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2025.04.27
住友電工のレドックスフロー電池、南九州市の太陽光発電所に採用
住友電気工業(大阪府大阪市)は4月22日、同社のレドックスフロー(RF)電池が鹿児島県南九州市に建設する「黒木山太陽光発電所」の蓄電設備に採用されたと発表した。選定においては、RF電池の安全性や耐久性が評価された。
南九州市が取り組む地域脱炭素事業の一環として導入
同発電所は、ゼロカーボンシティを目指す南九州市が取り組む地域脱炭素事業の一環として建設されたもので、発電した再エネ電力は自営線により周辺の主要10施設に供給する。
導入するRF電池は、総容量1125kWh(250kWx4.5時間)。今後は同発電所の蓄電池として、日中に余剰電力を貯蔵し夜間利用することで、電力使用量の削減を図る。また非常時には自立運転を行い、避難拠点の電力を確保する。同設備の設計・施工は、ミタデン(鹿児島県鹿児島市)が担当した。なお今回、環境省の地域脱炭素推進補助金の対象事業においてRF電池が初採用された。
採用の理由としては、長期運用による劣化や発火による火災発生のリスクが低く、長寿命である点が評価されたという。また住友電気工業は、使用される材料に有害物質が含まれず、環境への影響を最小限に抑えられるというメリットを挙げる。
同社は今後も、地域の脱炭素事業へのさらなる貢献や再エネ利用、GHG排出削減に向け、RF電池の普及拡大を目指す。
住友電工のエネマネシステムも採用
同発電所では、RF電池とともに、同社のエネルギーマネジメントシステム「sEMSA」が採用されている。「sEMSA」とは、Sumitomo Energy Management System Architectureの略で、住友電気工業独自のアーキテクチャを搭載し、普及が進む太陽光発電やコージェネレーションシステム、蓄電池などの分散電源を最適制御し電力コストを低減する。アグリゲーターなどの電力サービス事業者は、需要家を束ねてエネルギー資源を一括管理することで、バーチャルパワープラント(VPP)などで電力需要を調整できる。
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2025.04.26
JERAと西部ガス、LNG基地活用で連携 再エネ導入・電力需給拡大に対応
JERA(東京都中央区)は4月22日、西部ガス(福岡県福岡市)と、液化天然ガス(LNG)の安定的な確保とグローバ
ビジネス推進に向け、北九州市「ひびきLNG基地」の戦略的活用などに関する提携に合意したと発表した。今後増強予定の同基地を活用し、再エネの導入拡大や電力需給に対応していく。
3号タンク増設、23万キロリットル貯蔵可能
西部ガスは2024年11月、国内の天然ガス需要への対応や安定供給の向上などを目的に、「ひびきLNG基地」3号タンク(23万キロリットル)の増設を含む基地の能力増強を決定した。
この工事により、3号LNGタンクのほか、ガス製造設備(LNG気化器・BOG圧縮機など)、ローリー出荷設備が整備される。2025年夏ごろに本工事が始まり、2029年度上期に運転を開始する予定だ。
「両社のLNGの相互融通が可能となる」
両社は、これまでも日本のエネルギーセキュリティー向上への貢献に向けたLNG安定確保にかかる協力などについて検討してきたが、今回、両社のLNG安定確保の強化などの具体化としてこの合意に至った。
3号タンクの活用が始まることで、再エネの大量導入や季節間電力需要格差により増大する電力需給の変動などへの対応力の向上に加え、両社のLNGの相互融通が可能となり、基地の安定的な事業運営と収益の確保につながるとしている。
両社は今後、ひびきLNG基地の立地的優位性を生かし、アジアをはじめ海外での収益拡大を図るとともに、水素などの次世代燃料の長期的かつ広範囲な活用を検討していく。
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2025.04.25
半導体、医療、ペロブスカイト…脱炭素・高機能素材が先端産業への道を拓く
高機能で脱炭素など環境にも配慮した素材の研究や開発、販売が大手だけでなく、中小企業にも広がってきた。次世代の機能性フィルムやプラスチック、セルロース、炭素繊維複合材など様々な素材があり、再生可能エネルギー、半導体、IT、医療、航空宇宙など最先端産業での需要創出を模索する。素材関連業界の行政の政策や産業の動向をまとめた。
1.国の政策動向:「新・素材産業ビジョン」でイノベーション・連携促進
経済産業省は2022年、「新・素材産業ビジョン」という素材産業に関する戦略の方向性(中間整理)をまとめた。政府はこのビジョンに基づき、現在も政策を進めている。
1)ビジネスイノベーションの促進
2)グリーンマテリアル産業への転換
3)サプライチェーンにおける業界間連携
という3項目を柱とし、脱炭素につながる高機能素材の開発と用途開拓、需要創出に向けた体制作りを急いでいる。
2.産業動向1:素材大手、高機能で多用途の素材開発に注力
三菱ケミカル・旭化成・住友化学という化学大手企業の社長が2025年の展望と戦略を日刊工業新聞「ニュースイッチ」で語っている。炭素繊維複合材、半導体向け、医療など、各社に共通するのは、まさに高機能で多用途の素材開発だ。
3.産業動向2:植物由来のセルロースで裾野広げる
静岡県と同県富士市が2024年10月24日~25日に開催した「ふじのくにセルロース循環経済国際展示会」では、植物由来の成分であるセルロースを新たな素材として製品開発に活用に向けた技術などが展示された。セルロース事業が広がれば、高機能素材の裾野は大きく広がることになる。
4.産業動向3:ペロブスカイトなど薄型太陽電池向け素材に商機
日本国内では、「ペロブスカイト」などの薄型太陽光開発競争が激化している。国内メーカーでは、25年に量産化を目指す積水化学工業をはじめ、カネカ、東芝、パナソニック、エネコートテクノロジーズ、アイシンなどが製品開発を取り組んでいる。こうした次世代太陽光に関する素材開発の需要は高く、今後の日本の産業にとっても極めて重要だ。
5.素材開発動向1:パナソニック、海洋生分解性の成形材料
パナソニックホールディングスは、植物由来のセルロースファイバーを高濃度に海洋生分解性の植物由来樹脂等に混ぜ、海洋環境で完全生分解性をもつ成形材料を開発した。2027年に海洋生分解性ペレットの販売を開始する予定という。家電や自動車、衣料品、日用品など幅広い用途が見込まれ、環境配慮と高機能を両立した製品に成長する可能性がありそうだ。
6.素材開発動向2:東北大と住友ベークライト、次世代半導体向け素材開発
東北大学と住友ベークライトは、「次世代半導体向け素材・プロセス共創研究所」を東北大青葉山キャンパス内に設置した。研究所の名称は「住友ベークライト×東北大学 次世代半導体向け素材・プロセス共創研究所」で、設置期間は2025年1月1日~2028年3月31日。パワーモジュール、パワーデバイス、AI関連デバイスに関する高機能素材・プロセス・評価技術の創出を目指す。開発力、研究力が高い企業や研究機関同士の連携は、今後日本の素材産業が世界で生き残る上でも極めて重要になる。
7.大阪で高機能素材の展示会 中小企業も多数参加
機能性フィルムやプラスチック、セルロース、炭素繊維複合材、金属・セラミックスなどの最先端の素材技術をもつ企業が多数出展する西日本最大規模の展示会「高機能素材 Week[大阪]」が2025年5月14~16日にインテックス大阪で開かれる。材料だけではなく、材料の製造加工機械、検査測定分析機器など素材産業に関わる企業も多く、今後の素材開発・研究の推進につながる機会となる。
8.素材業界の展望・分析:日本が誇る「お家芸」、デジタル化・気候変動対応で進化を
日本は長らく化学、繊維などを中心に素材系産業が強く、「お家芸」と言える得意分野だった。だが、デジタル化や気候変動、少子化、中国をはじめとする新興国の急速な技術の進化などの影響で時代が大きく変わり、高機能で環境配慮型、かつ多様な用途で使用可能な素材開発が不可欠になった。各企業や研究機関は競争・競合するだけでなく、様々な分野の企業などと連携・協力して最先端素材の開発や販売、需要創出に動き、時代に合わせて進化ことが必要である。
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2025.04.24
TOPPAN、東北4事業所でオフサイトPPA導入 CO2年間1.3万t減
TOPPANホールディングス(東京都文京区)は4月17日、風力および水力によるオフサイトPPAサービスを導入したと明かした。年間電力供給量は約27GWhで、4事業所の電力使用量の25%程度が再エネ電力に切り替わる。CO2排出量は年間約1万3000トン削減できる見込みだ。
再エネ電力は東北エリアの4事業所で使用
今回の取り組みは、東北電力(宮城県仙台市)が支援し、風力・水力発電所3施設で生み出される再エネを、新潟県・宮城県・福島県にあるTOPPANグループ4事業所に供給する。
再エネ電源は、季節によって発電のピークが冬季の風力発電所と夏季の水力発電所(流れ込み式)を組み合わせる。これにより、年間を通じた安定供給(供給電力量の平準化)が期待される。
なおTOPPANが風力・水力によるオフサイトPPAを導入するのは今回が初めてで、東北電力としても初のサービス提供となる。
導入する再エネ施設の概要
- 新潟市海辺の森風力発電所(新潟県新潟市):合計出力6000kW(計2基)、年間発電量約13GWh
- 大志田ダム水力発電所(岩手県二戸郡一戸町):合計出力810kW(1基)、年間発電量約5GWh
- 安積疏水管理用水力発電所(福島県郡山市):合計出力2230kW(1基)、年間発電量約10GWh
TOPPANは今後、再エネ電力量のさらなる増加させ、2030年にはグループ全体の再エネ比率を25%以上にすることを目指す。
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2025.04.23
パナソニック系が直流対応型・空調機開発 太陽光&蓄電池の変換ロス軽減へ
パナソニック 空質空調社(東京都港区)は4月16日、日本初(同社調べ)となる直流電源を主とした業務用空調機を実用化したと発表した。太陽光発電や蓄電池から直流で出力された電力を空調機で使用する。
変換時のロスが少ない「直流」に着目
家庭やオフィスなどで使用される機器の多くは交流を電源として動作する。一方、近年導入が進む太陽光発電や蓄電池の入出力は直流であり、建物内への配電として交流に変換される際に電力ロスが生じる。
パナソニックが新たに開発した業務用空調機は、「一体型ハイブリッド空調 スマートマルチ」が特徴だ。
スマートマルチとは、ガスヒートポンプエアコンと電気式ヒートポンプエアコンを組み合わせた空調機のことで、ガスと電気の運転比率を最適制御することで、省エネ性に加え、災害時にガスと電気のいずれかが遮断されても運転継続が可能なレジリエンス性を発揮する。
これまでは交流でしか使用できなかったが、停電時に空調機に内蔵した発電機から生まれる直流で空調運転させる「直流連携技術」を組み合わせることで直流対応が可能になった。
大阪市の大規模プロジェクトに採用
開発した空調機は、大成建設株(東京都新宿区)らが手がける地上26階建ての大規模複合施設「本町四丁目 プロジェクト」(2026年7月竣工予定)オフィス部分に採用されるという。導入台数は3台の予定。
同プロジェクトは、国内最大規模の直流電流システムを導入し、再エネ由来のグリーン電力を建物内で自家消費することを目指している。パナソニックは同空調機の提供を通じて、交流直流の変換ロスを低減させ、電力使用に伴うCO2排出量削減に貢献していく。
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- 沖縄県島尻郡S発電所 様
- 75.452kw
- 沖縄県南城市N発電所 様
- 74.946kw
- 熊本県合志市K発電所 様
- 70.672kw
2025年4月