基本計画の宿題 2050年の技術 針路探る 焦点絞り国際競争力を

新たなエネルギー基本計画では、2050年に向けた次世代技術の開発にも力点を置いた。再生可能エネルギーや火力発電の高度化だけでなく、水素や蓄電池など様々な技術を組み合わせる「複線型シナリオ」を目指すという。総花的なばらまきに陥らず、焦点を絞って効果を引き出す視点が欠かせない。

先行する水素

 「現時点で50年のエネルギーまで決め打ちすることはむしろリスクだ」。経産省幹部はこう強調する。基本計画では30年時点では再生エネで22~24%といった電源比率を掲げるが、50年時点は定めなかった。これは先送りではなく、今から選択の幅を狭めるべきではないとの判断だという。

では、どのような可能性があるのか。まず特に力を入れるのは水素だ。燃料電池車(FCV)などの燃料として利用でき、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギー。しかも日本が海外より研究開発で先行している。

ただ現状はFCVの台数も水素スタンドも少なく、本格的な普及にはほど遠い。経産省は50年を目標にガソリンや液化天然ガス(LNG)などと同程度にコストを下げれば、温暖化対策の手段にできると見込む。

脱総花へ検証

 蓄電池のコスト低減は、再生エネを「主力電源」にするための有力手段と位置づける。太陽光や風力の電気をためる蓄電池を大量に導入できれば、発電量が変動する再生エネの弱点を補えるとみているからだ。

経産省は他にも再生エネと水素の組み合わせや、石炭火力の高効率化、次世代原子炉など、様々な技術の可能性を探る構え。ただ、選択肢を増やせば増やすほど、支援するための予算や企業の投資先は分散する。すべてが中途半端に終わってしまうリスクもある。

こうした事態を避けるため経産省は「科学的レビューメカニズム」と呼ぶ仕組みを設ける。有識者らによる検証の場を設け、それぞれの技術を分析。有力な分野を徐々に絞り込み、メリハリを付けていくとする。

レビューを担当する新組織は年内にも立ち上げて議論を始める。3年後をメドとする次のエネルギー基本計画にも方向性を反映させる方針だ。

国の競争力に響くエネルギー問題は各国が知恵を絞る。中国は太陽光発電パネルや蓄電池といった分野への集中投資で存在感を高め、米国はシェール革命をテコに中東に依存しない体制を築く。中東産油国は石油資源を活用し続ける手立てを探る一方、再生エネの拡大にもカジを切る。

戦略は異なるが、共通するのはそれぞれの国の事情に合わせ、強みを発揮できる針路を探っている点だ。日本は早急に立ち位置を定めないと、次世代に大きなツケを残すことになりかねない。

 

2018年7月15日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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