大雪による太陽光パネル破損に注意 本格的な冬到来を前にNITEが呼びかけ
製品評価技術基盤機構(NITE)は12月9日、大雪によるソーラーパネルの破損事故が急増していることを受け、対策などをまとめた資料を公開した。この中では、積雪対策やパネル破損時の対応方法などを紹介している。
氷雪起因の事故、1月・2月が最多
NITEは今回、電気事業法に基づく電気工作物に関する事故情報データベースを用いて、2019年度から2023年度までの5年間に発生した、氷雪による電気事故を分析した。その結果、積雪による太陽電池発電設備の破損は、大雪が観測された年に急増していることがわかった。
5年間に報告された氷雪起因の事故は56件。雪が降る12月から4月の間に発生し、中でも1月・2月が最も多かった。地域別では、東北地方、北海道、中部地方の順で多くなった。
事故発生箇所では、ソーラーパネルだけでなくソーラーパネルを支える架台の損傷を伴うが全体の約9割を占めた。
架台を適切に設計することや雪かきなどを実施し、架台への負担を軽減減することが重要だと、同調査は指摘する。
積雪対策やパネル破損時の対応方法を解説
また、分析結果と併せて、NITEは今回、事故防止の積雪対策やパネルが破損した場合の対応方法などを紹介している。
積雪への対策
積雪がソーラーパネルから落ちやすくなるようパネル傾斜角の設計をする。また、パネル軒先に荷重が集中することを軽減するため、架台の高さを落ちた雪が軒先まで達しないよう設計することも重要となる。
このほか、ソーラーパネルを固定する金具や架台の接合部のボルトを点検し、緩んでいないことを確認することや、巡視点検・除雪を強化することも大切だという。特に、雪がたまりやすい箇所を重点的に除雪する計画を事前に立てることや、優先的に除雪してもらえるよう除雪業者と契約を結んでおくことも有用である、と解説している。
ソーラーパネル破損の対応
氷雪によってソーラーパネルが破損した場合は、感電の危険性があるため不用意に近寄らず、復旧作業時は適切な安全装備を身につけた上で専門家の判断に従い実施すること。
実際に起きた過去の破損事故も紹介
今回作成した資料では、過去に実際に起きた4件の事故事例を紹介している。
2023年3月に東北地方で発生した太陽電池発電所の事故では、太陽電池発電所のソーラーパネル架台が積雪の影響により曲がった。原因は、ある時点で積もった雪の高さがソーラーパネル下部と同程度になり、雪がソーラーパネルから落下ができなくなったこと。架台前方に積雪荷重を上回る湿った雪が堆積し、その重さで鋼製の架台が曲がってしまったという。
2023年の立ち入り検査、50事業場のうち49施設で改善を提言
NITEでは、2021年度から、太陽電池発電所などを中心に電気事業法に基づく立入検査を実施している。2023年度の検査では、50事業場のうち、23事業場で、法令違反箇所を確認。49事業場で、対応は必須ではないが、改善を推奨される箇所が指摘された。
具体的な指摘としては、垂直積雪量を適切に設定し架台を設計することなどを伝えたとしている。
2024年12月12日 カテゴリー: 未分類