2040年までの太陽光発電の見通し IEA WEO2018から

11月にはさまざまな報告書が刊行された。国際エネルギー機関(IEA)は、『World Energy Outlook(世界のエネルギー展望)(WEO)2018』を発刊した。WEOは、世界のエネルギー分野の各方面において、広く、また最も多く参照されている報告書のひとつである。

WEO2018では、2040年までの世界のエネルギー需給に関する見通しを(1)現行政策シナリオ、(2)新政策シナリオ、(3)持続可能発展シナリオの3種類のシナリオで示している。世界の一次エネルギー需要における化石燃料の割合は、2017年の81%から2040年には60~74%に低下し、再生可能エネルギーの割合が増加する。しかし、世界のCO2排出量は2017年の32.6Gtに対し、持続可能発展シナリオでは17.6Gtに減少するが、現行政策、新政策シナリオでは増加するとしている。IEAは、新政策シナリオではCO2排出量を早期に減少させるには不十分であると指摘、各国が適切な政策を策定することがエネルギー供給の安定化やCO2削減などにおいて非常に重要であることを強調した上で、各国のさらなる取り組みを支援すると表明している。

IEAは、エネルギーのなかで電力が最も成長する分野であると位置づけており、世界の最終エネルギー消費における電力の割合は、2000年の15%から2017年には19%へ増加し、さらに新政策シナリオでは2040年に23%にシェアが拡大するとしている。IEAは、再生可能エネルギーは2040年までに新設される電源の約3分の2を占め、2035年までに世界の総発電容量の半分を占めるようになると見ている。

IEAは2040年の太陽光発電システムの導入量と総発電容量に占める割合について、現行政策シナリオ:1,951GW(16%)、新政策シナリオ:2,540GW(20%)、持続可能発展シナリオ:4,240GW(29%)と見ており、新政策シナリオでは太陽光発電システムは天然ガス火力発電に次ぐ第2の容量を持つ電源となるとしている。太陽光発電システムの導入見通しは2017年版のWEOから上方修正されたが、IEAの見通しは2002年のWEOから一貫して実際の成長を大きく下回っており、各シナリオの前提や予測が保守的であると批判の声も上がっている。また、気候変動に関する目標を達成するに足る再生可能エネルギーの普及シナリオがないことも指摘されている。図1にWEO2018における地域別の太陽光発電システム累積導入量の見通しを示す。いずれのシナリオにおいても中国、インドなどのアジア諸国が導入を牽引していく見通しである。

図4 WEO2018における太陽光発電の地域別の導入見通し

図4 WEO2018における太陽光発電の地域別の導入見通し
出典:国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook(WEO)2018」(2018年11月)より、(株)資源総合システムが作成
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このほか、以下の報告書も注目されている。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、報告書『Renewable Energy Outlook 2016 for ASEAN』において、ASEAN地域の2030年の太陽光発電の設置容量は、2018年現在の2GWから60GWに増加するとしている。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、エネルギー供給における再生可能エネルギー比率を2倍に高めることを目的に、IRENAと連携することを発表した。

RE100は、2018年の年次報告書を発表した。RE100への参加企業、計155社のうち37社はすでに電力需要の95%以上を再生可能エネルギーで賄っている。参加企業がこれまでに締結した太陽光発電システムなどとの電力購入契約(PPA)は30億ドルに相当する計3GWに達した。欧州風力エネルギー協会は、2018年1~11月に欧州の民間企業が締結したPPAは前年比30%増、2015年比では4倍増の計1.9GWに達したと報告した。

投資顧問会社の米・Lazardは、世界の太陽光発電システムの均等化発電原価(LCOE)を分析した報告書の2018年版を発刊した。2018年太陽光発電システムのLCOE(補助金なしの場合)は、電力事業用太陽光発電システム(結晶系)で前年比13%低下し40~46ドル/MWhとなり、石炭火力発電(60~143ドル/MWh)等の従来型電源に対し十分な競争力を持つとしている。

 

2019年1月9日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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