電気自動車が「発電所」に 電力会社で進む需給調整の実証実験

工場や家庭にある蓄電池や電気自動車(EV)をインターネットでつなぎ、一つの発電所に見立てて電力需給を調整する「バーチャルパワープラント」(VPP、仮想発電所)の実証実験が各地で行われている。技術が確立されれば発電コストが削減され、電気料金の値下げにつながる可能性がある。実験に取り組む電力会社などには、VPPが新たな社会インフラになることを見越し、将来のビジネスチャンスにつなげるねらいもありそうだ。(林佳代子)

EVで需給調整

関西電力は1月、日産自動車と住友電気工業と共同で、関電の事業所などが所有するEVやプラグインハイブリッド車(PHV)計60台の充電を遠隔制御する実証実験を始めた。

経済産業省がVPPの技術確立をねらって平成28年度から始めた補助事業の一環で、実験用に開発された「EVスイッチ」と呼ばれる遠隔制御機器を活用。3社のサーバーを連携させてスイッチに信号を送り、電力需要が大きい時間帯の充電を強制的にストップさせるなどし、どの程度の電力量を調整できるのかを検証している。

電力全体の需給調整に役立てるには、数万台規模のEVが必要になる見込みだが、関電担当者は「これからの時代は需給調整の手段としてEVの活用が重要になってくる」と指摘。余剰電力をEVの充電に活用するシステムの実用化を目指し、2月末まで実験を続ける予定だ。

背景に再エネ普及

関電は28年度以降、住友電工やGSユアサ、大林組など14社と組んでVPPの実用化に向けた実験を継続的に実施。昨年には武庫川女子大と協力し、大阪市内のモデルハウスにある家庭用ヒートホンプ給湯器「エコキュート」の運転時間帯を電力需要に合わせてコントロールする実験にも取り組んだ。

同様の実験は他の大手電力会社も積極的に推進。東京電力ホールディングスはNECや積水化学工業などと組んで技術確立を目指しており、中部電力もトヨタ自動車やデンソーの協力を得て新たな需給調整の仕組みの構築を目指している。

このように政府や大手電力会社がVPPの実用化に取り組む背景には、東日本大震災後に急速に普及が進んだ再生可能エネルギーの発電量の増加がある。

電力の需給調整は使用量と発電量をそろえる「同時同量」が原則。これが崩れると停電などの事故を引き起こす恐れがあるため、大手電力会社は現在、主に火力発電所の稼働状況をこまめに調整する手法でバランスの維持を図っている。

だが、太陽光や風力といった再エネは天候や日照時間の影響で出力が大きく変動することから、普及が進めば進むほど需給調整は難しくなる。電気が余る場合は蓄電池に充電したり、逆に電気の供給力が不足する場合は蓄電池から放電させたりするVPPが実現すれば、こうした課題を解消し、再エネを安定的かつ有効に活用するための道が開けてくるというわけだ。

「新たなインフラ」

経産省は現在、補助事業を通じ、32年度までに計5万キロワット分の蓄電池をつないで需給調整を図る目標を設定。来年度には、火力発電所13基分に相当する1320万キロワット分の調整力を確保できると見込んでいる。

VPPの進展により再エネの導入拡大が進めば、これまで調整力となってきた火力発電所への投資が抑えられ、燃料コストの削減や電気料金の値下げ、温室効果ガスの排出量削減につながる可能性がある。

関電関係者は「将来的にはVPPが新たな社会のインフラになることもあり得る。実証を繰り返すことで早期に事業スキームを構築し、ビジネス機会の創出につなげていきたい」としている。

 

2018年7月11日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

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