原発廃炉、30年の難路 稼働40年超4原発5基 時間かけ被曝リスク抑制/廃棄物、処分場所なく [有料会員限定]

  原子力規制委員会は先月、運転開始から40年が過ぎた4原発5基の廃炉を認めた。廃炉作業の開始から終了までは30年前後の長い年月がかかる。日本の原子力発電所の多くがこれから稼働から40年を超え、老朽化の時代に入る。原発の廃炉・解体はどのように進められ、なぜ30年もかかるのだろう。

東海原発では廃炉のための解体作業が進んでいる(日本原子力発電提供)

東海原発では廃炉のための解体作業が進んでいる(日本原子力発電提供)

 東京電力福島第1原発事故により、国は原発の安全を根本から見直さざるをえなくなった。具体的な対策の一つが、稼働から40年を超えた原発の運転は原則認めないとする新ルールだ。長期間の稼働で劣化した機器がトラブルを起こし、重大な事故につながることを防ぐ。設備の劣化具合を調べる審査に通れば20年の延長ができる例外規定もあるが、それ以外は使い終わった原発として廃炉の道を進む。

新ルール下で初
 規制委は4月19日、新ルールの導入後初めて廃炉を認めた。認められたのは日本原子力発電敦賀1号機(福井県)、関西電力美浜1、2号機(同)、中国電力島根1号機(島根県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)。いずれも1970年から75年に運転を開始、すでに40年を過ぎている。電力各社は運転を延長するには安全対策に費用がかさむことを理由に廃炉を決めた。

 4原発5基は認可を受けて、廃炉作業に入る。ただ、すぐに解体を始められるわけではない。原発の設備は長期間の運転によって、放射性物質に汚染されている。作業は放射線によって被曝(ひばく)するリスクを抑えながら慎重に進めなければならない。

 まずは建屋の中に一時保管されている使い終わった核燃料の搬出作業から開始。並行して、汚染状況の調査や、配管の薬品洗浄を進める。解体の準備作業だけでも5年程度は必要だ。

 その後、放射性物質による汚染の程度が低い設備から順に解体に入る。まず発電用タービンなどの周辺設備を解体するが、ここで10年程度の時間がかかる。最も汚染の程度が高い原子炉本体の解体は、廃炉作業開始から15年ほどたった後にようやく始まる。

 放射性物質は放射線を出しながら、徐々に放射能(放射線を出す能力)を弱めていく。例えば、原発の運転により発生するコバルト60という放射性物質は、約5年放置しておくと放射能は半分となる。10年置けば、さらに半分になり当初の4分の1になる計算だ。長く置くほど、被曝リスクは下がる。廃炉作業に時間をかける大きな理由だ。

 問題は、解体に伴って出る放射性廃棄物を処分する場所が現在、どこにもないことだ。放射性廃棄物は汚染レベルに応じて地下深くに埋設処分することは決まっている。ただ肝心の処分場は決まっていない。これから廃炉作業を始める4原発5基から出る計2万7千トンの放射性廃棄物の行き先は白紙だ。

 今回の原発に先駆けて、2009年から廃炉作業を始めている中部電力浜岡1、2号機(静岡県)では、16年から原子炉の周辺設備の解体作業に入った。出てきた廃棄物は現在、屋内などの一時保管場所に仮置きしている。

 国内でほぼ唯一、処分のための有力な候補地があるのが、01年から解体を進めている日本原電東海原発(茨城県)だ。敷地内に横80メートル、縦100メートルの場所を準備。地表から約4メートルの深さまで穴を掘り、廃棄物の種類に応じて鉄箱やプラスチックの容器に入れて埋設する。許可に向けて規制委と議論を始めた。廃止措置プロジェクト推進室副長の野村晶次さんは「廃炉作業に必要な技術は出そろっている。ただ実際に埋設するには、地元の理解が重要だ」と話す。

半数が期限迫る
 放射性廃棄物は、原発の解体作業全体で出てくる廃棄物からみると、実は1~4%にすぎない。残りの廃棄物は、欧米ではタイルや工事向けの重りなどの再利用が進んでいる。日本も05年に利用を進める制度を設けたが、原発構内のベンチなど利用はごく一部にとどまっている。原子力バックエンド推進センター専務理事の渋谷進さんは「原発から出たという感情面での抵抗が大きい」と説明する。

 国内の原発は廃炉の決まったものを除いて42基あるが、20年代中に半数が40年の稼働期限を迎える。廃炉時代が本格化するにあたり、国や電力業界は結論を先送りし続けてきた処分地など様々な問題に結論を出さざるをえなくなる。現実の課題から逃げない議論を重ねることが重要だ。

 

2017年5月8日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

ページの先頭へ