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2026.07.22
新工場の熱源100%水素化 コーセー、再エネ+グリーン水素で地産地消
コーセーホールディングス(東京都中央区)は7月10日、山梨県南アルプス市の「南アルプス工場」を本格稼働したと発表した。創業80周年の節目となる新工場では、再エネやグリーン水素を活用したエネルギーの地産地消モデルを構築し、製造時のCO2排出ゼロの実現を目指す。
また同社は、2040年までに工場で使用する熱源を100%水素へ切り替える方針も打ち出した。製造業では電力の再エネ化が進む一方、熱利用の脱炭素化は依然として課題とされており、どのようなプロセスで目標を実現していくのか、今後の展開が注目される。
地域資源を活用した脱炭素型工場が始動
南アルプス工場は、化粧品の生産拠点であると同時に、同社の環境戦略を具現化するフラッグシップ工場として位置付けられる。
工場では、山梨県内の豊富な水資源を生かした水力発電由来の電力を活用するほか、太陽光発電設備も導入。さらに、山梨県が推進する「やまなしモデルP2Gシステム」で製造したグリーン水素を熱エネルギーとして利用し、地域で生み出した再エネを地域で消費する「エネルギーの地産地消モデル」を構築する。
P2G(Power to Gas)は、再エネ由来の電力を利用して水を電気分解し、水素を製造・貯蔵する技術。天候によって発電量が変動する再エネを有効活用できる手法として期待されており、山梨県では官民が連携して水素の製造・供給体制の構築を進めている。
同工場では、このグリーン水素を化粧品製造に必要な熱エネルギーとして利用することで、製造時のCO2排出ゼロを実現する計画だ。
なお、工場建設時にも山梨県営水力発電所由来のCO2フリー電力を100%使用しており、同社は建設段階から環境負荷の低減に取り組んできた。
将来的には工場内での水素製造も検討
南アルプス工場で使用するグリーン水素は、当面やまなしモデルP2Gシステムで製造したものを活用する計画だが、将来的には工場内への水素製造設備の導入も視野に入れる。
工場内で循環利用した水と太陽光発電による電力を利用して水素を製造する構想で、水資源と再エネを組み合わせた循環型のエネルギー利用を図る。将来的には、外部から水素を調達するだけでなく、自ら製造する仕組みも検討し、水素利用の拡大を見据える。
2040年までに熱源100%を水素へ転換
今回の発表で特に注目されるのが、2040年までに工場で使用する熱源を100%水素へ切り替える方針を明らかにした点だ。
企業の脱炭素化では、再エネの導入やコーポレートPPAなどを活用した電力の脱炭素化が先行している。一方、製造工程で使用する熱は都市ガスやLNGなどの化石燃料への依存度が高く、脱炭素化が難しい分野とされる。
コーセーは2024年に南アルプス工場の建設計画を公表した際、化石燃料から山梨県産グリーン水素へ段階的に転換する方針を示していた。今回、新工場の稼働に合わせて2040年という具体的な目標時期を掲げたことで、水素活用の方向性をより明確にした。
現時点では2040年までの中間目標や設備更新のスケジュール、対象設備などの詳細は公表されていないものの、長期的な視点で熱利用の脱炭素化に取り組む姿勢を打ち出した形だ。
「水」を環境戦略の軸に位置付け
また、同社は同日、環境戦略の新たなコンセプト「Water, Life, Beauty」を発表した。
化粧品の主要原料である水は、製品品質だけでなく、生産活動や自然環境とも密接に関わる。今後は、水を企業活動を支える重要な資源とし、水資源の保全から事業活動での有効利用までを一体的に推進していく。
南アルプス工場は、同環境戦略を体現する拠点となる。豊富な地下水を生かしたものづくりに加え、水力発電由来の電力や、水を原料とするグリーン水素を活用することで、水を原料、資源、エネルギーの源として生かす取り組みを進める考えだ。
製造業では、電力の再エネ化が進む一方、熱利用の脱炭素化は依然として課題が残る。コーセーが2040年の目標に向けて、水素の供給体制や設備更新をどのように具体化していくのか。その取り組みは、製造業における熱利用の脱炭素化の実装を考える上でのモデルケースとなりそうだ。
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2026.07.21
ビル・集合住宅の手すりで発電 三協アルミ、建材一体型太陽電池でZEB貢献
三協立山・三協アルミ社(富山県高岡市)は6月30日、ビル・集合住宅向けに、太陽電池一体型アルミ手すり「FINEMASTERSOLA(ファインマスターソラ)」を発売すると発表した。バルコニーや屋上の設置する手すりを発電面として活用した建材一体型太陽電池で、建物のZEB化や環境負荷低減に貢献する。
外壁や発電面積を確保しにくい都市部の建物で再エネ導入を後押し
土地の限られた都市部において再エネ発電設備を導入する場合、建物の意匠性や機能性を確保しながら発電できる建材一体型太陽電池の開発が進んでいる。施設の窓などを活用したBIPV(建材一体型太陽電池)や、ビル壁面などに設置できるペロブスカイト太陽電池、駐車場を活用するソーラーカーポートなどの導入が今後さらに普及することが見込まれる。
同社が今回製品化したのは、自社製品のアルミ手すり「FINEMASTER」をベースとして太陽電池一体型アルミ手すり。中低層から高層まで、多様なビルの屋上やバルコニーの手すりを発電面として有効活用し、景観に調和した美観を保ちながら、建物のZEB化や環境負荷低減につなげていく。
同製品は、太陽電池組み込みガラス部と通常ガラス部を同一デザインで実現し、笠木内部の空間を電気配線に利用することで、統一感のある美しい外観を演出できるという。また、さまざまなメーカーやサイズの太陽光パネルを組み込める構造で、建物の設計や条件に合わせて、最適な太陽光パネルを選択できる。
共用部の電気代削減や防災対策にも有効
同社は、マンションなどの共用部のコスト削減や防災対策としても適用可能な製品だと提案している。たとえば、同製品で発電した電力は、共用部のエレベーターや照明などで自家消費することで、電気代を削減することが可能だ。また、蓄電池と組み合わせることで、災害時の一時的な電源確保など、緊急時の補助電源としても活用できる。
建物を発電設備として活用 多様化する太陽光発電導入
太陽光発電の導入において建材一体型太陽光発電(BIPV)のように、屋根だけでなく建物のさまざまな部位を発電設備として活用する取り組みが広がっている。
今回、アルミ手すりを発電面として活用した三協立山は、3月10日にアイシン(愛知県刈谷市)、山下設計(東京都中央区)と共同で、窓の内側に設置できる「内窓設置型ペロブスカイト太陽電池ユニット」を開発したと発表した。既存建物の改修時に導入しやすい太陽光発電設備として、都市部のオフィスビルや商業施設などのZEB化を後押しする。
また、積雪地域にも対応する製品では、モノクローム(神奈川県横須賀市)が発売した外壁材一体型太陽光発電パネル「Wall–1(ウォール ワン)」などもある。同製品は、建築物の外壁に組み込むタイプの単結晶シリコン太陽光発電パネルで、外装の一部として活用できるよう高い意匠性と景観に配慮したのが特長で、積雪や屋根形状の制約を受ける建物でも太陽光発電の導入を可能とした。
YKK AP(東京都千代田区)は、関電工(同・港区)らと、ペロブスカイト太陽電池を活用した窓一体型BIPVの実証を都内ビルなどで実施し、既存建築物への実装を見据えた技術開発を進めている。また同社は、中国電力(広島県広島市)や中電工業(同)と共に建材一体型太陽光発電(BIPV)の実証実験を2025年12月より開始した。広島市内の地域交流拠点に、YKK APが開発した実証実験ハウスを設置。発電性能や実用性を検証するとともに、人と企業の交流の場を創出。エネルギー創造と地域交流を融合させる実証として、2027年3月31日まで取り組む。
環境省 BIPVを対象とした2026年度の補助事業の公募を開始
環境省は7月2日、窓や壁などの建材一体型太陽光発電設備を対象とした2026年度の補助事業の2次公募を開始した。後付け設備も対象としており、建築物の再エネ導入拡大を後押ししている。公募期間は7月24日12時(必着)まで。「窓と一体となった太陽光発電設備」には最大で5000万円、「壁などと一体となった太陽光発電設備」には最大で3000万円、2つの設備を合わせて導入する場合は、最大で8000万円を補助する。補助事業期間は単年度。
さらに、軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池についても、公共施設への導入や建物の窓・壁面への実装が進み、建物全体を発電設備として活用する動きが広がっている。
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2026.07.20
太陽光パネルから高品質ガラス16tを回収、板ガラスに再生 セントラル硝子
セントラル硝子プロダクツ(三重県松阪市)は7月7日、エヌ・ピー・シー(NPC/東京都台東区)の装置で分離・回収された太陽光パネルのカバーガラスを用いた板ガラスの試験生産に成功し、6月から継続的な水平リサイクルを開始したと発表した。
この取り組みでは、NPCの「ガラス分離装置」と「EVAスクレーパー」を併用した処理方法により、EVA(樹脂)膜の除去効率が向上し、より高品質なガラスを得られることを確認した。
ガラスを割らずに2段階方式で処理
セントラル硝子プロダクツは、ガラス分離装置とEVAスクレーパーにより分離・回収された使用済み太陽光パネルのカバーガラス約16tを原料の一部に使用し、網入り磨き板ガラスと型板ガラスを試験生産し、水平リサイクルが可能であることを実証した。
NPCは、太陽光パネルリサイクル装置として、ホットナイフ方式のガラス分離装置やEVAスクレーパーを開発し、全国のリサイクラーへ供給している。ホットナイフ方式のガラス分離装置は、加熱したナイフで太陽光パネルからカバーガラスを割らずに分離する。EVAスクレーパーは、ガラス分離装置の後工程として使用する装置で、使用済み太陽光パネルからセルシートを分離した後にガラス表面に残るEVAを、特殊なブラシでガラスを割らずに除去する。
さまざまなリサイクル方式を評価
セントラル硝子プロダクツは、業界大手の板ガラスメーカーで、建築・住宅用や自動車用のガラスを製造している。同社は、2025年6月より、ホットナイフ式で分離・回収された使⽤済み太陽光パネルのカバーガラスの水平リサイクルを開始した。
2月からは、ウム・ヴェルト・ジャパン(埼玉県寄居町)において、圧縮破砕方式で分離・回収された使用済み太陽光パネルのカバーガラスを原料の一部に使用して、網入り磨き板ガラスの生産を開始した。両社は、この水平リサイクル事業において協働している。太陽光パネルのカバーガラスを板ガラスとして再資源化するリサイクルでは、熱処理方式やホットナイフ方式による分離が一般的で、圧縮破砕方式を用いた水平リサイクルは国内で初めての取り組みとなるという。
セントラル硝子プロダクツは、2026年度に数十t規模のリサイクルを見込んでいる。今後も、さまざまなリサイクル方式の評価を行い、カバーガラスの回収拠点の拡大し、リサイクルの促進に取り組んでいく。
AGCと太陽光パネルのリサイクルで連携
NPCは2025年10月より、ガラスメーカー大手のAGC(東京都千代田区)と、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル事業で連携を開始している。AGCは、NPCが開発したガラス分離装置とEVAスクレーパーの併用により、分離したカバーガラスに残存する接着部材をAGCの品質基準まで除去できることを確認。これにより、リサイクル業者がNPCの装置を導入し、高品質なリサイクルガラスをAGCに販売するというスキームを構築した。
さらに、NPCは2月、トーエイ(愛知県東浦町)に、太陽光パネルリサイクルにおいて、各素材を分離する「フレーム・J-Box分離装置」と、ガラス分離装置を1月末に納入している。トーエイは、家電再商品化工場に、これらの装置を設置し、太陽光パネルのリサイクル事業を開始する。
また、5月に廃棄物処理事業者の青南商事(青森県弘前市)より、EVAスクレーパーを受注したことを報告している。青南商事社は2019年に、フレーム・J-Box分離装置とガラス分離装置を導入し、太陽光パネルのリサイクル事業を展開している。
太陽光パネルの処理・再利用は社会的課題に
2030年以降、日本国内において、耐用年数を経過した太陽光パネルの廃棄量は年間数十万tに達すると見込まれている。これらの適切な処理やリサイクルは社会的課題となっている。
太陽光パネルの全体重量の約6割を占めるカバーガラスを持続的にリサイクルすることで、廃棄物削減に加え、板ガラス製造に必要な天然資源の使用量の削減、ガラス溶解時のエネルギー低減によるCO2排出量の削減にもつながる。
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2026.07.19
太陽光発電・大規模蓄電池でタイの脱炭素化へ、TGES 約37億円の実証
東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES/東京都港区)は7月8日、タイにおいて、大規模蓄電池と太陽光発電システム(PV)を用いた脱炭素化の実証事業を実施すると発表した。
TGESが日本国内で実績を有する大規模蓄電池とPVを組み合わせた電力供給技術によるオンサイトPPAスキームをタイで実証し、海外展開を目指す。
蓄電池とPVによるPPAを本格展開へ基盤を形成
経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択され、実施する。
タイでは、PVの普及拡大に伴い、余剰電力の有効活用や電力系統の安定化が課題となっており、日本製産業用大規模蓄電池の普及が期待される。そこで、政府支援を活用して初期投資負担を軽減し、総額約37億円の実証を行う。
具体的には、電力需要の大きい複数の工場の敷地内に合計約20MWhの大規模蓄電池と約20MWのPVを導入し、PVの余剰電力を大規模蓄電池に充電し、夜間やピーク時間帯に放電することで、再生可能エネルギーの利用率向上、CO2排出量削減、電力系統の安定化を図る。
この実証で、現地の電力事情や高温多湿な環境におけるシステム有効性、設備の性能、運用条件などのデータ取得・検証を実施する。将来的なコスト低減と事業モデルの確立を図ることでタイにおける産業向けの日本製産業用大規模蓄電池とPVなどによるPPAの本格展開に向けた基盤形成を目指す。
工場でのオンサイト再エネ利用を最大化へ海外で初実証
TGESは、本田技研工業(東京都港区)の熊本製作所(熊本県大津町)と、細江船外機工場(静岡県浜松市)において、太陽光発電設備とリチウムイオン蓄電池の導入し、再エネ由来の電力をオンサイトで無駄なく活用する取り組みを実施している。
このうち、熊本製作所では、国内の工場向けでは最大規模となるリチウムイオン蓄電池(2万kWh)を導入し、稼働済みの太陽光発電設備(7,100kW)の発電状況に連携した運用を行っている。タイでの実証はTGESにとって、この技術を活用した初の海外実証事業となる。
事業化に向けた実証事業を支援
経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」では、グローバルサウス諸国が抱える課題の解決を通じて、その地域の市場活性化と日本国内の産業活性化とともに、日本との経済連携の強化を目的に、日本企業が実施する大型実証、小規模実証・FSなどにかかる費用の一部を支援している。
TGESのタイにおける大規模蓄電池とPVによる脱炭素化の実証事業は、2024年度補正事業(大型実証ASEAN加盟国)に採択されて実施する。
大型実証ASEAN加盟国では、GX分野、DX分野、経済安全保障分野に関する案件で、「日本のイノベーション創出につながる共創型」「日本の高度技術海外展開型」「サプライチェーン強靱化型」のいずれかの類型に当てはまる事業を対象としている。補助率は中小企業以外が1/2で、中小企業が2/3、補助金額は5億円超40億円以下。
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2026.07.18
新築建築物の再エネ設備導入義務化協定、仙台市も参加 各自治体でも制定拡大
東京都、川崎市、仙台市、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は7月9日、太陽光発電の普及拡大に関する4者連携協定を締結した。東京都とJPEAが2022年12月に締結した協定に、2023年6月に川崎市が加わり、今回新たに仙台市が参加した。
3自治体はいずれも、中小規模の新築建築物を対象に、一定量以上を供給する建物供給事業者・建築事業者へ太陽光発電等の再生可能エネルギー設備の設置を求める制度を導入・予定している。東京都と川崎市は2025年4月1日に制度を施行済み。仙台市は2027年4月1日の施行を予定している。
同様の条例の施行・検討が進んでいる自治体もあり、企業の建築・不動産・店舗開発・施設管理の担当者にとっては、新築、建替え、拠点開設を計画する場合には、拠点所在地や建築規模により設計前の段階で自治体制度の対象有無を確認のうえ、太陽光発電設備、省エネ性能、ZEV充電設備などを確認する必要がある。
協定で建築物の再エネ設備導入の普及啓発、技術情報、施工・維持管理、制度運用
今回の協定では、太陽光発電に関する基礎知識の普及啓発、最新技術の情報収集・開発促進、持続的なサプライチェーンの構築や人権尊重などSDGsに配慮した事業活動、施工技術の向上、維持管理、廃棄・リサイクル、制度の円滑な施行・運用に向けた情報共有・発信などで連携することが表明されている。
また、太陽光発電の普及促進に係る他自治体等への政策波及に向けた取組も連携内容に含まれている。東京都は今回の取組を「2050東京戦略」のうち、ゼロエミッション分野の「再生可能エネルギーの基幹エネルギー化」を推進する取組と位置付けている。
東京都、川崎市、仙台市の中小規模新築建物向け再エネ設備導入義務化制度
東京都の参考資料によると、3自治体の義務化対象建物の規模・種類はいずれも延べ面積2,000平方メートル未満の住宅・非住宅(新築)で、その他の概要は以下の通り。
自治体
施行時期
義務の対象者と主な内容
東京都 2025年4月1日施行 都内年間供給総延べ面積2万平方メートル以上の建物供給事業者 太陽光発電等の再エネ設備の設置、断熱・省エネ性能の確保、ZEV充電設備の整備
川崎市 2025年4月1日施行 市内年間供給総延べ面積5,000平方メートル以上の建築事業者 太陽光発電設備等の再エネ設備の設置
仙台市 2027年4月1日施行予定 市内年間供給総延べ面積5,000平方メートル以上の建築事業者 太陽光発電等の再エネ設備の設置、断熱・省エネ性能の確保
3自治体の制度はいずれも、個々の建築主や住宅購入者に直接、太陽光発電設備の設置を求める制度ではなく、一定量以上の建物を供給する事業者を義務対象とする制度として整理されている。企業が自社拠点の新築を行う場合でも、所在地、建物規模、建築主・設計者・施工者の役割、発注先事業者の制度対象該当性を確認することが重要になる。
他自治体でも建築物への再エネ設備設置義務が広がっている
東京都が基本方針を打ち出した2022年頃から、建築物への太陽光発電設備等の設置義務は他の自治体でも導入または制度化が進んでいる。対象規模や義務対象は自治体ごとに異なり、太陽光発電に限定せず、再生可能エネルギー設備の導入義務として制度設計している例もある。
自治体
制度の状況
対象・概要
長野県 改正条例を段階施行予定 改正長野県地球温暖化対策条例により、新築建築物への再生可能エネルギー設備設置義務を創設。設置義務は2028年4月1日施行予定。 京都府 施行済み 条例に基づき、特定建築物・準特定建築物に再エネ設備の導入義務を設定。2022年4月から義務を強化。 京都市 京都府・京都市の条例に基づき、一定規模以上の建築物に再生可能エネルギー利用設備の導入を求める制度を運用。 群馬県 延床面積2,000平方メートル以上の建築物を新築・増築・改築する特定建築主に、再生可能エネルギー設備の導入を義務付け。 福島県大熊町 ゼロカーボンの推進による復興まちづくり条例に、特定建築物またはその敷地への再生可能エネルギー利用設備の設置義務を規定。 新築・建替え計画で再エネ設備導入に関する確認・検討事項が発生する
太陽光発電設備の設置義務は、建築確認申請や工事着手前の手続きと連動する制度が多い。事業者側は今後、たとえば次のような確認が発生することになる。
・建築予定地の自治体に、太陽光発電設備または再生可能エネルギー設備の設置義務があるか
・対象が建築主、建物供給事業者、建築事業者、設計者のどれか
・対象建築物の規模や用途、新築・増築・改築の別
・断熱・省エネ性能、ZEV充電設備、蓄電池、維持管理、廃棄・リサイクルに関する追加要件の有無
・計画書、届出、報告、公表、建築士による説明義務の有無
・補助金や上乗せ設置促進策の対象になるか
今回の4者協定では、連携項目に「他自治体等への政策波及」が含まれているため、今後同協定に他の自治体が参加することも十分に考えられそうだ。
当メディアでは以前に、東京都・川崎市の設置義務化による住宅用太陽光発電市場への影響について自然エネルギー財団(東京都港区)が分析したレポートの記事も掲載している。
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2026.07.17
「ナフサを使わない新素材を開発して」 東京都が6億円支援、2社程度募集
東京都は7月6日、ナフサ代替原料を用いた石油由来製品の代替素材開発など、石油のみに依存しない新たな技術や素材などの開発に取り組む事業者などを支援する事業について、公募を開始した。
都は採択された企業と協定を締結し、開発に必要な経費の一部を負担するほか、専門家による助言や連携企業とのマッチングなどの伴走支援を行う。事業期間は1~3カ年度。3カ年度事業の場合、都は最大6億円を負担する。2社程度採択する予定。
中東情勢で危ぶまれるナフサなどの安定調達 石油のみに頼らない社会のため
中東情勢の影響などにより、ナフサなどの安定調達に関する不確実性が高まっており、石油のみに頼らない社会の実現に向けて、エネルギー構造の転換などを加速化が求められている。そこで、都は、新規事業として、ナフサを原料としない素材などの開発を支援する。
支援対象となる開発例として、次の2つを挙げている。
・バイオマスや廃プラスチックなどから製造される石油由来ナフサの代替となるものの開発
・石油由来ナフサを原料とするエチレンやプロピレンなどの基礎化学品やポリエチレンやポリプロピレンなどの川中製品などの代替となる素材や製品などの開発
都は開発必要な経費の一部を協定金として支給する。年度毎の協定金の上限額は以下の通り。
・上限1億円/年度(2026年度)
・上限2億円/年度(2027年度)
・上限3億円/年度(2028年度)
事業実施期間は、協定締結の日から最長2029年3月31日まで(予定)。募集期間は9月17日17時まで。審査会は9月下旬を予定。協定締結は9月以降を予定している。
都内に拠点を持っていれば応募可能だが、新規開発の実績が必要
応募対象とする企業などは、都内に本店または支店・営業拠点を有する法人や、都内で石油のみに依存しない新たな技術や素材などの開発に向けた取り組みを行う法人。新たな技術や素材などの開発に関する取り組みの実績を有していることなども要件となる。複数の企業などが提携して応募することもできる。
採択事業者は、石油のみに依存しない新たな技術や素材など開発・改良・実証実験が計画的に実施できることを前提とし、提案にあたっては事前に関連企業などの了承を得ておく必要がある。なお、都では3カ年度で開発が完了することを目標としているため、協定期間内に、開発が完了するように取り組まなければならない。
東京都からは、取り組みを促進するためのコンサルティングやマッチングなどの支援が受けられ、事業経費の一部が支給される。
非石油由来製品・技術を持つスタートアップも支援
都は、中東情勢を踏まえて、非石油由来製品・技術を持つスタートアップを支援する事業も開始している。この事業では、現在、事務局業務などを担い、都とともに事業を推進する事業プロモーターを7月27日まで募集している。スタートアップの募集は9月頃に実施し、5社程度の採択数を予定している。
ナフサは、原油を精製する過程で得られる軽質の石油製品で、ナフサから、プラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの身近な化学製品の原料となる基礎化学品が生産されている。中東情勢を背景に、原油価格の上昇やナフサ不足、物流費の高騰など、国内のさまざまな産業に影響が広がっている。たとえば、ソーラーパートナーズ(東京都新宿区)は加盟する全国の外構・エクステリア施工店を対象にアンケート調査を実施し、資材価格の上昇や供給不安が広がっている実態を報告している。
一方、ナフサ由来原料からの転換に向けた取り組みも進められている。素材メーカーの東レは5月、100%バイオベースナイロン66の製造技術を確立したと発表している。また、スポーツ用品メーカーのゴールドウイン(東京都港区)は6月、リニューアブル原料を用いて、ナイロン繊維の低炭素型サプライチェーンを構築したと報告している。どちらも他社と連携し、サプライチェーンで取り組みを推進している。
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2026.07.16
LIXIL、国内営業10拠点でオフサイトPPA 工場も再エネ多様化
LIXIL(東京都品川区)は7月7日、国内の営業拠点10カ所に循環型電力オフサイトPPAを活用し、再エネ電気の運用を開始したと発表した。スコープ2削減につながる取り組みの一環として、再エネ導入を推進する。
また同社は、国内外の各拠点の立地や目的に応じ、「追加性」の高い多様な手法で再エネを調達している。2025年には国内外の生産拠点5工場において、自家消費型太陽光発電設備の設置や、オンサイトPPAを活用した再エネ導入を開始した。
関東の10拠点にオフサイトPPAを活用した再エネを新たに導入
東京都や千葉県の国内営業拠点10施設では、LIXIL敷地外の屋根を活用した太陽光発電設備等で創出された電力を購入するオフサイトPPAを、2026年4月1日より運用開始している。年間発電量(再エネ購入分)は70万kWhを見込む。
LIXILは、アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都港区)が運用・管理する全国1,300施設以上の屋根上に設置された太陽光発電施設で生じた「余剰電力」を効率的に集約し、長期固定価格で供給を受ける。これにより、自社施設への太陽光発電設備の設置が困難だった拠点においても、再エネ由来の電力を長期固定価格で安定的に利用できるため、同社は将来的な電力価格高騰リスクの低減と安定的な事業運営を図る。
国内営業拠点では、FYE2026(2026年3月期決算)に非化石証書を用いて再エネ100%をすでに達成しているが、今後は証書購入への依存を低減し、再エネの新規開発に直接寄与する「追加性」のあるエネルギーへの移行を加速させる。LIXIL国内初のこの取り組みにより、対象10施設が使用する全電力の約50%を本電力に切り替えることで、年間296t-CO2相当の環境価値をオフサイトPPA由来へとシフトさせる。
国内外の5工場で自家消費型太陽光やオンサイトPPAを導入
また、2021年から2025年にかけて、タイ工場に合計12.7MWの自家消費型太陽光発電システムを設置した。2025年11月に稼働開始した。同工場は、LIXILの住宅建材事業(LIXIL Housing Technology)における最大規模の生産拠点として稼働している。現地の補助金を活用し、太陽光発電設備導入にかかる初期投資を抑制。発電した再生可能エネルギーの価値を自社事業に活用している。これにより、同工場において年間3960t-CO2のGHG排出量削減を見込み、工場全体の9.6%の電力を賄う想定だ。
タイ工場のほかに、キッチンの主力工場である深谷工場(埼玉県深谷市)にも自家消費型太陽光設備を導入し、2025年4月より稼働した。
拠点敷地内のスペースを活用するオンサイトPPAによる再エネ導入に取り組んでいるのは、ベトナム工場(アルミ製品の製造拠点)や上野緑工場(三重県伊賀市/浴室の製造拠点)、大谷工場(愛知県常滑市/洗面台の製造拠点)。すべて2025年6月から11月にかけて順次運用開始している。
拠点 導入モデル 年間発電見込量 発電設備能力 稼働時期 国内営業拠点10施設(東京・千葉) 循環型オフサイトPPA 70万kWh(再エネ購入分) – 2026年4月 タイ工場 自家消費 1550万kWh 12,700kW 2025年11月 ベトナム工場 オンサイトPPA 425万kWh 3,000kW 2025年11月 深谷工場 自家消費 27万kWh 170kW 2025年4月 大谷工場 オンサイトPPA 74万kWh 713kW 2025年6月 上野緑工場 オンサイトPPA 46万kWh 350kW 2025年10月 各拠点の年間発電見込量と発電設備能力(出所:LIXIL) LIXILは、LIXIL環境ビジョン2050「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、2050年までに事業プロセスと製品・サービスによるCO2排出量を実質ゼロにすることを目指す。この実現に向けた3つの領域のひとつに「気候変動対策を通じた緩和と適応」を掲げ、事業で使用する電力の100%再エネ転換を目指す企業イニシアチブ「RE100」に参加し、再生可能エネルギーの活用を促進している。
国の補助金も活用しつつ、拠点特性に応じた再エネ導入の選択肢
LIXILのように、自社拠点の立地や用途に応じて最適な再エネ調達手法を選択する企業は増えている。当メディアでは、広大な駐車場敷地を活用したソーラーカーポートを運用する企業の取り組みなども紹介している。
ホームセンターを展開するジョイフル本田(茨城県土浦市)は、宇都宮店(栃木県上三川町)に大規模ソーラーカーポートを設置し、7月1日より運転を開始した。
また、リコーPFUコンピューティング(神奈川県海老名市)は、生産拠点である鳥取事業所(鳥取県鳥取市)の従業員駐車場に約1.2MW規模のソーラーカーポートを導入し、オンサイトPPAによる再エネ利用を開始した。建屋屋根ではなく未利用の駐車場を活用することで、重量制限や将来の増築計画などの課題に対応している。
自家消費型太陽光発電設備やPPAを活用した再エネ導入を検討する企業に向けて用意されている国の補助制度もある。環境省は2026年度、自家消費型太陽光発電設備や蓄電池、オンサイト・オフサイトPPAなどを対象とした「令和7年度補正予算ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」を、5月15日まで公募していた。
2025年度の同補助金を活用し、東洋製罐(東京都品川区)が大阪府茨木市の茨木工場に自家消費型太陽光発電設備を導入し、オンサイトPPAによる再エネ電力の利用を開始した取り組みを紹介している。
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2026.07.15
東京応化工業、熊本2工場に地熱PPA導入 再エネ50%へ
東京応化工業(神奈川県川崎市)は7月7日、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)と連携し、熊本県内の2拠点で地熱発電を活用したオフサイトコーポレートPPAを導入したと発表した。
地熱発電を用いたオフサイトコーポレートPPAの導入は、半導体材料メーカーでは初めて(九電みらいエナジー調べ)。安定供給が可能な地熱由来電力を活用し、半導体需要の拡大を背景に電力消費が増加する生産拠点の脱炭素化を進める。
年間のCO2排出量約1730t削減
今回導入したのは、九電みらいエナジーが保有する地熱発電所の再エネ電力を、小売電気事業者の九州電力を通じて供給するオフサイトコーポレートPPA。対象は、阿蘇工場と、6月に稼働を開始した阿蘇工場 阿蘇くまもとサイトの熊本県内2拠点となる。
供給する電力は、大分県の八丁原発電所、滝上発電所、鹿児島県の山川発電所、大霧発電所の4カ所で発電した地熱由来の再エネ電力。
この取り組みにより、2拠点で年間に使用する電力量の約50%を地熱由来電力で賄う。年間のCO2排出量は約1730t削減できる見込みで、工場の脱炭素化を大きく前進させる。
新設した阿蘇くまもとサイトでも活用
阿蘇工場 阿蘇くまもとサイトは、東京応化工業が半導体需要の拡大に対応するため整備した新たな生産拠点で、6月に稼働を開始した。今回のPPAでは既存の阿蘇工場に加え、新設した同サイトにも地熱由来電力を供給することで、生産能力の拡大と脱炭素化を同時に図る。
東京応化工業は、半導体製造に用いるフォトレジストや高純度化学薬品などの電子材料を製造する。AIやデータセンター向けを中心に世界的な半導体需要が拡大する中、生産設備の増強に伴って電力需要も増加している。安定的に電力を供給できる再生可能エネルギーの確保は、生産活動と脱炭素経営を両立する上で重要性が高まっている。
今回採用した地熱発電は、太陽光や風力と異なり天候や昼夜の影響を受けず、24時間365日発電できる点が特徴だ。設備利用率は約82%と、国内の再生可能エネルギー電源の中でも高い水準にあり、ベースロード電源として活用できる。
地熱PPAの導入拡大
九電みらいエナジーは近年、九州の豊富な地熱資源を活用したオフサイトコーポレートPPAを積極的に展開している。
これまでに、東京建物(東京都中央区)が所有する東京都内のオフィスビルへの導入や大和製罐(同・千代田区)東京工場への導入などを公表しており、導入先はオフィスビルから製造業まで広がっている。今回の東京応化工業向けは、半導体材料メーカーでは初の採用事例となる。
同社は、既設の地熱発電所を活用することで、新たな発電所の開発期間を要さず再エネを調達できることや、複数拠点へ電力を供給できることを特徴としている。九州は国内有数の地熱資源があり、その地域特性を生かした企業向け再エネ供給の拡大を進めている。
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2026.07.14
系統用蓄電池の導入・開発を支援、ビジコネットがマッチングサービス開始
ビジコネット(東京都港区)は7月7日、系統用蓄電池事業の検討・参入で課題となりやすい事業者選定や案件比較を支援する、投資家・事業会社向けマッチングサービス「チクデン」を開始したと発表した。
系統用蓄電池事業では、土地・案件探し、設備・工事内容の比較、収益シミュレーション、複数の専門事業者との調整が必要となる。同サービスでは、初期相談から案件比較・事業者選定、導入後の運用体制の検討まで一括で支援する。
検討内容や条件に合わせて適切な事業者を紹介
再エネの導入拡大や電力需給の安定化を背景に、系統用蓄電池事業への関心が高まっている。一方で、実際の事業検討においては、開発用地を取り扱う事業者、接続検討済み案件や権利案件を保有する事業者、系統用蓄電池設備を一括で提案・販売するEPC事業者、アグリゲーターなど、複数の関係者との調整が必要となる。
同サービスでは、事業検討における「どこに相談すればよいか分からない」「案件や事業者を比較しながら検討を進めにくい」といった課題に対応する。
具体的には、系統用蓄電池の導入・開発を検討する企業に対して、事前のヒアリングを通じて検討内容や条件を整理した上で、必要となる事業者を紹介する。適切な事業者との相談機会を提供することで、系統用蓄電池事業の検討・参入を支援する。
規模や検討段階に応じて対応
系統用蓄電池事業では、土地・案件の有無、希望する規模、導入時期、検討段階などによって、必要となる相談先や進め方が大きく異なる。チクデンでは、「EPC事業者のみを比較したい」、「土地付き案件や開発案件を探したい」、「保有地や検討中案件について、導入可否や事業性を確認したい」など、必要な範囲に応じて相談先を整理し、事業者を紹介。高圧・特別高圧・自社保有地の活用やピンポイントの相談から複数工程をまとめた検討まで幅広く対応する。なお、検討フェーズを問わず、初回相談・事業者紹介に関する相談は無料で行う。
ビジコネットは、営業に特化して転職を支援するサービスや、企業と派遣会社のマッチングサービスを手がけている。今回のサービスは、社会に価値を提供するイノベーション事業と位置付けている。この新たな事業では、物件販売、メーカー、EPC事業者、アグリゲーター、金融機関などと提携している。
系統用蓄電池事業を支援するビジネス
矢野経済研究所(東京都中野区)は、2030年度の国内蓄電所ビジネスは、2024年度の約10倍に規模拡大すると予測している。系統用蓄電池市場では、案件紹介・事業者マッチングを担うサービスや、運転開始後の市場取引や調整力提供を支援するアグリゲーションサービスなども増えてきている。
グッドフェローズ(東京都品川区)は5月、投資用太陽光発電所のマッチングサイト「タイナビ発電所」で、新たに低圧の系統用蓄電所案件の掲載が可能となる機能を追加している。また、GATES(同・新宿区)は6月、系統用蓄電池向けプラットフォーム「蓄託(TIK TAK/チクタク)」で、これまで提供してきた「権利付き事業用地」のマッチングに加え、「系統用蓄電池の完工(開発)案件(開発案件・建設完了済み案件)」の取り扱いを開始している。
関西電力(大阪府大阪市)は5月、系統用蓄電池の開発から運営までをワンストップで支援するサービスを開始している。このサービスでは、事業計画の策定や電力市場での運用など、同社が蓄電所プロジェクトの全体マネジメントを行い、蓄電所事業への参画をサポートするものだ。
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2026.07.13
新設「日本気候基金」 ソーラーシェアリング啓発・人材に1000万円助成
公益財団法人パブリックリソース財団(東京都中央区)は7月6日、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の普及を支援する「日本気候基金」を設立し、第1期助成プログラム「農業と未来をつなぐソーラーシェアリング助成」の公募を開始した。
基金総額は最大2000万円で、1団体当たり最大1000万円を助成する。応募期間は8月19日17時まで。
営利法人も応募可能 設備導入ではなく普及活動を支援
支援対象となる事業は、「農業者や地域コミュニティの気候変動へのレジリエンス向上」と「再エネ普及によるGHG排出削減」の両方に資することが条件となる。
一方で、森林伐採など環境破壊を伴う事業や、未実用化技術の研究開発のみを目的とした事業、太陽光発電パネルの購入・設置を主目的とする事業は対象外としている。
応募対象は、特定非営利活動法人(NPO法人)や非営利型一般社団法人、社会福祉法人、公益法人などの非営利法人に加え、社会課題の解決を目的とする営利法人も含まれる。
支援期間は2026年11月から約1年間の予定。
普及啓発や人材育成、地域連携体制整備などを支援
同基金は、アジアでクリーンエネルギーへの移行を支援するシンガポールの財団「Tara Climate Foundation」の助成を受けて創設したもの。気候変動の影響が深刻化する中、農業者や地域コミュニティが主体となって営農型太陽光発電を普及させる取り組みをサポートし、農業経営の安定化と脱炭素化の両立を目指している。
営農型太陽光発電は、農地で営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置して、農業と発電を両立する仕組みだ。売電や自家消費による収益確保に加え、地域の再エネ利用拡大にも資する手法として導入が進められている。
今回の助成対象には、普及啓発や人材育成、地域連携体制の構築が盛り込まれており、地域の受け皿づくりを支援する。
気候変動分野の助成拡大も視野
パブリックリソース財団は、今回の基金を起点に、日本国内における気候変動分野の寄付・助成基盤の拡充を目指す。
今後は、企業や助成財団、寄付者など幅広いパートナーの参画を募り、気候変動対策に取り組む地域プロジェクトへの資金循環を拡大していく。今回の助成はその第一弾となる。
営農型太陽光発電は、再エネの導入拡大だけでなく、農業経営の安定化や耕作放棄地対策、地域活性化など複数の課題解決が期待される。一方で、地域に定着させるには関係者との連携や継続的な普及活動が欠かせない。
パブリックリソース財団は、設備導入ではなく、こうした普及活動や人材育成、ネットワーク形成を後押しすることで、営農型太陽光発電の地域への定着を図る。
パブリックリソース財団は、2000年設立のNPO法人パブリックリソースセンターを前身とし、2013年に公益財団法人として発足した。個人や企業の寄付を社会課題の解決に取り組む団体へつなぐ寄付推進財団として、テーマ基金や企業との共同基金の運営、遺贈寄付などを通じて、「意志ある寄付で社会を変える」をミッションに活動している。
Tara Climate Foundationは、2021年設立のシンガポールを拠点とするフィランソロピー財団。アジア12の国・地域でシンクタンクや研究機関、業界団体など約400のパートナーを支援し、公正なエネルギー移行や産業の脱炭素化、クリーンエネルギーの普及を後押ししている。
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