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2019.03.15
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー機器を全国へ提供・施工してきたエコスタイル(木下公貴社長、東京都千代田区)は太陽光パネルを活用した倉庫のランニングコスト削減に貢献してきた。担当者は「原子力発電所の廃炉に向けた動きなどもあり、電気代は年々増加していく流れが出来上がっている。例え、今は問題となっていなくても今後を想定した時、冷蔵・冷凍倉庫の電気料金対策をしておく必要はあるのではないか」と話す。

同社で実際に施工した関西圏での冷凍倉庫の事例では、契約電力140kWかつ数百坪規模の倉庫で年間の電気料金が800万円だったところを、太陽光パネルの設置と電力会社の変更で年間120万円の電気代削減を達成。パネルは170枚程度の設置で、投資額は1000万円程度。担当者は「このケースでは回収に8年余りかかる計算になるが、地方自治体の補助金・助成金、または中小企業経営強化税制といった控除措置を受けられるケースでは、より短い回収期間の実現が可能」と話す。
また同社では、RE100など世界的な環境対策・SDGs推進の流れにも注目している。担当者によれば、事業者入札の際にも、料金的な部分と併せ、環境対策の有無が評点とされた事例もあり、「今後も協力会社に環境対策を求められるケースは増加するのでは」と分析している。
なお、ソーラーパネルは、天候の影響を受けてしまい、また電気代削減額も倉庫のエネルギー消費形態によって異なる。同社担当者は「直近12か月の電気使用明細があれば、エリアと合わせて1年間での使用量を予測可能。当社では無料サービスとして展開しているので、一度シミュレートされることをお勧めしたい」と話す。
環境対策につながる機器の設置・販売をコアに、様々な提案を行ってきたプレジャーハウス(布施浩社長、愛知県名古屋市中川区)も冷蔵・冷凍倉庫のランニングコスト対策に太陽光パネルの活用を提案している。
布施社長は「これまでは固定買い取り制度が太陽光発電で注目されていたが、発電された電気の買い取り価格が年々減少傾向にあることからも、今後は環境対策・電力費用削減に貢献できる自家消費型が中心となっていく可能性が高い」とし、「RE100などに加盟する国内企業の増加と併せ、太陽光発電に関わるイニシャルコスト(初期費用)は下降傾向にある」としている。
同社で実際に倉庫の屋根に設置したケースのシミュレーション例を出してもらうと、およそ200坪程度のスペースに太陽光パネルを設置したとして、年間の消費電力を5万4500kWh分削減できると試算でき、年間およそ80万円以上のコスト削減が可能。メンテナンスコストを含めても回収年数はおよそ8・5年という。
なお、同社では太陽光パネルの設置費など初期費用を、0円から開始できるレンタルスキームを、金融機関の協力のもと独自に展開中。屋根への設置費用など初期投資分を除くレンタル費用だけで太陽光パネルの設置が可能。レンタル費用も削減された電力代から支払う形となっている。実際に物流倉庫の屋根に設置した際も、300kW分のパネルを設置し、年間で差し引き200万円以上のメリットを享受できたという。布施社長は「倉庫の年間使用電力や、地域の自然環境にも左右される部分はあるが、導入前に年間のメリットをシミュレートすることも可能。中小企業経営強化税制をはじめとした優遇制度と併せ、新電力切り替えといった戦略も提案している。コスト削減に関心のある方は、ぜひお声掛けを」としている。
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2019.03.14
容量16.6kWhのリチウムイオン蓄電池を採用
(出所:ニチコン)
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ニチコンは、固定価格買取制度(FIT)の契約期間が終了した「卒FIT」太陽光の設備で発電した電力を自家消費することを想定し、大容量で単機能型の蓄電池システムを5月から販売する。希望小売価格は400万円(税別)。
容量16.6kWhのリチウムイオン蓄電池を採用した。平均的な家庭の使用電力(480Wで試算)なら最大約30時間、使用できる。太陽光発電で発電した余剰電力を蓄えて夜間使用することで、電気の完全な自給自足を目指せるとしている。
また、非常時のために一定の蓄電量を使わずに蓄えておくことも可能という。工場出荷時は非常用の蓄電量を30%、約5kWhを設定済みで、標準的な家電なら約9時間、使い続けられるという。非常用の蓄電量については、ユーザーが自由に設定できる。
単機能タイプのため、国内外の幅広いメーカーの太陽光発電システムと接続できる。すでに太陽光発電システムを導入済みの家庭にも追加で設置できる。
10年間の長期保証のほか、10年間の災害補償を付帯した。水害、落雷、火災、風害などの不具合でも無償でサービスを受けられる。販売目標は年間1万台。
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2019.03.13
「二酸化炭素の排出を極限まで抑えた新しい共同体を、水の上に作ろう」。そんな試みが今、アムステルダム市郊外の運河で、市民たちの手によって自発的に進められている。プロジェクトの名称は「スクーンシップ(クリーンな船)」。
水上に浮かぶ住宅30棟を同じ場所に設置して、46世帯105人の住民が、「水の上でのご近所づきあい」を目指すという斬新な試み。すでに現場には住宅5棟が設置されており、3月からは一部の人々が実際に暮らし始める。2020年に完成の予定だ。
アムステルダムで建設が進む「スクーンシップ」。「ヨーロッパで最も持続性の高い浮かぶ街」という触れ込みだ=川上真氏撮影
アムステルダムで建設が進む「スクーンシップ」。「ヨーロッパで最も持続性の高い浮かぶ街」という触れ込みだ=川上真氏撮影
「この計画を思いついた時には、他の人たちが本気で取り合ってくれるかとても不安だった。だけど、実際には。話を持ちかけると誰もが『私もやりたい』と、目を輝かせて聞いてくれた。みんな自分の生活を変えたがっていたのね」。
計画の発起人となった映像監督マリアン・デ・ブロックはそう話す。10年前、オランダで水上にボートを浮かべて暮らす人々のテレビ番組を製作したことがきっかけとなり、仲間を募り、話し合いを重ね、自治体を説得するという粘り強い取り組みを続けてきた。
「スクーンシップ」のテーマは「隣人と共に築く持続可能性のある生活」だ。
エネルギー源として、運河の水と大気との温度差を利用してエネルギーを得る「ヒートポンプ」や太陽光発電を最大限活用し、二酸化炭素の排出につながる都市ガス(天然ガス)は一切使用しない。ITによって電力供給を制御する「スマートグリッド」で各住宅を結びつけ、電力を融通し合うことによって、自然エネルギーの弱点である供給の不安定さの克服を目指す。何よりも水上に浮かぶ生活であるため、地球温暖化で海水面が上昇しても影響を受けない。
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水上住宅の建設や太陽電池などの設置にかかる費用は、一戸あたり30万~80万ユーロに達する上に、参加を希望する人々は、計画の詳細を話し合うために多くの時間を割くことを求められる。入居希望者は引きも切らず、キャンセル待ちの人も多い。
ブロックと共に計画に携わってきた建築家のマヨラン・スメイラ(38)はこう話す。「息子たちの未来のためにも、環境に負荷をかけない生活をしたいのだけど、現代文明の快適さも手放したくない。ここならそれが可能になるし、水上バスを使えばアムステルダムの中心までわずか10分。水の上なら、過密な都市の中でも『新しい村作り』ができる」。
すでに現場に浮かべられた住宅の一つでは、団体職員のイヴォンヌ・ファン・サルク(49)と環境NGOに勤めるマルクス・シュミット(52)のカップル、そして十代の2人の息子たちが壁塗りの作業を進めていた。
専門の職人たちの助けを借りつつも、可能な限り自分たちの手でマイホームを仕上げたいのだという。サルクは「考え方が同じ人々と隣人同士になり、共に新しい生活を築き上げていくのはとても野心的。そこに心を動かされた」と話す。息子たちは夏になって、住居の屋上からそのまま運河に飛び込むことを何よりも楽しみにしているという。
アムステルダムで建設が進む「スクーンシップ」。マルクス・シュミット(左から2人目)、イヴォンヌ・ファン・サルク(左から3人目)と2人の息子たちは、後方に写る自らの家の壁塗り作業をしていた。「ヨーロッパで最も持続性の高い浮かぶ街」という触れ込みだ=川上真氏撮影
■都市の行き詰まりを打開する
「水上生活」のより積極的なビジネス化を目指すのが、オランダのハーグ近郊で設計事務所「ウォータースタジオ」を主宰するコーエン・オルトゥイス(47)だ。
同社はこれまでに、スクーンシップの住居を含め約250の水上住宅をデザインしてきたが、オルトゥスの野心は壮大だ。「大都市の大半は沿岸部のデルタ地帯にあり、海水面上昇の危機にさらされている上に、過密化が進んでいる。その行き詰まりを打開するのが、都市の沿岸部にまるごと新しい区画を浮かべることであり、それは既存の技術で十分可能だ」と主張する。
水上構築物の大規模ビジネス展開を狙う建築家のコーエン・オルトゥイス
オルトウィスは、自らが創立・出資するディベロッパー「ダッチドックランズ」と共に、モルディブや米国・マイアミで人工島などの水上構築物をつくろうとしてきた。政府や自治体の規制の壁に阻まれることも多かったが、風向きが変わってきたという。「海水面の上昇が続けば、行政も海上構築物のルール作りに、重い腰を上げざるを得なくなる」とみる。
現在、ウォータースタジオ社は、欧州の16の企業と共に欧州共同体(EU)の資金援助を受けて、大規模な人工島を海上につくるために必要なノウハウの蓄積を目指す「space@sea(海の空間)」というプロジェクトに参加している。計画は、北海の海上に浮かぶ都市をつくることを想定しているという。
■「地産地消」の新たな形
水の上で生産する動きも始まっている。ロッテルダム港の水上では近く、世界初の「水上農園」が開業する。40頭の牛を飼って1日800リットルの牛乳を作り、ミルクやヨーグルトとして販売する。
ロッテルダムの港に浮かぶ水上農園
開発・運営にあたる企業「ベラドン」の社長、ペーター・フォン・ヴィンガーデン(58)が目指すのは、新たな形の「都会での地産地消」。海水面の上昇で農地の確保が難しくなることを見越し「水上なら過密な都市の中でも農業ができる」と考えた。
「生産する過程を直接見ることができて消費者は安心できるし、遠くから食べ物を運ぶことで空気を汚染することもない」。ニワトリや野菜を育てる第二弾、第三弾もオープンさせる予定だ。
ロッテルダムの水上農園を企画・運営するベラドン社・社長のペーター・ファン・ヴィンガーデン
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2019.03.12
大阪ガスの新電気料金メニュー3種類 暮らしのスタイルに合わせての画像
大阪ガス(本社=大阪市)は、ライフスタイルや個々のニーズに合わせて利用できる電気料金メニュー「スタイルプラン」のラインアップを拡充し、新しい電気料金メニューの受付を2019年3月20日から開始する。
二酸化炭素排出量実質ゼロ実現の料金メニューも
同社は、2018年8月に「スタイルプラン」の第1弾として「Amazon」の会員プログラム「Amazonプライム」が付く「スタイルプランP」の受付を開始した。
さらに今回は、「スタイルプラン」の新メニューとして、「スタイルプランd」、「スタイルプランS」、「スタイルプランE」を追加する。
「スタイルプランd」は、NTTドコモユーザーをはじめ、「dポイント」を利用する人向け。関西電力の「従量電灯A」と電気料金は変わらずに、月々の電気料金に応じて、最大で6%のドコモ「dポイント」が自動でたまる。新しく「スタイルプランd」に申し込むと、3000円分の「dポイント」が特典として提供される。
「スタイルプランS」は、大阪ガスの「住ミカタ・保証パック」がセットになった電気料金メニューだ。ガス給湯器やガスコンロが故障した際に無料で修理を行う「機器保証サービス」、住まいのトラブルが発生した際、何度でも駆けつけて一次対応を行う「住まいの駆けつけサービス」などを提供する定額サービス(月額972円=税込)となっている。
最後の「スタイルプランE」では、「E-ZERO」と「E-SHARE」の2種類から選べる。「E-ZERO」は、再生可能エネルギー電源で発電された電気に「非化石証書」を組み合わせ、二酸化炭素排出量実質ゼロを実現した電気料金メニューだ。大阪ガスによると非化石証書とは、「再生可能エネルギー発電などに由来する電力が持つ非化石価値(温室効果ガス排出量ゼロなどの環境価値)を証書化し、電力から切り離して取引可能にしたもの」を指す。同社は、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT制度)の買取期間が終了し始める2019年11月より、利用者の太陽光発電の余剰電力(卒FIT電力)の買い取りを開始する。
また「E-SHARE」は、家庭用燃料電池システム「エネファームtype S」で発電した余剰電力を利用する電気料金メニュー。関西電力の「従量電灯A」よりも割安な電気料金で、クリーンな天然ガスを利用した高効率な分散型発電により発電された電気を利用できると、大阪ガスは説明している。
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2019.03.11
太平洋の海岸線から北に三キロ、宮城県東松島市を横断するJR仙石(せんせき)線の線路沿いに、平屋や二階建ての住宅八十五戸が並ぶ。この住宅街を含む赤井地区に落雷があったのは、二〇一七年七月二十五日の午前一時すぎのことだった。
停電し、地区は一時間半にわたり真っ暗に。だが、この街の電気は消えず、約二百人の住民は誰も停電に気付かなかった。地元自治会副会長の相沢正勝さん(68)は「二、三日後になって、初めて知ったよ」。
八年前、相沢さんは大津波で壊滅的被害を受けた海沿いの大曲(おおまがり)地区に住んでいた。自宅は流され、五人の家族や親戚を失った。停電が長引き、避難先の姉の家では、庭で火をおこして米を炊き、ドラム缶を風呂にした。記憶は鮮明に残っている。「あんな災害は二度と起こってほしくない。でも、ここでは万が一の電気の心配だけはないんだ」
この住宅街は災害などで外部からの電力供給が途絶えても、三日間は自前で電気を賄える。東松島市が震災後、住宅メーカーの積水ハウスと共に水田に開発した復興住宅で「スマート防災エコタウン」と呼ばれる。日本初の取り組みだ。
街の真ん中には、太陽光発電の黒いパネル。夏なら昼間の電力需要を100%満たせる。足りない分は、電力事業を担う「東松島みらいとし機構」が東北電力の送電網を通じて市内の別の太陽光発電所から買ったり、太陽光で充電した大型蓄電池を活用したりして補う。機構の常務理事、渥美裕介さん(34)は「街の全需要の半分近くを、地元の再生可能エネルギーで満たしている」と説明した。
非常時は蓄電池だけでなく、ディーゼル発電機が自動で動く。渥美さんは「二年前の停電の時、発電機が動きだして黒煙を上げたので、火事と勘違いした人もいました」と明かした。
街の中の電線は自営で、東北電の送電網から独立。住宅だけでなく、近くにある仙石病院など四つの医療機関と県の運転免許センターにつながり、普段から電気を供給している。
これらの施設は災害時には避難所となる。停電が四日以上となれば、街の非常用電源から最優先で電気の供給を続ける。仙石病院では八年前、長期化した停電で腎不全患者の人工透析が続けられなくなったが、これで助かる命が増えた。
街の整備には約五億円の税金が投じられた。四分の三は環境省の補助金が充てられ、残りを市が負担。みらいとし機構は街の外の公共施設や漁協、農協に電気を売って利益を得ており、市が負担した一億二千五百万円を十五年ほどで回収できる見込みだという。
再生エネの電気を地産地消しながら防災に生かす試みは、東京都武蔵野市など全国四十カ所以上で進む。震災の苦い経験が、その挑戦を後押ししている。 (宮尾幹成)
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から八年。原発のない国をどう実現するか。先進的な取り組みから、未来を展望する。
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2019.02.02
富士通と富士通研究所は1月30日、ブロックチェーン技術を応用し、電力の需要家(工場や店舗などの電力の使用者)間で不足・余剰電力の取引を実現するシステムを開発したと発表した。
電力会社と需要家が協力して電力の使用量を調整するDRは、電力が足りなくなると予想されるピーク時間帯において節電に貢献した需要家へ対価を支払うことで、電力使用量の削減や平準化を図ることを主要な目的としている。
現状では、電力会社からの調整要請を受け、需要家ごとの節電量をコントロールするアグリゲーターが各需要家と1対1のやりとりを行い、節電量の配分や達成可否を確認しており、需要家が節電量を高確率で達成するためには、節電量が不足している場合に他の需要家の節電量の一部を迅速に融通し合う取引が有効と考えられるが、DRには同様の仕組みが導入されていないという。
こうした状況の中で富士通研究所は、これまでに開発したブロックチェーン技術を活用し、アグリゲーターと契約した需要家同士で余剰電力を相互に融通する取引システムを開発。
DRは、短時間で節電の可否を回答しなければならない場合があるため、まずは取引システムに登録されている売り要求から融通可能な電力の総和を求め、買い要求の中から買える分だけ順番に素早く承認処理を確定する技術を開発し、迅速な可否の回答を可能とした。
また、回答後に確定済みの買い要求に対して売り要求を無駄なく配分することで、取引を最適化する技術も開発した。
この2つのフェーズからなる電力融通取引技術を適用した取引システムをブロックチェーン上で構築することで、これらの取引を記録することで電力融通の取引結果の透明性を保証し、確定した売り買いの取引結果(電力の節電量)に基づいた報酬の正確な配分を可能としている。
需要家間同士での電力融通取引技術の概要
同取引システムにより、要請された節電量が難しい場合でも、他の需要家の余剰電力を自らの節電量の目標に合わせて迅速に購入・補填可能となり、節電量を安定して達成できるとしている。
今回。エナリスの協力を受け、2018年の夏季と冬季の2期分において、需要家20拠点分の消費電力の実績ログを使用して、需要家間での電力融通が可能になった場合のシミュレーションを実施した。この結果、従来の方法に比べて、DRの成功率が最大で約4割向上することを確認。
同システムにより、デマンドレスポンスの普及を支援し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを促進できるようになるほか、富士通は事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す「RE100」に加盟しており、脱炭素社会の実現に取り組んでいく。一環として同システムの実環境での検証を進め、2019年度以降の実用化を図る考えだ。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
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2019.02.01
八幡平市の松尾八幡平地域で29日に地熱発電所が本格運転を開始するなど、このところ、エネルギーを巡るさまざまな動きが出ている。それらは、新たな時代への動きを加速しているように見える。
象徴的なのが、原発の退潮を示すと言える海外計画の挫折だ。日立製作所が英国での新設計画の凍結を発表した。他国、他企業の案件を含め、日本の原発輸出は総崩れとなった。
巨額の安全対策費が重荷になり、「安価な電源」ではなくなっている。その一方で再生可能エネルギーの発電コストが低下。コスト面での優位が揺らいだことが原発輸出を厳しくしている。
時代は再生エネ普及にかじを切っている。ただ、手放しで歓迎される状況ではない。導入が進むにつれて課題も顕在化してきたからだ。
その一つは、太陽光に偏っていることだ。整備しやすい上に固定価格買い取り制度導入時に高価格が設定されたためだが、発電コスト低減に伴い引き下げが続く。また、初期に高価格で認定を受けながら未運転の設備については買い取り価格を下げるなど是正された。
環境破壊など負の面も現れた。国内で問題が相次ぎ、県内の事業でも懸念の声が上がる。背景には国の対策遅れがある。反省しなければなるまい。ようやく、大規模発電所を法律に基づく環境影響評価(アセスメント)の対象に加える方針を決めた。環境との調和が今後の鍵となろう。
潜在力からすれば、今後の期待が大きいのは風力だ。陸上に加え、洋上設置を目指す動きが活発化。昨年、海域利用ルールを定めて開発を促す法律も制定された。
本県でも多様なエネルギーが新たに導入され、計画が進められている。
陸上風力は昨年、企業局が一戸町の高森高原で売電を開始。洋上風力は洋野町などで構想が進む。地熱発電所は八幡平市の安比高原西側でも事業が進められている。バイオマスは大船渡市の工場で年内の稼働を目指す。
県内の消費電力量に対する再生エネ発電量(再生エネによる電力自給率)は、2010年度の18・1%から17年度は28・0%にアップした。導入を推進する県は「順調に推移しており、20年度の自給率35%という目標は達成できる見通し」としている。
地域振興への波及効果も期待される再生エネだが、太陽光施設にみられるように、開発に際しての環境配慮が一層問われてこよう。発電拡大へは送電線網の増強も必要だ。
課題は少なくないが、官民の協力で克服し、制度設計を点検しながら普及を図ってもらいたい。
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2019.01.31
三菱電機は29日、人工知能(AI)を使って家電ごとの電気の使用量を見える化する技術を東北電力と共同で開発したと発表した。新たな計測器を取り付けずに、住宅全体の電力使用量から家電ごとの電力使用量を推定できる技術は初めてだという。電力会社の新しいサービスなどにつながる。開発した技術は、家庭の30分ごとの電力使用量を計測するスマートメーター(通信機能付き電力量計)で計測した住宅全体の電力使用量から、AIが家電ごとの電力使用量を推定する。
電流センサーなどの計測器を使った従来の推定方法と比べて蓄積データ量を1%以下に抑制できるため、電力使用量の計算速度向上などが期待できるという。
これまでスマートメーターは住宅全体の電力使用量しか測定できなかった。また分電盤に電流センサーを設置すれば家電ごとの電力使用量を把握できたものの、センサーの設置費用に10万円程度かかるのが課題だった。
成果は省エネルギーや省コストにつながる家電の使い方を、メールや対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」でアドバイスする東北電力のサービスに採用された。
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2019.01.30
中部電力は七月から、水力や太陽光など二酸化炭素(CO2)を出さないエネルギー源で発電した「CO2フリー電気」を中部地方の企業や一般家庭に販売する。通常の電気代より割高に設定するが、CO2削減を求められる企業や、環境問題への意識が高い消費者の需要に応える。
CO2フリーの電気は、自社の水力発電所の発電分に加え、十一月以降、再生可能エネルギーを高く売電できる「固定価格買い取り制度」の期限が切れた家庭用太陽光の電気を購入してまかなう。原発の電気は取り扱わない。料金設定の詳細は四月ごろ決める。販売が広がれば、収益を再エネ事業への投資に振り分けることも念頭に置く。
同社のアンケートでは、一般の二割弱が「高くても環境に優しい電気を使いたい」と回答。実際の購入につながるかは未知数だが、今回の販売を通じてニーズを測る。一方、企業が排出するCO2削減は世界的な要請で、「需要は確実に見込める」(中電幹部)という。同様のCO2フリー電気は東京電力や四国電力、一部の新電力が販売している。
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2019.01.29
いまエネルギー関係者の間で注目されているのが、「太陽光2019年問題」の帰趨。再生可能エネルギーを利用促進するため、一般家庭に太陽光パネルを設置して発電させ、余った電力を10年間固定価格で買い取るという制度が、今秋から期間満了に伴い順次終了する。導入した160万超の家庭は、結局得をするのか損するのか? 環境・エネルギー問題に詳しいコンサルタントが、目下の状況と着地点について解説する――。
相場より遥かに高かった買取価格
地球温暖化対策から世界中で「脱炭素化」が進む中、日本では相次ぐ震災などの経験を経て、大規模災害に対する備えやエネルギー源の多様化を実現するため、再生可能エネルギー導入が促進されてきた。一般家庭の屋根に太陽光パネルが設置されている光景も、もはや珍しいものではない。
もっとも、家庭で太陽光発電をするとなると、それなりに大きなコストがかかる。環境問題や防災に対する意識が高いから、といった動機だけで経済的ハードルを超えられるものでもない。だからこそ、国は補助金などで導入支援をする施策も採ってきたが、中でも重要な役割を果たしてきたのが、家庭で発電され余った電力を電力会社が“高く”買い取る仕組みだ。
具体的には、2009年11月から「余剰電力買取制度」がスタート。当初の買取価格は住宅用(10kW未満)で48円/kWh、しかも10年間固定で買い取ってもらえるという内容だった。この価格を聞いて高いと思うだろうか、安いと思うだろうか。
「極めて高い価格です」――そう語るのは、国内外の環境・エネルギー問題に詳しい三菱総合研究所のシニアプロジェクトマネージャー・三浦大助氏だ。
「太陽光発電をしている家庭でも自家発電以外に電気を使いますから、その電気代は当然支払わなければなりません。しかし実際には、使用電気代として支払う金額より買い取り価格のほうが高いので、電力会社から届く請求書は『○○円を支払ってください』ではなく、実質的には『○○円を支払います』という内容になっている場合もあると考えればいいでしょう。それが丸々十年分ともなれば、小さな金額ではありません。そもそも大きな火力発電所の発電コストは、現在の相場観で石炭火力5~6円/kWh、ガス火力7~10円/kWh程度です。これと比べればいかに高水準での買取であるかがわかります」
また、現在の電気料金水準は家庭用の低圧電灯料金で、地域ごとに差はあるものの、平均21~23円/kWh程度であり、それと比べても、太陽光の買取単価はかなり高かったわけである。
余剰電力買取制度は、2012年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」に引き継がれた。買取価格は年度ごとに見直され徐々に低減してきており、現在は住宅用(10kW未満)で26円/kWh。今後も引き下げられる見込みだが、太陽光発電システムの導入コストもどんどん下がってきているので、その変動幅は妥当な範囲といえるのかもしれない。
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