系統用蓄電池と太陽光併設型蓄電池のシステム提供からアグリゲーション業務までをシームレスかつ一体的に行うパッケージ商品の提供を開始した。今回パワーエックス製蓄電池「Mega Power 2500」を機器構成の中核に据え、3社連携による新たなパッケージ商品として提供を始める。
標準採用する「Mega Power 2500」は、経済産業省が主導するセキュリティ評価制度「JC-STAR」の適合ラベル(レベル1)を取得済み。重要インフラに求められる高いセキュリティ水準と、国内製造による安定的な保守体制が確保されている。
また、新たなパッケージの展開にあたっては、将来的な使用済み太陽光パネル・蓄電池のリサイクルスキームの構築も目指していく。製造から廃棄までを見据え、環境負荷低減に向けて、3社で協議・検討を進めていく。
3社連携で安定稼働の実績、スムーズな事業開始を可能に
3社は、これまで培ってきた連携体制を基盤に新たなパッケージを提供し、昨今の市場ニーズに応える。
丸紅新電力が2024年10月より運転を開始した「三峰川伊那蓄電所」(⾧野県伊那市)には、パワーエックスとして初めてとなる系統用蓄電池が納入されている。ここでは、ニシム電子工業のEMSと連携して実際の電力取引と系統運用において1年以上にわたる安定的な稼働実績を有している。この蓄電所での連携・運用実績を基盤とすることで、初期連携工数を大幅に削減し、スムーズな事業開始と安定稼働を実現する。
また、パワーエックスとニシム電子工業は2月、電力系統からの充電を行う太陽光併設型蓄電システムとして、一次調整力対応で国内初となる一般送配電事業者の認定を取得している。
NTTアノードエナジーとも連携
パワーエックスは岡山県玉野市の自社工場で高品質な蓄電システムを製造している。蓄電システムを活用し、国産エネルギーを推進することで、エネルギーの安定供給と国内自給率アップへの貢献を目指している。
同社は3月3日、NTTアノードエナジー(東京都港区)が北海道函館市に新設した蓄電所向けに、系統用蓄電システム「Mega Power 2700A」3台(合計容量:8,226 kWh)を納入したことを報告している。NTTアノードエナジーは、全国8拠点の蓄電所において、パワーエックス製蓄電システムを導入している。両社は2月、蓄電システムの保守業務における連携をはじめ、両社の蓄電池事業の拡大に向けた具体的な協業の検討を開始することでも合意している。
また、パワーエックスは、インターネットイニシアティブ(同・千代田区)と蓄電システムとコンテナデータセンターを活用した協業の検討も始めている。
記事内容へ -
2026.03.08
総出量22万kW、国内最大規模の洋上風力発電が稼働 北九州響灘
福岡県北九州市は3月2日、国内最大規模の洋上風力発電所となる「北九州響灘洋上ウインドファーム」の営業運転を3月2日より開始した。
総出力は22万kWで、約17万世帯分に相当する発電が可能。北九州市はこれを弾みに、洋上風力関連産業の集積を進める方針だ。
2023年3月に着工、総事業費は約1700億円
同発電所には、定格出力9600kWの中国・Vestas製大型風車25基を設置した。今後20年間にわたり、FIT制度を活用して発電事業を行う。FIT単価は36円/kWh。
同事業は、北九州市が実施した「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業者公募」で、2017年2月に事業予定者として選定されたひびきウインドエナジー(福岡県北九州市)が進めてきた。「鉄の街」での新たなエネルギー創出に向け、各種調査や準備を経て、2023年3月に着工した。総事業費は約1700億円。
ひびきウインドエナジーには、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)、電源開発(東京都中央区)、北拓(北海道旭川市)、西部ガス(福岡県福岡市)、クラフティア(同)が共同出資している。
年間発電量は約5億kWh、約17万世帯分を供給
九電みらいエナジーによると、同ウインドファームは現時点で国内の洋上風力発電の総出力の約4割を占める規模となる。年間発電量は約5億kWhを見込み、CO2削減効果は年間約27万tに達する見通しだ。これは、北九州市の家庭部門のCO2排出量の約4分の1に相当するという。
発電所の愛称は「Wind KitaQ 25(ウィンド キタキュウ ニジュウゴ)」。市民から募集した案の中から決定した。4月下旬には記者会見を含む竣工式典を予定している。
洋上風力クラスター形成へ、参画各社がノウハウ獲得
北九州市は、今回の営業運転開始を契機に、風力発電関連産業の総合拠点化を進め、洋上風力クラスターの形成を目指すとしている。
国も、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化を掲げており、第7次エネルギー基本計画では洋上風力発電を「再エネ主力電源化の切り札」と位置付けている。
ひびきウインドエナジーを通じて参画する九電みらいエナジーは、事業環境に厳しさがある一方で、リスクマネジメント、複雑な海底地盤や大型風車の採用を前提とした設計認証・施工、ファイナンス、地域共生などの知見は、今後の洋上風力開発に向けた強みになるとしている。
また、Jパワーグループは、全国各地での風力発電所の運営実績を活かし、2050年カーボンニュートラルと水素社会の実現に向けた「BLUE MISSION 2050」に基づいて、再エネ事業の持続的な開発と安定運転に取り組む方針を示した。西部ガスグループも、中期経営計画で掲げる「電源の脱炭素化」の一環として、再エネ電源取扱量の拡大を進める考えだ。
西部ガスグループは、グループ中期経営計画において、カーボンニュートラルへの取り組みの1つとして、再エネ電源取扱量の拡大を通じた「電源の脱炭素化」に取り組んでいる。
記事内容へ -
2026.03.07
中小包装資材メーカーのミカサ、新工場で自家消費型太陽光発電 再エネ導入
緩衝材・包装資材メーカーのミカサ(長野県松本市)は3月3日、井川城工場(同)に22.2kWの自家消費型太陽光発電設備を導入したと発表した。より環境負荷の少ない製品製造を実現するための取り組みで、2月27日より運用を開始している。
オンサイトの太陽光発電、再エネ自家消費で年間13tのCO2削減
井川城工場は2025年1月に竣工した新工場。同工場の屋根の一部(約106m2)に、発電出力22.2kWの自家消費型太陽光発電システムを設置した。初年度の発電電力量は約2万7000kWh(一般家庭約7軒分の年間消費電力量相当)を見込む。また、同施設のエネルギー消費によるCO2排出量は約13t-CO2/年(杉の木換算約1,500本)削減される見通しだ。
30人の従業員全員で、地域社会と協調し「地球を守る」ものづくり
同社は従業員数30人という少数精鋭の組織でありながら、環境負荷低減につながる取り組みを重視した事業活動を行っている。
従業員全員で協力し、産業廃棄物の排出量半減およびそれに伴うCO2排出量削減などに取り組み、地域や社会に貢献する製品づくりに注力する。2006年6月には、環境省が主導するエコアクション21認証を取得。2021年1月に長野県SDGs推進企業に登録され、2024年3月には「健康経営優良法人2024」に認定された。
新工場である井川城工場への太陽光発電システム導入は、十分な発電量が見込まれることが決め手となり導入に至ったという。オンサイトの再エネ発電で得た電気を自家消費することで、製品製造の脱炭素化をさらに加速させる考えだ。
BCP強化、床面かさ上げ水害対策も
また、新工場では事業継続計画(BCP)に基づき、床面を90cmかさ上げし水害対策も施した。なお同工場は、現場の解体、新工場の設計・建設、資金調達などすべて松本市を拠点とする各事業者との協業により建設された。環境負荷の低減、災害対策強化、地域・社会貢献を柱とした事業を展開する。
記事内容へ -
2026.03.06
札幌市、ペロブスカイト太陽電池の積雪寒冷地向け実証 YKK APら3社と
YKK AP(東京都千代田区)、西松建設(同・港区)、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)は共同で3月2日、札幌市役所本庁舎19階の展望回廊において、次世代型太陽電池を搭載した建材一体型太陽光発電(BIPV)内窓の発電性能について実証を同日より開始したと発表した。3社はペロブスカイト太陽電池を用いた発電システム構築の共同実証契約を同日締結した。
同実証は、札幌市が私有施設へ次世代型太陽電池を将来的に実装することを視野に、積雪寒冷地における有効性の検証を行う事業として実施される。
積雪寒冷地の札幌市本庁舎にBIPV内窓を実装し、発電性能などを検証
同実証において、札幌市役所本庁舎19階の展望回廊(南側通路)の窓2面に、ペロブスカイト太陽電池を用いたBIPV内窓を設置し、2027年1月まで発電データの取得を行う。
発電性能や、垂直発電の有効性・積雪反射などの影響下における発電性能の増減、平置き設置(既存データを活用)との発電性能の差について検証を行う。また、市有施設への実装方法を検討し、課題抽出と対策を検討する。
曇り空や室内光でも高効率な発電可能 エネコートテクノロジーズ社製のペロブスカイトを活用
今回の実証では、賃貸物件などへの設置を想定し、YKK APが木枠を使用した内窓を製作した。
また、エネコートテクノロジーズが、2窓で計6枚のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の試作品を製作し提供した。同社が開発するペロブスカイト太陽電池は、晴天時だけでなく、曇天や室内光のような低照度の環境下でも高い発電能力を発揮するという特長を持つ。
西松建設は、BIPV内窓および計測機器など必要機材に付随する電気配線工事および養生などを担った。
ペロブスカイト太陽電池メーカーと連携し、BIPV内窓の開発を進めるYKK AP
YKK APが技術開発を進めるBIPV内窓は、太陽電池に適した独自のサッシ枠に、内窓と太陽電池を一体化させた製品。「窓で断熱(省エネ)」、「窓で発電(創エネ)」の2つの機能を併せ持ち、施工性・メンテナンス性にも優れる内窓として社会実装に向けた実証が行われている。2025年11月には、パナソニック ホールディングス(大阪府門真市)と実証を開始し、パナソニックが開発中のガラス型ペロブスカイト太陽電池を、YKK APのBIPV内窓に設置する実装検証を行っている。
積雪寒冷地の札幌市 BIPV実装を視野に市内の脱炭素を推進
札幌市は、2050年ゼロカーボン達成に向け2030年までに市内のGHG排出量55%削減(2016年比)を目指す。しかし積雪寒冷地であるため、平置きの太陽光発電設備を導入する上で障壁とされる課題は、冬期の積雪による発電量低下や、積雪荷重による既存建物の屋根などへ設置しにくい点などとされる。その解決策として、軽量で壁面にも施工可能なペロブスカイト太陽電池や、住宅の断熱性向上にも資するBIPVなどの技術に期待を寄せる。
同市は2025年1月20日に、YKK APとBIPVの実証実験について連携協定を締結した。これに基づき同年2月4日から11日まで開催された「さっぽろ雪まつり」の期間中、会場にBIPVの実証実験ハウス「SAPPORO ZERO BOX(サッポロ・ゼロ・ボックス)」を設置・展示をし実証を行った。その結果、積雪反射などの影響下での発電性能を確認した。
今回開始された本庁舎における実証は、札幌市環境局が実施した「札幌市次世代型太陽電池実証実験業務(札幌市役所本庁舎)」公募型プロポーザルにおいて、YKK APが採択され実施するもの。市民が自由に見学できるという市役所の利点を活かし、次世代太陽電池およびBIPVの認知向上を図るため、実証実験の様子を市民に向けて公開している。
駒岡清掃工場でもAGCと屋内設置型BIPV実証を同時に開始
また、札幌市は駒岡清掃工場(1階ロビー南側窓および3階東側窓)においても3月2日より、AGC(東京都千代田区)と次世代型太陽電池を用いた屋内設置型BIPVの実証実験を開始したと発表した。実証期間(2027年1月まで)および検証項目は本庁舎の実証と同じ。
記事内容へ -
2026.03.05
YKKAP×パナソニックのペロブスカイト実証 建材一体型内窓で配線も検証
パナソニックホールディングス(大阪府門真市)は3月2日、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の製品化に向けた実装段階の実証として、同社技術部門「西門真新棟」窓部で実証実験を開始することを明らかにした。
意匠・透過性の異なる3種類のサンプルを使って検証
「西門真新棟」は同社の技術開発拠点で、4月に本格稼働を予定している。ガラス型ペロブスカイト太陽電池の実証は、稼働開始を見据えた先行的な取り組みとして位置付けられる。
実証では、建材としての取り付け方法や太陽電池としての配線方法など、実装段階における技術検証を進めるとともに、意匠や透過性の異なる複数サンプルを用いて外観・性能の比較検証を行う。
実証で使用するガラス型ペロブスカイト太陽電池は、6mm+6mmの合わせガラス構成とし、サイズ・グラフィックパターン・透過性の異なる5枚を設置する。
意匠性および発電性能の比較検証を行うサンプル3種のサイズ・パターンの詳細(単位:mm)は以下の通り。
・W1673xH1000:リーフパターン(1枚)
・W670xH1392:グラデーション(2枚)
・W670xH1392:透過性比較用サンプル(2枚)
施工は、既設サッシを残した状態でガラスのみを撤去し、配線対応の新規サッシを後施工で増設。その内側にガラス型ペロブスカイト太陽電池を組み込む方式とする。 実装検証を行う場所にBIPV内窓を設置する。
YKKAPとガラス型ペロブスカイトの共同実証
パナソニックHDは2025年11月から、YKK AP(東京都千代田区)と、 ガラス型ペロブスカイト太陽電池をYKK APの建材一体型太陽光発電(BIPV)の内窓に設置する実装検証を開始している。検証は、YKK APが入居する「谷町YFビル」(大阪府大阪市)8階の室内における4窓で、約1年間行われる予定。
この実装検証では、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の内窓への据え付け方法を検討するとともに、施工性、透過性、意匠性、視認性について検証を行う。
BIPV内窓(4窓)はYKK APが製作・設置を行い、賃貸物件など既設窓に設置する方法である木枠(高耐候化木材)による施工方法を採用し、これについて検討する。また、今回の実装検証では、回路接続はされていないため発電性能の検証は行わないが、配線の取り回しまでを想定し施工している。
この内窓には、4種類の異なるデザインで製作したガラス型ペロブスカイト太陽電池の試作品を取り付ける。
試作品4種類のデザインは、デザイン+文字入り、グラデーション柄、透過性(2パターン)。透過性は、ペロブスカイト太陽電池層にレーザー加工を施すことで、光を通す領域を形成した。加工の度合いに応じて透過性が変化し、それに伴い発電性能も変化するため、建築用途や設置環境に応じ柔軟な選択ができる仕様だという。
実用化に向け技術開発と実証が進むYKK APのBIPV内窓
BIPV内窓は、太陽電池に適したサッシ枠を独自開発し、内窓と太陽電池を一体化させたものを1つの製品として、YKK APが技術開発を進めている。「窓で断熱(省エネ)」、「窓で発電(創エネ)」の2つの機能を持ちながら、施工性・メンテナンス性にも優れる内窓として社会実装に向けた実証が行われており、2025年8月から東京都港湾局、関電工(東京都・港区)、東芝エネルギーシステム(神奈川県川崎市)と共同でテレコムセンタービル(東京都江東区)にフィルム型モジュールの次世代型ソーラーセルを活用したBIPVを設置し、創エネ効果などを検証する実証が開始された。また、同年10月28日からは今回の実証場所である谷町YFビルの6・7階(計27窓)においても、系統連系し運用した場合の実装検証を開始している。
国のペロブスカイト太陽電池導入目標は「2040年までに20GW」
2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」において、太陽光発電の電源構成比率(2022年度実績で9.8%)を2040年までに23~26%に引き上げる方針が示され、ペロブスカイト太陽電池を2040年までに20GW導入するという目標が明記された。
形状や施工性についてフレキシブルな特徴を持つペロブスカイト太陽電池は、建物の窓や壁面などに施工できることから、国内の平地面積が限られた地域での再エネ導入手段として期待される。
ビルの窓などに設置する場合などは透過性や意匠性も重視されるが、パナソニックHDが開発中のガラス型ペロブスカイト太陽電池は、サイズや透過性、描画の自由度が高いことから、こうした状況への対応を見込む。独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせることで、これらの特長を実現した。
記事内容へ -
2026.03.04
アイ・グリッド、堺市で再エネ地産地消モデル始動 分散型太陽光をAIで集約
アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都港区)は2月26日、大阪府堺市内にある複数の民間施設の屋根上に設置された太陽光発電設備の余剰電力を集約し、堺市役所本庁舎(本館・高層館)へ供給する取り組みを本格始動したと発表した。
このプロジェクトは、自治体と連携し、地域内で発電した再エネを地域内で消費する「地産地消」を実現するもの。「再エネ発電の適地不足」という都市部企業の課題に対し、AIによる需給最適化技術で対応を図る点が特徴だ。分散した屋根上太陽光の余剰電力を集約し需要側へ供給することで、単独企業では難しい再エネ拡張の可能性を広げるモデルといえる。
分散電源をAIで制御、余剰電力を有効活用
同社はこれまで、スーパーマーケットや工場など法人施設の屋根を活用した太陽光発電設備の導入を促進し、全国46都府県で約1300カ所を開発してきた。既存建物の屋根を活用することで、新たな土地造成を伴わない分散型電源の拡大を実現している。
企業や施設の屋根上などに設置された分散型太陽光発電設備で生じる、自施設では使い切れない余剰電力を、同社独自のAIを活用したアグリゲーション技術で集約・制御する。発電量や需要量を施設ごとに解析・調整することで、発電施設単体では活用しきれなかった電力を他施設へ融通し、安定供給を可能にする仕組みだ。
堺市モデルを横展開へ、再エネ地産地消を軸に地域GX推進
堺市での取り組みでは、地域との共生に配慮し、地元の民間事業者による太陽光発電設備の設置から電力供給、堺市役所本庁舎での利用まで一貫した枠組みとして進め、再エネ活用を最大化する。
エネルギー価格の高騰や過疎地域における若年層の流出、都市部での再エネ適地不足など地域課題が顕在化する中、再エネを「つくる」だけでなく、地域内で循環させ価値を地域に還元する取り組みの重要性が高まっている。
同社は、分散型再エネの地産地消を起点に、脱炭素化やレジリエンス強化、地域経済の活性化、暮らしの質の向上を自治体や地域企業とともに実現する都市モデル「GX City構想」を掲げており、堺市の取り組みを実装モデルと位置付ける。今後は自治体や地域企業と連携し、持続可能な地域GXの実現を目指す考えだ。
地域金融と連携、脱炭素投資を支援
また同社は2023年、栃木銀行(栃木県宇都宮市)と、再エネ事業を手がける新会社「クリーンエナジー・ソリューションズ」を設立した。
地域自治体や中小事業者にとって、再エネ導入や脱炭素経営への転換に伴う費用負担は依然として課題である。新会社では、地域特性を活かした再エネ事業を展開し、地元自治体や企業の脱炭素化を後押ししている。
記事内容へ -
2026.03.03
大林組、発電事業拡張 物流施設屋根を活用したフィジカルPPA事業に着手
大林組(東京都港区)は2月26日、自社開発中の物流施設の屋根上に設置する太陽光発電設備を活用し、フィジカルPPA方式による再エネ供給事業に着手すると発表した。 この事業は、大林組グループのグリーンエネルギー事業の一環として実施されるもので、オンサイトの電力需要を満たすだけでなく、余剰電力をオフサイトの需要家にも供給する点が特徴だ。
自社開発施設の余剰再エネをオフサイト需要家にも供給
具体的には、大林組が開発中の物流施設「(仮称)OAK LOGISTICS CENTER厚木」の屋根上に、グループ会社の大林クリーンエナジー(東京都港区)が太陽光発電設備を設置し、同施設へ電力を供給する。
系統連系出力は1.6MWで、年間発電量は260万kWhを想定。CO2削減効果はオンサイトとオフサイト合わせて約2,796t(オンサイト227t・オフサイト約2,569t)となる見通しだ。
物流施設が消費しきれない余剰電力は、FIP制度を活用し電力市場を通じて、大林グループが運営する商業施設や工場など複数施設に供給する。
また、夜間や曇天時など太陽光発電で賄えない時間帯の電力は、大林クリーンエナジーが取次事業者として環境価値付きで販売する。これにより、対象施設において再エネ導入率の実質100%達成を目指す。運転開始は2027年1月以降を予定している。
「(仮称)OAK LOGISTICS CENTER厚木」の概要
同施設は、4階建て、敷地面積2万7591.58m2、延床面積6万1877.58m2。屋上への太陽光発電設備設置に加え、構造部分に使用するコンクリートの一部には、大林組が開発した低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」の採用を予定している。また、建設フェーズ、運用フェーズの双方における環境配慮により、CASBEE、BELSなどの環境認証を取得する予定。
発電事業のノウハウを建設分野に展開
大林グループは2019年に「Obayashi Sustainability Vision 2050」を策定し、「地球・社会・人のサステナビリティの実現」を掲げてグループ一体で脱炭素への取り組みを進めている。今回の事業も、自己託送制度を活用した電力供給やバーチャルPPAに続く、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環と位置付ける。
これらの取り組みを通じて発電事業で培った知見やノウハウを、建設事業における顧客の脱炭素ニーズへのソリューション提案に生かす考えで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげるとしている。
記事内容へ -
2026.03.02
コスモ石油のガソスタ跡地、蓄電所にシフト 1.3億円の補助金も活用
コスモエネルギーホールディングス(東京都中央区)は2月25日、長崎県と宮城県で、ガソリンスタンド(サービスステーション/SS)跡地を活用した高圧系統用蓄電所を建設すると発表した。
SS跡地や遊休地を電力インフラとして再活用する取り組みで、これまでの蓄電ビジネス実証で得た知見を生かし、グループ一体で事業拡大を進める。
2拠点で計約4MW、2027年度より順次運転開始
コスモエネルギーHDは、コスモ石油マーケティング(東京都中央区)が管理する敷地で建設に着手した。2027年度下期の運転開始を予定している。ともに発電出力は約2MW、蓄電池容量は約8MWh。
長崎県松浦市に建設する蓄電所では、パワーエックス(東京都港区)製蓄電池を採用する。宮城県仙台市に建設する蓄電所で採用する蓄電池は未定だ。
なお、長崎県松浦市の蓄電所は、2025年12月に経済産業省の系統用蓄電池などの導入を支援する補助金に採択されている。補助額は約1億3327万円。
需給調節や容量市場への参画を計画
2拠点の蓄電所では、卸電力市場に加え、需給調整市場や容量市場への参画による取引を計画している。これらの取引業務は、グループ会社のコスモエネルギーソリューションズ(東京都中央区)が担う。
コスモエネルギーHDでは、この2拠点にとどまらず、今後も系統用蓄電所や再エネ併設蓄電池の開発・運用を継続的に検討していく予定。
SS跡地を低炭素社会に向けたインフラに転換
全国のSS数は、ガソリン需要の減少、地下タンク漏えい対策に係る負担、後継者難などにより減少し続けている。石油連盟(東京都千代田区)によると、SS数はピークを迎えた1994年度末の60,421カ所から2024年度末には27,009カ所へと減少しているという。
一方、近年、再エネの導入拡大に伴い、電力系統における混雑や出力制御の頻発が課題となっており、再エネの出力変動に応じて柔軟に充電・放電のできる蓄電池のニーズが高まってきている。
コスモエネルギーグループは、これまでの実証を踏まえ、高圧系統蓄電所はその規模感、全国的な配置可能性からSS跡地との親和性が高いことから、既存資産を活用した低炭素社会の実現を支えるインフラとして転換できると考えている。
また、同グループでは、中長期のビジョン「Vision 2030」で、再エネ発電~需給調整・蓄電~グリーン電力販売によるグリーン電力サプライチェーンの強化を掲げている。その一環として、石油エネルギーの供給地点であったSSを再エネの安定供給を支える電気エネルギーの調整拠点として再定義・活用していく。
実証で系統用蓄電池の運用ノウハウを蓄積
コスモエネルギーHDでは、これまで三重県四日市市、埼玉県幸手市、愛知県長久手市、大阪府東大阪市において蓄電池設備の実証に取り組んできた。これらの実証を通じて、蓄電池設備の建設から運用までをグループで一貫して手がける体制を構築するとともに、蓄電池の充放電制御を最適化する自社エネルギーマネジメントシステム(EMS)の構築や、EMSを活用した電力市場取引の最適化など、系統用蓄電池に関する運用ノウハウを蓄積してきた。
記事内容へ -
2026.03.01
ENEOSから10物件を取得 系統用蓄電池向け用地拡大へ、ライフワン
系統用蓄電池物件のマッチングや売買ポータルサイト「系統用蓄電池.com」を運営するライフワン(東京都新宿区)は2月24日、系統用蓄電池用地として、ENEOS(同・千代田区)が保有する10物件の土地を取得したと発表した。再エネ拡大を背景に系統用蓄電池が独立インフラとして評価される中、事業拡大を見据えた複数物件の取得となる。
系統用蓄電池の一元的なサポートサービスを展開
電力会社の系統に直接接続する系統用蓄電池は、電力インフラの安定化に資するとともに電力取引きが行われる各市場において売買益を確保するモデルとして需要が高まっている。
日本全国で系統用蓄電池の用地取得および開発を手がけるライフワンは、土地の選定から設備設置、保守、最適運用まで一貫してサポートするサービスを提供している。同社は2025年12月23日に、東京ガス(東京都港区)と提携し、高圧系統用蓄電池を対象とした最適運用サービスを委託開始した。初号案件は、ライフワンが所有する系統用蓄電池(出力2MW、容量8MWh)5件について運用を委託したほか、今後の新規開発案件も優先的に東京ガスが運用を請け負うことで合意した。東京ガスとの業務提携を契機とし、ライフワンは自社物件の運用から得た生の市場データや最適運用の知見などを、同社が運営するプラットフォームのサービス向上に反映させることを目指す。
ENEOSから総面積1万5000m2以上を取得
今回、ENEOSから取得した用地は、東北から九州エリア計10カ所で、総面積は約1万5027.61m2。10物件の概要は以下の通り。
・東北電力エリア:宮城県仙台市(678.52m2)、秋田県能代市(602.34m2)、同・横手市(2,312.62m2)
・東京電力エリア:茨城県土浦市(1,245.32m2)、同・つくば市(1,613.66m2)、 同・稲敷郡(1,784.13m2)、群馬県藤岡市(1,337.54m2)
・中部電力エリア:愛知県犬山市(1,367m2)
・九州電力エリア:鹿児島県伊佐市(3,101.48m2)、同・指宿市(1,360.22m2)
ポータルサイトで用地売買情報を掲載
同社のポータルサイト「系統用蓄電池.com」では、系統接続見込みの用地売買情報が掲載されているほか、系統用蓄電池事業に新たに参入したい事業者や、用地選定を任される担当者、投資家などが活用できる情報なども提供している。
政府、大規模な系統用蓄電池など電力貯蔵システム導入支援に予算増大見込み
国は再エネの主力電源化に向け、電力需給調整を担う系統用蓄電池事業への参入を強力に推進しており、2026年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業」の当初予算案を、前年度の当初予算を大幅に増額し、350億円(補正予算80億円)とした。同事業の2025年度補助金(予算額400億円)は37案件が採択された。
記事内容へ -
2026.02.28
中電ミライズ、米原長岡蓄電所が運転開始 「地域アグリゲータ事業」本格化へ
中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)は2月20日、滋賀県米原市に新設した蓄電所「米原長岡蓄電所」の営業運転を開始した。同社にとって初の系統用蓄電所で、建設から保守、運用までを自社で一貫して手がける案件となる。
出力は990kW、容量は4936kWh
系統用蓄電池は、再エネ導入拡大に伴い不均衡になりやすい電力の需給バランス調整に有効な設備である。米原長岡蓄電所では、余剰電力時間帯の充電と不足時間帯の放電を遠隔で制御し、電力系統全体の安定化に寄与する運用を行う。
定格出力は990kW、容量は4,936kWhで、一般家庭約570世帯の1日分の消費電力量に相当する。リチウムイオン電池を採用し、関西エリアの送配電網に接続し、需給調整機能を担う。
「地域アグリゲータ事業」への足がかり、4月以降に京都で本格始動
中部電力ミライズは、同蓄電所を単なる設備運用ではなく、「地域アグリゲータ事業」として展開する計画だ。
同社はこれまでも顧客の蓄電池などのエネルギーリソースを最適制御し、調整力として複数用途に活用するマルチユース運用を実証してきた。実証では、同社が開発したDR高速制御エンジンを活用し、蓄電池など多様な需要側リソースを制御。各リソースの特性を踏まえた制御により、経済性の観点でリソースの価値を最大化している。
同社は、今回の取り組みを地域内の複数の蓄電リソース(事業者・自治体・顧客設備)を統合制御し、調整力や電力市場への供出価値を創出する事業モデルと位置付ける。4月以降には、宗教法人仁和寺をはじめとする京都市内の顧客設備などとの統合制御を進めるとしている。
パワーエックス、中部電力ミライズ向けに系統蓄電システム納入
同蓄電所は、パワーエックス(岡山県玉野市)社製の系統蓄電システム「MegaPower2700A」2台(合計容量4,936kWh)を採用した。中部電力ミライズへの納入は今回が初となる。
同製品は、標準20フィートISOコンテナタイプで、1台当たりの公称容量2,742kWh、定格容量2,468kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載する。岡山県玉野市のパワーエックス国内製造ラインで生産しており、再エネ電力の吸収・放出を通じた需給調整と系統安定化の活用を想定している。
記事内容へ





































































