氷点下もなんのその、優越感生む省エネ住宅の実力

 「省エネ住宅」の正体を知るべく開始した、15時間耐久の宿泊体験。室温の変化や感想などを記録していくと、旧来の木造住宅との「住み心地」の違いがいくつか浮かび上がってきた。おりしも実験当日は最低気温が氷点下の予報。後編では一晩経過した翌朝の様子をレポートする。

 熟睡。午前5時50分にアラームが鳴った。起床時間はいつもとあまり変わらないのでスムーズに目が覚めた。

前日の午後5時から相羽建設(東京都東村山市)のモデルハウス「つむじ」に、宿泊体験のために来ている。目的は、国が推進する「省エネ住宅」普及のヒントを探るため。環境省の「COOL CHOICE ZEH体験宿泊事業」という取り組み(この記事の執筆時点ではすでに終了している)を利用して、午後6時から翌朝、午前9時まで「省エネ住宅」で室温を記録しながら、そこでの暮らしを体験しているところだ(前日の様子は「15時間の対決!省エネ住宅と築20年住宅はどっちが快適?」を参照)。

 前日の夜までに気が付いたことは以下の通りだ。

  • 断熱性が高いので、玄関に入った瞬間に暖かさを感じる
  • 日中の太陽熱を逃がさないので、夕方、日が落ちても家の中が寒くない
  • 1階と2階で気温差がほとんどない
  • 風呂上がりに湯冷めしにくく、着込まなくてすむ
  • 同じ室温でも旧来の住宅より暖かく感じる
  • 真冬なのに暖房を一切つけずに過ごせた

いずれも予想の範囲内ではあるが、実際に体験してみると、旧来の住宅との違いにはやはり驚かされる。「つむじ」は建築家の伊礼智氏が、自然エネルギーを活用するパッシブデザインの手法で設計した。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に相当する断熱性能がある。また、屋根で集熱して暖めた空気を床下に蓄熱する「OMソーラー」という設備も搭載しており、家全体がまんべんなく暖められている。

外で顔が凍りつく

朝、午前6時、2階の寝室の気温は13.3℃。午前1時に就寝したときには14.5℃だったので、わずか1.2℃下がった程度だ。自宅だと肌寒くて布団からなかなか出られないのだが、この朝はするりと起き上がることができた。

Tシャツに長袖シャツを着てフリースを羽織ると、室内はほぼ前日の夜と同じ温度に感じられた。顔を洗って洗面所の温度を確認すると14.3℃。外を眺めるといかにも寒そうなのに、なんだか信じられない暖かさだ。

気になって外に出てみた。気温マイナス4.7℃。洗ったばかりの顔がぱりぱり凍りつくような感覚に襲われる。慌てて室内に戻った。やはり暖かい。すげえな省エネ住宅!

室内があまりにも暖かいので、「いま冬だよね?」と戸惑ってしまった。試しに外に出てみたら、やはり冬。外は寒かった(撮影:渡辺 圭彦)
「つむじ」に設置されたOMソーラーの制御パネルの表示。午前6時の時点では、外気温マイナス4℃に対して、室温は15℃を示していた(撮影:渡辺 圭彦)

余裕の朝で優越感

冷え込んだ体を暖めようと、1階のエアコンを21℃設定で付けてみた。ついでに朝風呂としゃれ込む。

風呂上がりのぽかぽかな状態を楽しみながら、体験実験を続ける。Yデスクの予定表によれば、午前7時は朝食の時間だ。コーヒーを入れ、前日に買っておいたパンを食べる。窓辺に座って気付いたが、木製建具の窓には結露が一切なかった。なんだか当たり前のように見過ごしてしまいそうだが、これはすごい。

事前に用意したスケジュールに従い、午前7時に朝食(撮影:渡辺 圭彦)

 今回の実験では、築20年の木造住宅に住むYデスクも同じように室温の測定をして、筆者と同じスケジュールで生活をしている。あちらはどんな感じだろうか。午前8時に連絡をしてみた。

Yデスク:どうですかそちらは?

ワタナベ:いやあ、快適ですよ! お風呂最高!

Yデスク:こちらは寝室の温度が朝、8℃でしたよ。寒いので着替えるのが苦痛でした…。

Yデスクのしょぼくれた声を聞くと、省エネ住宅にいるこちらはなんだか妙に優越感を覚える。こちらはひとっ風呂浴びてすでにエンジンがかかっている状態だ。

当たり前に気が付けるかが鍵

ここまでのメモをまとめ、午前9時の退出に備えて荷物を整理する。午前8時半になると、相羽建設の迎川利夫常務がやって来た。

迎川常務:どうでしたか? 休めましたか?

ワタナベ:おかげさまで快適でしたよ。

迎川常務:モデルハウスの「つむじ」は普段、見込み顧客を中心に宿泊体験の場としても使っているんです。みなさん、冬場でも冷え込みがなくて、朝、快適に起床できることに驚かれますね。

太陽が昇ってくると、室内にしっかり日差しが入ってきた。同時に室温も上がっていく。太陽の熱の暖かさを改めて実感した(撮影:渡辺 圭彦)

リビングには「つむじ」に泊まった人が感想を書き記すためのノートが備え付けてあった。筆者も一部見せてもらったが、具体的によかったところを書いている人がいる一方、意外とあっさり「快適でした」くらいの感想にとどまっている人もいた。本当のところは、泊まってみても、「省エネ住宅」ならではのメリットや快適性を具体的に理解できる人は、それほどいないのではないだろうか…。

今回の宿泊体験では、筆者は「省エネ住宅が旧来の住宅とどのように違うのか。住み心地や快適性を検証してやろう」と準備をして乗り込んだ。宿泊中にYデスクの家の様子との比較もした。そのため、省エネ住宅のよさに気付きやすかったのだろう。

だが、専門知識のない見込み顧客がなんの準備や心構えもなく泊まっていたら、「快適だったね」くらいの感想しか持てないのが普通だろう。省エネ住宅は快適に住めるようにつくられているのだから、それは当たり前のことだ。

とはいえ、これでは省エネ住宅を積極的に選ぶ動機が生まれない。快適な暮らしが「当たり前のことではなく、省エネ住宅だからこそできるもの」ということを実感して期待値を高めることが必要だ。どうしたらいいのか。「省エネ住宅ならこんな暮らしができて、こういう点が快適になる」ということを具体的に伝える必要があるのではないか。

ちょっと糸口が見えてきたような気がする。編集部に戻って、省エネ住宅で計測したデータと、築20年の木造住宅で計測したデータを突き合わせて、答え合わせをしてみよう。

次回は、省エネ住宅普及に何が必要なのか、Yデスクと総括に臨む。

 

2018年4月3日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

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