成長しながらCO2抑制米中で大幅減、日本は停滞

経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。

10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。

国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。

国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。

デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。

再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。

省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。

最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。

世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。

日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。

6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

(竹内康雄、草塩拓郎、榊原健)

 

2017年11月5日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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