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2025.05.21
三菱重工、発電所の排ガスからCO2を回収 パイロットプラントを本稼働
三菱重工業(東京都千代田区)は5月14日、関西電力(大阪府大阪市)の姫路第2発電所(兵庫県姫路市)に新設したCO2回収パイロットプラントが本格稼働開始したと発表した。
アミンなどの溶剤を用いて化学的にCO2を吸収液に吸収・分離する「液体アミン型CO2分離・回収システム」のパイロットプラントで、発電所のガスタービンからの排ガスを用いてCO2を回収する技術の研究開発を行う。回収能力は1日約5t 。
CCUS事業の競争力強化へ
三菱重工業は、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術の研究開発に取り組んでいる。このプラントでは、三菱重工業が実施する実証試験に対して、関西電力は助言と試験設備の運転に必要となるエネルギーなどの供給を行う。
三菱重工業は、次世代に向けた革新的なCO2回収技術の実証を通じて、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)事業の競争力強化につなげていく。また、環境規制対策といった温室効果ガス排出削減にとどまらない多様な顧客ニーズに、より高度に対応していく。
エクソンモービルと開発中のCO2回収技術を実証
さらに三菱重工業は、2022年に米国エクソンモービル(ExxonMobil)と提携しており、エクソンモービルと共同開発中の次世代CO2回収技術を、このパイロットプラントで実証し、環境負荷低減とコスト削減に向けた研究開発を加速させる。さらに、三菱重工のデジタルイノベーションブランドである「ΣSynX(シグマシンクス) Supervision」の遠隔監視システムを実装する。
CO2回収技術は多種多様な分野で活用
両社は、1991年から南港発電所(大阪府大阪市)内に液体アミン型CO2分離・回収システムのパイロットスケール試験設備(2t-CO2/日 規模)を設置し、排ガス中のCO2を効率的に分離・回収するアミン吸収液やCO2回収プロセスを共同開発してきた。
また、両社は2024年1月、近年火力発電設備の主流になっている、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電方式に適応したCO2回収プロセスや、さらに高性能なCO2吸収液の開発を目指して、パイロットスケール試験設備(5t-CO2/日 規模)の設置することで合意、建設を進めてきた。
両社が共同開発したアミン吸収液の「KS-1TM」と、それを改良した「KS-21TM」は一般的なアミン吸収液と比べ、CO2の分離に必要なエネルギー消費量を大幅に抑えることができる。2025年5月現在、これらの技術を用いたプラントを18基納入しており、発電所や化学プラントなど、多種多様な分野で活用されている。
CO2回収プロセス(出所:関西電力) CCUSバリューチェーンを構築へ
三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し、エネルギー需要側・供給側双方の脱炭素化に向け戦略的に取り組んでいる。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の一つとして、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCCUSバリューチェーンの構築を掲げている。
独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていく考えだ。
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2025.05.20
東電とNTTアノード、群馬県で系統用蓄電所が稼働
東京電力ホールディングス(東京都千代田区)とNTTアノードエナジー(同・港区)は5月15日、郡馬県嬬恋村で系統用蓄電所「嬬恋蓄電所」が稼働を開始したと発表した。
出力・2MW、容量9.3MWh
同発電所は、両社が2023年11月に共同で設立した嬬恋蓄電所合同会社(東京都千代田区)の運用の下、2025年5月15日に商業運転を開始した。出力2MW、容量9.3MWh。開発は、資源エネルギー庁が取り組む2022年度補正「再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金」の採択を受けて進められた。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再エネの導入・活用が進む中、調整力の確保や電力系統の増強対策など、電力システムに関する課題が顕在化している。 こうした状況を受け、両社は、嬬恋に新たな蓄電所を開所した。
今後は同蓄電所の運用を通じて、蓄電池に関する各種データの収集やバランシング技術による余寿命への影響などの検証を進めるとともに、卸電力市場・需給調整市場・容量市場における取引により電力系統の安定化を図る。将来的には、再エネの大量導入を念頭に、電力系統の混雑緩和に資する蓄電池のユースケースの検証やさらなる蓄電所事業の発展を目指す。
データセンター開発で協業も
東京電力HDは2023年12月から、NTTデータグループ(東京都江東区)、NTTグローバルデータセンター(同・千代田区)のNTTグループ2社とともに、データセンター(DC)の共同開発を開始している。開発第1弾は、千葉県印西白井エリアのIT機器向けDC施設。容量は50MWで、サービス開始は2026年下半期の予定。
東京電力HDとNTTグループは今後も、首都圏を中心に、順次データセンター開発・運用を共同検討していく考えだ。
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2025.05.19
JR東海と三井不動産レジ、サステナブル分野で連携 再生アルミ活用など
東海旅客鉄道(JR東海/愛知県名古屋市)は5月13日、同子会社のジェイアール東海商事(同)および三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)と、サステナブル分野での協業を開始すると発表した。CO2排出量を97%削減する東海道新幹線再生アルミの建材利用と家庭部門のCO2削減する省エネプラットフォーム「くらしのサス活』アプリ」を活用する。
再生アルミは東京都文京区の新築マンションに採用決定
JR東海グループは、これまで東海道新幹線の再生アルミを活用し、アルミストローや子供用野球バットなどを開発してきた。住宅分野では、三協立山(富山県高岡市)と共同で、車両アルミをリサイクルした建材「Re ALumi(リ アルミ) T」を共同開発し、三井不動産レジデンシャルが開発している東京都文京区の新築分譲マンション「(仮称)文京区向丘1丁目計画」での採用が決まっている。
特典として、貸切車両を使った子供向けSDGs体験などを提供
「くらしのサス活」とは、三井不動産レジデンシャルの商品ブランドコンセプト「Life-styling×経年優化」に賛同する企業・団体とともに、参加者の脱炭素活動をを後押しし、持続的にCO2削減を促進する活動。
アプリ特典として、JR東海グループがサステナブルな体験や商品を提供している。特典の1つ 「くらしのサス活SDGsのぞみ号体験」では、JR東海の「貸切車両パッケージ」を使って、乗務員になりきったり、アイスを再生アルミで食べるなどのSDGs体験が子供と一緒に楽しめる。なおイベントにかかる移動では、CO2フリー電気を使用し、CO2排出量は実質ゼロとなる。
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2025.05.18
ジョイフル本田、太陽光設置11店舗が本格稼働 CO2年間3800t減
アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)は5月13日、ジョイフル本田(茨城県土浦市)運営の11店舗における太陽光発電・蓄電池の設置が完了し、本格稼働を開始したと明かした。総発電量は約10GWhで、太陽光パネル設置施設全体の約25%の電力を賄う。
CO2排出量を年間約3800トン削減
ジョイフル本田は2022年からアイ・グリッドの支援の下、GXを推進している。今回の太陽光導入もこの一環で、PPAモデルによる太陽光発電の導入を段階的に進めているという。
設置したうち10店舗には蓄電池を併設し、発電量が多い時間帯に電力を貯め、電力使用量が多い時間や夜間時に放電調整を行う。これにより、長期にわたる停電発生時なども近隣への商品供給が継続できる。また太陽光発電が行えない時間帯は、アイ・グリッドが提供するグリーン電力証書を活用し、再エネ利用をオフセットする。
導入店舗の概要
荒川沖店(茨城県土浦市)、古河店(茨城県古河市)、幸手店(埼玉県幸手市)、市原店(千葉県市原市)、君津店(千葉県君津市)、千葉店(千葉県千葉市)、富里店(千葉県富里市/太陽光発電設備のみ)、ニューポートひたちなか店(茨城県ひたちなか市)、新田店(群馬県太田市)、瑞穂店(東京都西多摩郡)、ジョイホンパーク吉岡(群馬県北群馬郡)。この取り組みにより、CO2排出量は年間約3800トン削減できる見込みだ。
ジョイフル本田、脱炭素化の中間目標を1年前倒しで達成
ジョイフル本田は、GHG排出量削減目標として、2025年にスコープ1・2を2013年度比で43%削減、2030年に51%削減、2050年までにカーボンニュートラル達成という目標を掲げ、ソーラーカーポート導入などさまざまな取り組みを行っている。2025年度目標についてはすでに1年前倒しで達成(2024年度46.7%削減)している。同社は引き続き、目標達成に向け環境負荷の少ない店舗づくりを進める考えだ。
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2025.05.17
環境省、ソーラーカーポート導入に補助金 蓄電池や充電設備も対象
環境省は5月8日、ソーラーカーポートなど駐車場を活用した太陽光発電設備のほか、定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)、車載型蓄電池、充放電設備、充電設備などの導入を支援する補助金の公募を開始した。公募期間は5月8日から6月5日正午(必着)まで。
駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備の導入を促進
この事業では、駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備を導入する事業に対して、対象設備の導入を補助する。
たとえば、補助額は太陽光発電設備が定額で8万円/kW。車載型蓄電池は定額で2万円/kWh。定置用蓄電池は、目標価格以内の場合、補助率が1/3、目標価格を超える場合、業務・産業用が3.9万円/kWh、家庭用が4.1万円/kWh。このほか、充放電設備と充電設備は機器費(補助率1/2または1/3)と設置工事費(定額)を補助する。いずれも上限額が設定されている。
執行団体は、一般社団法人 環境技術普及促進協会(大阪府大阪市)が務める。
事業の詳細は、公募要領などを確認のこと。概要は以下の通り。
対象事業の要件
駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポートなど)の導入を行う事業であって、以下に示す要件をすべて満たすもの。
(1)駐車場を活用した以下のいずれかの太陽光発電設備を導入すること。
- ソーラーカーポート(太陽光発電一体型カーポート、太陽光発電搭載型カーポート)
- その他駐車場を活用した太陽光発電設備
(2)導入設備による発電量の50%以上を導入場所の敷地内で自家消費すること。
(3)パワーコンディショナの最大定格出力の合計が10kW以上であること。また、積載率(太陽光発電モジュール容量÷パワーコンディショナの最大定格出力)は、1以上であること。
(4)停電時に電力供給可能とするシステム構成であること。
(5)事業によって得られる環境価値のうち、需要家に供給を行った電力量にひもづく環境価値を需要家に帰属させるものであること。
(6)再エネ特措法に基づく固定価格買取制度(FIT)の認定またはFIP(Feed in Premium)制度の認定を取得しないこと。
(7)電気事業法に定める接続供給(自己託送)を行わないものであること。補助対象設備
(1)太陽光発電設備
太陽光発電設備(設備タイプ) 補助対象設備 ソーラーカーポート 太陽光発電一体型 太陽光発電モジュール一体型カーポート、パワーコンディショナなど 太陽光発電搭載型 太陽光発電モジュール、架台、カーポート、 パワーコンディショナなど その他駐車場を活用した太陽光発電設備(充放電設備を導入する場合に限る) 太陽光発電モジュール、架台、パワーコンディショナ (2)太陽光発電設備の受変電設備(太陽光発電設備などの補助対象経費として計上)
(3)定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)
(4)車載型蓄電池(電気自動車・プラグインハイブリッド車。外部給電が可能なもので、通信・制御機器、充放電設備を導入する場合に限る)
(5)車載型蓄電池の充放電設備または充電設備
(6)エネルギーマネジメントシステム(EMS)家庭用定置用蓄電池、車載型蓄電池、充放電設備、充電設備は、2024年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)における補助対象車両・設備であること。
補助金の交付額
交付額の算定方法は、公募要領の別表(上限は1億円)に掲載されている。
基準額は、以下の通り。
対象設備 基準 太陽光発電設備 定額 8万円/kW×パワーコンディショナの定格出力の合計値(kW)
※太陽光発電設備の補助対象経費のみの費用効率性(CO2を1t削減するのに必要な費用)が地域区分における費用効率性の上限げ設定されている。定置用蓄電池 目標価格以内の場合:補助対象経費×1/3 目標価格を超える場合: - 業務・産業用 3.9万円/kWh×蓄電池容量の合計値(kWh)
- 家庭用4.1万円/kWh×蓄電池容量の合計値(kWh)
定置用蓄電池の区分、目標価格(工事費込み) 区分 電池システム・機器使用 目標価格 業務・産業用 火災予防条例で定める安全基準の対象(蓄電池容量が20kWh超)となる設備 11.9万円/kWh 家庭用 上記以外の蓄電池容量20kWh以下の設備 12.5万円/kWh 充放電設備
(公共施設または災害拠点)機器費 補助率1/2
(上限は最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」)設置工事費 定額(上限は95万円/基) 充放電設備
(上記以外の施設など)機器費 補助率1/3
(上限は最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」)設置工事費 定額(上限は15万円/基) 充電設備 機器費 補助率1/2(上限は最新のCEV補助金(車両・充電インフラ等導入事業)の「補助対象充電設備型式一覧表」の事業毎の補助金交付上限額) 設置工事費 定額(上限は最新のCEV補助金(車両・充電インフラ等導入事業)の「事業毎の設置工事に係る補助金交付上限額」) 補助事業期間
補助事業期間は単年度。実施期間は、交付決定を受けた日から2026年1月31日まで。
補助金の交付を申請できる者
民間事業者・団体など
6月25日より2次公募を実施予定
事業名は、設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業のうち、建物等における太陽光発電の新たな設置手法活用事業。2024年度(補正予算)と2025年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)の事業のひとつ。
2次公募を6月25日から7月15日正午(必着)まで実施する予定。なお、1次公募で予算額に達した場合は、2次公募を実施しないことがある。
【参考】
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2025.05.16
ENEOSなど中部エリアの低圧太陽光開発 2026年中に5MWを運転開始
ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE/東京都港区)とエクソル(同)は5月8日、複数の発電所を同時並行的に開発・建設することで大規模な発電容量を確保する「バルクスキーム」での低圧太陽光発電所の開発で協業すると発表した。
第1弾として中部エリアにて、2026年までに50件・合計設備容量5MW規模の発電所を順次着工・建設し、2026年中にすべての発電所の運転開始を予定している。
エクソルの太陽光発電所をEREグループが譲受
この協業では、エクソルが開発・建設した太陽光発電所をEREグループが譲り受ける。
オフサイトコーポレートPPAに対するニーズが高まる一方で、国内における大規模な太陽光発電所の適地は減少している。低圧太陽光発電所については年間約1,200件、17MWの建設実績(屋根上含む)があるエクソルと、発電所開発に加え蓄電池活用やコーポレートPPA(電力購入契約)による売電に強みを持つEREグループが協働することで、開発難易度が高まる事業環境の中でもスピード感を持って発電所の開発を進めていく。
PPA事業を推進へ太陽光開発での協業にも注力
EREは、ENEOSグループで、再エネ発電事業を手がけている。
たとえば、EREは2024年5月、西日本旅客鉄道(JR西日本/大阪府大阪市)と関西電力(大阪府大阪市)と、コーポレートPPAを締結。このPPAでは、EREは発電事業者として関西エリアにおいて開発・運営する合計約1万8000kW規模の太陽光発電所からの電力を関西電力に供給し、関西電力は小売電気事業者としてJR西日本に再エネ由来の電力を供給する。JR西日本は購入した電力を山陽新幹線(新大阪駅~岡山駅間)の列車運転のために使用し、CO2排出量を削減する。また、EREは2024年8月、AmazonとコーポレートPPAを締結している。
さらに、EREは2024年6月に、WAKO(広島県広島市)、ALLアセットパートナーズ(AAP/広島県広島市)と中国・四国エリアにおいて、バルクスキームでの高圧太陽光発電所の開発で協業を開始すると発表した。WAKOグループが開発・建設した太陽光発電所をFIP転換したうえでEREが譲り受け、AAPがO&Mを担う。2027年中に88件49MW規模の発電所の運転を開始する予定で、この事業の発電所で発電した電力は将来的にオフサイトコーポレートPPAによって需要家へ提供する計画だ。
また同年12月、H.Eエナジー(北海道札幌市)と、東北エリアでバルクスキームでの低圧太陽光発電所の開発で協業を開始すると発表した。H.Eエナジーが開発・建設した太陽光発電所をEREグループが譲り受け、運営管理はH.Eエナジーが担う。2025年までに50件・設備容量5MW規模の発電所建設に順次着工し、2025年中の運転開始を予定している。
欲しいだけ再エネを提供できるサービスを充実へ
エクソルは、太陽光発電事業の専業企業として、太陽光発電システムの設計・建設・メンテナンスを全国に提供している。エクソルには、オフサイトコーポレートPPAに関する相談が多く寄せられている。
再エネ導入に積極的な企業が増えたことで、「コーポレートPPA」の導入が広がっている。なかでも、需要家の施設とは異なる場所に設置された太陽光発電所で発電された電力を、一般の送電網を通じて供給するオフサイトコーポレートPPAが、自社に設備を持たずに再エネを導入できる手段として注目されている。そのため、FIT(固定価格買取制度)に頼らず、発電した電力を市場や需要家に直接供給する野立てのNonFIT型低圧太陽光発電所の建設が活発になっている。
エクソルは、全国のEPCとネットワークを形成し、工事仕様、設計思想など、日本全国の「太陽光発電所品質の統一化」を行い、「品質の良い発電所」の建設を進めている。このようにして建設された太陽光発電所を集約し、小売り電気事業者を通じて欲しい所に欲しいだけ再エネの提供を可能にする「オーダーメイドPV開発サービス」を展開している。今後も、全国の需要家や発電事業者のニーズに応えられるサービスを充実させていく。
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2025.05.15
商船三井、CO2ガス拡散評価を行う事業者募集 対象は大型液化CO2船
商船三井(東京都港区)は5月7日、大型液化CO2船の実用化に向けて、同船に関するCO2ガス拡散を評価する事業者を公募すると発表した。
3次元ガス拡散計算で、周辺環境への影響などを評価
商船三井は2021年、日本CCS調査(東京都千代田区)が進める新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の一部である、大型液化CO2輸送船の社会実装に関する研究開発を受託した。
日本CCS調査が手がける事業は、年間100万トン規模のCO2を長距離・大量輸送する際のコスト低減化に向けた新たな輸送技術を研究開発するもので、実証試験および関連調査を実施している。商船三井は今回、2025度の大型船社会実装に関する研究開発の一環として、CO2ガス拡散シミュレーション評価の請負業者を募集する。受付期間は5月7日から5月20日まで。
採択された事業者は、2022年度に船舶基本設計を実施した大型液化CO2輸送船を対象に、船体・船上搭載機器・装置をモデル化した3次元ガス拡散計算を用いて、同船と周辺環境への影響を評価する。
具体的な評価項目は以下の通り。
- ベントライザーからの大気ベント時における、居住区に影響を及ぼす可能性のある条件下でのCO2拡散状況の評価
- タンク安全弁作動時における、居住区に影響を及ぼす可能性のある条件下でのCO2拡散状況の評価
期間は、契約締結日から2026年2月28日までの予定。
液化CO2輸送事業に注力する商船三井
商船三井は2021年に、液化CO2船を船舶管理するラルビック・シッピング社(LS社/ノルウェー)に出資し、液化CO2海上輸送事業へ参画した。このほか、米国の石油大手Chevron Corporation(シェブロン)や関西電力(大阪府大阪市)、コスモ石油(東京都港区)、JX石油開発(同・千代田区)と、CCUS・CCS向け液化CO2海上輸送事業に関する協業を開始している。
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2025.05.14
スズキ、サプライチェーンから再エネ電力融通 中部電系オフサイトPPA活用
スズキ(静岡県浜松市)は5月8日、アイゼン(同)および中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)と共同で、「遠州脱炭素プロジェクト」初となるオンサイト・オフサイトPPAサービスを開始したと発表した。
発電した再エネは工場で自家消費するほか、スズキ本社に供給
「遠州脱炭素プロジェクト」とは、静岡県の遠州地域に拠点を持つ参画企業が、中部電力ミライズと連携し、太陽光発電の導入量最大化を図るというもので、遠州地域の脱炭素化への貢献を目的としている。
スズキは今回、部品の取引先であるアイゼンとともにプロジェクトに参画し、再エネのシェアに取り組む。
具体的には、アイゼンは静岡県浜松市の小沢渡東工場屋根上スペースに出力約341kWの太陽光パネルを設置する。発電した電気は、中部電力ミライズが提供するオンサイトPPAにより、同工場において自家消費するとともに、休業日などに生じる余剰電力は、中部電力ミライズのオフサイトPPAを活用し、スズキ本社に供給する。年間発電量は約39万kWh(スズキ:約15.1万kWh、アイゼン:約23.9万kWh)の見込み。
太陽光発電所の設置および運営は、中部電力ミライズのグループ会社、シーエナジー(愛知県名古屋市)が手がける。
遠州由来の再エネ電力を「選び・使い、そして増やす」
「遠州脱炭素プロジェクト」では、今回の取り組み同様、参画企業の敷地内に、その企業の電力需要以上の電気を発電する設備を設置し、発電した電気のうち自家消費することができない余剰電力を、その時間帯に電力を消費できる別の参画企業とのマッチングを行い、参画企業内で融通するスキームを採用している。
これにより、遠州地域の電気を「選んで使う」企業は、これまで有効活用できていなかった屋根上などの設置スペースを最大限生かし、遠州地域の電気を「増やす」ことが可能となり、参画企業は、遠州地域の再エネの「追加性」に貢献できるようになる。
「遠州脱炭素プロジェクト」のスキーム図(出所:スズキ) 3社は今後も、「遠州脱炭素プロジェクト」などを通じて再エネの導入量の最大化と有効活用を実現し、遠州地域の脱炭素化を目指す。
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2025.05.13
ウエストグループなど5社、廃棄パネルの循環型リサイクルで協業
ウエストホールディングス(広島県広島市)は5月2日、廃棄される太陽光パネルのリサイクルスキーム「Solar to Solar」を確立し、4社のパートナー企業と戦略的業務提携を締結したと発表した。
廃棄パネルのフレームとして使用されているアルミをリサイクルし、太陽光発電設備用のリサイクルアルミ架台を製造。今後ウエストグループが新設する太陽光発電所へ活用するスキームで資源の有効活用を目指す。
廃棄パネルのアルミフレームをアルミ架台に再生、ウエストグループの太陽光発電所に設置
ウエストホールディンクスと連携するパートナー企業は、大坪GSI(福岡県柳川市)、不二サッシグループの不二ライトメタル(熊本県玉名郡長洲町)・不二倉業(東京都品川区)、丸紅メタル(同・千代田区)の4社。
5社はそれぞれ以下の役割を担う。
- ウエストグループ : 太陽光発電所の解体、廃棄パネルの供給
- 大坪GSI: 廃棄パネルの解体、ガラスリサイクル
- 不二ライトメタル:アルミリサイクル、リサイクルアルミ架台の設計・製造
- 不二倉業:廃棄パネルなどの収集運搬
- 丸紅メタル:案件情報の展開、引取車両手配、リサイクルアルミ架台の販売支援
「Solar to Solar」リサイクルスキーム(出所:ウエストホールディングス) ウエストグループは今後、このリサイクルスキームを全国展開し、より多くの発電事業者や自治体との連携を強化していく考え。また、リサイクル技術の向上や新たな活用方法の開発にも取り組むとしている。
太陽光パネル大量廃棄問題に備え、パネルのリサイクル率向上へ
日本国内で2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降、太陽光発電の普及が急速に進んだが、一般的な太陽光パネルの耐用年数は20~30年であるため、2030年代から大量の太陽光パネルが廃棄されることが予測されている。
現状では、撤去されたパネルの多くが埋立処分となり、最終処分場の容量不足も懸念されており、ウエストグループはこの社会課題を解決するため、今回パートナー企業と連携し、パネルのリサイクル率向上、資源循環および廃棄物削減を図るため取り組むこととした。
太陽光パネルの大量廃棄問題においては、環境省が2024年8月に太陽光発電設備のリサイクルに関するガイドラインを策定。中古太陽光パネルの活用や廃棄パネルのリユース・リサイクル事業に乗り出す企業が増えている。2025年度の動きとしては、4月8日に京セラコミュニケーションシステムとエヌ・ピー・シーが使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に関する協業の検討開始を発表。同月28日には福島県が、県内で廃棄された太陽光パネルのリユース・リサイクルモデルの構築のため、事業者を公募型プロポーザルでの募集を開始している。
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2025.05.12
住友電工、英国・アイルランドを結ぶ送電施設引き渡し 実運用へ
住友電気工業(大阪府大阪市)は4月28日、独シーメンスエナジーと共同で進めていた英国とアイルランドを結ぶ国際連系送電システムを実運用に向け引き渡したと発表した。同プロジェクトの運用開始により、38万戸の世帯に電力が供給される。
全長190kmに及ぶケーブル構築を設計から保守まで一括で請負
このプロジェクトは、アイルランド南東部のウェクスフォードと英国・ウェールズ南西部のペンブルックシャー間を結ぶ、国際連系送電システムの建設プロジェクト。開通により両国間双方向での電力融通が可能になるという。
2022年にコンソーシアムによる建設が開始され、住友電気工業は、全長190km(海底区間160km、アイルランド側陸上区間24km、英国側陸上区間6km)に及ぶケーブルシステムの設計から、製造・敷設・保守メンテナンスまでを請け負った。
2024年8月には同社が敷設したHVDCケーブルの試験が通過。シーメンスエナジー社管轄の交直変換所の建設完了と試運転を経て、引き渡しとなった。
高圧直流送電ケーブルの敷設ルート(出所:住友電気工業) 今回のプロジェクトについて、アイルランド気候・環境・エネルギー担当のダラ・オブライエン大臣は、「同国のエネルギー目標を支えるための必要なインフラを確保する手助けとなる」とコメントした。
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