最大震度7を観測した9月6日の北海道地震から2カ月が過ぎた。道内は全域が停電する「ブラックアウト」に陥ったが、人口が密集するほかの大都市圏でも起こる可能性は否定できない。例年電力消費が増える冬が到来する前に、「節電」の大切さを考えたい。
傾いた「てんびん」
「冬の停電は生命の危険に関わるので、再発防止にしっかり対応していく」
10月23日、東京都江東区にあるビルの一室。北海道電力の藤井裕(ゆたか)副社長は大停電への反省をこう語った。
この日、ブラックアウトを検証する専門家による第三者委員会(委員長=横山明彦・東京大学大学院教授)が開かれ、原因を分析した中間報告を取りまとめた。
電気の供給は「てんびん」に例えられる。片方の皿に「消費量(需要)」が、もう片方に「発電量(供給)」が配置され、双方が常に釣り合っていなければ安定供給されない。電力会社は常時、火力発電のタービンに送る蒸気量を増減させるなどして秒単位で供給量を需要に合わせて調整している。バランスの崩れは、電気の周波数の乱れとして表れる。周波数が乱れると、発電所の機械の故障を防ぐため、送配電が自動的に断たれるようになっている。