2021年度の固定価格買取制度の検討状況、小規模はFIT継続、大規模はFIPや入札になる可能性

改正FIT法の抜本的見直しへ

日本において2012年7月に創設されたFIT制度は、再生可能エネルギー導入初期における普及拡大と、それを通じたコストダウンを実現することを目的とする制度です。この制度により、再エネ発電の普及による環境問題への対処や、石油資源に対する代替エネルギーの確保、そして量産効果による価格の低下が実現しました。一方で、太陽光発電への導入偏重、初期の高価格案件の未稼働といった問題が生じ、急激な電源開発と併せて国民負担が著しく増大することとなりました。

こうしたFIT制度創設以降に生じた課題に対しては、2017年に改正FIT法が施行され、入札制の導入や、未稼働案件の防止、そして適切な事業実施を確保するための事業計画認定制度の創設などの対応が行われました。

改正FIT法の成立以降、現時点の状況を確認すると、再エネの導入が更に進展した一方で、依然として、発電コストは国際水準と比較して十分に低減したとは言えず、国民負担の増大の一因となっています。再エネ賦課金についても年々と上昇しており、2019年度の単価(2.95円)は2012年度(0.22円)と比較すると10倍以上になっています。

なお、2030年度のエネルギーミックス(再エネ導入水準(22~24%))について、これを達成する場合の FIT 制度における買取費用総額は3.7~4.0兆円程度になると長期エネルギー需給見通し(2015年制定)では想定していますが、2019年度の買取費用総額は既に3.6兆円程度に達すると見込まれています。

また、再生可能エネルギーの導入拡大により、系統制約が顕在化しつつあり、加えて小規模のFIT電源を中心に、既に導入されている電源の調達期間終了後の事業継続や将来的な再投資が滞るのではないかといった懸念、設備廃棄を含めた責任ある事業実施に対する懸念等も明らかとなっています。

これらの課題解決に向け、FIT制度の在り方について国による検討が進められています。前提条件として、FIT制度は時限的な特別措置として創設されたものであり、「特別措置法」であるFIT法にも、2020年度末(2021年3月31日)までに抜本的な見直しを行う旨が規定されています。本記事では、国による検討内容から、2021年度以降のFIT制度における方向性を見ていきます。

FIT制度の改正に係る全体的な方向性

2021年度以降のFIT制度の在り方の検討内容として、大きな変更点の1つに、大規模案件を中心としてFIT制度廃止が検討されている点が挙げられます。8月に行われた再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の中間整理では、FIT制度から入札制やFIP制度へ完全に移行し、競争を促進すべきとの意見が報告されています。

また、FIT制度のメリットとして、長期的な事業計画が立つため資金調達が容易になる点が挙げられますが、FIP制度への移行とともに、開発リスク低減など包括的な政策をとることが必要が示されています。

その他、現状のFIT制度ではインバランスリスク負担の回避によって、電力市場のメカニズムから半ば隔離された状況で再エネの導入が進められてきました。しかしながら、今後はインバランスリスクや出力制御など、発電事業者としての然るべき責務を負うべきだとされています。それに伴い、需給調整市場への再エネ発電事業者の参入を進めるべきとの方向性も見られます。

 

2019年8月15日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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