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2026.04.14
山梨県内初「カーボンオフセット都市ガス」を5施設に導入、山梨中央銀行
山梨中央銀行(山梨県甲府市)は、脱炭素に向けた取り組みとして、本店を含む5施設で使用する都市ガスについて、東京ガスグループの東京ガス山梨(同)が供給する「カーボンオフセット都市ガス(排出係数調整型)」を導入した。
4月検針分から適用する。これにより年間CO2排出量を約180t削減、一般的な家庭で換算すると72世帯分を削減できると試算している。
CO2排出量ネットゼロに向けた削減策に
「カーボンオフセット都市ガス(排出係数調整型)」は、東京ガス山梨が供給する都市ガスに、別途調達するJ-クレジットなどを活用することで、都市ガスの燃焼によって発生するCO2排出量を相殺した形で顧客に供給するもの。
顧客は、CO2排出量ネットゼロに向けた削減策として利用でき、「温対法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」や、省エネ法において、都市ガスの使用に伴うCO2排出量(調整後排出係数)をゼロとすることが可能となる。
再エネや省エネ設備の導入などを推進
山梨中央銀行は、長期目標として2030年度までに温室効果ガス(CO2)排出量(スコープ1、2)ネットゼロを掲げ、再エネの導入や省エネ設備の導入などを積極的に推進している。
再エネの導入では、2022年4月から山梨県営水力発電所で発電したCO2フリー電気を供給する電力メニュー「やまなしパワー」を、同行本店と電算センタービルに導入。2024年6月、リニューアルした「シン・やまなしパワー『ふるさと水力プラン』」を、山梨県内2拠点と山梨県外で導入可能(受電電圧が高圧)な拠点すべて(6拠点)に導入した。これにより、水力発電由来の電気を導入した同行の施設は計10拠点となる。「シン・やまなしパワー」は、標準的な電力料金に、山梨県の環境保全事業などの施策に充当する金額を加算した料金での供給となる。
山梨中央銀行は、地域の環境・社会課題の解決に向けた取り組みも促進している。2023年には、ヒラソル・エナジー(東京都文京区)、三菱UFJ信託銀行(同・千代田区)、山梨県企業局とともに、既設FIT中小型太陽光発電所を集約・長期安定稼働を目指す、百年ソーラー山梨(山梨県甲府市)を設立している。山梨県有林クレジット紹介業務や、山梨県と連携して県営水力発電所の非化石証書を活用して県内事業者の脱炭素経営を支援する事業も実施している。
また、サステナブルファイナンス投融資額の長期目標として2030年度までに8000億円以上(うち環境ファイナンス4000億円以上)を掲げている。
東京ガスや東邦ガスもカーボンオフセット都市ガスを供給
脱炭素化に向けて、カーボンオフセット都市ガスを活用する取り組みが広がっている。東京ガス(東京都港区)は、大規模複合施設「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」や、江戸川区公共施設などに、カーボンオフセット都市ガス供給を供給している。北海道ガス(北海道札幌市)、東邦ガス(愛知県名古屋市)も脱炭素化支援サービスとして、カーボンオフセット都市ガスを提供している。
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2026.04.13
九電送配、スマートメーターDR実証 温水器120件・蓄電池で再エネ活用
九州電力送配電(福岡県福岡市)は4月8日、配電系統に接続された家庭用電気温水器および系統用蓄電池を対象としたデマンドレスポンス(DR)の実証を開始すると発表した。
今回の実証は、2025年6月10日に検討開始を公表していたもので、需要家の募集や関係事業者との調整などの準備が整ったことから、フィールド実証に移行した。
電気温水器約120件と系統用蓄電池で実証、エコキュートは対象外
同実証は、再エネの発電量が多い時間帯に、家庭用電気温水器や系統用蓄電池の運転を柔軟に制御するDRを実施し、系統混雑の解消と再エネの最大活用に向けた有効性を検証するというもの。
対象は、家庭用電気温水器と系統用蓄電池の2種類。
家庭用電気温水器については、福岡県福津市の一部エリアで、スマートメーターを活用した遠隔制御が可能な機器を設置する需要家のうち、実証参加に同意した約120件を対象とする。一方、系統用蓄電池は、アグリゲーターとして参画するエナリス(東京都千代田区)が管理・運用する蓄電池を活用し、DR制御を行う。
なお、エコキュートは、DR制御のあり方が国で議論されていることに加え、スマートメーターを介した遠隔制御に対応していないことから、本実証の対象外とした。
スマートメーターを遠隔制御 各世帯で電気温水器の湯沸かし時間を昼にシフト
具体的には、再エネの発電量が豊富な昼間帯に、対象顧客のスマートメーターを遠隔制御することで、家庭用電気温水器の湯沸し時間を夜間から昼間へタイムシフトしてもらう。また、系統用蓄電池については、同社から蓄電池を管理しているアグリゲーターへ制御を依頼し、昼間に充電してもらう。
DRの活用方法に応じて、配電系統の設備容量超過回避による設備投資抑制や、再エネの出力制御量の低減が期待できる。
スマートメーター中核化へ、DRで制度・実証が前進
電力供給の安定化に向けたDRでは、スマートメーターを中核インフラとして活用する動きが進んでいる。従来は検針の自動化や電力使用量の見える化に活用されてきたが、近年は需要を制御するデバイスとしての役割が期待されている。
こうした動きを制度面でも後押しする。資源エネルギー庁は2022年、電気事業法に基づき、一般社団法人 電力データ管理協会(東京都千代田区)を、スマートメーターから取得できる電力データを活用する第三者機関「認定電気使用者情報利用者等協会」として初めて認定した。
東京電力パワーグリッド(東京都千代田区)・中部電力パワーグリッド(愛知県名古屋市)・関西電力送配電(大阪府大阪市)の3社は、2025年7月から2026年2月にかけて、次世代スマートメーターを活用したDRを実施。同取り組みでは、DRサーバーや無線端末のプロトタイプを開発するとともに、技術面・運用面の課題の洗い出しと対策の検討、小売事業者やアグリゲーターのサービス受容度などを検証した。
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2026.04.12
総規模46MWの系統用蓄電所を27年度までに稼働 東急、東京都補助金活用
東急(東京都渋谷区)は4月8日、東京都の系統用大規模蓄電池導入支援事業に2年連続で採択されたと発表した。2027年度までに、総出力46MW・容量184MWhの系統用蓄電所の稼働を目指す。投資総額は140億円。
蓄電所の建設は東急が担い、東急パワーサプライ(同・世田谷区)が再エ余剰電力の吸収や調整力の提供、電力需給逼迫時の放電などの運用を行う。これにより、電力需給安定化や余剰電力の有効活用に貢献する。
系統用蓄電所を国内各地で段階的・継続的開発へ
同事業では、東急と、東急グループのエネルギー事業者である東急パワーサプライの両社がそれぞれ投資を行う予定。また、東急パワーサプライは、小売電気事業者として需給管理に関わるナレッジを活用して運用を行う。
両社は、系統用蓄電所を国内各地で段階的・継続的に開発し、今回の事業では、2027年度までにすべての系統用蓄電所の稼働開始を予定している。また東京都のエネルギー政策とも連動しながら、設備メーカーや電力関連事業者との協業を通じて、事業価値の最大化を図る。
社会的意義と実現性を評価、支援事業に採択
東京都の事業名は「再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業」。この事業では、東京電力管内の電力系統に直接接続する大規模蓄電池の導入に対して助成を行っている。
都は、再エネの導入拡大にあわせ、系統用蓄電池の整備を重要施策の1つとして位置付けている。東急は、こうした地域の政策方針とも合致する系統用蓄電所事業への参入と推進を決定した。
東急と東急パワーサプライは、都の支援事業で、2024年度は神奈川県清川村における系統用大規模蓄電池事業(交付決定額1億5045万4000円)が、2025年度は埼玉県熊谷市における系統用大規模蓄電池事業(同2億6626万3000円)が採択されている。社会的意義と実現性の双方が評価され、2年連続での採択となった。
なお、都は4月1日に2006年度事業の公募要領を公開している。
現在、国内では2050年カーボンニュートラル実現のため、太陽光発電や風力発電をはじめとする再エネの導入が進展する一方、大都市圏を中心に、発電量の変動に伴う需給調整や電力系統の安定運用が重要な社会課題となっている。3月には首都圏では初となる再エネの出力制御が行われるなど、再エネを無駄なく有効活用するための調整力確保はその重要性を増している。
東急不動産なども系統蓄電池事業に注力
東急グループでは、東急不動産(東京都渋谷区)や東急建設(同)も系統蓄電池事業を展開する。東急不動産は3月、東急不動産グループを含む国内大手8社でコンソーシアムを組成し、特別高圧の系統用蓄電所6物件(総事業費約300億円、出力約174MW)を推進することを発表している。
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2026.04.11
大阪ガス、鹿児島県鹿屋市のメガソーラーに再エネ併設型蓄電池設置 6MWh
大阪ガス(大阪府大阪市)は4月7日、100%子会社のDaigasエナジー(同)が保有・運営する鹿児島県鹿屋市の「鹿屋太陽光発電所」で、再エネ併設型蓄電池の設置工事を開始したと発表した。新設する設備は出力は約2MW、容量約6MWhで、12月にも運用を開始する。
FIP移行と需給調整市場参入を見据えた蓄電池運用
再エネ併設型蓄電池は、従来は出力制御により活用できなかった日中の太陽光発電電力を蓄え、夕方や夜間に放電することで、再エネの有効活用を図る。あわせて、天候変動に伴う発電出力の変動を抑制し、電力系統の安定化にも寄与する。
鹿屋太陽光発電所は2019年9月に稼働したメガソーラーで、出力は約2MW。
同プロジェクトでは、Daigasエナジーが蓄電池の選定や基本設計、電力会社との連系協議を担い、発電所敷地内に蓄電池を設置する。運用開始後は大阪ガスが遠隔制御を行う。
同発電所は今後、FIT制度からFIP制度への移行を予定しており、発電および蓄電池からの放電による電力は全量を大阪ガスが買い取る計画。さらに、蓄電池を活用して需給調整市場への参入も見据え、系統安定化への貢献と収益機会の拡大につなげる。
大分でも再エネ併設型蓄電池を導入 国内最大級の出力約30MW・容量約125MWh
Daigasグループは蓄電池事業において、系統用および再エネ併設型を合わせ、2030年度までに運用規模1,000MWを目指しており、今回の取り組みもその一環。
再エネ併設型蓄電池では、2025年11月4日、再エネ事業者のSonnedix Power Holdings Limited(ソネディックス)と共同出資する発電所運営会社を通じて、大分県大分市の太陽光発電所に国内最大規模となる蓄電池を設置すると発表した。
同プロジェクトでは、出力約39MWの既設太陽光発電所の敷地内に、定格出力約30MW・定格容量約125MWhの大容量蓄電池システム(BESS)を新設する。建設工事は着工済みで、2026年11月の商業運転開始を目指す。
鹿屋太陽光発電所と同様に、FIT制度からFIP制度への移行を予定しており、発電所および蓄電池からの電力は全量を大阪ガスが買い取る計画。
なお、プロジェクトでは資本構成の最適化や財務の安定化を目的に、三菱UFJ銀行(東京都千代田区)がノンリコースのプロジェクトファイナンス(約214億円)を提供している。
ソネデイックス、1GW超の併設蓄電池保有
ソネディックスは、今回のプロジェクトを含めグループ全体で合計1GWを超える併設型蓄電池を保有する。日本国内では、現在25件の太陽光発電プロジェクトを運営。総容量は開発案件を含め約600MWとなっている。
同社は引き続き、太陽光発電に限らず再エネ分野全般にわたりポートフォリオを拡大し、先進的なエネルギー貯蔵ソリューションへの投資を進めていく。
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2026.04.09
物流施設の太陽光発電・蓄電池・EV設備導入に最大1億円の補助金 国交省
国土交通省は4月6日、物流施設などにおいて、太陽光発電施設の導入と、その再生可能エネルギー電気を利用する、大容量蓄電池やEVフォークリフトなどの設備の導入を支援する補助事業の公募を開始した。
この事業では、太陽光の「つくる」「ためる」「つかう」の取り組みを一体的に行う「先進的な取り組み」における設備の導入に最大1億円を補助する。公募期間は6月5日16:00まで(必着)。
太陽光発電を活用した物流の脱炭素化を支援
事業名は、2026年度「地域物流脱炭素化促進事業(再生可能エネルギー(太陽光))」。地域物流の脱炭素化に向けて物流事業者などが行う、再生可能エネルギーである太陽光を活用した「先進的な取り組み」に要する経費の一部を補助する事業。
補助対象事業者は、(1)倉庫事業者、(2)貨物運送事業者、(3)貨物利用運送事業者、(4)トラックターミナル事業者、(5)(1)~(4)に掲げる事業者と共同で事業を実施する事業者(リース事業者・PPA事業者・不動産事業者)など。(1)~(4)に関しては、単独申請または複数社でコンソーシアムを組んで共同で申請ができる。
支援対象となるのは、地域の集配拠点、倉庫、トラックターミナルなどの物流施設などにおいて、太陽光由来の再エネ電気の利用に必要な設備や、これらを利用する車両などの一体的な活用に向けた取り組み。具体的には、次の「(A)の項目のうち1つ以上」かつ「(B)の項目のうち2つ以上」の実施を要件とする。
(A)「つくる」取り組み
1.太陽光発電施設の導入※
2.既存の太陽光発電施設の活用
3.購入した再生可能エネルギー電力の活用
(B)「ためる」取組・「つかう」取り組み
4.大容量蓄電池の導入※
5.既存の大容量蓄電池の活用
6.EV充電スタンドの導入※
7.物流業務用EV車両の導入※
8.EVフォークリフトの導入※
本事業では、上記のうち※の項目(1、4、6、7、8)の導入案件に必要な経費が補助される。2、3、5は条件として有効なだけであることに注意が必要だ。補助率は1/2以内、補助上限額は1億円。
なお「5.既存の大容量蓄電池の活用」を要件として使用する場合は、「6.EV充電スタンド」「7.物流業務用EV車両」「8.EVフォークリフト」のいずれかの導入が必要だ。
また、これらの取り組みに合わせて実施する、「9.先進的な取り組みに必要な機器類などの導入」についても補助対象経費として認められる場合がある。対象設備例として、無人配送ロボット、エネルギーマネジメントシステム(ハードウェアの購入費用は対象外)、温室効果ガス排出量算出・可視化ツール、トラック予約受付システムが挙げられている。
補助対象事業者への交付決定は6月下旬頃を予定。事業期間は交付決定の日から2027年2月10日(予定)まで。
この事業の事務局は、パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)が務める。公募の詳細や申請様式などは、事業のウェブサイトで確認できる。オンラインで申請者説明会も開催される予定だが、詳細は後日発表される。
水素・バイオマスなどを活用した取り組みも支援
地域物流脱炭素化促進事業では、物流施設などにおいて、再生可能エネルギーである太陽光のほか、次世代エネルギーである水素・バイオマスなどを活用した先進的な取り組みを支援している。水素・バイオマスなどを活用した取り組みの公募については後日公表される。
参考
・国土交通省-令和8年度「地域物流脱炭素化促進事業(再生可能エネルギー(太陽光))」(補助事業)の公募開始 ~再生可能エネルギーである太陽光を活用した先進的な取組を支援します~
・パシフィックコンサルタンツ ― 令和8年度 地域物流脱炭素化促進事業 公募サイト
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2026.04.08
使用済太陽光パネルのカバーガラスを水平リサイクル 実証に成功、日本板硝子
日本板硝子(東京都港区)は4月3日、使用済太陽光発電パネルのカバーガラスを原料としてフロート板ガラスを製造する水平リサイクルの実証実験に成功したと発表した。
トクヤマ(同・千代田区)が、独自の技術を用いて太陽光パネル用カバーガラスから分離処理した再生ガラスを原料として供給した。このトクヤマの技術と、日本板硝子の循環プロセスが実用化されることで、従来は廃棄されていたカバーガラスの有効活用が期待される。
低温熱分解法でガラスを抽出・再利用
太陽光パネル用カバーガラス(以下「カバーガラス」)は、モジュール性能を高めるための特殊なガラス組成であることに加え、耐久性確保のためにパネルに強固に接着されており、ガラス単体としての回収・再利用は長らく困難とされてきた。
今回使用した再生ガラス原料は、トクヤマの研究拠点「太陽光パネルリサイクル実証試験施設」(北海道南幌町)にて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した「太陽光パネル低温熱分解リサイクル技術」によって分離・抽出されたもの。
トクヤマの低温熱分解法は、太陽光パネルの構成部材を強固に結合させている樹脂を、触媒を添着させたセラミックフィルターの内部で完全熱分解させる化学的手法で完成させた技術で、ガラス、セル、インターコネクターを高精度に抽出することができる。この独自技術により、これまでは品質面で不可能とされていたカバーガラスの板ガラスへの水平リサイクルを可能とした。
日本板硝子は、より高品質なフロート板ガラス製造につなげるため、使用済太陽光パネルからカバーガラスを高効率に分離・抽出する技術を有するトクヤマをパートナーに選定し、その技術を活用した。
2月、千葉事業所(千葉県市原市)のフロート窯にて、トクヤマが供給したカバーガラスを原料に用いた製造実験を実施し、製品品質と製造プロセスへの影響評価を行った。
その結果、リサイクル原料として一定の条件下で問題なく使用できることが確認され、フロート板ガラス製造への水平リサイクルが可能であることを示す成果となった。
温室効果ガスの削減にも貢献
カバーガラスの水平リサイクルの実用化・普及は、廃棄パネルの原料部材の再資源化を通じ資源循環社会の構築に寄与する。さらに、珪砂・ソーダ灰などの天然資源採掘量の削減、カレット(再利用ガラス)の利用拡大による溶融窯の燃焼効率向上が期待され、フロート板ガラス製造工程でのCO2排出量低減にもつながる。
この取り組みは、2025年12月に一般社団法人板硝子協会が発表した「ガラス産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けたビジョン2025」で掲げられた「廃棄ガラスのリサイクルシステムの構築」を後押しするものとなる。
日本板硝子グループは、建築と自動車用ガラス、特殊ガラスなどの分野で事業を展開するガラスメーカー。建築用ガラス事業では、各種建築用ガラス、太陽電池パネル用ガラスなどを製造・販売している。今後も関係企業との連携を強化し、ガラス産業全体の脱炭素化と循環型社会の実現に向けて取り組んでいく。
シリコンリサイクルの研究にも着手
化学メーカーのトクヤマは、廃石膏ボードや使用済み太陽光パネルのリサイクル技術を確立し、環境分野への事業展開も推進している。日立製作所(東京都千代田区)などと、太陽光パネルから板ガラスを回収、オフィス家具の部材に再利用する実証も実施している。
また、北海道を拠点に、使用済み太陽光パネルの資源循環を推進するため、企業連携組織「北海道コンソーシアム」を設立し、道内における再資源化ネットワークの構築を目指している。2030年代に到来するとされる太陽光パネル大量廃棄問題を解決するために、技術開発と高度リサイクル技術の普及を通じて、「埋め立てしない、100%再資源化」の実現に取り組んでいる。
同社は、「低温熱分解法による低コスト処理技術とシリコンリサイクルへ向けたセルの分離技術開発」が、次期NEDO助成事業として採択が決定している。この事業では、低温熱分解法を基軸として、2028年度までの3年間を目途に、さらなる低コスト処理技術と、従来課題であったセルからシリコンなどを抽出するマテリアルリサイクル技術について研究開発を進めていく。
太陽光パネルのリサイクルに関する法律案も閣議決定
国内では太陽光発電設備の大量導入から十数年が経過し、耐用年数の観点から2030年代後半以降に太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万t程度に達すると予想されている。これに伴い、素材ごとの適正な分離技術と循環利用のためのリサイクルプロセスの確立が求められている。
環境省は1月23日、2025年度補正「国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業」において、動静脈連携による太陽光パネル由来のガラスの水平リサイクル技術実証に参画する企業の公募を発表。中間処理事業者とガラスメーカーが連携して水平リサイクルを実現するための異物の高度選別技術などの開発を後押しする。
なお、政府は4月3日、社会全体のコストの抑制を図りつつ、太陽光パネルのリサイクルの処理体制を構築するため、太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法律案を閣議決定している。
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2026.04.07
森トラストが蓄電池事業に新規参入、滋賀県で8.7MW系統用蓄電所開発へ
不動産デベロッパーの森トラスト(東京都港区)は4月2日、同社初の系統用蓄電所となる「琵琶湖蓄電所プロジェクト」(滋賀県守山市、8.7MW/19.7MWh)の開発および事業運営を開始したと発表した。2026年夏に着工し、2027年下期に運転開始する予定だ。
国内外の蓄電池メーカーに投資、系統用蓄電所事業への参入を模索
同蓄電所は、パワーエックス(東京都港区)製の19.7MWhのリチウムイオン電池で構成される。敷地面積は約1万6000m2。特別目的会社を設立し運営を行う。
同社はこれまで、蓄電池関連領域について、技術動向の把握や知見を蓄積するため、次世代蓄電池の研究開発・製造・量産を行う米国のテラワットテクノロジー(神奈川県横浜市)や、蓄電システムの量産を手がけるパワーエックスへ出資してきた。
また、東京都蓄電所投資事業有限責任組合へも出資を行い、系統用蓄電所事業への参入可能性について検討を重ねてきた。
持続可能な都市機能を維持する社会インフラに貢献、蓄電池事業へ参入
再生可能エネルギー導入が進み、太陽光による電気などの需給バランスを常時維持する「調整力」の確保が求められる。一方で、生成AIやクラウドサービスの普及による一時的な電力不足により、都市機能が停止するリスクが顕在化している。こうした昨今の課題や状況を踏まえ、同社は系統用蓄電所事業に参入することで社会インフラの持続性に貢献していく考え。
不動産デベロッパーとして、オフィスビルや都心・地方でのホテル開発を手がける同社では、賃貸物件として保有するオフィスビルに再エネを導入する取り組みや、太陽光発電事業を推進するなど、グリーンインフラへの投資にも注力している。
国内企業の参入が進む蓄電池市場 海外エネルギー大手による侵食も
再生可能エネルギーの主力電源化を見据え、電力需給の調整を担う蓄電所事業に、エネルギー関連企業にとどまらず多様な業界からの参入が相次ぐ。国内事業者だけでなく、4月1日にはフランスの再生可能エネルギー大手ネオエン(パリ)の日本国内における系統用蓄電池市場への参入が発表され、海外大手による日本の系統用蓄電池市場への本格参入事例として注目される。
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2026.04.06
放射冷却塗料で空調の電気代を約30%減 福岡市の運営施設で省エネ性実証
出光エナジーソリューションズ(東京都千代田区)と大河実業(同・中央区)の関連会社・ラディクールジャパン(同・中央区)は3月30日、福岡県福岡市が運営する「博多港ベイサイドミュージアム」において実施した放射冷却塗料「Radi-cool(ラディクール)」の省エネ性能に関する実証実験を2025年8⽉から10⽉にかけて実施し、その結果を発表した。
同塗料を屋根に塗装したところ、屋根表面温度が最大34.3℃低下し、空調消費電力は最大で31.7%削減された。
放射冷却による施設の温度抑制と省エネ効果の相関を確認
同実証では、同施設の屋根に放射冷却塗料「Radi-cool」を塗装し、主に温度抑制と電力削減の相関を確認した。
同製品の塗装後、屋根表面では最大34.3℃温度が低下した。また、屋根裏空間では最大9.7℃の温度低下が見られ、冷却効果が屋根裏空間にも及ぶことが確認された。
さらに空調の消費電力は、同一気象条件(全天日射量±0.3MJ/日、最高気温差±1.0℃未満)の下で比較し、塗装の前後で最大31.7%、平均で18.1%(5ケース)低減した。
放射冷却素材の「夜間も放熱し続ける」という特性で高い省エネ効果
同施設が立地する福岡市は、「2040年度GHG排出量実質ゼロ」というチャレンジ目標を掲げ、公共および民間施設の省エネ・低炭素化につながる取り組みを推進している。特に博多港周辺など港湾エリアには倉庫や工場などが林立しており、これらの屋根は太陽光の影響を受けやすく断熱性の低い構造であることが多いため、同実証事業を通して省エネ・脱炭素に向けた取り組みを実施した。放射冷却塗料を⽤いた実証事業は、政令市として初。
両社は、同実証において高い省エネ効果が確認された要因として、放射冷却素材の持つ「夜間も放熱し続ける」という特性を挙げる。翌朝にかけて空間が予冷状態となり、空調などの起動電力負荷が軽減され、省エネ効果を高めるというメカニズムだ。
ラディクールジャパンが製造・販売する放射冷却素材「Radi-Cool」は、従来の日射反射の技術と放熱技術を掛け合わせ、製品表面への蓄熱を防ぎつつ裏面の熱も吸収、放射することで快適な室内環境の整備につなげるもの。塗料・布・フィルムなどに同素材を適用した製品が展開されている。
この実証結果を受け、公共施設の省エネ化や空調の電気代削減、スコープ2排出量削減による企業価値向上、工場などの労働環境改善・熱中症対策などといった具体的なソリューションを提供していく予定だ。
「危険な暑さ」で暑熱対策を迫られる日本 放射冷却塗料や遮熱塗料などを各社が展開
省エネ対策や熱中症対策の必要性が年々高まる日本において、省エネが可能な素材や塗料などは他社からも発売されている。
放射冷却素材では、SPACECOOL(東京都港区)が販売する製品が、「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)」において選手が待機するテントなどに採用された。
遮熱塗料では、タカラ塗料(大阪府大阪市)が2025年9月に発売し、倉庫や施設の冷房消費電力を最大4割カットする遮熱断熱塗料「リフレクトサーモ」や、ミラクール(東京都文京区)が開発・販売する遮熱塗料「ミラクール」、空調負荷を軽減し10~20%省エネ効果を発揮するマクニカ(神奈川県横浜市)の窓用遮熱塗料などがある。
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2026.04.05
仏企業ネオエンも日本の蓄電ビジネス参入 兵庫に100MW/4時間級
フランスの再生可能エネルギー大手ネオエン(パリ)は4月1日、日本国内の系統用蓄電池市場に参入すると発表した。第1号案件として、兵庫県赤穂市で「赤穂蓄電システム」を開発する。計画規模は100MW/400MWhで、稼働すれば日本最大級の蓄電池になる見込み。2028年の運転開始を予定している。
同社は2025年に同プロジェクトの開発権を取得し、2026年1月に関西電力との系統接続契約を締結した。今後数カ月以内に着工通知(NTP)を発出し建設に入る予定だ。「4時間級」の蓄電システムで日本の電力系統の安定性やレジリエンス向上へ貢献すると発表している。
同発表は、エマニュエル・マクロン仏大統領の訪日に合わせて東京で開かれた日仏ビジネスフォーラムで行われた。ネオエンは今回の案件を、日本市場参入の足掛かりと位置付けており、現在も蓄積を進める開発案件を足掛かりに、日本の蓄電池市場で主要プレイヤーを目指す考えを示した。東京拠点では、すでに複数案件を進めるための体制整備を進めているという。
ネオエンは資産の長期的な保有・運営を基本方針とする再エネ開発企業であり、蓄電システムも同社の中核事業のひとつ。蓄電システムは世界7カ国で展開しており、稼働中・建設中の蓄電池ポートフォリオは合計2.8GW/8.1GWhに達する。オーストラリアでは2017年に世界初の大規模蓄電池「ホーンズデール・パワー・リザーブ」を稼働させた実績があり、同国で稼働中または建設中の大規模蓄電池の総容量は2.3GW/7.2GWhとしている。
今回の赤穂案件は、海外大手による日本の系統用蓄電池市場への本格参入事例として注目されそうだ。国内では足元で蓄電池関連の発表が相次いでおり、市場拡大を見据えた開発競争が一段と活発になってきた。ネオエンの参入で、大型案件を巡る競争はさらに強まる可能性がある。
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2026.04.04
蓄電ビジネス参入加速 市場運用・用地開発・併設型・DRなどプレイヤ多様化
系統用蓄電所や再エネ併設型蓄電池、EV充電を活用したアグリゲーション、家庭用蓄電池のデマンドレスポンス(DR)など、蓄電ビジネスへの参入に関する発表が2026年3月30日から4月1日にかけて相次いだ。
不動産会社、再エネ専業、モビリティ企業、小売電気事業者、電力会社など、参入プレイヤーの顔ぶれも一段と多様化し、「系統用蓄電所を自ら持つ」だけでなく、「既存事業と蓄電を組み合わせる」、「市場運用や制御を収益機会として取り込む」といった動きが広がっており、蓄電は設備投資テーマであると同時に、新たな事業ポートフォリオの受け皿として存在感を高めている。
先日もユーラスエナジーホールディングス(東京都千代田区)の蓄電所着工について報じたが、本記事では当メディアが新たに確認した6件の事例を紹介する。
90MW/270MWh、60億円のプロジェクトファイナンスによる市場販売型巨大蓄電所:レノバ
レノバ(東京都中央区)は3月31日、静岡県菊川市で開発を進める「菊川西村蓄電所」について、想定出力90MW、想定容量270MWhの「市場販売型」蓄電所として約60億円のプロジェクトファイナンス融資契約を締結したと発表した。
FITなどの価格保証に頼らず、需給調整市場や容量市場などへの参加で収益化を図る案件で、同社は国内最大規模の市場販売型と位置付ける。
運転中・建設着手を含む同社の蓄電事業は352MWに達し、2030年までに累計900MWとする中計目標の約4割に相当するという。SBI新生銀行側も同日、同案件向けのプロジェクトファイナンス組成を公表しており、蓄電事業が金融面でも大型インフラ投資として評価され始めていることがうかがえる。
不動産業界の強み・シナジーを活かし、スピード感ある開発で小規模蓄電所を:ADワークスグループ
ADワークスグループ(東京都千代田区、以下ADW)は3月31日、「ADW三重松阪市蓄電所(2MW/8MWh)」が本連系を完了し、稼働を開始したと発表した。
同蓄電所は電力の売買をアグリゲーターとしてデジタルグリッド(東京都港区)、O&M(運営・保守)をJESM(熊本県熊本市)が担う。開発は2011年から太陽光発電所等のエネルギー関連設備を手掛けるサステナブルホールディングス(東京都渋谷区)が、自社ブランド蓄電池「Raptor」を採用し施工した。
ADWは2025年から系統用蓄電所の開発に取り組んでおり、手掛ける蓄電所は全て出力2MW以下の高圧設備で、今回の「ADW三重松阪市蓄電所」も用地取得から12カ月、着工から約3ヵ月で稼働に至っている。今後もスピード感のある開発が可能な範囲で積極的な土地取得と設備投資で規模拡大し、JPEX卸売市場での運用から始め、一定のモニタリング期間を経て需給調整市場へと参入する予定だ。
不動産業界にとっては、土地取得力や開発推進力をそのまま蓄電所開発に転用でき、蓄電ビジネスは既存アセットとのシナジーが見えやすい新規事業だ。
複数市場・防災支援を連携させて事業化:日本蓄電池
日本蓄電池(東京都千代田区)も3月31日、同規模の蓄電システムについて3月27日から需給調整市場向け運用を開始したと発表した。
同社による佐賀県唐津市の「NC唐津市相知町蓄電所」の出力は1,988kW、容量は8,146kWhで、日本蓄電池が開発・運用・現場管理を担い、デジタルグリッドがアグリゲーションや市場参入支援を担う。蓄電システムはダイヘン(大阪市淀川区)、蓄電セルはCATL(中国)を採用。
同社は上記のほか、多数の蓄電所を設置・着工・運用開始しており、今後もJEPX、需給調整市場、容量市場、防災支援を連携させた地域エネルギーモデルの確立を目指していく。
太陽光発電所のFIP移行と組み合わせてアグリゲーション:イーレックス
イーレックスは3月30日に、アグリゲーション事業の柱として系統用蓄電池、再エネ併設型蓄電池、コーポレートPPA、DRを並べた戦略を公表し、3月31日には太陽光併設型蓄電池の第1号案件への投資決定も発表した。
西日本プラント工業(福岡県福岡市)の子会社が所有する福岡県宗像市の太陽光発電所をFITからFIPへ移行し、同敷地内に出力1,980kW、容量8,147kWhのLFP蓄電池を導入、同社が蓄電池事業者兼アグリゲーターとして運用・制御を担う。電力市場価格が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電して収益化を図るほか、出力制御の回避による再エネ有効活用も狙う。
系統用蓄電所の単独開発に加え、既設太陽光のFIP移行と併設蓄電池を組み合わせるモデルは、再エネ発電事業者にとって導入ハードルの低い参入パターンとして今年度も引き続き注目されそうだ。
家庭用蓄電池の調整力をアグリゲーションし事業化:北海道電力
より小さな蓄電リソースを集約するパターンの動きもある。北海道電力(北海道札幌市)は3月30日、家庭用蓄電池を遠隔制御するDRサービス「エネモチャージ 〜蓄電池ポイントサービス〜」の受付開始を発表した。
再エネが余りやすい昼間に充電し、需要の多い平日夕方などに放電する制御で需給バランスの調整に寄与し、参加者には年間1200ポイントを付与する。対象機器や遠隔制御サービス、申し込みフローも整理されており、家庭用蓄電池を系統価値を持つ分散リソースとして活用する方向が鮮明になっている。
EV車両への充電を調整力に変えて事業化:GO、MCリテールエナジー
モビリティ分野では、タクシーアプリを提供するGO(東京都港区)が2026年4月から需給調整市場に参入し、電力アグリゲーション事業を始めると3月31日に発表した。
複数拠点に点在するEV車両への充電量調整で創出した調整力を供出するもので、開始時点で230基超の充電器に接続されたEVを群制御し、MCリテールエナジー(東京都千代田区)を通じて市場へ供出する。同社はモビリティ領域で培ったAI技術や充電マネジメントの知見を電力領域に展開する。
MCリテールエナジー側の発表では、この取り組みはEVを含むネガポジリスト・パターンでの需給調整市場参入としては国内初。小売電気事業やEV関連サービスを展開してきた同社にとっては、既存の顧客接点や電力取引ノウハウに、蓄電池やEVリソースを活用した需給調整機能を重ねる形だ。
各社発表を鑑みれば、設備、用地、需要、制御、金融、顧客基盤などを持つ企業であれば、完全なゼロからではなく、自社の強みを足場に蓄電ビジネスへ参入できるケースが多いと言える。
蓄電ビジネスは、すでに補助金獲得競争だけの段階ではなく、運用ノウハウ、制御技術、金融組成、既存事業とのシナジー設計を競う段階にある。今回の発表ラッシュのように参入プレイヤーが一気に多様化しているいま、蓄電はエネルギー業界の周辺テーマではなく、既に不動産、モビリティ、再エネ、小売電気、需要家支援など隣接ビジネスを横断する事業機会として認識されていると言えそうだ。
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