ZEH普及で広がる住宅用太陽光、トップメーカーが描く将来図

ZEHの普及で増加する住宅用太陽光

石田建一氏(いしだ・けんいち)

石田建一氏(いしだ・けんいち)
積水ハウス株式会社 常務執行役員
環境推進部長 兼 温暖化防止研究所所長

FIT法の改正や買取価格の低下、発電所の適地不足などから、太陽電池モジュールの出荷が低迷している。しかし、日本の住宅メーカーのリーディングカンパニーである積水ハウスの環境推進部長と温暖化防止研究所所長を兼務する石田建一氏は「産業用メガソーラーのハードルは高くなっていますが、住宅用はZEHの普及とともに着々と増加していくでしょう。ZEHでは太陽光発電は必須のアイテムであり、当社の戸建住宅でも8割以上に導入されています。一方、創エネでいえば当社ZEHの5割に燃料電池が設置されていますが、蓄電池はまだほとんど導入されていません。現在の政策をみていると太陽光・蓄電池の組み合わせが重視されているようですが、季節や天候による変動・年間のエネルギー需給のバランスを考えると太陽光発電だけでなく、燃料電池も必要です。今後、省エネ住宅では太陽光発電、蓄電池、燃料電池の3つのアイテムを使い分ける必要があるでしょう」とみる。

「ZEH」は省エネと太陽光発電などの創エネを組み合わせることで一次エネルギー消費量が正味でゼロとなる住宅。政府は2020年までにZEHを標準的な新築住宅とすることを目指している。積水ハウスでは2020年までにZEH「グリーンファースト ゼロ」を新築住宅の80%にまで普及すると宣言しているが、2016年度時点でZEH比率74%を実現している。むろん、新築住宅のZEH比率の高さは大手住宅メーカー中、トップである。同社のZEHの特徴は中・高所得層をターゲットにした100%注文住宅である点と、開口部を広く取るなど、快適性を第一に省エネ性能を追求している点だ。さらにモジュールは他社で多くみられる据え置き型ではなく、複雑な屋根形状でもフィットする特注の瓦一体型のモジュールを採用している。

将来を予測して、住まいを提案

しかし、石田氏は「当社にはゼロエネルギー住宅という商品はありません」と言う。「自動車に例えれば、ハイブリッドカーというモデルは無くお客様にスポーツカーにしますか、セダンにしますかと車種を選択していただき、そのうえでハイブリットにします。お客様が自動車を購入するときに燃費を最優先するでしょうか。やはりデザインを見て、乗り心地を確かめて、そのうえで燃費を見て判断する。われわれも、ゼロエネルギーの為に設計するのではなく、敷地や庭、ライフスタイルにあったプランを作り、そのうえでゼロエネルギーになる提案をさせて頂きます。ゼロエネルギー、省エネ住宅を目的とするのではなく、健康で快適で楽しい人生を送っていただくための住宅を提供しているのです」と話す。

こんなエピソードもある。18年前、快適性を追求した住宅の商品企画に力を入れていた石田氏はその成果を新築の自邸の設計にも取り入れた。すると冬季、屋内でもジャンパーを着込むような旧宅で、毎年風邪をこじらせ入院していた父親が風邪をひかなくなったという。積水ハウス施工の自邸は現在のZEH基準をも上回る省エネ住宅で、現在でも電気代は売電分を差し引くと月千円程度で済むという。この石田氏の自邸は2001年に(社)建築環境・省エネルギー機構主催の環境・省エネルギー住宅賞で国土交通大臣賞を受賞している。石田氏は「住環境の快適さを追求すると冷暖房がいらない春・秋の状態を維持できる住宅に行き着く。その結果が性能のよい省エネ住宅ということになります。また、研究者としても20年後の将来を予測して住宅を建てれば、健康で長寿命な生活につながる快適な住まいを目指すのが当然で、住宅メーカーとしても施主にこうした住宅を提案する義務、責任があると思っています」と断言する。

 

2017年11月27日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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