再エネを後押し 電力の“相対取引”

発電する側と、電気を使う側。企業同士が電力会社を通さずに「相対取引」で電気を売買する。そんな初めての取り組みが始まりました。太陽光など、再生可能エネルギーを積極的に使いたい企業の選択肢が増えそうです。

再エネ由来の電気 価値を評価してくれる企業に直接売りたい

千葉県佐倉市にある、京セラの太陽光発電施設。ここで発電した電気は、現在はすべて東京電力に卸していますが、再生可能エネルギーの価値を評価してくれる企業に直接売りたいと、「相対取引」を使うことを検討しています。

京セラのソーラーエネルギー事業本部の池田一郎マーケティング事業部長は「太陽光発電所の電気を、お客様に使っていただける、“色を付けることができる”、そこにいちばん興味があった。太陽光発電から得られる環境価値のある電力をいかに提供できるか、いかにサービスするか、というところに事業展開していこうと考えている」といいます。

発電側と使う側 電力量を「ひも付け」

今回の仕組みを開発したのは、デジタルグリッド社。東大発のベンチャー企業です。電気を売りたい企業と買いたい企業がシステムの上でマッチングされます。

ここで、相対取引の仕組みを見てみましょう。京セラの事業部長の話の中で、相対取引で“電気に色を付ける”との表現もありましたが、どういうことでしょうか。まず、発電側のA社と需要側のB社が、デジタルグリッド社の仕組みを通じ、1年間にどれだけの電力をいくらで売買するかという相対契約を結びます。買う側にすれば、太陽光など、使う発電の種類を選んで買うことも可能です。

一方、デジタルグリッド社は、発電側と使う側の両方で電力量を測り、記録を取ります。これによって、「A社の電気をB社が確かに買って使った」という「ひも付け」ができるのです。

新たに電線を敷いたりするわけではなく、電線に流れる電気を常時モニターするために、通信機器と一体の装置を取り付けます。デジタルグリッドの豊田祐介社長は「デジタルグリッドコントローラーというデバイス(機器)を開発して、これを各拠点に設置して、きちんと電気を使えているかどうかをトラッキング(追跡確認)する仕組みができている」と説明します。

モデルハウスで取引スタート 将来は一般家庭も?

一方、電気を使う需要側として、このプロジェクトに参加したのは、住宅メーカーの住友林業です。環境・エネルギー部の田口智章さんによると、「まずは発電企業と住友林業が、長期相対契約を交わして、住宅展示場5棟に電気を供給する」といいます。

このモデルハウスでは、相対取引で調達した電気をすでに使い始めています。ただ実験段階ということで、まだ再エネではなく、発電の種類を特定しないエネルギーを使っています。ゆくゆくは、再エネ由来の電気を使うことも目標にしているということです。

一般家庭でも、再エネ由来の電気を使いたいという人もいるかもしれません。デジタルグリッドの豊田社長は「一般消費者がプロのマーケットで売買するには、数量が少ない。そういった方々を100件・1000件と束にする企業が、事業パートナーも含めて出てくれば、(一般消費者も)再生可能エネルギーを買うことができる」と話しています。

見えない電気ですが、それに“色を付けて”提供する取り組みが始まるんですね。

新しい電力の取引は、買い手と売り手の関係で考えると、いわゆるネットのオークションサイトにも似ています。こうした市場メカニズムで再エネ普及が進むことを期待したいと思います。

 

2020年2月15日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

 

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