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2025.10.08
北海道、省エネ・新エネ大賞に寒冷地「ZEB」やそば殻由来の燃料製造など
北海道は10月3日、2025年度「省エネルギー・新エネルギー促進大賞」について、省エネルギー部門で3者、新エネルギー部門で2者の受賞者を決定したと発表した。
省エネルギー部門では、総合設備工事会社の池田煖房工業(札幌市)が、寒冷地「ZEB」の実証施設などの取り組みで、新エネルギー部門では、幌加内町バイオマス有効活用コンソーシアムが、そば殻を原料に用いたバイオマス固体燃料の製造実証業で大賞を受賞した。
エネルギー・新エネルギー促進大賞とは
北海道省エネルギー・新エネルギー促進大賞は、省エネルギーの促進と新エネルギーの開発・導入の促進に関して、顕著な功績のある個人・団体などを対象とした表彰制度で、2007年から実施している。
受賞企業に対しては、認知度向上や販路拡大など、さらなるステップアップに向けて、「表彰企業等プレミアムパッケージ支援事業」として、北海道が持つネットワークや道有施設を活用し、取り組みや商品のPRを支援する。
寒冷地「ZEB」の実証施設で運用改善でも削減効果
池田煖房工業(札幌市)は、省エネルギー部門において、「ZEBと省エネ診断で地域と歩むゼロカーボン」の取り組みで大賞を受賞した。同社は、2022年11月に、移転・新築した本社ビルを寒冷地「ZEB」の実証施設とし、再エネを加えた一次エネルギー消費量の削減量104%を達成し「ZEB」認証を取得している。また、この施設は、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高評価である5スターに認証されている。
今回の受賞では、寒冷地における「ZEB」の実現だけではなく、エネルギー使用のモニタリングと運用改善により、設計値を大きく上回るエネルギー削減効果を得るなど、運用改善に力を入れていることも高く評価された。このほか、同社では、地域企業への省エネ診断事業を行い、地域のカーボンニュートラルへの取り組みに大きく貢献している。
そば殻を用いた固体燃料を製造・地産地消へ
幌加内町バイオマス有効活用コンソーシアムは、新エネルギー部門において、「そば殻を原料に用いた低コストバイオコークス製造技術の実証事業」で大賞を受賞した。
日本一のそばの生産地である幌加内町で、地域で発生するそば殻からバイオ燃料を製造する技術と、エネルギー地産地消の取り組みが高く評価された。灯油・重油が主体の農業用の暖房エネルギーを転換できれば北海道のCO2削減への効果は大きいと予想している。
バイオコークスは、近畿大学(大阪府東大阪市)の井田 民男教授が開発したバイオマス固体燃料のこと。北海道幌加内町、きたそらち農業協同組合、エア・ウォーター北海道(札幌市)、JFE条鋼(東京都港区)、巴商会(東京都大田区)によるコンソーシアムでは、2023年に北海道の補助金の採択を受けて、2026年度商用化を前提としたバイオコークス実証事業に取り組んでいる。
北海道の気候に対応する建築で奨励賞
YKK AP 北海道支社(札幌市)は、既設住宅の煖房消費エネルギー削減に着目した改修用外窓・玄関ドアの開発と普及で、竹中工務店 北海道支店(同)は、北国の環境文化を取り入れたテナントオフィスの設計で、省エネルギー部門の奨励賞を受賞した。
竹中工務店は、オフィスビル「DーLIFEPLACE 札幌」の設計において、千鳥配置にすることで照度の均一化を図ったLED照明、札幌の冷涼な空気を活用した換気システム、札幌市が推進する地域冷暖房システムの活用など、随所に工夫が施されているが評価された。
カーボンニュートラルを目指すワイナリーに「奨励賞」
北海道ワイン(小樽市)は、「地上太陽光×地下ヒートポンプの垂直統合型エネルギー供給 システムによる持続可能なワインづくり」で、新エネルギー部門の奨励賞を受賞した。太陽光発電で得た電力を用い、地中熱ヒートポンプを稼働させ、施設の暖房を行うとともに、発酵タンクの冷却を行うCO2削減効果の高い取り組みであり、他の食品工場などへの波及も期待できることが評価された。
同社では、太陽光発電や地中熱ヒートポンプなどの再エネを積極的に活用し、LED照明の導入によってエネルギー効率を向上させている。直轄農場「鶴沼ワイナリー」ではCO2の排出量測定にも取り組んでいる。また、いずれ広大な敷地の森林管理ができれば、カーボンマイナスも達成できるのでは、と考えている。
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2025.10.07
京葉ガス、再エネ子会社が始動 TGオクトパスエナジーとPPA締結
京葉ガス(千葉県市川市)と京葉ガス不動産(同)は10月2日、再エネ発電事業を手がける新会社「KGソーラー1合同会社」(同)が事業を開始したと明かした。すでに10カ所の発電所で売電を始めており、今後は、関東エリアにおいて約50カ所・合計容量5MW規模の低圧太陽光発電所を開発する予定。
英再エネ大手のオクトパスエナジーと協業
電力供給に向けては、英再エネ大手オクトパスエナジーと東京ガス(東京都港区)が共同設立したTGオクトパスエナジー(同)とPPAを締結。同社が発電所で創出した電力・環境価値を需要家に提供する。太陽光発電所の開発・建設・メンテナンスに関しても、オクトパスエナジーのグループ会社である有限会社HSK(神奈川県横須賀市)が担う。
オクトパスエナジーは、KGソーラー社との連携を通じて、再エネ調達ポートフォリオのさらなる拡充を図る。また、今後の低圧太陽光発電所開発により、安定的かつ長期的な電源確保を目指す。
カーボンニュートラル実現に向け、他社連携強化
京葉ガスは、2022年4月に「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を発表し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた施策として「顧客へのCO2削減に貢献するエネルギー・サービス・商品の提供」「脱炭素への手法・新技術などの開発」「自社・グループ会社・取引先との連携」の3つの挑戦を打ち出した。
また2024年には「中期経営計画2025-2027」を策定。計画では、国内外における再エネ開発などの脱炭素化推進を掲げている。この一環として、2025年8月8日にKGソーラー社を設立した。
他社連携では、2022年7月から双日(東京都千代田区)との業務提携を開始。同社から、1年間に供給する都市ガス使用に伴うCO2排出量の約1/4に相当するカーボンクレジットを取得するなど、カーボンニュートラルガス導入拡大やCO2排出量の可視化などで連携している。
京葉ガスグループは今後も、再エネ電源開発などの取り組みを展開し、脱炭素化を推進していく考えだ。
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2025.10.06
JERAの石狩湾新港112MW洋上風力事業に、北電と東北電が参画
北海道電力(北海道札幌市)と東北電力(宮城県仙台市)は10月1日、石狩湾新港で稼働中の洋上風力発電事業に参画すると明かした。同事業は、JERA(東京都中央区)とグリーンパワーインベストメント(同・港区)が運営するもので、総出力は112MW。
北電・東北電のノウハウを活用し、より効率的な運用を実践
北海道電力と東北電力は9月17日、石狩湾新港洋上風力合同会社を設立。同社を通じて、同月30日に、JERAから、同事業を運営する合同会社グリーンパワー石狩(東京都・港区)の一部権益を取得した。
今後もJERAが事業を主導するが、新たに加わる2社の知見やノウハウを活かすことで、より安定的で効率的な事業運用を目指す。
同事業は、スペインSiemens Gamesa Renewable Energy社製の8MW大型風車を14基を採用した国内最大級の商用洋上風力発電所。発電した電力は、180MWhの蓄電池容量を持つプロジェクト変電所を経由し、北海道電力ネットワーク(北海道札幌市)に全量供給している。2024年1月に商業運転を開始した。
再エネ事業を推進する電力2社
東北電力は、2030年代前半をめどに、再エネ200万kW以上の開発を目指している。これまでもGPIの風力発電事業に出資の形で参画。4月には、GPIグループ運営の出力113MWの「グリーンパワー住田遠野風力発電事業」に出資参を行った。
北海道電力は、2050年北海道全域でのカーボンニュートラル実現に向け、道内外で再エネ発電事業を推進。道内では、風力発電のほか、地熱・太陽光・バイオマスなど幅広く再エネ電源の新規開発を進め、2030年度までに30万kW以上増達成するという目標を掲げる。
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2025.10.05
日本ベネックス、京都府でFIP屋根借りメガソーラー1.5MWを稼働開始
日本ベネックス(長崎県諫早市)は9月24日、京都府井手町の物流施設「田辺西物流センター」の屋根上で、出力約1.5MWの太陽光発電所「ベネックス京都ソーラーポート」を設置し、運転開始したと発表した。同社初の京都府での発電所となり、物流施設の屋根借り太陽光発電所は32件目となった。
日本全国で太陽光発電事業の開発を行う日本ベネックス
同発電所は、中国チントソーラー製の太陽光パネル2470枚、PCSには中国SUNGROW製を採用。発電した電力は、FIP制度を活用して売電する。年間発電量は約174万kWhを見込み、一般家庭約580世帯分の消費電力に相当する。
49件目の自社発電所、合計出力65MW超に
精密板金加工事業を軸に環境エネルギー事業を手掛ける日本べネックスは、クリーンエネルギーの普及による持続可能な社会に向けた取り組みを展開している。
同発電所の稼働を受け、同社が保有する自社発電所は49件となり、合計出力が約65.1MWとなった。このうち物流施設の屋根借り太陽光発電所は32件で合計出力は約56.2MW、FIP太陽光発電所は25件、合計出力約44.6MWと公表した。
同社は、IPP事業(物流施設や倉庫の屋根借り・野立て太陽光発電事業)やEPC事業のほか、自家消費型太陽光発電所への取り組みなども展開する。
蓄電池併設FIP太陽光発電所も8月に稼働
同社では、FIP制度の活用を積極的に進めている。直近では8月に、長崎県諫早市に設置したFIT太陽光発電所「ベネックスソーラーポート」のFIP制度移行と蓄電池の併設が完了したと発表した。この発電所は2019年に、日本ベネックスが本社工場屋根に設置した発電所で、2013年の運転開始時からFIT制度を利用して売電を行っていたが、同社初の蓄電池併設FIP太陽光発電所に転換し運転を開始した。
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2025.10.04
パルシステム千葉、EVトラック初導入 「パルシステムでんき」の再エネ活用
生活協同組合パルシステム千葉(千葉県船橋市)は9月26日、配送拠点の松戸センター(松戸市松飛台)にEVトラックを初めて導入すると発表した。パルシステムでは東京、神奈川で既に導入しており、グループとしては9台目のEVトラックとなる。EVトラックの充電にはパルシステム電力(東京都新宿区)が供給する再エネ「パルシステムでんき」を主体とする電力を使用する。
いすゞのEVトラック「ISUZU ELFmio」採用、安全機能を評価
今回導入した車両は、いすゞ自動車(神奈川県横浜市)の「ISUZU ELFmio」。普通免許で運転可能なほか、ドライバーの表情から異常を検知する「EDSS(ドライバー異常時対応システム)」を搭載する。また、住宅街での配送に適した静音性や振動の少ない乗り心地が特長でこれらの点が評価され、採用に至ったという。
パルシステムグループでは、同車種を2024年10月にパルシステム東京で初めて導入した。
同日開催の納車式では、関係者の挨拶やセレモニーのほか、EV車両の紹介・見学も行われる予定だ。
約7割の拠点では再エネを活用
パルシステムグループは、2030年までに2013年度比でCO2排出量を46%削減、2050年には実質ゼロを目指し、配送に使用するトラックや軽自動車を含むEV車両の導入を積極的に進めている。グループの配送・物流センターの約7割の拠点では、太陽光などの自家発電や「パルシステムでんき」が供給する再エネ+FIT電気を活用。今回導入したEV車両の充電でも、同再エネを活用する。
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2025.10.03
越谷市、災害時にEV搭載可搬型バッテリーで電力供給 NTT東日本らと連携
NTT東日本(東京都新宿区)は9月29日、埼玉県越谷市、イハシライフ(越谷市)と、越谷市内で災害発生時に電気自動車(EV)に搭載した可搬型バッテリーを活用した電力供給に関する協定を締結した。
NTT東日本グループ会社が所有するバッテリー交換式EVコンバージョンカーに搭載された可搬型バッテリーを、イハシライフが市内学校の屋根上に設置する太陽光発電設備で充電し、電力不足の避難所へ運搬して電力供給を行う。
蓄電池を社用車で活用、被災時には運搬・転用
災害発生時にEVの可搬型バッテリーを避難所に供給する取り組みは、東日本エリアで初の試み。今回の取り組みは、越谷市と民間事業者など10者で、市域の脱炭素・地域課題解決を推進するため設立した「こしがや脱炭素コンソーシアム」事業の一環として実施する。
具体的には、越谷市が災害発生時における避難所の電力供給状況の把握し、事業者への協力を要請。イハシライフが、市内学校(大相模中学校)の屋根上の太陽光発電による電力を提供する。NTT東日本グループのNTT東日本埼玉南支店(埼玉県さいたま市)が社用車のCEVの可搬型バッテリーを運搬・提供する。
最大12時間放電できる可搬バッテリー、通常は社用車で活用
災害時に活用するNTT東日本グループのバッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)は、ガソリン車を可搬型バッテリー搭載EVへ転換(改造)したもの。可搬型バッテリー(1500W)で8~12時間の放電ができる。
CEVは、通常は社用車として活用し、災害時には避難所にて可搬型バッテリーを降ろし、電力を供給する。通常は未使用のまま保管される災害用蓄電池を、日常的に活用し、被災時にはそのまま運搬・転用できる仕組みを構築した。
市内7小中学校で太陽光発電事業を手掛けるイハシライフ
イハシライフは、2014年より市内の小中学校7校において越谷市より屋根を借りて太陽光発電事業を実施してきた。同社は関東を中心にプロパンガスの販売や太陽光発電などの事業を手がけている。また、グループ会社のイハシエネルギー(埼玉県越谷市)では、サービスステーションの運営や自動車整備など、モビリティー事業を展開している。
埼玉県の補助金を活用
今回の取り組みでは、事業用太陽光発電の電力を活用し災害時などの地域のエネルギーレジリエンスの強化を支援する、埼玉県の「自立運転切替装置等電力供給設備導入補助金」を費用の一部に活用する予定。
脱炭素・地域課題解決へ各社のノウハウを活用
越谷市は、2021年に埼玉県東南部地域5市1町(草加市、越谷市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町)として「ゼロカーボンシティ」を表明し、脱炭素を推進している。2024年には、越谷市と民間事業者など10者と「こしがや脱炭素コンソーシアム」を設立した。このコンソーシアムでは、各社の知識や技術を共有しながら、地域の脱炭素化と社会・経済課題の同時解決に向けた具体的な施策を検討している。
【参考】
・埼玉県越谷市-イハシライフ株式会社、NTT東日本株式会社と災害時における電気自動車搭載可搬型バッテリーを活用した電力供給に関する協定を締結
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2025.10.02
蓄電池ビジネスのリスクとチャンス(第3回)系統用の接続検討申込が急増
「その土地を購入して本当に大丈夫ですか」
2025年9月24日に開催された、経産省の総合資源エネルギー調査会、電力・ガス事業分科会、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会、次世代電力系統ワーキンググループの資料によると、2025年6月末時点で、東北電力管内では累計で56.6GWの系統用蓄電池の接続検討申込がされ、中国電力管内18.2GW、九州電力管内16.8GW、東京電力管内16.5GWがこれに続いている。日本全国で累計143GWの系統用蓄電池の接続検討申込がされていることになる。
系統連系までの時間が延びている
500kW以上の発電等設備で見ると、2022年度の系統用蓄電池の接続検討申込が約6GW、2023年度が約16GW、2024年度が95GWとここ数年で急激に増加している。これはもはや異常な過熱状態と言わざるを得ない。実際に系統用蓄電池で接続契約申込まで進んだものは18GWのみである。系統用蓄電池の接続検討申込が急激に伸びた煽りをうけて、他の電源の接続検討回答に遅れが生じ、系統連系までの時間が延びている。
土地所有権と系統接続契約をセットで売却するビジネスも登場
これは2012年から2015年にかけての、いわゆる利潤配慮期間の高額FIT(40円、36円、32円/kWh)の太陽光発電バブルを彷彿とさせる事態である。地元の不動産会社や建設会社等、自分自身では系統用蓄電池の開発をする意図がない者が、土地所有権/利用権と系統接続契約の地位をセットとして、権利売買の形で実際の系統用蓄電池の開発事業者に売却するビジネスを行っている。
系統接続契約の地位だけで、1MW当たり1000万円で取引されるような事例もみられるので、一般送配電事業者に支払う接続検討申込の費用の22万円とその他の技術的書類作成経費を考慮にいれても、権利売買は大きな儲けが期待できる。さらに地方の辺鄙な土地であれば、1平方メートルあたり数千円で購入ができ、それに系統接続契約の地位をセットとして、土地の価格にプレミアムをつけて売却することもできる。条件次第ではあるが、2MWの系統接続契約の地位と2MW用の土地とセットとし、5000万円で売却している事例もみられる。
接続検討の工事費、事前の予測は不可能
また、連系地点の⼯事費負担⾦は、⼀般送配電事業者が保有する系統設備を踏まえて必要になる設備構成から⾒積もられるため、接続検討の申請前に予測することは不可能であり、接続検討の回答書が提⽰されることで明らかになる。蓄電池事業者、蓄電システムメーカー、⼀般送配電事業者らへのヒアリングからは、「系統連系⼿続の規定上、⼤量に接続検討を⾏うことについて何も制約がない。いかに多額の接続検討費⽤が⽣じても、それに⾒合った安価な⼯事費負担⾦の連系地点が⾒つかれば接続検討に要した費⽤は回収可能となる」という声が聞かれた。
確度が低い接続検討案件が大量に発生
そのため、「事業者による連系地点の検討が不⼗分であったとしても⼤量に接続検討を⾏う⾏動が促され、結果的に案件確度が低い接続検討が⼤量に発⽣することになる」(蓄電池事業者、蓄電システムメーカー、⼀般送配電事業者)という。系統用蓄電池の接続をめぐる問題点が浮かび上がってきた。
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2025.10.01
東北電力、農業由来クレジット活用 農業支援と脱炭素推進の地域モデルを提示
東北電力(宮城県仙台市)は9月24日より、東北6県・新潟県におけるサステナブル(持続可能)な農業の実現に貢献するため、農業由来カーボンクレジットを購入・活用を開始すると発表した。
この取り組みより、生産者は新たな収入源が確保され、就農者の確保や設備導入などにつながる。地域の生産者が創出したクレジットを地域企業が活用することで、農業の活性化を支援するとともに脱炭素を推進する。
エネルギーと農業が連携、共創モデルを発信
今回の取り組みでは、東北・新潟の生産者がJ-クレジット制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」という方法論に基づき、温室効果ガス(メタン:CH4)の排出削減量として認証を受けたクレジットを同社が購入する。
購入したクレジットは、同社が主催・協賛するイベントや同社事業所の一部から排出される温室効果ガスのオフセットに活用する。また、顧客ニーズに応じた販売などを通じて、東北・新潟内で有効活用・循環を図ることで、経済的安定性と境保全性の両面から、サステナブルな農業の実現に貢献する。
プロジェクト管理のフェイガーと連携
この取り組みにあたっては、農業由来カーボンクレジットの生成から販売までを一貫して手がけるフェイガー(東京都千代田区)と連携する。クレジット創出を希望する地域・生産者は、東北電力がフェイガーに取り次ぎ、同社のプロジェクトに参加することになる。すでに秋田県の大潟村農業協同組合から賛同を得ており、同農協は2026年度からフェイガーのプロジェクトに参加し、クレジット創出に取り組む予定。
フェイガーは、「東北エリアにおけるカーボンクレジット地産地消推進協議体」を発足、東北銀行(岩手県盛岡市)とも連携した取り組みも進めている。
サステナブルな農業の実現に貢献へ
東北電力グループは創立以来、「地域社会との共栄」を経営理念に掲げている。東北・新潟において、農業は地域経済の根幹を担う重要な産業のひとつで、東北電力は、兼ねてより、事業と地域農業の共存を図る取り組みを進めてきた。たとえば、十和田発電所(⻘森県)では、十和田湖の⽔を活⽤して発電を⾏っており、発電後の⽔はかんがい⽤⽔として活⽤されている。
農業では、近年、収益性の低下、就農者の高齢化・後継者不足、異常気象による高温障害・生育不良などさまざまな課題が深刻化しており、サステナブルな農業の実現が求められている。東北電力では、その実現に向けた取り組みとして7月、エネルギー事業で培った知見をシイタケ栽培に活かすため、農事組合法人のENEX de AGRI(秋田県美郷町)と共同で、新会社「Agri-e」(同)を設立している。また、8月には営農型太陽光発電事業を展開するため、千葉エコ・エネルギー(千葉県千葉市)、Cyrinx(東京都渋谷区)と業務提携した。今回は新たな取り組みとして、農業由来カーボンクレジットの活用を開始する。この取り組みを推進するとともに、その社会的意義を発信していく。
水田由来カーボンクレジットについて
J-クレジット制度は、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理、農業での取り組みなどによって削減または吸収された温室効果ガスの量を、「クレジット」として国が認証する制度。
「水稲栽培における中干し期間の延長」では、出穂前に一度、水田の水を抜いて田面を乾かす中干し(水抜き)の期間を過去2カ年の平均より7日間以上延長することで、メタンの排出量を3割削減し、その削減量分を「クレジット」として認証を受けることができる。
同方法論によるJークレジット創出では、Green Carbon(東京都港区)は2023年4月に稲作コンソーシアムを発足させ、取り組んでいる。農家、農業関連機関、企業、自治体など参画者は保有する水田を、このコンソーシアムに登録すると、まとめてJ-クレジットに申請するもので、個々では登録・申請までの申請書作成や手続きなどの簡素化を図ることができる。なお、このコンソーシアムには、2024年5月時点で、合計4万ha以上の農家と、フェイガーを含む約300社以上の企業が参画している。
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2025.09.30
シャープ、新FIT制度対応エネマネサービス開始 AI活用で2段階制対応
シャープ(大阪府堺市)は9月24日、同社のクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」において、新FIT制度に対応したエネルギーマネジメントサービスを開始した。同社独自のAIを活用した蓄電池制御を提供し、新FIT制度下の再エネ利用を最適化する。
新FIT制度の「2段階制」に対応
FIT(固定価格買取制度)は、再エネの普及促進を目的に、太陽光発電システムなどで発電した電気を、電力会社が原則10年間、固定価格で買い取ることを国が保証する制度で、2012年7月に始まった。2019年11月以降には、前身の余剰電力買取制度において10年が経過し買取期間が満了を迎える、いわゆる「卒FIT電力」の活用も議論となった。
再エネ電力に関しては、今後も普及促進が見込まれることから、10月1日に制度改定が行われる。新制度では、従来の10年固定を改め、設置後4年間は初期投資を回収しやすくなるよう高単価で買い取り、5年目以降の6年間は市場価格相当での買取に移行する「2段階制」が採用される。
シャープは今回、新制度に合わせ、蓄電池のAI制御を開発。新制度開始日の10月1日から、「COCORO ENERGY」にて提供を開始する。
設置後4年間は、必要な分だけ充電・可能な限り売電するよう制御
新FIT制度では、設置後4年間は、余剰電力を24円/kWhの買取単価で売電できる。夜間の電気代単価が24円/kWhを下回る場合は、夜間電力で蓄電池を最大限充電し、電気代単価が割高な昼間はその時間帯に使い切るだけの余剰電力を充電して残りを売電するのが経済的となる。
同社独自のAIがユーザーの生活パターンを学習し、昼間の時間帯に必要な消費電力量を高い精度で予測。予測に基づき、蓄電池に充電する余剰電力量を制御することで効率的に売電を行い、安価な夜間電力を最大限活用して電気代を削減する。
2段階目移行後は、自動で自家消費を優先するモードに切り替え
4年経過後は2段階目に移行し、買取単価が市場価格相当まで低下する。同社では、買取単価の低下に合わせて、自動でモード切り替えを行う機能を搭載。ユーザーに代わって蓄電池を自家消費運転に切り替えることで、モード切り替えにかかる手間を省き、自動で最適な運転を実現する。
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2025.09.29
「選手村レガシー」晴海地区 最終超高層タワー2棟が完成 低炭素建築認定
三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)など10社は9月24日、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村の再開発事業において、最終開発の超高層タワー棟「HARUMI FLAG SKY DUO」が竣工したと発表した。全住戸に蓄電池とエネファームを設置したほか、環境配慮の取り組みを実現し、高い省エネ性能を持つ住宅の証となる「低炭素建築物認定」を取得した。
選手村レガシーとして誕生する街
東京都が実施する晴海五丁目西地区の開発事業は、開発区域のタウンネームを「HARUMI FLAG」として、官民連携の下、街区と道路・公園などを一体的に整備する開発が進められてきた。約13haの広大な土地に、5632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟を建築するほか、保育施設、介護住宅、シェアハウスなどを整備。太陽光発電、蓄電池、水素など次世代エネルギーをフル活用する、人口約1万2000人規模の街づくりとなる。
2024年1月から入居が始まり、同年3月には水素ステーションがオープンし水素の街区供給も開始、、同年5月にはまち開きが行われた。
街のシンボルとなる超高層タワー棟
今回竣工した2棟の「HARUMI FLAG SKY DUO」は、超高層棟50階建て、総戸数1455戸で、湾岸エリアの突端部に竣工した。外観デザインには線の重なりや陰影といった日本らしい美しさを意識したという。
免震構造・制震装置を採用するとともに、劣化対策や省エネ性、バリアフリー性など安心・安全と快適性を追求し、長期優良住宅の認定を取得。また、構造躯体を表す「スケルトン」と内装・設備を表す「インフィル」を分離することで、居住空間の有効面積最大化を実現した。
蓄電池とエネファーム、HEMSなど「低炭素建築」認定
さらに、日本では初めてとなる蓄電池とエネファームの両方を全住戸に設置という特長に加え、1次エネルギー消費量の削減を目指した計画の下、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)、節水機能の高い水栓の採用などにより、「低炭素建築物認定」も取得した。なお、HARUMI FLAGでは、先に完成した分譲街区において、日本で初めて蓄電池とエネファームの両方を全住戸に設置している。
世界でもトップレベルの環境先進型都市へ
多くのエネルギー需要が見込まれるHARUMI FLAGでは、新エネルギーとして注目される水素の日本初となる社会実装によるインフラとしての供給のほか、太陽光や蓄電池などを活用した多重なエネルギーインフラを有効活用する。運用には、AI機能を搭載したエリア・エネルギー・マネジメント・システム(AEMS)を導入し、エネルギーインフラの複雑なエネルギー管理を可能にした。
4つの環境認証を取得したトップレベルの環境配慮
HARUMI FLAGでは、4つの環境認証を取得し、世界でもトップレベルの環境への配慮が認められている。世界的な街づくりにおける環境認証制度である「LEED(リード)」の街づくり部門「ND(近隣開発)」における計画認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES(サイツ)」における予備認証の双方でGOLD認証を取得した。また、生物多様性保全の取り組みに対する新規の環境認証制度である「ABINC ADVANCE(エ イビンク アドバンス)」の第1号物件として認証を取得、国内にて街づくりの取り組み全般を評価する「CASBEE街区」では、マンション開発を中心とする事業として、国内で初めてSランク認証を取得している。
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