東京ガスと野村不による芝浦スマエネ始動、ガスコジェネなどを活用

東京ガス(東京都港区)は3月5日、野村不動産(同・新宿区)と共同で設立した東京ガス野村不動産エナジー(同・港区)が、芝浦エネルギーセンターを竣工し、エネルギー供給を開始したと発表した。同施設は芝浦地域冷暖房センターと連携する予定で、これにより、芝浦エリアにおけるスマートエネルギーネットワーク(通称:芝浦スマエネ)が始動することとなる。

最新技術の導入に加え、再エネなどの活用でCO2排出量実質ゼロを実現

芝浦エネルギーセンターは、ガスコージェネレーションシステム(1MW×2台)、温水吸収式冷凍機(299RT×1台)、空冷ヒートポンプチラー(60RT×18台)、芝浦地冷冷熱受入(3500RT)、芝浦地冷温熱受入(34.2GJ/h)で構成される。供給能力は、冷熱(約55GJ/h)、温熱(約44GJ/h)、電力2MW。

 

 

災害時にも供給可能な中圧の都市ガスを燃料とし、停電時も発電可能なガスコジェネシステムにより、安定的な電力供給を行う。非常用発電機の電力のみで稼働可能な空冷ヒートポンプチラーにより、非常時の事業継続(BCP)にも貢献する。

また、プラントで使用する電力・ガスの全量は、野村不動産グループ保有物件で創出した再エネ電力や東京ガスグループのカーボンオフセット都市ガスを活用し、供給するエネルギーのCO2排出量実質ゼロを実現する。さらに、世界最高レベルの発電効率を誇る高効率燃料電池システム「FC-6M」を導入。現在は、排ガス中のCO2を利用した除菌水(炭酸次亜水)を製造するCCU実証試験を開始している。

TGESが熱供給を担当、エリア全体のエネルギー供給を最適化

エネルギー供給先である「BLUE FRONT SHIBAURA」は、野村不動産と東日本旅客鉄道(JR東日本/東京都渋谷区)が共同で推進する「浜松町ビルディング」建て替えプロジェクトで誕生する2棟構成の高層複合施設。2025年2月に先行開発したS棟が竣工し、残りのN棟は2030年に竣工する予定だ。

今回の取り組みで熱供給事業を行う東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES/東京都港区)は同施設開発プロジェクトの初期段階から連携しており、芝浦地冷センターによる芝浦エネルギーセンターの遠隔運転によりプラント運用の合理化など、区域全体におけるエネルギー供給の最適化を図っている。エネルギー需要に応じて、芝浦地冷センターの機器と芝浦エネルギーセンターの機器を最適運用することで、区域全体のエネルギー効率は約15%向上するという。

「BLUE FRONT SHIBAURA」外構部に、日立製グリーン水素発電システムを導入

また、野村不動産は同日、「BLUE FRONT SHIBAURA」の外構部分にあたる「GREEN WALK」に、日立製作所(東京都千代田区)設計施工のグリーン水素発電システム「G-HES(Green Hydrogen Energy System)」を導入したと明かした。

同システムの最大の特徴は、電気エネルギーを水素エネルギーに変え、電力系統に依存せず長期にわたり自立運転できる点にある。今回の「BLUE FRONT SHIBAURA」での運用では、100%太陽光発電由来の電気で、作られたグリーン水素を用いて外構照明や水景施設用ポンプ、共用コンセントにCO2フリーなグリーン電力を供給する。

水素製造装置は9.6kWアニオン交換膜(AEM)型、燃料電池は5kWプロトン交換膜(PEM)型、水素吸蔵合金タンクは100Nm3を採用した。このうち水素吸蔵合金は水素を安全に貯蔵・放出可能な合金で、水素を貯蔵した状態でも爆発しない、燃えないという安全な材料となっている。

なお、今回の取り組みは、東京大学先端科学技術研究センターと「カーボンニュートラル技術拠点に関する連携」活動の一環として実施するもので、システム導入にあたっては、環境省の2023年度「脱炭素社会構築に向けた再エネ等由来水素活用推進事業」に採択された。

 

2025年3月10日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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