原発の将来「明確にして」 再稼働→停止、高浜町民の声 2016/7/2 [有料会員限定]
東京電力福島第1原子力発電所の事故が起きて以降、各地の「原発城下町」は景気の停滞が続く。関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)は1月にいったん再稼働したが、1カ月余りで裁判所が運転差し止めを命令。参院選で原発をめぐる活発な論戦は見られず、原発に不安を感じる地元住民もいる中で「将来像を明確にして」との声が上がる。
「ここにお客さんが座ることなんて、ほとんどなくなった」。6月下旬の週末、高浜町で20年以上、居酒屋を営む男性(68)は照明が消えたままの座敷を寂しそうに見つめた。大人数で予約してくれた原発作業員の来店は激減した。
同町の人口は約1万1千人。高浜原発の運転時には約2千人の作業員が働き、13カ月ごとの定期検査時には約3千人に膨らんだ。宿泊や飲食への波及効果が高い「最大の地場産業」だ。
原発関連の交付金や固定資産税は町歳入の3~5割に上る。町財政担当者は「石炭から石油へのエネルギー転換を受け、北海道夕張市は破綻した。原発がなくなれば高浜がそうならないとは言い切れない」と懸念する。
高浜原発は1月下旬、3号機が原子力規制委員会の審査を経て3年11カ月ぶりに再稼働。地元は経済活性化に期待した。しかし3月に大津地裁は「安全性が確保されているとはいえない」として差し止めを命じ、運転を停止した。
2016年7月5日 カテゴリー: 未分類