貧乏を直撃する「5月からの電力料金の値上げ」の是非

 もっとも、電力料金の値上げの決め手になるのは原油価格(WTI)が最近50ドルまで上昇したので天然ガス(LNG)の相場も上がって、いまなお発電の主力を占める火力発電所用の燃料代が上がっちゃったことです。日本経済の宿命として、エネルギー調達は海外に依存する以上、これらの価格が上がると自動的に日本の富が海外に流れ出ていってしまうことは避けられません。

 どうにかして自然由来の再生エネルギーの比率を高めたいという話になるわけですけど、そうはいっても再生エネルギーは問題多発でどうしようもない側面はあります。ドイツみたいに電気料金を2割以上引き上げて風力発電を山ほど増やした結果、不安定な電力が増えてしまって、ただでさえ高コストな風力発電で得た電気を安い値段で他の国に売らなければいけなくなる、それでいて安定した電力が足りなくなることがあるので原子力発電で得たフランスの電力を輸入するみたいな気の遠くなるようなことが起きることになるわけですよ。近い将来、不安定な電力を電力大手が買い取らないという選択に出てくる可能性もあるので、油断はできないのであります。

 一時期は、これらの太陽光や風力もあわせてIoT的な技術導入とNAS電池のような蓄電技術を組み合わせて需要と供給を予測しながら発電・送電するとかいうスマートグリッド的なものが興味を持たれていました。ただまあ、実際にはいくら需要が予測できても特に風力は必要な時に風が吹かないとどうにもならないし、蓄電してもきれいな電気にするには限界があるので、まったくスケールしないことが分かってみんな力を入れなくなりました。要するに、小規模で地元の電力の一部を賄うぐらいならまあ高利回りだけれども、産業化しよう、大規模投資にしようとなると、たちまち管理コストの増大に直面して無事死亡、ってことであります。電力系の再生エネルギー買取ファンドがしばらく顔色悪かったのは「言われているほど電力は簡単じゃないし、規模がでかい」ことが分かったからであります。

 ところが、最近になって結構無謀な再生エネルギー系のファンドがいくつか立ち上がってきたので心配になります。どれも千億単位の規模なので、前のめりにコケると大変なことになるんじゃないかと思ったりします。事業計画とか投資依頼書を見ていると、数年前にみんな取り組んで仲良く挫折した類のものばかりが並んでいて、要するに「それができるならもうみんな成功している」という内容なわけです。技術革新があるといっても、吹いてない風でプロペラ回すことなんてできないし、将来的に制度が現実的になって電力会社が「その値段では買い取らないよ」と言われたら採算が終わります。だからこそ、慎重にみんなやってたわけですね。

 シェールガス革命もバイオマス発電もほぼ同じように原油価格の低迷で死に絶えそうになったのも同様に、エネルギー価格の乱高下というのは国際情勢に大きく左右されるものです。割高なエネルギーを風力や太陽光で作って電力会社に買い取らせるのも結構なのですが、結局はその値段は一般の電力価格、つまりはご家庭で使われる電気代にも転嫁されるものである以上、夢を語った結果が貧乏人から金を吸い上げて資本家に渡すだけの仕組みにならないよう、願うばかりです。しかも、再生エネルギーに突っ込んだ投資家で本当に凄い収益を上げているところは太陽光パネルメーカーも含めてほとんどいないことぐらいまでは是非知っておいてほしいと思います。はい。

 じゃあパリ協定は無視でいいのか、COP21はどうなんだという話はありますが、再生エネルギーがこの体たらくなのでCO2削減のために原子力を増やせみたいな本末転倒な話になりかねず、現実問題はかなり厳しいわけですよ。隣の中国で質の悪い石炭山ほど炊いてあれだけ大気汚染やってる横で国際的な枠組みを強制的に作って地球の温度上昇を2度以下にするといってどこまで実現可能なのかという話になります。日本にはドイツやデンマークみたいに地続きで電気を捨てられる国はないので、これ以上電力会社をいじめないようにしながら原子力もぼちぼちやって、出口戦略を合理的に考えようぐらいの後ろ向き具合しかないんじゃないの、環境はもちろん大事なんだけどさ、という感じじゃないでしょうか。

 

2017年4月8日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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