系統用蓄電池×AIで新たな社会インフラを データ分析と一貫管理で収益最大化
日本の電力市場は、脱炭素社会の実現に向けた大きな転換期を迎えている。2026年3月には再生可能エネルギーの調整力を売買する需給調整市場が「30分単位入札・24時間運用」に移行した。福岡から全国へ展開を加速させるENEFORWARD(エネフォワード)は、次世代系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」を軸に、AIと電力が融合する新しい社会インフラの構築に挑む。
代表取締役の簑下祐一氏に系統用蓄電池事業を含むエネルギーの未来像を聞いた
「エネルギーこそ国防」 自給を見据えた起業理念
エネフォワードの代表取締役である簑下氏は現在42歳。26歳のころから再生可能エネルギー関連事業に携わってきた。簑下氏の原動力は、日本のエネルギー自立に対する強い危機感と使命感にある。「日本は自国にエネルギーがない。エネルギーこそが国防であり、豊かな国の礎である」という認識のもと、2020年に同社を設立した。
当初は太陽光発電所の開発を中心に手がけていたが、太陽光が持つ「不安定電源」という課題を克服するため、蓄電池併設型へのシフトを早期から模索。需給調整市場の拡大を予見し、2022年頃から系統用蓄電池事業への「全振り」を決断した。同社の経営理念の根底には「信頼持ちはお金持ち」という言葉があり、社会に信頼されるインフラ企業として100億円規模の事業展開を目指している。
福岡から東京へ 再生可能エネルギーの「中心地」から「需要地」に展開
エネフォワードは福岡市に本社を置く。九州を拠点としたのは、簑下氏自身が熊本県出身ということに加え、「九州が日本における再生可能エネルギー導入の最先端であり、出力制御などの課題と直接向き合う必要がある」(簑下氏)と考えたためである。
一方で事業の急成長に伴い、2026年には福岡本社を移転し、さらに東京支社を開設した。東京への進出は、100億円を超える規模のプロジェクトを支えるための金融機関との連携強化や、高度な専門人材の確保を目的としている。
設計・施工からデータ分析、金融支援・運用までの一気通貫体制が強み
エネフォワードの最大の特徴は、用地選定から設計・施工(EPC)、データ分析、資金調達支援、運用・保守(O&M)、メンテナンスまでを自社グループおよび独自のネットワークで完結させる「一気通貫体制」にある。
単なる仲介ではなく、案件の成立可能性を高めるための実効性のあるプレイヤーとの強固なネットワークを構築。「金融商品取引業(二種)を取得し、今後は金融・投資支援にも注力します。多額の電力工事負担金を一時的に肩代わりする『接続権利ファンド』や投資家向けの『インカムファンド』の組成が可能になります」(簑下氏)
すでに系統用蓄電池の契約済み案件は42件に上り、これまでに系統接続済みの案件は九州などを中心に7件。 2026年度内には計20件の連系を予定するなど、業界内でも大きな実績がある。
系統用蓄電池市場の制度改正と「先行者利益」の最大化
2026年3月の制度改正により、電力市場は「止まらない運用」が収益を左右する構造へと変化した。入札頻度が激増するため、わずかなシステム停止が大きな機会損失やペナルティに直結するからだ。
エネフォワードは、2026年から2027年初旬を、最も高い単価で稼働できる「ゴールデンタイム」と位置づけている。経済産業省が公開した一次調整力オフライン単価などの追い風もあり、インフラ投資としては異例の「3年以内」の投資回収を目指せる好機が到来していると分析する。
さらに、一定条件を満たせば「特定生産性向上設備等投資促進税制」による即時償却も可能であり、初年度のキャッシュインパクトを最大化できる点も投資家にとっての大きな魅力となっている。
次世代蓄電池システム「ENE FORCE」の冗長設計
市場制度の変化に対応するために開発されたのが、自社ブランドの系統用蓄電池システム「ENE FORCE(エネフォース)」だ。コンセプトは「止めない。待たせない。」。機械、設備、システムの一部が故障しても全体の機能を維持できるよう、同じ機能を持つ要素を用意し、ペナルティゼロを実現する「冗長設計」が特徴だ。パワーコンディショナ(PCS)を分散配置し、バックアップシステムを標準装備することで、一部の故障が全体の停止に繋がらない設計になっている。
故障時に数週間を要する海外メーカーの課題を解決するため、重要部品を国内に常時在庫。万一の際も48時間以内に現場へ急行する保守体制を完備している。蓄電池本体だけでなく、PCS、EMS、キュービクルまでを一体で管理・保証し、長期20年の延長保証にも対応する。大規模向けの「高圧コンテナ型」から、敷地形状に合わせやすい「高圧キャビネット型」まで、プロジェクト規模に応じた柔軟な提案が可能だという。
2026年6月13日 カテゴリー: 未分類



































































