神奈川県、再エネ・省エネなど支援メニューを公表 太陽光補助金を拡充

神奈川県は4月25日、住宅用太陽光発電と蓄電池を併せた導入と、ペロブスカイト太陽電池など次世代型太陽電池の早期普及を支援する補助金を新設するなど、太陽光発電の導入拡大に向けて、取り組みを大幅に強化すると発表した。

事業者や家庭における再エネ・省エネなど脱炭素化を支援する補助金などのメニューをパッケージで用意して、補助金については一部を除き4月25日より受付を開始した。

「事業者向け」「家庭・住宅向け」など4つの支援パッケージ

太陽光発電に係る取り組み強化では、補助金の新設のほか、補助金額も増額する。具体的には、住宅向けに初期費用ゼロで太陽光発電を導入するサービス(住宅用0円ソーラー)を提供する事業者に対する補助金額と、アパートなどの共同住宅への太陽光発電や蓄電池の導入に対する補助金額、また、事業者向けの自家消費型の再エネ発電設備・蓄電池の導入に対する補助金額を増額する。

支援パッケージは「事業者向け支援」、「家庭・住宅向け支援」、「次世代型太陽電池の早期普及に向けた支援」、「EV・FCVの導入支援」の4つの柱で構成される。詳細は「かながわ脱炭素ポータルサイト」で公開している。このポータルサイトでは、脱炭素の取り組みに関する県の事業のほか、国や県内の市町村の事業を紹介している。

事業者向け支援

事業者向けの支援パッケージの概要は以下の通り。

(1)カーボンニュートラルワンストップ相談窓口(受付中)

神奈川産業振興センターに相談窓口を設置し、脱炭素のあらゆる相談に無料で答える。相談員による企業訪問や県支援策を利用する事業者に対して次の取り組みにつなげる伴走支援も行う。

対象者 事業者
費用 無料
予算額 3167万円

 

(2)かながわCO2見える化トライアル(5月15日受付開始)

自社のCO2排出量の把握を容易にする、CO2排出量管理システムを無料で利用できる。

対象者 県内に工場等を所有する中小企業など
支援件数 210件
費用 無料
予算額 3423万円
申込み期限 2026年1月16日

 

(3)省エネルギー診断(4月25日受付開始)

省エネの専門家が事業所を訪問し、省エネ対策を提案する。

対象者 県内に工場等を所有する中小企業など
診断件数 150件
費用 無料
予算額 4000万円
申請期限 12月26日

 

(4)中小企業省エネルギー設備導入費等補助金(6月2日受付開始)

省エネ設備の導入(更新)や保守等に係る経費の一部を補助する。

対象者 所有権を有する県内の土地または建物において事業を実施する中小企業など
対象経費 事業に要する設計費、設備費、工事費
補助額 補助率1/3(上限500万円)
(「かながわ再エネ電力利用認定事業者」または「かながわ脱炭素チャレンジャー」は上限600万円)
予算額 3億7500万円
申請期限 11月28日

 

(5)太陽光発電設備の導入提案(4月25日受付開始)

専門家が事業所を訪問し、太陽光発電の導入に関する提案書を無料で作成する。

対象者 太陽光発電の導入に関心のある事業者
診断件数 100件
費用 無料
予算額 4005万円
申請期限 12月26日

 

(6)事業所用太陽光発電の共同購入(通年募集)

事業者向けに太陽光発電の導入希望者を広く募ることで、スケールメリットにより、価格低減を図る事業。2024年度からエナーバンクと協定を締結し、連携して事業を実施している。自己所有(購入)での設置に加えて、PPAやリースの選択も可能。

対象者 県内に太陽光発電の設置を希望する事業者
予算額 0円(県との協定に基づく予算を伴わない官民連携事業)

 

(7)自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金(4月25日受付開始)<増額>

太陽光発電等の導入に係る経費の一部を補助する。

太陽光発電の補助額は6万円/kW(2024年度)から8万円/kWに、大企業の上限は1,000万円(2024年度)から3,000万円に、蓄電池の補助額は15万円/台(2024年度)から5万円/kWh(上限500万円)に増額する。

対象者 自家消費型再生可能エネルギー(※1)発電設備を導入する(※2・3)法人または青色申告を行っている個人事業者
対象経費 再生可能エネルギー発電設備の設計費、設備費、工事費 蓄電池を併せて導入する場合は、蓄電池の設計費、設備費、工事費
補助額 発電出力1kW当たり8万円を乗じた額(上限:大企業3000万円)
かながわ脱炭素チャレンジャーは、1kW当たり10万円を乗じた額
蓄電池を併せて導入する場合は、補助額を上乗せ(1kWh当たり5万円)
予算額 9億9300万円
申請期限 2026年2月27日

(※1)太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス
(※2)県内に設置し、県内で消費するものに限る。
(※3)ペロブスカイト太陽電池については後日公表となる。

(8)かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度(5月頃受付開始予定)

脱炭素化に向けた意欲ある中小企業を県が「かながわ脱炭素チャレンジャー」として認証する制度。認証を受けた事業者には、中小企業省エネルギー設備導入費など補助金の上限額上乗せなど、脱炭素化の取り組みを積極的に後押しする。

対象者 県内に工場等を所有する中小企業など
予算額 0円

家庭・住宅向け支援

家庭・住宅向けの支援パッケージの概要は以下の通り。

(1)住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金(4月25日受付開始)<新設>

住宅用の太陽光発電と蓄電池を併せた導入に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内の住宅所有者
対象経費 太陽光発電・蓄電池の設計費、設備費、工事費
補助額 太陽光発電)発電出力1kW当たり7万円を乗じた額
(蓄電池)1台当たり15万円
予算額 3億4400万円
申請期限 12月26日

 

(2)太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助金(4月25日受付開始)<増額>

リース等の活用により、初期費用の負担なく住宅用太陽光発電や蓄電池を導入できる住宅用0円ソーラーに係る経費の一部を補助する。

太陽光発電等の設置・運転維持コストの増加に対応し、導入拡大につなげるため、補助金額は、太陽光発電が5万円/kW(2024年度)から7万円/kWに、蓄電池は12万円/台(2024年度)から15万円/台に増額する。

対象者 県内において住宅用0円ソーラーを提供している事業者
対象経費 太陽光発電の設計費、設備費、工事費
蓄電池を併せて導入する場合は、蓄電池の設計費、設備費、工事費
補助額 発電出力1kW当たり7万円を乗じた額
蓄電池を併せて導入する場合は、補助額を上乗せ(1台当たり15万円)
予算額 1億2700万円
申請期限 12月26日

 

(3)共同住宅用自家消費型太陽光発電等導入費補助金(4月25日受付開始)<増額>

共同住宅への自家消費型の太陽光発電の導入に係る経費の一部を補助する。

補助金額は、太陽光発電が5万円/kW(2024年度)から7万円/kWに、蓄電池は12万円/台(2024年度)から15万円/台に増額する。

対象者 県内の分譲共同住宅の管理組合、県内の賃貸共同住宅を所有する個人または法人
対象経費 太陽光発電の設計費、設備費、工事費
蓄電池を併せて導入する場合は、蓄電池の設計費、設備費、工事費
補助額 発電出力1kW当たり7万円を乗じた額
蓄電池を併せて導入する場合は、補助額を上乗せ(1台当たり15万円)
予算額 540万円
申請期限 12月26日

 

(4)住宅用太陽光発電・蓄電池の共同購入事業(募集中)

住宅向けに太陽光発電と蓄電池の導入希望者を広く募ることで、スケールメリットにより、価格低減を図る。アイチューザーと協定を締結し、連携して事業を実施する。

対象者 県内在住の個人など
設置プラン 太陽光発電
太陽光発電と蓄電池
戸建向け蓄電池
マンション向け蓄電池
予算額 0円(県との協定に基づく予算を伴わない官民連携事業)
募集期間 4月9日~9月4日

 

(5)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金(4月25日受付開始)

中小工務店が施工するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の導入に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内の住宅の建築主(新築)、購入者(建売)、所有者(既築)
対象経費 中小工務店が施工するZEHの導入に係る経費
補助額 ZEH+(Nearly ZEH+含む):90万円/戸(定額)
ZEH(Nearly ZEH含む):55万円/戸(定額)
ZEH Oriented:50万円/戸(定額)
再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」の場合は、補助額を上乗せ(20万円/戸)
経費が上記の金額を下回る場合は、経費の千円未満を切り捨てた額
予算額 7500万円
申請期限 12月26日

 

(6)既存住宅省エネ改修事業費補助金(4月25日受付開始)

既存住宅の窓等の省エネ改修工事に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内の既存住宅の所有者
対象経費 省エネ改修工事の材料費、労務費
補助額 補助率1/3(上限20万円)
予算額 6000万円
申請期限 12月26日

次世代型太陽電池の早期普及に向けた支援<新設>

今回新設した次世代型太陽電池の早期普及に向けた支援は以下の通り。

(1)次世代型太陽電池普及促進事業費補助金(5月1日受付開始)

ペロブスカイト太陽電池など次世代型太陽電池は、「薄くて、軽くて、曲げられる」という特長から、これまで設置が困難だったビルの壁面や耐荷重が小さい工場の屋根等にも、設置が可能となる新技術。ペロブスカイト太陽電池など次世代型太陽電池について、多くの県民や事業者に、見て、知ってもらう「見える化」を図る実証の取り組みなどに係る経費の一部を補助する。

対象者 県内で次世代型太陽電池の見える化の実証の取組等を行う事業者
対象経費 実証や普及啓発に係る経費
補助額 実証に係る経費:補助率2/3(上限20万円)
普及啓発に係る経費:補助率10/10(上限200万円)
予算額 6607万円
申請期限 6月13日
ペロブスカイト太陽電池活用イメージ(出所:神奈川県)
ペロブスカイト太陽電池活用イメージ(出所:神奈川県)

(2)自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金(再掲)

次世代型太陽電池の継続的な需要拡大に向けて、流通開始後の初期導入に係る経費の一部を補助する(受付開始時期等の詳細は後日公表)。

EV・FCVの導入支援

EV・FCVの導入支援は以下の通り

(1)事業用等EV導入費補助金(4月25日受付開始)

事業用等EVの導入に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内でバス事業、タクシー事業、トラック事業、レンタカー事業を営む法人など
対象経費 事業用等EVの車両本体の購入に係る経費など
補助額 EVバス:補助率1/3(上限1500万円)
EVタクシー:補助率1/3(上限100万円)
EVトラック:補助率1/4(上限500万円)
EV軽トラック:定額20万円
EVレンタカー:補助率1/3(上限100万円)
予算額 6億2600万円
申請期限 12月26日

 

(2)乗用FCV導入費補助金(4月25日受付開始)

燃料電池自動車(FCV)の導入に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内に在住する個人又は県内に事業所を有する法人など
対象経費 FCVの車両本体の購入に係る経費
補助額 定額100万円
予算額 5000万円の一部
申請期限 12月26日

 

(3)FCトラック導入費・燃料費等補助金(4月25日受付開始)

燃料電池トラック(FCトラック)の導入・運用に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内でFCトラックを導入及び運用する法人など
対象経費 【導入費】FCトラックの車両本体の購入に係る経費など
(同等ディーゼル車の車両本体の購入に係る経費等との差額)
【燃料費等】FCトラックの水素燃料費(軽油相当額との差額)など
補助額 【導入費】補助率1/4(上限850万円)
【燃料費等】補助率1/4(上限105万円)
予算額 9550万円
申請期限 【導入費】12月26日
【燃料費等】2026年1月30日

 

(4)FCフォークリフト導入費補助金(4月25日受付開始)

燃料電池フォークリフト(FCフォークリフト)の導入に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内の事業所にFCフォークリフトを導入する法人など
対象経費 環境省補助金の補助対象経費と一般的なエンジン式車両の導入経費との差額
補助額 補助率1/2(上限500万円)
予算額 5000万円の一部
申請期限 12月26日

 

(5)EV急速充電設備整備費補助金(4月25日受付開始)

EV急速充電設備の整備に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内に公共用、バス・タクシー事業所用のEV急速充電設備を整備する法人など
対象経費 EV急速充電設備の整備に係る設備費・設置工事費
補助額 新規 補助率1/3(上限200万円)
入替 補助率1/3(上限100万円)
予算額 1億4000万円
申請期限 12月26日

 

(6)EV普通充電設備整備費補助金(4月25日受付開始)

EV普通充電設備の整備に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内に共同住宅用、月極駐車場用、事業所の従業員・社用車専用駐車場用、宿泊施設用、大規模小売店舗用、観光施設等用のEV普通充電設備を整備する者
対象経費 EV普通充電設備の整備に係る設備費・設置工事費
補助額 普通充電設備・充電用コンセントスタンド:定額15万円
充電用コンセント:補助率1/3(上限10万円)
予算額 3000万円
申請期限 12月26日

 

(7)水素ステーション整備費補助金(4月25日受付開始)

水素ステーションの整備に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内に定置式水素ステーションを整備する法人など
対象経費 設備機器費、設計費、設備工事費、工事負担金、経費・管理費など
補助額 補助対象経費に5の4を乗じた額から経済産業省補助金交付額を差し引いた額(上限3500 万円。ただし、定置式水素ステーションが設置されていない市町村に新たに整備する場合、または大規模な定置式水素ステーションを整備する場合は上限4200万円)
予算額 4200万円
申請期限 6月30日

 

(8)水素ステーション運営費補助金(5月頃受付開始予定)

水素ステーションの運営に係る経費の一部を補助する。

対象者 県内で商用FCV対応の水素ステーションを運営する法人など
対象経費 運営費、土地賃借料など
補助額 補助対象経費から経済産業省補助金等を差し引いた額
新たに設置する水素ステーション:上限2000万円
既存の水素ステーション:上限1000万円
予算額 5000万円

【参考】

 

2025年5月9日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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