住宅やビル等の省エネ・省CO2先導プロジェクトに助成金、最大3億円
国土交通省は4月18日、省エネ・省CO2に係る先導的な技術を導入する住宅・建築物のリーディングプロジェクトを支援する補助事業について、2025年度の提案の募集を開始した。CO2の削減、健康、災害時の継続性等に寄与する先導的な技術が導入されるプロジェクトに対し、最大3億円を補助するもので、ライフサイクルカーボンをより的確に算出し削減する取り組みなどを積極的に評価する。応募期間は5月30日まで。
「先進性」と「普及・波及性」を備えたプロジェクトを先導的と評価
事業名は2025年度「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」。この事業では、住宅や住宅以外のオフィスビル等の非住宅建築物(非住宅)に関する次の(1)~(4)のいずれか、またはそれらの組み合わせによるプロジェクトであって、省CO2の推進に向けたモデル性、先導性が高いものとして選定されたものを補助の対象とする。
(1)住宅・建築物の新築
(2)既存の住宅・建築物の改修
(3)省CO2のマネジメントシステムの整備
(4)省CO2に関する技術の検証(社会実験・展示等)
なお、「ライフサイクルカーボンをより的確に算出し削減する取組」に資するプロジェクト等を積極的に評価する。
また、プロジェクトの規模に応じた取り組みや特定分野の取り組みを支援するため、次の2つの部門に分けて提案を募集する。なお2025年度は、共同住宅・LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)低層共同住宅部門の募集は行わない。
- 一般部門(非住宅、共同住宅、戸建住宅)
- 中小規模建築物部門(非住宅)
応募可能な事業について
先導技術の一例として、建築物では「熱・電力融通、エリア熱回収等の広域でのエネルギーマネジメント」「生ゴミ発電、井水ヒートポンプ等の未利用エネルギーの活用」住宅では「太陽光発電と蓄電池の併用によるレジリエンス性の向上」「地域の卓越風の最適利用による省エネ化」などをあげている。
補助対象は、設計費・建設工事費等のうち、先導的と評価された部分。補助率は、補助対象工事の1/2で、限度額は1プロジェクトあたり原則3億円。採択年度を含め原則4年以内(戸建住宅は原則3年以内)。
「評価にあたっての考え方」など、事業の詳細は、この事業の評価事務局を務める国立研究開発法人 建築研究所(茨城県つくば市)のウェブサイトで募集要領等を確認のこと。
概要は以下の通り。
一般部門(非住宅、共同住宅、戸建住宅)
住宅・建築物プロジェクト総体として、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトを支援する。「評価にあたっての考え方」に記載するとおり、提案するプロジェクトで実施する様々な取り組みについて、総合的な観点で先導性を評価する。
「非住宅」「共同住宅」は原則4年以内に完了する事業を対象とする。4年を超える事業として提案する場合は、提案書類に全体工程に関する説明を記載すること。「戸建住宅」については、採択された年度を含めて原則3年以内に完了する事業を対象とする。
一般部門のプロジェクトにおいて、次の課題1~6の優先課題に対応する取り組みを提案するものについては重点的に評価する。
課題1.街区や複数建築物におけるエネルギー融通、まちづくりとしての取り組み
課題2.省CO2の実現とともに、健康性・快適性等の向上を図る先導的な取り組み
課題3.非常時のエネルギー自立と省CO2の実現を両立する取り組み
課題4.被災地において省CO2の推進と復興に資する取り組み
課題5.地方都市等での先導的省CO2技術の波及・普及につながる取り組み
課題6.ホールライフカーボンを算定し、CO2排出量を低減させる取り組み中小規模建築物部門(非住宅)
延べ面積が概ね5000m2以下(最大で10000m2未満)の非住宅を新築する事業を対象とした「中小規模建築物部門」を設け、大規模プロジェクトや複数棟のプロジェクト等とは区分して評価する。新築・既存建物において相当程度の割合を占め、今後の省CO2対策の波及・普及が期待され、地方都市でも多く建築される中小規模建築物の取り組みを支援することを目的としている。
中小規模建築物部門では、「評価にあたっての考え方」に記載するとおり、一定の環境性能、省エネルギー性能等を満足するものを先導性のあるプロジェクトとして評価し、積極的に支援する。原則4年以内に完了する事業を対象とする。4年を超える事業として提案する場合は、提案書類に全体工程に関する説明を記載する。
主な事業要件(一般部門・中小規模建築物部門)
- 新築される住宅・建築物については、ZEH・ZEB水準の省エネルギー性能を満たすものであること
- 材料、設備、設計、運用システム等において、CO2の削減、健康、災害時の継続性等に寄与する先導的な技術が導入されるものであること
補助率・補助限度額(一般部門・中小規模建築物部門)
- 補助率:補助対象費用の1/2
- 補助限度額:1プロジェクトあたり原則3億円 ※標準単価方式による場合は採択プロジェクトの総事業費の3.5%と比較していずれか少ない金額)を補助限度額とする。
補助率・補助限度額(非住宅と共同住宅(一般部門))
非住宅と共同住宅(一般部門)の新築事業については、建設工事費に該当する費用の補助額は当該建設工事費の5%以内の額とする。戸建住宅(一般部門:新築、改修、マネジメント、技術の検証)については、原則として建設工事等に係る補助額の上限を、1戸あたり200万円とする。
応募方法・採択
応募は、応募期間内に提案書を郵送により提出する(消印有効)。応募提案については、学識経験者から構成される評価委員会による評価結果を踏まえて、国土交通省が採択事業を決定する。9月中旬頃を目処に採択事業を公表する予定。
【参考】
2025年4月30日 カテゴリー: 未分類