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2026.02.02
住宅用太陽光発電業界に役立つデータ多数 「設置義務化」分析レポートまとめ
公益財団法人 自然エネルギー財団(東京都港区)は1月26日、太陽光発電の設置義務化に関する研究レポート「太陽光発電の設置義務化の効果 ― 住宅に広がり、光熱費の削減に」を公表した。
同レポートでは、東京都と川崎市が2025年4月に開始した設置義務化により住宅への太陽光発電導入が加速し、光熱費削減が進んでいることなど、住宅向け太陽光発電市場に関する重要な情報が多く掲載されている。
住宅用太陽光発電を導入した人の87%が満足、最大の理由は「光熱費削減」
川崎市が2025年3月から4月に実施したアンケート調査によると、市の補助金を活用して2024年度に新築住宅に太陽光発電を導入した市民約200人のうち、87%が太陽光発電に満足していることが判明した。
太陽光発電を設置したことで最も満足している点(左)、補助金が果たした役割(右) (出典:川崎市「データで見る「太陽光発電設備」 最大の魅力、決め手は?」) 満足している理由として最も多かったのは「光熱費の削減」で64%を占めた。次いで「停電時の備え」が15%となり、太陽光発電が経済的なメリットと災害時のレジリエンス向上の両面で評価されていることが示された。
一方で、回答者の約3割が初期費用に対する不安を抱えていた。川崎市の補助金制度では初期費用の2割超をまかなうことができ、回答者の73%は補助金が「設置を決める後押しになった」と感じている。
分譲戸建住宅で導入加速、規格化により1~3割のコスト削減
東京都と川崎市の設置義務化は、新築住宅を手がけるハウスメーカーなどの事業者を主な対象としている。それぞれ以下のような条件の事業者を対象とし、新築住宅の5割程度が義務化の対象になると見込まれている。
特に分譲戸建住宅での設置が進んでいる。2023年度時点で、日本全国の新築住宅における太陽光発電の設置率は分譲戸建が12.7%に対して注文戸建が63.9%と大きな差があったが、義務化により状況が変化している。
分譲戸建住宅を中心に供給するハウスメーカーは、太陽光発電の搭載に関する規格化を進めている。屋根の形状や設置方法を新たに規格化することで、住宅1棟あたりの導入費用を1割~3割程度抑えることが可能になった。
規格化によって削減できる導入費用の内訳は、主に調達費と施工費である。ハウスメーカーは太陽光発電パネルを大量に調達してパネル1枚あたりの購入費を低減し、規格化した設計に沿って設置することで工期を短縮して人件費も抑えている。
「初期費用0円モデル」が本格普及、住宅分野でもPPAが新たな収益市場に
初期費用0円モデル(オンサイトPPA)を採用するハウスメーカーが増加している。発電事業者が太陽光発電を設置して住宅のオーナーに電力を供給し、住宅のオーナーは毎月の電気料金を発電事業者に支払う仕組みだ。住宅のオーナーは初期費用を負担することなく太陽光発電を設置できる。
東京都は初期費用0円モデルで太陽光発電を設置する場合、1kWあたり10万円を発電事業者に対して助成する(設備容量が3.6kW超の場合)。事業者は電気料金などサービス利用料の低減を通じて、補助金の全額を住宅のオーナーに還元する。東京都は発電事業者に対して、住民に提供するサービスの内容や補助金の還元方法・還元額を都のウェブサイトに掲載することを義務づけている。
川崎市では「太陽光発電設備等設置費補助金」を実施しており、FIT(固定価格買取制度)を使わずに売電するか全量を自家消費した場合には1kWあたり7万円を住宅のオーナーに助成する。上限4kWまで導入すると28万円の補助金を受け取ることができる。
京都市では義務量引き上げで太陽光発電設置容量が大幅拡大
京都市は2012年度から、群馬県は2023年度から、大規模な新築建物の建築主を対象に太陽光発電の設置義務化を進めてきた。建物1棟あたりの設置義務量を建築主に課すことで、義務化の効果を高めている。
京都市は2022年4月に制度を改正して設置義務量を引き上げた。改正前は延床面積2000平米以上の建物1棟ごとに最低でも3kW以上の設置を義務づけていたが、改正後は延床面積に応じて目安5~38kWに引き上げた。
その結果、義務量を大幅に超過して設置する割合が顕著に増加した。改正前と比較すると、1棟あたりの設置義務量を200%超過した割合は26%から42%に、1000%超過した割合は12%から31%に増加した。近年の電気料金の高騰が設置容量を増加させる要因のひとつとなっている。
省エネ法改正で屋根置き太陽光発電の設置状況報告が義務化
国は2つの制度を強化することで、屋根置き太陽光発電の普及を後押しする。
1つは住宅トップランナー制度の改正である。従来は年間の住宅供給数が一定以上の事業者に対して、2030年度までに新築戸建住宅の6割に太陽光発電を設置する目標を課してきた。しかし2023年度時点の設置率は36.5%にとどまっている。2026年度から制度を改正し、2027年度時点の設置率の中間目標を新たに設定する。
もう1つは省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)の改正である。改正後は、屋根置き太陽光発電の導入目標の策定を2026年度から義務づける。主に事業者の工場やオフィスビルなどの大規模な建物が対象となる。
事業者は2つの報告書を国に提出する必要がある。1つは「中長期計画書」で、屋根置き太陽光発電の設置に関する定性的な目標を記載する。もう1つは「定期報告書」で、太陽光発電の設置状況を報告する。工場などを対象に太陽光発電を設置できる屋根の面積、耐震基準、積載荷重のほか、すでに太陽光発電を設置済みの面積を記載する必要がある。
中長期計画書による設置目標の報告は2026年度から、定期報告書による設置状況の報告は2027年度から開始を予定している。
仙台市も2027年度から太陽光発電の設置義務化を予定、長野県でも検討中
先行する自治体に続いて、仙台市も太陽光発電の設置義務化を2027年度から開始する予定だ。義務化の対象となる建物は、住宅など延床面積が2,000平米未満の中小規模の建物と、2,000平米以上の大規模な建物である。
仙台市の試算によると、設置義務化を実施することで、市内の新築住宅の6割に太陽光発電の搭載が進む見込みだ。仙台市の地球温暖化対策推進計画では、2030年度までにCO2排出量を55%以上削減することを目指す(2013年度比)。設置義務化によって、2030年度までに建物の太陽光発電は34MW増加する見込みで、義務化による導入量は目標達成に必要な導入量の5割超に相当する。
仙台市は東京都や川崎市の制度を参考にして対象を決めた。設置義務化の対象となるハウスメーカーは約40社で、そのうち約6割は先行する東京都や川崎市で義務化に対応している。
長野県でも検討が進んでおり、京都市と同じく大規模な新築建物を対象に義務化を計画している。早ければ2028年度から開始する方針だ。
集合住宅の導入促進が課題、新技術導入で解決の兆し
各自治体で設置義務化の効果が出始めている一方で、課題もある。導入にかかる費用や制度が障壁となって、集合住宅の導入が進んでいない。
賃貸アパートや分譲マンションなどの集合住宅は、戸建住宅と比べて階数と戸数が多く、延床面積あたりの太陽光発電の設置容量が小さい。FITの買取価格が低下したことによって、導入するインセンティブが低くなった。
ただし近年は、集合住宅の課題を解決する取り組みが広がり始めている。たとえば、PCS(パワーコンディショナー)を専有部ごとに設置する「入居者売電方式」を活用するハウスメーカーが出てきた。この方式によって、各戸の住民は太陽光発電の電力を自家消費できるようになる。積水ハウスによると、一般的な賃貸アパートと比較して、年間の光熱費を約30%減らすことができる。
分譲マンションでも太陽光発電を設置する事例が増え始めている。阪急阪神不動産はマンションの屋上に設置した太陽光発電の電力を、提携する小売電気事業者に売電する。その売電収入を活用して、専有部の延床面積に応じて住宅オーナーの電気料金を削減する。太陽光発電を設置しない場合と比較すると、住宅オーナーは年間の電気料金を約4%削減できる。
自然エネルギー財団は、膨大なポテンシャルがある建築物に導入を加速させるために、全国の自治体が国と連携して設置の義務化を推進することが望まれるとしている。
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2026.02.01
中部電力、台湾の企業と系統用蓄電池で連携 ピーク時間帯の価格安定化へ
中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)は1月27日、台湾の電力サービス事業者である泓徳能源(HD Renewable Energy)傘下の星星電力日本(東京都千代田区)と、系統用蓄電池を活用した電力受給契約を16時〜20時のピーク時間帯について締結したと発表した。夕方のピーク時間帯は電力価格が高騰するリスクを抱えていることを踏まえ、需要家に提供する電気を固定価格で安定的に調達する。
中部エリア5カ所に設置する系統用蓄電池で対応、合計1万kW規模の取引
星星電力日本は、同契約に基づき、電力需要のピークのうち16時~20時の時間帯において、泓徳能源グループが保有する系統用蓄電池を運用し、中部電力ミライズへ電気を提供する。中部エリア5カ所において系統用蓄電池(合計容量約4.1万kWh)を設置し、2026年4月以降に稼働開始する予定だ。
設置される5カ所は、愛知県豊橋市、静岡県周智郡森町、三重県伊賀市、岐阜県各務原市、同・垂井町。取引電力の規模は合計1万kWで、総取引電力量は年間約909万kWhを見込む。
なお同契約は、電力の将来的な価格変動リスクを回避するため、あらかじめ調達価格が固定で約定された。
今後さらに協業を進め、30万kWまで拡大予定
泓徳能源グループは2023年10月より、日本で系統用蓄電池事業に参入し、再エネの普及拡大と電力系統の安定化に貢献してきた。同社グループ傘下の星星電力日本は、国内向けの電力取引事業を展開する。
中部電力ミライズと星星電力日本は今後、さらに系統用蓄電池を活用した取引電力の規模を、累計約30万kWまで拡大することを検討している。
電力需給調整など役割が拡大する系統用蓄電池
系統用蓄電池は、特定の再生可能エネルギー電源に併設され出力変動を調整する蓄電池と異なり、一般送配電事業者の系統に直接接続し、電力システム全体の需給変動に対応する役割を担う。
再エネ導入拡大に伴い、電力需給の変動に対応する調整力として系統用蓄電池の活用が進んでおり、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が1月20日に公表した2029年度実需給に向けた容量市場メインオークションの約定結果においても複数の系統用蓄電池が落札された。容量市場や需給調整市場への参加、電力取引への活用が進むことで、電力需給運用力や調達手段の多用化において系統用蓄電池の役割が拡大している。
【参考】
・電力広域的運営推進機関―容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)の公表について
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2026.01.31
GSユアサとサステック、滋賀県米原市に新蓄電所 2026年度上旬に稼働
GSユアサ(京都府京都市)とSustech(サステック/東京都港区)は1月27日、滋賀県米原市に、GSユアサ製の定置用リチウムイオン電池設備を用いた系統用蓄電所を設置すると発表した。新蓄電所の出力は1.3MWで、容量は4.2MWh。運転開始は2026年9月の予定。
AIを活用した電力運用プラットフォーム「ELIC」を活用
同プロジェクトでは、国産蓄電池メーカーとして蓄電地市場を牽引するGSユアサの知見と、AI技術を活用して再エネや蓄電池を管理する電力運用プラットフォーム「ELIC(エリック)」を開発・運用するSustechの技術を融合させる。サステックの「ELIC」を用いることで、AIによる市場予測や最適な充放電制御・市場運用が可能になる。これにより、市場の状況に応じた運用収益の最大化が期待できるという。
両社は今後、一次調整力に代表される高頻度・長時間運転を実施した場合に蓄電池のセルをはじめとした設備に与える影響の検証や、それらを踏まえた充放電制御の最適化など、系統用リチウムイオン蓄電所の長期利用を見据えながら、同蓄電所を運用していく。
低故障率の高い安全性を確保したリチウムイオン蓄電池設備
採用されたGSユアサ製リチウムイオン蓄電池は、
コンテナタイプ(W2300×L9400×H2800mm)の蓄電池で、今回はコンテナ2基で構成される。同蓄電池は、全セルの電圧監視および全モジュールの温度管理による高い安全性を確保するとともに、ファンレス構造の採用により故障率の低減と交換部品点数の大幅な削減を実現する。また、消防危第200号通知に基づく消防危第303号の耐火性収納箱試験に合格しており、重塩害地域や寒冷地にも対応可能な高い環境耐性を備えている。
今後さらに重要性が増す系統用蓄電所
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年に向けて、国内の再エネ比率をより高めていく方針が示された。
再エネは発電量が天候や時間に応じて変動し、電力需要が少ない場合にはエネルギーの出力抑制が発生するという課題がある。そのため、電力の余剰が見込まれるときに充電し需給逼迫時に放電することで、調整力(バランシング)を担う系統用蓄電所は重要視されている。
GSユアサは、これまで再エネの普及や電力系統の安定化を目的に、産業用蓄電池の導入を推進してきたが、今後、蓄電池が電力インフラの安定維持に果たす役割がさらに重要となると予測。実際の事業運営を通じて、製品開発へのフィードバックや蓄電所運営のノウハウ蓄積を目的に、同事業を開始した。
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2026.01.30
東電が新再生計画策定 DC開発への対応や原発再稼働、再エネ拡大などに重点
東京電力ホールディングス(東京都千代田区)は1月26日、新たな再建計画となる第五次総合特別事業計画を発表した。この中では、福島第1原発の事故対応や原子力事業、GX・DX対応などの経済事業、アライアンス強化を最重要課題と位置付け、体制整備や今後の最適な経営体制の構築を進めていく方針が盛り込まれた。経済産業省は同日、同計画を認定した。
拡大見込まれるデータセンター需要取り込みなどに注力
計画の見直しは5年ぶりとなる。その間、原子力発電所の安全対応やGX・DXなどの要請の高まり需要の増加、財務状況の悪化が重なり、同社が掲げる東電改革は大きな岐路に直面している状況だという。新計画では、これまでの総特の基本的な考え方を維持しながら、これらの環境変化に対応していく。
GX・DX、エネルギー安全保障などに対応した安定供給の実現に向けては、資産回転型投資などを活用し、迅速な電力供給や脱炭素電源の確保、多様なニーズに応じた料金メニュー提供による事業構造の変革を進める。
拡大が見込まれるデータセンター向け電力需要への対策では、ウェルカムゾーン活用による参加型ネッワークの構築や広範にわたる迅速かつ最適な系統開発・系統接続の実現、人手不足への対応としての他社との施工力連携による接続早期化を図る。迅速な電力供給網構築により、「2040年度までの首都圏のDC需要伸び率世界トップクラスを目指す」とした。
2040年度に供給電力の6割以上を脱炭素電源へ切り替え
脱炭素化の取り組みでは、「2040年度に供給ふる電力の6割を上回る水準を脱炭素電源で確保」とともに、「2050年度にエネルギー供給由来のCO2排出実質ゼロに挑戦する」という目標を掲げた。今後は、資産回転型投資・共創による再エネの国内新規開発推進・系統用蓄電池拡大による調整力増強、PPA・市場取引など多様な手段を活用した脱炭素電源調達の強化を図る。
廃炉の着実な推進と柏崎刈羽原発の安定的な再稼働目指す
原子力発電を巡っては、廃炉の完遂に向けた体制整備を行うとともに、新潟県の「柏崎刈羽原子力発電所」の再稼働を含む原子力事業の安定的な運営に重点を置く方針を示した。特に福島事業については、基本方針で示した「福島最優先」の経営判断や廃炉事業遂行能力の向上などの改革を継続的に実施できる体制を早急に構築するとした。
今後10年間で約3.1兆円コスト削減の見込み
同社によると、投資計画などを精査したことで、2025年度から2034年度までの今後10カ年で合計3000億円の投資・費用の削減が実現できるという。これに、東日本大震災以降に取り組んだ人員削減など経営改善策の効果2.8と併せて、3.1兆円のコスト削減効果を見込んでいる。
認定特別事業計画変更に伴うプロセス
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号)第46条第1項では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構および原子力事業者は、認定特別事業計画の変更をしようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならないと規定されている。
経産省は、1月9日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構および東京電力HDから申請のあった原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく認定特別事業計画の変更について、申請の通り認定した。
【参考】
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2026.01.28
ヒラソル・エナジー、容量市場で複数案件落札 系統用蓄電池の収益を多層化
ヒラソル・エナジー(東京都文京区)は1月22日、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が同月20日に公表した2029年度実需給に向けた容量市場メインオークションの約定結果において、同社が管理・運用する複数の系統用蓄電池が落札されたと明らかにした。今回の落札により、単一の市場だけでなく、複数の市場機会を組み合わせた収益の多層化による系統用蓄電池事業の運用体制が整った。
将来的な供給力も収益源に
ヒラソル・エナジーは、蓄電所事業の計画立案から、資材調達、工事、運用に至るまでを一気通貫で手がけている。運用フェーズにおいては、アグリゲーターとして、これまで他の電力市場を中心に運用を行ってきたが、今回、容量市場へも参画が加わったことで、将来的な供給力としての価値についても、収益源として確保できるようになる。
容量市場とは、電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)を取引する市場。今回の容量市場メインオークション(対象実需給年度:2029年度)では、ヒラソル・エナジーが開発・運用する案件を含む合計6件・約8MWの供給力が落札された。すでに運用中の蓄電所に加え、同社が開発を進める複数拠点の系統用蓄電池案件も含まれている。
独自システム「JーEMS」で高度な制御を実現
ヒラソル・エナジーは、同社の蓄電所事業の強みとして、独自開発のエネルギーマネジメントシステム「JーEMS」(商標登録出願中)と一気通貫体制を挙げている。JーEMSは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の支援を受け、技術検証と高精度化を進めてきたもの。JーEMSは、複雑化する電力市場において最適な収益を上げるため、クラウドとエッジの両面から高度な制御を実現する。
クラウド側(市場連携・予測)では、データ分析に基づく同社独自開発のソフトウェアの予測技術を活用し、発電量・需要・市場価格を予測し、卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった複数の市場に対し、最適な充放電計画の立案と入札を行う。エッジ側(セキュアな制御)では、独自開発のハードウェアにより、セキュリティ要件に対応した安全性の確保と共に、クラウドからの指令に基づいたミリ秒単位での正確な蓄電池制御(充放電実行)を行う。
ヒラソル・エナジーはJーEMSを基盤に、ワンストップで完結させる開発能力を組み合わせることで、系統用蓄電池の普及と電力系統の安定化への貢献を目指す。
百年ソーラー事業などを展開するスタートアップ
ヒラソル・エナジーは、百年続く太陽光発電の実現を目指す東京大学発スタートアップ。先端技術とデジタルソリューションの提供により、太陽光発電所の事業的価値と社会的価値を最大限引き出すことを目指している。発電所の性能再生事業、発電所の集約化運営を推進する百年ソーラー事業、太陽光発電関連のDXソリューションの提供などを行っている。
このうち百年ソーラー事業は、山梨県で初の取り組みを実施し、2025年3月には九州エリアでも同様の取り組みを開始した。このほか、太陽光発電関連では、イースト・エンジニアリング(東京都文京区)と、FIP制度への移行と最適に制御支援する共同プロジェクトなどに取り組んでいる。
【参考】
・電力広域的運営推進機関―容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)の公表について
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2026.01.27
ペロブスカイト主要部材の市場規模、40年に1兆4500億円超え 民間調査
富士経済(東京都中央区)は1月22日、社会実装が近づいているペロブスカイト太陽電池(PSC)の主要部材について調査し、その結果をとりまとめ公表した。同太陽電池を構成する主要部材のうち、バリアフィルムの2040年の世界市場は8877億円、TCO基板については5642億円規模に拡大すると予測している。
PSC性能向上や製造コスト抑制のため、部材の研究開発が進展
同調査は、PSCを構成する主要部材7品目(バリアフィルム・TCO基板・ペロブスカイト材・電子輸送材・正孔輸送材・背面電極材・封止材)を対象に、市場動向や参入企業の開発動向、課題などについて分析したもの。
これら主要部材は、PSC市場の普及に伴い成長するものであり、市場の立ち上がりは2025年以降、本格的な成長は2030年以降と見込まれる。中でも、単価の高いバリアフィルムやTCO基板が大きく拡大すると同社は予測する。
将来的には、価格の高い部材のコストダウンが予想されることから、市場は出荷数量ベースと比べて緩やかな伸びになるとしている。
性能に比例してコストが増すバリアフィルム
バリアフィルムは、水や酸素に極めて弱いペロブスカイト層を守るために必要な保護フィルムで、極めて高い防水・防湿性能を持つ。PSCは現在、フィルム基板型とより堅牢なガラス基板型の2つのタイプの開発が進められているが、バリアフィルムはフィルム基板型にのみ使用される(そのほかは双方のタイプで使用)。
一般的に多積層であるほどバリア性が高まるが、それに比例してコストも増す。そのため、材料や構成・製造方法などの最適化が課題となっている。将来的には、「現状の半額程度まで価格が下がる」と期待される。
TCO基板は原材料に高価なレアメタルを必要とする
TCO基板は、基材(ガラス/フィルム)上に、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜やITO(酸化インジウムスズ)膜などをコーティングした導電性を持つ基板で、光入射面側の電極として用いられている。PSCの変換効率や耐久性に直結するペロブスカイト太陽電池の「土台」となる材料であり、高い品質が求められる。
ITOの原材料であるインジウムはレアメタルの一種で、現在は、ディスプレイや半導体アプリケーションの需要増などから価格が高騰し、国内外では代替材料の模索が続く。各素材には課題があるものの、安価な代替材料の研究が進むことなどで、TCO基板のコストダウンが期待されると、同社は解説している。
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2026.01.26
パナソニック、業界最薄設計のHEMS対応住宅分電盤新モデル 4月発売
パナソニック エレクトリックワークス社(東京都港区)は4月1日、HEMS対応住宅分電盤「FLEXIID smart(フレキシード スマート)」を発売する。2025年発売の「FLEXIID(フレキシード)」シリーズのラインアップを拡充することで、今後も利用拡大が見込まれるHEMS対応住宅分電盤の需要に応えていく。
奥行き100mmの業界最薄設計、施工性も向上
同製品は、住宅におけるエネルギー使用量の「見える化」と家電・電気設備のトータル制御を可能にするHEMS技術搭載モデルとなる。開発にあたっては、「空間の価値を高める美しさ」と「環境への貢献」を追求したという。
2024年にパナソニックが本格展開を開始した電気設備の製品群「Archi Design(アーキデザイン)」の一商品という位置付けで、「空間の背景」になることを目指したデザインが特徴。表面には特殊シボ加工を施し、奥行き100mmという業界最薄、水平垂直基調のデザインで空間に調和する。
カバー構造を見直し、設置に必要な天井・壁面との隙間ゼロを実現。横方向だけでなく縦方向にも設置でき、限られたスペースを美しく自由に設置したい設計者や施主のニーズに応えるという。
また、計測アダプタを標準搭載。CT(変流器)不要で最大43回路まで電流計測が可能。施工面では、配線作業時にカバーを外した状態でも負荷名称を確認できる構造により、作業の効率化に貢献する。分岐ブレーカー取り付け部を改良することで、200V通電確認のチェックを容易化。電圧設定ミスを防ぐ仕様となっている。
価格は、13万7170円~35万8600円。パナソニック エレクトリックワークス社は、2026年度2万3000面の販売を目指す。
2014年にHEMS対応住宅分電盤を初めて発売、販売好調
政府のエネルギー基本計画では、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、既存住宅を含め住宅ストック平均でZEH水準の省エネ性能を確保する方針を盛り込んでいる。これに伴い、太陽光発電システムで作った電気を自宅で使い切る自家消費の促進やネット・ゼロ・エネルギーを目指すZEH、住宅分野のエネルギー使用量の可視化、さらに近年はHEMSの重要性が高まっている。
パナソニック エレクトリックワークス社は2014年、HEMS対応住宅分電盤「スマートコスモ」を発売。同社HEMS機器「AiSEG(アイセグ)」との連携も開始し、電気使用量の見える化に対応している。2024年に発売を開始した新モデル「AiSEG3」は、家庭内電力需要と翌日の発電量を予想するなどAIを活用し、太陽光発電を効率よく利用する「AIソーラーチャージPlus」機能を強化。家庭内の電気の再エネ活用率76%を実現し、電気代削減に貢献する。
「スマートコスモ」の販売は堅調に推移しており、今後もHEMS対応住宅分電盤の需要はさらに拡大する見込みだという。同社は今後も、時代に沿った分電盤開発を続け、スマートホーム化と省エネ社会の実現に貢献していく考えだ。
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2026.01.25
大塚製薬、国内6工場に太陽光設備の設置完了 CO2年間3189t削減
大塚製薬(東京都千代田区)は1月19日、同社施設における太陽光発電設備導入の進捗をとりまとめ公表した。2024年9月から2025年12月にかけて、5施設で新設・増設を実施。太陽光発電を導入した施設は国内6工場となった。
既設・新設・増設含め、2025年12月時点で国内6工場の太陽光発電設備が稼働
今回、新たに太陽光発電設備を新設したのは、徳島県徳島市の「徳島第二工場」。同施設は2024年9月に太陽光パネル272枚を設置し、今回新たに70枚が敷かれた。年間発電量は245MWhを見込んでおり、CO2排出量は103t削減できる予定だ。
増設が行われたのは、徳島県の4工場(「徳島板野工場」「高崎工場」「徳島工場」「徳島美馬工場」)で、2024年9月に稼働を開始した同県那賀町の「徳島ワジキ工場」を含めた国内6工場合計のCO2排出削減効果は年間約3189tになると推計される。
SAF活用など、サプライチェーン全体で脱炭素化を推進
大塚製薬は、グループが特定したサステナビリティにおけるマテリアリティ(重要項目)の1つである「地球環境への負荷低減」の施策のうち、カーボンニュートラル分野の取り組みとして、CO2排出量削減に注力している。
2020年4月には、国内全8工場でCO2フリー電力への転換を完了。太陽光設備の導入や工場敷地外の全オフィス部門でのグリーン電力証書活用と併せ、国内の使用電力の84%を再エネで賄っている。
このほか、近年は航空貨物輸送時のSAF活用など、サプライチェーン全体で脱炭素化を進めている。
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2026.01.24
環境省、紀文のタイCO2冷凍装置実証など3件をJCM事業に認定
環境省は1月19日、2025年度の二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業のうち「シナジー型JCM創出事業」に関して、新たに3事業を採択したと発表した。
紀文食品(東京都中央区)がタイで実施するアンモニア/CO2冷凍装置による実証事業などが選ばれた。紀文食品は、タイにおいて、既存フロン冷凍装置と急速凍結用フリーザーの撤去に伴い、省エネルギー性能に優れた自然冷媒冷凍装置となる、アンモニア/CO2冷凍装置とともに、急速凍結用フリーザーを導入する。実証では、実機運転によりエネルギー消費量を測定し、既設の設備との省エネ効果を比較するという。
この取り組みを通じて、フロン冷媒によるGHG排出削減と更新設備の省エネ化による環境負荷軽減を両立する新たな事業モデルの創出を目指す。
そのほかの採択事業は以下の通り。
ウズベキスタン「営農型太陽光発電事業の普及を図るための実証事業」
ファームランド(群馬県前橋市)は、半乾燥地域であるウズベキスタンの約1haの試験農場に、営農型太陽光発電施設を建設する。
太陽光が透過する太陽光パネルを追尾型架台に設置するとともに、既設の点滴灌漑システムを活用する計画だ。実証を通じて、水資源保全の実現と農業生産性を高めていくとしている。
エチオピア「廃棄タイヤを活用したバイオマス発電のCO2排出量削減の実証事業」
フクナガエンジニアリング(大阪府大阪市)は、廃棄タイヤを資源化し、GHG削減を図る。
具体的には、同社が強みとする廃タイヤリサイクル技術を用いて、路上に廃棄されているタイヤを油化。オフグリッド地域で利用されているディーゼル発電機用燃料として供給する。併せて、現地法規制やオフグリッド地域の電力需要、廃棄タイヤの回収、電力供給に至るまでのビジネスモデル構築のための調査なども行う。
脱炭素と同時に、大気汚染・水質汚染などの課題解決につながる企業の取り組みを支援
同事業は、JCMパートナー国においてこれまで実績のない先進技術の導入を目的としている。脱炭素化関連技術だけでなく、大気汚染や水質汚染、生物多様性の損失、フロンによる環境影響などを複合的に解決する実証事業であることが求められる。
【参考】
・環境省―令和7年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうちシナジー型JCM創出事業」の採択案件の決定について
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2026.01.23
高市首相、GX・次世代太陽電池・エネルギー安保で「進退かける」解散・総選挙
高市早苗首相は1月19日、衆議院の解散を表明する記者会見を首相官邸で行った。「日本列島を、強く豊かに」のスローガンの下、グリーントランスフォーメーション(GX)の加速や次世代エネルギーの確保などを含む環境関連の重要政策を掲げ、選挙で国民に信を問う姿勢を明確にした。
会見では、エネルギー安定供給の確保を大前提としたGX推進の方針が改めて強調され、特に次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の早期社会実装や、脱炭素電源の拡大に向けた取り組みに触れた。
高市首相は「エネルギー・資源安全保障の強化は重要だ。電力を安定的に安価に供給できる対策を講ずることは、私たちの暮らしと日本の産業を守るために必要な道だ」と述べ、エネルギー問題を国際情勢や安全保障の観点も踏まえて重点的に推進する考えを示した。
首相は「日本で発明されたペロブスカイト太陽電池の普及、小型モジュール炉などの次世代革新炉、日本企業の技術が優位性を持つフュージョンエネルギーの早期社会実装、冷媒適用技術や光電融合技術などによる省エネ型データセンターの普及、酸化物型全固体電池の社会実装など、日本の強みを生かさなければもったいない」とも述べ、日本の技術を生かした脱炭素電源の拡大に意欲を示した。
GXを「産業構造転換」の柱に
「GX実現に向けた基本方針」によると、政府はGXの実現を通じて2030年度の温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラルの国際公約の達成を目指しており、安定・安価なエネルギー供給につながるエネルギー需給構造の転換、産業構造・社会構造の変革を同時に進める方針だ。
特に「製造業の構造転換(燃料・原料転換)」として、水素還元製鉄の活用や高炉から電炉への生産体制転換、アンモニア燃焼型ナフサクラッカーなどによる低炭素循環型生産体制への転換、石炭自家発電の燃料転換などへの集中的支援を推進。大規模需要家に対して非化石エネルギー転換に関する中長期計画の提出と定期報告を義務化し、主要5業種(鉄鋼業・化学工業・セメント製造業・製紙業・自動車製造業)に対しては国が非化石エネルギー転換の目安を示している。
ペロブスカイト太陽電池の早期実装
再生可能エネルギーの主力電源化に関しては、太陽光発電の更なる導入拡大や技術自給率の向上にも資する次世代型太陽電池の早期の社会実装に向けて研究開発・導入支援やユーザーと連携した実証を加速するとともに、需要創出や量産体制の構築を推進する方針である。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟などの特徴を持ち、従来型の太陽光発電パネルの設置が困難であった耐荷重性の低い建築物の屋根や建物の壁面等への設置が可能となる次世代技術である。主な原料のひとつであるヨウ素は日本が世界シェアの約30%を占めており、再エネ導入拡大と強靭なエネルギー供給構造の実現につながると期待されている。
2025年度予算では、「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」として、ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業が措置されており、環境省と経済産業省が連携して推進している。補助対象は、耐荷重等の制約により従来型の太陽光パネルの設置が困難だった場所へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入で、補助率は原則3分の2、特定要件を満たす場合は4分の3となる。
第7次エネルギー基本計画における次世代太陽光
2025年2月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、次世代型太陽電池に関する具体的な数値目標が示されている。2025年までに発電コスト20円/kWh、2030年までに14円/kWh、2040年までに10〜14円/kWh以下の水準を目指すとともに、2030年を待たずにGW級の量産体制構築を目指す方針が明記された。
また、2040年には約20GWの導入を目標とし、官民関係者が総力を挙げて、世界に引けを取らない規模とスピードで量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組むとしている。海外市場への本格展開と、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)などの専門機関とも連携した信頼性評価等に関する国際標準の策定も目指す。
GX経済移行債による20兆円規模の先行投資支援
政府は「GX実現に向けた基本方針」に基づき、今後10年間で官民協調により150兆円を超えるGX投資を実現する方針だ。そのための具体的手段として、「GX経済移行債」を活用した20兆円規模の大胆な先行投資支援を実行する。
投資促進策は、新たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置と一体的に講じられる。現時点で想定される投資や事業の見通しに基づき、企業規模を問わず、再生可能エネルギーや原子力等の非化石エネルギーへの転換、鉄鋼・化学など製造業を始めとする需給一体での産業構造転換や抜本的な省エネの推進、資源循環・炭素固定技術等の研究開発等への投資に対して支援が実施される。
支援策は個々の事業の実用化の段階、事業リスク、市場・製品の性質などに応じて、補助、出資、債務保証などを適切に組み合わせて実施される方針だ。
次世代型太陽電池の開発・実装に係る具体的支援内容
グリーンイノベーション基金事業として実施されている「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトでは、2025年9月29日に改定された研究開発・社会実装計画において、以下の研究開発内容が示されている。
基盤技術開発事業では、ペロブスカイト太陽電池の最適な材料組成の開発、変換効率と耐久性を両立する太陽電池セルの要素技術開発、分析・評価技術の開発、国際標準策定の推進、タンデム型ペロブスカイト太陽電池の要素技術および信頼性評価技術の開発が進められる。
単接合太陽電池実用化事業では、2030年度までに発電コスト14円/kWh以下を実現する見通しを得ることを目標とし、製品レベルの大型化を実現するための各製造プロセスの個別要素技術の確立に向けた研究開発が行われる。
単接合太陽電池実証事業では、量産化技術の確立と並行して、ペロブスカイト太陽電池の特徴である軽量性・柔軟性を活かした設置方法や施工方法等を含めた性能検証のため、国内外の市場を想定したフィールド実証が実施される。
タンデム太陽電池量産技術実証事業では、2030年度までに住宅用発電コスト12円/kWh以下と変換効率30%以上を達成することを目標としている。
企業向けGX推進の取組表明が補助要件に
また、先程触れた「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」では、民間企業が申請する場合、温室効果ガス排出削減のための取組実施について表明することが要件となっている。
具体的には、国内におけるScope1・Scope2に関する排出削減目標を2025年度、2030年度について設定し、実施期間が含まれる年度分の排出実績及び目標達成に向けた進捗状況を第三者による検証を実施のうえ毎年報告・公表することが求められる。目標を達成できない場合にはJクレジットやJCM(二国間クレジット制度)、その他国内の温室効果ガス排出削減に貢献する適格クレジットを調達する、または未達理由を報告・公表することが必要となる。
ただし、算定・報告・公表制度に基づく2022年度二酸化炭素排出量が20万t未満の企業又は中小企業基本法に規定する中小企業に該当する企業については、その他の温室効果ガスの排出削減のための取組の提出をもって代えることができる。
成長志向型カーボンプライシングの導入
政府は、「成長志向型カーボンプライシング構想」も同時に進める。GX投資を官民協調で実現するため、「GX経済移行債」などを活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用の3つの措置を講ずるものである。
具体的なカーボンプライシングの制度設計については、多排出産業を中心に企業ごとの状況を踏まえた野心的な削減目標に基づく「排出量取引制度」と、炭素排出に対する一律のカーボンプライシングとしての「炭素賦課金」を併せて導入することとしている。
排出量取引制度は2026年度から本格稼働する計画で、2023年度から試行的に開始するGXリーグにおける制度を発展させる形で進められている。発電事業者に対する「有償オークション」は2033年度から段階的に導入され、「炭素に対する賦課金」は2028年度から導入される予定だ。
脱炭素製品の需要創出に向けた取組
政府は需要側からのGX推進について、カーボンフットプリントなど排出量の「見える化」を含めた新たな需要創出策を進める方針も示している。
市場に一定程度普及している低炭素製品については、官民による調達を更に拡大するため、カーボンフットプリント、環境ラベルの活用等を進めるほか、グリーン購入法等において調達すべき製品の判断基準や算定方法などについて見直し・検討を行う。
革新的技術・製品の需要創出のためには、製品・技術の革新性や調達実現に対するインセンティブ付与など、購入主体等の特性を踏まえつつ、需要を拡大するための適切な方策を検討する。
サプライチェーン全体での排出削減と製品・産業の競争力強化を図る観点から、カーボンフットプリントの算定等に関するガイドラインを策定し、ガイドラインに準拠して算定等されたグリーン製品の官民による調達を推進する方針だ。
衆院解散、環境対策実務者にどう影響?
今回の衆院解散表明により、GX、エネルギー、脱炭素電源など環境関係の政策が国政上の重要な論点として位置づけられたことで、環境対策を推進する企業の実務担当者にとっては以下のような影響が想定される。
第一に、次世代型太陽電池導入に関する補助制度の継続と拡充が続くかどうかである。ペロブスカイト太陽電池については、従来型太陽光発電パネルの設置が困難であった場所への導入が可能となるため、既存施設の脱炭素化を進める上で新たな選択肢となるが、選挙の結果によっては政府方針が変更される可能性もある。実務者は早期の制度活用も含め、政策動向を見極める必要がある。
第二に、企業のGX推進に関する情報開示要件の強化である。補助事業の申請要件として排出削減目標の設定と第三者検証を伴う実績報告が求められるようになっており、今後はこうした要件が補助事業に限らず広がる可能性がある。実務者は選挙の結果にかかわらず、自社の排出削減目標の設定と情報開示体制の整備を急ぐ必要があるだろう。
第三に、カーボンプライシング制度の本格導入が2026年度以降に控えている点である。排出量取引制度や炭素に対する賦課金の導入により、炭素排出に対する経済的負担が段階的に増加していく見通しだ。選挙の結果次第で多少の方針変更はありうるものの、基本的な方向性に変更はないとみられ、中長期的な脱炭素投資計画の策定が急務となる。
第四に、サプライチェーン全体での脱炭素化要請である。カーボンフットプリントの算定ガイドライン策定、グリーン製品の調達推進により、取引先からの排出削減要請や製品のカーボンフットプリント開示要求が増加することが予想される。サプライチェーンの脱炭素化については世界的な推進事項であり、選挙結果に関係なく進められるべきだろう。
第五に、脱炭素関連技術に関する国際標準化の動きである。ペロブスカイト太陽電池を含む次世代技術については、産総研などの専門機関と連携した信頼性評価等に関する国際標準の策定が進められている。ペロブスカイトを推進する方針は政権がどの枠組みになっても大きな変更はないとみられており、国際市場での競争力確保の観点から、常に動向を注視する必要がある。
今回の解散表明会見では、GX推進が高市政権の根幹政策として改めて位置づけられたものの、2026年度予算案の成立遅れ、政治空白の大きさなど政策面への影響は非常に大きい。環境対策の実務担当者にとっては、選挙の結果によって政策の継続性が担保されるかどうか慎重に見極めながら、より野心的な目標設定と実行が求められるだろう。
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