太陽光発電 真夏の支え 猛暑なのに節電要請いらず、なぜ 出力ピーク時は需要と時差

記録的な猛暑が続く日本列島。エアコン使用が増えて電力需要は伸びているにもかかわらず、政府が国民に節電を要請するような事態にはなっていない。2011年の東日本大震災以降、稼働する原子力発電所は大きく数を減らしている。なぜ電力は足りているのか。その謎を解く鍵の一つが、ここ数年で急速に普及した太陽光発電だ。

電力各社は管内の夏の需要を事前に予測し、政府に報告する。「10年に1度の猛暑」との予測に基づいて需要をはじき出し、安定供給に最低限必要とされる3%の「予備率」を確保できると5月に発表した。

管内の5分の1賄う

 原発停止で供給が不安定だった震災後は経済産業省が夏に節電を要請していたが、16年以降は見送りが続く。世耕弘成経産相は7月24日に「今、節電をお願いする状況には全くない」と語った。

「何せ太陽光発電が1000万キロワット弱ありますから」。東京電力ホールディングス(HD)の関係者はこう明かす。東電管内の電力需要は足元で5000万キロワットを超えるが、瞬間的には5分の1ほどを賄っている計算になる。企業や家庭の屋根などに取り付けられた太陽光パネルからの電気を制度に基づき買い取っている影響が大きい。

福島第1原発の事故前、東電は年間の電力供給ベースの3割弱が原発だったが、現在は稼働ゼロ。しかも需要が増えた際に追加で発電する石油火力発電所2基を7月から長期停止した。余裕の戦略を「ソーラーが支えているのは間違いない」(東電幹部)。

そもそも国内全体で電力需要が減った影響もある。震災を機に節電意識や家電の省エネ化が進んだ。日本の夏のピーク時の需要は10年度に1億7800万キロワットだったが、16年度は約12%減った。ただ今夏は半分以上の電力会社で予想を上回る需要を既に記録した。

国内で10年度は合計約50基の原発が稼働し、年間の電力供給量の25%を占めていた。現在は関西電力で2基、九州電力で3基が稼働するだけだ。ただ今夏に電力需給でヒヤっとする場面があったのは比較的余裕があるはずの関電だった。

融通で乗り切る

 関電は7月17、18日、事前契約した工場などに節電してもらう「ネガワット取引」を初めて発動。東電なども実施例がある新手の需給安定策だ。それでも18日には需給が逼迫し東電などから計100万キロワットの融通を受けて乗り切った。

とはいえ関電の全体的な供給力が足りないわけではない。実際、19日の電力需要は前日を上回ったが、融通を受けずに乗り切った。関電は「フォーメーションを毎日変えるため」と解説する。

電力各社は基本的に前日の段階で、予想最高気温などから翌日の電力需要を予想。それにあわせて「予備力」の火力発電所などを動かし、供給力を調整する。関電は17日の段階で18日の最大電力を2770万キロワットと予想していたが、融通を受けた18日午後4時~5時は「異例だが100万キロワットも多かった」という。

業界関係者はこの時間帯に注目する。「昔は真夏の暑さは午後2時か3時ごろだったが、今は夕方にシフトしている」。四国電力の幹部はこう話す。夕方は日が落ちてきて太陽光発電の出力がガクッと落ちる時間帯でもあり、需給バランスが崩れやすくなっている。

実際、関電エリア内では18日昼ごろに350万キロワット超だった太陽光の発電量は午後4時から5時に半分以下の160万キロワットまで落ちた。関電はこの傾向は織り込み済みとするが、午後4時を過ぎても大阪市内の気温が高止まりし、需給見通しに狂いが生じた。結果的に他社からの電力融通はこの時間帯に行われた。

「ソーラーの普及で、今までとはオペレーションが変わった」と東電幹部は話す。電気はためられず、蓄電池も普及が進まないため、昼間の供給に余裕はあっても、夕方に太陽光発電が減るタイミングで需給を安定させる作業が今や必須だ。

東電関係者がむしろ心配するのは日照時間が減る冬場だ。今年1、2月に気温が低下し、積雪で太陽光が機能しなかった際には電力需給が綱渡りとなり、ネガワット取引や電力融通を連日発動した。エネルギー環境の変化は電力大手に新たな対応を促している。

 

2018年8月14日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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