【知ってる?電力の地産地消】埼玉県秩父市 地産地消を広く捉え、「ゼロカーボンシティ」の実現を目指す「秩父新電力」が取り組む地域課題の解決

2019年11月より、10年間とされていた住宅用太陽光発電の固定価格による買取が順次満了します。
満了を迎える(卒FIT)方の満了後の余剰電力の活用の選択肢として、地域で発電した電力を地域で消費する「電力の地産地消」という一つの選択肢が注目されています。
今回、地域が抱える諸問題に向き合いながら、日本で初めて定住自立圏の枠組みでの自治体新電力を実現する埼玉県秩父市にある「秩父新電力株式会社(以下 秩父新電力) 」の取り組みを紹介します。

 

  • 環境立市という志

埼玉県の北西部に位置するちちぶ地域(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町を含めた地域の総称)は、地域全体の約85%が森林という山と森に囲まれ、歴史的にも独立性が高く、最近では秩父夜祭など年間約960万人が訪れる観光地としても知られています。一方で、日本の多くの地方都市が抱える問題と同じく少子高齢化や人口減少が起こり、特に産業の衰退による雇用鈍化、18歳を境にした若年層の流出などの問題も抱えています。
そんな中、地方都市特有の諸問題に対し、現秩父市長の久喜邦康氏が打ち出した、自然環境・エネルギー技術などの地域の強みを経済成長・地域活性化の原動力とすることで持続可能な地域モデルを構築することを目指す戦略『環境立市』がちちぶエリア全体を巻き込んでいま大きなうねりを作ろうとしています。

  • ゼロカーボンシティの実現に向けて

秩父市は2050年までに市内の二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティの実現に向けて取り組むことを宣言。すでに秩父市役所の隣にある歴史文化伝承館の上には太陽光発電パネルと蓄電池が設置され、発電した電力は緊急時用に蓄電し、蓄電容量を超える余剰の電気は館内で一部利用しています。
秩父市環境立市推進課長の島田典彦氏に話を聞くと「2020年度からは、ゼロカーボンシティ実現に向けた取り組みの第一弾として、本庁舎全体の電気をCO2排出量ゼロの「ゼロカーボン電力」で賄う計画です。」と同市が地球温暖化対策実行計画で掲げる温室効果ガス排出量削減目標(2013年度比で2030年度までに40%削減)の達成に寄与する秩父新電力のエネルギーの地産地消推進について語りました。

  • 新電力の可能性

「秩父新電力」は『自治体新電力会社』という事業であるからこそ、求められる役割は多様。電力小売りだけではなく、地域の課題を解決することを目的に設立された秩父新電力に大きく期待がかかっています。
秩父市環境部環境立市推進課の牛木克輔氏は「将来的には自然災害の激甚化や少子高齢化をはじめとする地域課題の解決に向けた取り組みを計画しています。」と展望を語りました。
秩父新電力は2018年4月の設立以来、主に公共施設への供給で事業を展開し、一般家庭向けの供給は2021年を目標に準備を進めていると秩父新電力の滝澤隆志氏は話しています。

以前民間の石炭火力発電事業に携わっていた滝澤氏は、東日本大震災を転機にエネルギーに対しての意識が変わり、持続可能な地域づくりには再生可能エネルギーの地産地消が必要だと気づかされたといいます。新電力事業経営やIT技術活用に興味・関心をもった人材が集まれば自社の雇用だけではなく、地域への人口流入にも寄与するなどの広がりをみせるのではないかと期待が寄せられています。

  • 地産地消を広く捉える

秩父新電力の構想の範囲は、地元地域から県内外までと幅広いのが特徴。つまり、ちちぶに関連した地域であれば、電力の地産地消になるのだと解釈を広げ、東京都荒川区と荒川の上下流で結ばれる自治体として姉妹都市協定を結んでおり、2020年度から荒川区の幼稚園等にちちぶの再生可能エネルギーで生んだ電力の供給を予定しています。

秩父新電力では埼玉県と東京都を対象に、卒FIT対象者に向けて太陽光発電の『余剰電力買取サービス』を2019年11月から開始しています。同じ課題を抱える多くの地域の価値観を変化させる重要な役割を担い、環境立市の実現に向けた広がりはさらに加速しそうです。

  • 電力の地産地消とは

電力の地産地消とは、農産物の地域生産・地域消費とおなじく、地域で生産された電気をその地域で消費することです。
電力の地産地消では、地元で作った電気を使用するため送電距離が短く、送電ロスは大幅に軽減することが可能です。また、地元の企業が電気の小売り事業を行うので、地域経済の活性化に期待できるのも大きく期待されています。

  • 卒FITとは

卒FITとは、太陽光発電で自家発電をしていた際に、残った余剰電力の固定価格買取制度(FIT)を利用して売電していた家庭が、2019年より固定価格での買取期間が順次満了することです。
これまでは電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束しておりましたが、その期間は10年間と定められており、2019年11月より固定価格での買取期間が満了となる家庭が2019年時点で53万件ともいわれ、卒FITの今後の展開が注目されています。

 

2020年3月30日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

 

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