石油時代の終わりの始まり 浮上する脱炭素のアキレス腱

「石油時代の終わり」が始まろうとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で傷んだ経済の復興を環境対策で挑む「グリーン・リカバリー」が始動する。各地に波及し、化石燃料から再生可能エネルギーや電気自動車(EV)に転換する動きが勢いを増しそうだ。石油需要が近くピークに達する可能性はあるが、新たなリスクも浮上している

「石油消費はコロナ危機前の水準に戻らないかもしれない」。英石油大手BPは14日発表の報告書で明らかにした。米ブルームバーグ通信によると需要増加が終わると認めたのは欧米のメジャーで初めて。くしくも同日、石油時代の永続を望む石油輸出国機構(OPEC)が設立60周年を迎えた。

BPは2050年までに消費が半減するシナリオのほか、8割ほど減る事態も想定。保守的なケースでも今後20年はほぼ横ばいとしている。

これに先立つ8月末、米株式市場で歴史的な交代劇があった。米石油大手エクソンモービルが米国を代表するダウ工業株30種平均の構成銘柄から外されたのだ。代わりに顧客情報ソフト開発のセールスフォース・ドットコムが加わった。エクソンは大恐慌前の1928年に採用され、石油の時代をけん引。それが市場から「もはや米国の成長を代表する企業ではない」と判断されたに等しい。

脱炭素やデジタル化を象徴するこの出来事の背景には、石油会社のビジネスの多くが「座礁資産」に転じるリスクを抱えていることがある。再エネやEVの普及、水素の活用で、石油産業はいずれ停滞すると予想される。世界の年金基金は石油会社から投資資金を引き揚げ始めた。

 

2020年9月16日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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