太陽光の買い取り価格、19年度も引き下げへ

2019年度の調達価格(買い取り価格)を討議する調達価格等算定委員会(以下、算定委)が18年11月8日に開催され、太陽光発電に関しては、今年度の価格からさらに数円の引き下げが確実となり、入札の対象範囲は「250kW以上か、500kW以上」との事務局案が示された。

■「運転開始期限」超過時は買い取り期間短縮

算定委では、前回に各電源の業界団体にヒアリングを行い、それを受け電源ごとに19年度の調達価格を議論し始めており、今回は太陽光について事務局案が示された。

事務局案が示されたのは、(1)長期未稼働案件への対応における「運転開始期限」を超過した場合の取り扱い、(2)価格目標、(3)事業用太陽光の入札対象範囲、(4)事業用太陽光のコスト動向、(5)住宅用太陽光のコスト動向──の5項目。

(1)の未稼働案件の運転開始期限に関しては、10月15日に開催された再エネ大量導入・次世代ネットワーク小委員会で、系統連系工事の着工申し込みが受領された案件に関して、1年間の「運転開始期限」が設定される、という制度変更が示され、22日からパブリックコメント(意見公募)のプロセスに入っている。

今回の算定委で、「運転開始期限」を超過した場合に関して、「超過した期間分だけ、月単位で調達期間を短縮する」との事務局案が示され、全委員会から了承された。パブコメ中の制度変更が決まった場合、この案が適用される。

■価格目標5年前倒し 「22年に8.5円/kWh」目指す

(2)の価格目標に関しては、事業用に関し、従来の「30年に発電コスト7円/kWh」を5年前倒しし、「25年に運転開始する案件の平均的な発電コストで7円/kWh」と変更するとの事務局案が示され、全委員から了承された。これは、現在の固定価格買い取り制度(FIT)の算出基準と運転開始3年期限の仕組みを踏まえて換算すると、「22年に8.5円/kWh」の買い取り価格を設定するというイメージになる。

事業用太陽光の価格目標(出所:経産省)

事業用太陽光の価格目標(出所:経産省)

また、住宅太陽光の価格目標に関しては、従来の「できるだけ早期に卸電力市場価格」という目標を変更し、「25年に運転開始する平均的な案件で、売電価格が卸電力市場並みを目指す」との事務局案が示され、了承された。ちなみに17年度の卸電力市場価格は、各月の加重平均値で10.3円/kWhとなっている。

■入札対象は「250kW以上」? 委員の意見が対立

(3)の事業用太陽光の入札対象範囲に関しては、「250kW以上、または500kW以上」という事務局案が示された。この根拠は、対象となる導入容量の割合(6割前後)と入札に伴う社会的なトータルコストの増加とのバランスを考慮したものという。

規模別のFIT認定量・導入量(容量ベース)(出所:経産省)

規模別のFIT認定量・導入量(容量ベース)(出所:経産省)

この案に関しては、委員の賛否が分かれた。主な意見は、「これまでの議論で事業用太陽光は原則的に入札となった。低圧案件を含めることは、件数が膨大で現実的ではないが、100kW以上にしても、事務処理は対応できるのではないか」という対象範囲をさらに広げる方向を主張するものだ。

一方、「国内の入札制度は試行錯誤なのが実態で、段階的に対象範囲を広げていくことも検討すべき、また、ドイツでは当初100kW以上を対象にしたものの、事務処理コストの負担から750kW以上に対象規模を引き上げた経緯もある。これらを踏まえると、事務局案の250kW以上でも、かなり踏み込んだものに思える」など、対象範囲をもっと大規模な案件に限るべきとの方向性を示す委員もいた。

(4)の「事業用太陽光のコスト動向」は、調達価格を算定する際のベースとなる。具体的には、事業にかかるコストをシステム費用、土地造成費、接続費、運転維持費に分解し、これらと設備利用率、IRR(内部収益率)の水準を加味して調達価格を算定することになる。

今回の示された事務局案では、前の年度と比べて、システム価格と設備利用率のトップランナー基準の出し方とIRRの水準を変更した。

前年度では、「最新年に設置された1000kW以上の上位25%」を採用したが、今回の事務局案では、「50kW以上」も含めた上、25%よりもさらに上位に絞り、より効率的な水準を採用すべき、との変更点を提示した。その根拠として、50kW以上の18年度の中央値(上位50%)は、15年設置案件の上位18~19%に相当し、18年度の上位45%は、15年設置案件の上位14~15%に相当するとの分析結果を公表した。

仮に「50kW以上案件の18%」を採用した場合、システム価格は18.21万円/kWとなり、前年の22.07万円/kWより、3.86万円/kW(17.4%)の低減となる。「14%」を採用した場合のシステム価格は、17.27万円/kWとなり、前年から4.8万円/kW(21.7%)の低減となる。

また、IRR水準に関しては、現行水準である5%の設定時(12年度)には、資金調達コストが4.19%だったのに対し、現行(18年上期)では1.96~3.11%に下がっていることを根拠に、これまでの5%を「4%」に引き下げるとの事務局案を示した。

こうしたトップランナー基準の上位シフト(システム価格の低下)とIRR水準の引き下げに関して、全委員から賛同を得られたため、事業用太陽光の調達価格が今年度の18円/kWhから、19年度にさらに数円、引き下げられるは確実となった。

一方、住宅太陽光に関しては、19年度の買い取り価格はすでに24円/kWhと決まっており、今回、20年度を決めるか否かを議論し、FITの抜本的な見直しを控えていることもあり、今回、2年後の調達価格は決めないことになった。

 

2018年11月11日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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