原発、膨らむ安全対策費 震災前から3.3兆円増 2016/3/12 1:10[有料会員限定]

東京電力福島第1原子力発電所事故から5年を経て、原発の安全対策費用が膨らんでいる。東日本大震災後、電力11社が防潮堤の建設などにかけた追加的な投資額は3.3兆円に達する。原子力規制委員会の厳しい審査に対応するためだが、再稼働に反対する国民はなお多い。安心の確保は道半ばだ。

 下から見上げると、首が痛くなるほどの巨大な灰色の壁が視界のはるか先まで続く。昨年12月に、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県)にできた巨大防潮堤だ。津波を防ぐため、約1.6キロメートルにわたって敷地を囲う威容は、さながら「現代の万里の長城」だ。

 中部電が防潮堤の建設に着手したのは大震災後の2011年11月。福島第1原発が津波で全電源を喪失した事態を踏まえ、東南海地震の発生に備えてつくられた。海抜6~8メートルの土地に高さ14~16メートルの壁を設けた。鉄筋コンクリートを地下約30メートルの岩盤まで打ち込み、強度を高めた。東南海地震では最大震度7の揺れによって高さ19メートルの津波が発生するとの予測があり、こうした事態が起きても原発を守る狙いだ。

 中部電は菅直人首相(当時)の要請で11年5月に全面停止した浜岡原発3、4号機の再稼働を目指し、規制委に安全審査を申請している。防潮堤に加え、原子炉格納容器の破損を防ぐフィルター付きベントの設置などに必要な投資額は3500億円超に上る。

 中部電だけではない。日本経済新聞が原発の再稼働を申請する大手電力9社や日本原子力発電、Jパワーに、大震災後の追加対策費用を聞いたところ、総額は3.3兆円に達した。関西電力は高浜原発3、4号機(福井県)の地震の揺れや津波の高さの想定値を引き上げた影響で、配管などの耐震補強が生じた。高浜原発以外の原発の費用も含めた総額は約5300億円に膨らんでいる。

 

2016年4月12日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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