再エネで環境に配慮 吹田・豊中両市の電力調達

貧困や飢餓の撲滅、クリーンなエネルギーをみんなの手になど、17の目標を2030年までに達成することを掲げ、15年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」。地方自治体でもSDGsを意識した施策の導入が始まる中、吹田市と豊中市は環境に配慮した電力調達に取り組んでいる。

ごみの収集や減量、まちの美化を行う豊中市の中部事業所の屋根に付けられた太陽光発電システム。市有施設の屋根を有償で貸し出している(豊中市提供)
吹田市は環境に配慮して17年度から、庁舎や小中学校などの公共施設の電力調達を、再生可能エネルギーの比率が高い小売電気事業者に切り替えている。

国では二酸化炭素の排出量の少なさに評価の重点を置いており、原子力発電を持つ電力会社にも有利だが、同市は事業者からの電力調達の入札項目を再エネ関連に特化。電源構成に占める再エネの比率が30%以上もしくは、3年以内に30%以上にしないと入札できない独自の仕組みを導入した。

対象施設も79施設から順次増加。19年度入札では、331施設を関西電力から新電力に切り替えている。調達電力に占める再エネ比率は、高圧電力87施設で36・61%の新電力に、低圧電力243施設は比率39・96%の別の新電力に切り替えて、それぞれ比率を約2・4倍と約2・7倍に引き上げた。

落札額も約5億6千万円と予定価格から約2億3千万円削減。再エネの比率拡大とコスト削減を両立している。

同市は17年に「電力の調達に係る環境配慮方針」を策定し、率先して環境に配慮した電力調達を実施。後藤圭一市長は「社会全体で再エネ比率を高めることが必要。公共施設だけでなく、市民へも再エネ比率の高い電力の利用を促していきたい」と再エネ普及に意欲を示す。

豊中市も19年10月、「電力の調達に関する環境配慮方針」を策定。方針に基づく「環境評価項目」に従って環境への負荷の少ない電力の導入割合などを確認し、一定の得点以上の小売業者にのみ入札参加資格を与える仕組みを導入する。

供給電力に占める再エネの割合や二酸化炭素の基礎排出係数などとともに、競争性も重視。「再エネの比率を増やすことでコストが上がるかと思ったが、実際には価格は下がる」(同市環境政策課)という。

対象となる100超の施設を10前後にグループ化し、事業者が採算を取りやすいように工夫している点も特徴だ。

同市は18年に「第2次地球温暖化防止地域計画」を策定。市民1人当たりの温室効果ガス排出量を、27年度に1990年度比で32・1%削減することを目標にしている。市が事業者として温室効果ガスの排出を抑制するだけでなく、電力事業者の再エネへの切り替えの取り組みも促す。

長内繁樹市長は「小学生に地球の資源は有限だと学んでもらっている。自治体としてできることをやり、子や孫にしっかりと引き継ぎたい」と話す。

 

2020年1月14日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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