有事に備え、自衛隊でもペロブスカイト太陽電池導入 陸屋根設置方法など実証

積水化学工業(東京都港区)は9月7日、防衛省施設でフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始したと発表した。

実証は7月1日に始まり、海上自衛隊沖縄基地隊の施設陸屋根に、防水材と組み合わせた同太陽電池28枚を設置した。今後は設置・施工方法、耐久性や発電性能について検証する。期間は9カ月間の予定。

アンカー打設不可・耐荷重の低い屋根での設置方法を確立 次世代太陽電池の適用を拡大へ

実証は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う、積水化学グループの積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)とともに開始した。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業で実施されている。

防衛省では、平時における商用電力の節減だけでなく、商用電源が途絶した際の代替電源のひとつとして、また、軽量で柔軟性を有し、耐荷重の低い屋根や壁面に設置できる、フィルム型ペロブスカイト太陽電池へ期待を寄せている。

そこで、今回の実証では、環境条件(風害・塩害)の厳しい地区における陸屋根での防水材との組み合わせによる設置仕様と、フィルム型ペロブスカイト太陽電池導入の可能性を検証する。

太陽電池を陸屋根に設置する場合、従来のアンカー工法では、架台固定用に防水層にアンカーを打ち込むため、再度防水加工が必要になるなどの課題があった。

積水化学工業は、今回の実証で得られた結果を、設置方法確立へ活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の適用拡大を図る。

 

積水化学、2030年までにペロブスカイト太陽電池の大規模製造ラインを構築

積水化学工業は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業を活用し、ペロブスカイト太陽電池の開発・量産技術確立に取り組んできた。その強みとして、封止・成膜・材料・プロセスにおける独自技術による差別化を挙げる。積水ソーラーフィルムは、2025年に日本政策投資銀行(東京都千代田区)とともに設立した。

また、積水化学グループは、同太陽電池の実用化に向け、例えば、港湾施設や営農型太陽光発電設備、体育館の屋根への導入など、さまざまな実証を展開している。

3月には、フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業を開始した。この事業では、環境省2025年度公募の「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された、さいたま市、滋賀県、西日本高速、福岡県、福岡市と、東京都の「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」を対象に金属屋根に設置する製品を提供する。

積水化学グループは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の供給量拡大を目指して、2027年度に100MW規模生産ラインの稼働を予定している。2030年度に生産能力1GW以上を目指して第2・第3生産ラインの増設も検討している。

 

日本全体で進む量産技術の確立とフィールド実証

2050年の脱炭素社会実現に向けて再エネの導入拡大が求められている。太陽光発電はその主力電源とされている。一方、日本は平地面積が少なく従来のシリコン系太陽電池では適地が限られることが課題となっている。これに対して、フィルム型ペロブスカイト太陽電池には、軽量で柔軟という特長があり、従来設置が難しかった耐荷重の小さい屋根や建物壁面などへの普及が期待されている。

NEDOは、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、量産技術の確立と並行して、その特徴を活かした設置方法や施工方法などを含めた性能検証のため、耐荷重の小さい屋根やビル壁面、公共施設・インフラ空間などへの設置などへのフィールド実証に取り組んでいる。

3月には、「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン」を公開している。このガイドラインでは、ペロブスカイト太陽電池、カルコパイライト太陽電池(CIS太陽電池)、薄型結晶シリコン太陽電池などのフレキシブル太陽電池について、安全・信頼性を考慮した上で導入を進める観点から、建築、電気などの各分野設計・施工で注意すべき事項を文献などから取りまとめている。このガイドラインは随時改訂し、公表していく予定。

当メディアでは、太陽光発電の「適地制約」と次の一手について、NEDOによる解説も掲載している。

 

2026年9月29日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

ページの先頭へ