相次ぐ自治体電力 再生エネで地域に活力を

2016年の電力小売り自由化で、自治体が出資したり設立に関与したりする「自治体電力」が各地に誕生している。再生可能エネルギーの発電に加えて、電力小売りにも乗り出して再エネを地産地消することで地域にお金を落とし、産業振興や雇用促進につなげようとしている。

■みやま市、社員57人でカフェも運営

「日本初 エネルギー地産地消都市」。福岡県みやま市は県南部に位置し、熊本県に接する人口3万8000人の小さな市だ。市が55%出資する「みやまスマートエネルギー」は16年4月、自治体電力では全国で初めて家庭向け電力の供給を始めた。太陽光発電による電力を固定価格買い取り制度の価格より1キロワット時あたり1円高く買い取って、九州電力より安い料金で販売。水道料金などとセットにすると、さらに割り引く。

電力データを活用した高齢者見守り、約2000のタブレット端末を配布してインターネット販売など生活総合支援サービスも展開している。現在は約3500カ所に電力を供給し、近い将来は市内の1万4000世帯のうち1万世帯への販売を目指している。

みやまスマートエネルギーが運営する「さくらテラス」(福岡県みやま市)

みやまスマートエネルギーが運営する「さくらテラス」(福岡県みやま市)

みやま市役所の隣接地に立つ木造2階建ての「さくらテラス」。ここに、みやまスマートエネルギーが入居し、1階のカフェ&レストラン、特産品販売コーナーを運営している。磯部達社長は「もともと電力というより、人口減少などの地域の課題を解決するために設立した会社。社員は設立時の3人から、今では57人に増えた」と話す。社員が数人というところも少なくない自治体電力では飛び抜けた多さだ。

みやまスマートエネルギーの需給センター

みやまスマートエネルギーの需給センター

電力供給の要となる需給センターは、市役所近くの古いアパートに入居している。市内の電力需給を調整する部屋では、6人が需給調整、スイッチング、コールセンターの仕事をしている。皆、地元採用で、最初は電力の素人だった。需給管理は通常24時間・365日の体制を敷くが、磯部社長は「小さなまちなので、午前9時~午後6時勤務で対応できる。地域に密着しているので、工場の臨時操業などの情報が事前に入り、きめ細かい需給計画が立てられる」と説明する。

■国内外の自治体と連携深める

外部に公開していない別室では、もうひとつの需給調整チームが働いている。同社と提携している鹿児島県や新潟県の新電力、東京都環境公社の需給調整・管理を請け負っている。18年度には受託がさらに増える見通しで、「人員を倍増させないと対応できない」(磯部社長)という。

みやま市と全国の自治体との連携

みやま市と全国の自治体との連携

みやま市のもうひとつの特色が他の自治体・新電力との連携だ。同市は昨年、鹿児島県のいちき串木野市と肝付町、大分県豊後大野市などと新電力に関する連携協定を結んだ。みやまスマートエネルギーは各自治体の新電力を支援し、磯部氏は肝付町のおおすみ半島スマートエネルギーの社長も兼務している。エネルギーの地産地消を超えて、各自治体で再エネを融通し合い、電力の共同購入や管理業務の一元化も進めて、広域的な経済循環をつくる狙いがある。

■地域の経済循環を目指す

全国で初めて自治体主体の電力会社を立ち上げたのが、群馬県中之条町だ。13年に町が6割出資して「中之条電力」を設立、3カ所の太陽光発電所から公共施設に電力供給を始めた。15年には中之条電力が全額出資して「中之条パワー」を設立し、特定規模電気事業者として事業を承継した。現在は電源を小水力にも広げ、町外への供給エリア拡大も検討している。

沢渡温泉第1太陽光発電所(群馬県中之条町)

沢渡温泉第1太陽光発電所(群馬県中之条町)

「ローカルエナジー」(鳥取県米子市)は15年12月、米子市と地元企業5社の共同出資で設立。16年から、地元CATV会社の中海テレビ放送を通じて、一般家庭にも電力供給している。設立にあたって、(1)出資は自治体と地元企業のみ(2)電源と供給先がともに地域にある(3)電力の需給管理は自前で行い、委託しない――の基本方針を掲げ、地域の経済循環につなげている。市内のごみ発電や太陽光発電などから電力を調達し、地産電源が約8割にのぼる。周辺市町村の公共施設にも電力を供給して、鳥取県の新電力販売量の2割を占めている。

■国内最大級のバイオマス発電

岡山県真庭市は市面積の8割近くが森林という特性を生かし、間伐材や製材後の端材を燃料にしたバイオマス発電に取り組んでいる。中心になっているのが集成材大手の銘建工業で、1980年代から廃材を燃やした発電を導入していた。2013年には市や木材事業協同組合、森林組合などと共同出資で「真庭バイオマス発電」を設立。国の補助金も含めて総額41億円をかけて、15年に国内最大級の出力10メガワットの真庭バイオマス発電所を稼働させた。新電力に売電して年間20億円以上の収入を得ているほか、未利用材の購入により森林所有者や林業にも利益を還元している。市が始めたバイオマス発電の視察ツアーも年間約3000人の参加があり、地域振興につながっている。

■議会の反対で熱電併給事業断念

ただ、再エネ導入をめぐって自治体が混乱するケースも相次いでいる。木質バイオマスエネルギーの活用で全国的に知られる北海道下川町で、総額30億円にのぼる官民の熱電併給事業が、町議会の反対で断念に追い込まれた。問題となったのは、三井物産がバイオマス発電所を建設し、町は発電で発生した熱を市街地の暖房や給湯に利用する森林バイオマス熱電併給計画。燃料となるホワイトペレットの半分以上を町外から調達することに、町民から「地産地消の町の原則に反する」「地元に利益はない」との声が上がっていた。

山口県宇部市でも16年3月、自治体電力の出資金500万円を盛り込んだ市予算案に、議会から「事業内容が不明確」「採算性、赤字になった場合の対応が十分でない」などと異論が相次ぎ、予算案から出資金が削除された。

群馬県太田市は15年、市が6割出資して「おおた電力」を設立した。しかしその後、太陽光発電の電力を買った新電力に支給する国の交付金が、見直されることが判明。市は「これでは事業が成り立たない」(清水聖義市長)と出資金を引き上げた。(杉野耕一)

[「日経グローカル」329号に詳報]

 

2017年12月3日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

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