世界最高の変換効率18.6%、産総研とトヨタが「曲がる」CIS系太陽電池で達成

産総研とトヨタが、フレキシブルなCIS系太陽電池で世界最高の変換効率18.6%を達成。軽量かつ長期信頼性に優れ、曲面追従性も高いため、これまで太陽光発電が導入できなかった場所への設置など、新市場の創出に貢献する成果としている。

産業技術総合研究所(以下、産総研)は2021年5月31日、トヨタ自動車 未来創生センター(以下、トヨタ)と共同で軽量かつフレキシブルなCIS系太陽電池ミニモジュールにおいて、世界最高となる光電変換効率18.6%を達成したと発表した。軽量かつ長期信頼性に優れ、曲面追従性も高いため、従来製品では導入が困難だった場所への設置など、太陽光発電の普及を後押しする成果としている。

 CIS系太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)の3元素を主体とし、これにガリウム(Ga)や硫黄(S)などを加えたカルコゲナイド系薄膜を光吸収層とした太陽電池の総称。光電変換効率が高く、長期信頼性にも優れる他、漆黒の意匠などの特長を持つ。

CIS系太陽電池の断面構造 出典:産総研

 一方、これまでのCIS系太陽電池は重量が大きいガラス基板を用いているため、薄膜型太陽電池としての特色を生かせていないという点や、さらなるコストダウンが課題とされていた。また、CIS系太陽電池モジュールは国内外で19%以上の変換効率が達成されているが、これらは基板がガラスであり軽量性や柔軟性は持ち合わせていなかった。

 今回研究グループでは、軽量かつフレキシブルなフィルム基板上に高性能なCIS系太陽電池を形成するために必要な、アルカリ金属添加制御技術の改良に注目。CIS系薄膜の光電変換特性の改善を行うためASTL法という手法を使用し、光吸収層の製膜後にもアルカリ金属の添加を行った。基板には割れにくく弾力性に優れたフレキシブルセラミックシートを採用した。

 これらの技術を用いて作製した面積68cm2のCIS系太陽電池で、変換効率18.6%を達成。薄膜型のCIS系太陽電池モジュール中、現時点で認定機関に報告されているなかでは世界最高レベルになるという。なお、開放電圧は12.7V(1セルあたり0.747V)、短絡電流密度は34.6mA/cm2、曲線因子は72.0%だった。

世界最高レベルの発電効率達成したCIS系太陽電池ミニモジュール 出典:産総研

CIS系太陽電池ミニモジュールの断面比較。左側が従来の方法で作製したもので、基板ガラス板、保護用ガラスがある。右側が基板フレキシブルセラミックシートを用い、保護用をガラス不要にした新製法によるモジュール 出典:トヨタ自動車

 研究グループでは今回の成果について、軽量かつフレキシブルな太陽電池ミニモジュールとして18%以上の変換効率を達成できたことで、CIS系材料を活用した太陽光発電の用途拡大に向けて大きな道が開けたとしている。

 一方で、しかし、太陽電池の性能指標の一つである曲線因子の値は72.0%とまだ低く、その改善によってさらなる高性能化が期待できるとし、今後も研究開発を継続するとしている。

 

2021年6月2日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

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