原発 廃炉、経済停滞へ不安 地元への配慮、県要望 /福井

2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、原発を巡る状況は一変した。県内では今も、13基の商用原発と高速増殖原型炉もんじゅの全てが停止し、日本原子力発電敦賀原発1号機(敦賀市)と関西電力美浜原発1、2号機(美浜町)は廃炉が決まった。県は先月、税収確保のために廃炉原発にも課税できる核燃料税条例案を県議会に提案し、可決された。地元では廃炉によって経済が停滞しないか不安が広がっている。

「廃炉では運転中と異なる業務が出てくる。地元の雇用拡大につなげることが大事だ」

 今年5月、廃炉が決まった3基について、今後3年間の工事計画を報告するため県庁を訪れた関電と原電の幹部に対し、県の清水英男・安全環境部長は、強い口調で地元業者への配慮を求めた。

 解体費用について、原電は24年間で363億円、関電は2基合わせて30年間で683億円を見込む。3基合わせて1年当たり37億円程度にとどまり、地元業者の受注額はさらに少ないとみられる。

 一方、資源エネルギー庁が14年3月にまとめた報告書によると、県内の原発が稼働していた10年度に、両社が原発関連で敦賀市と美浜町の企業に発注した金額は約270億円だ。再稼働申請中の敦賀2号機や美浜3号機を含めた額のため、単純に比較できないが、廃炉作業では運転時ほどの金額は見込めそうにない。

 実際に、08年に廃炉作業が始まった新型転換炉ふげん(敦賀市)で昨年度、現場作業を請け負った業者の受注総額は5億円弱。廃炉関連はそのうち約1億円だけだ。県内業者が受注の6〜7割を占めるとはいえ、うまみは少ない。

 敦賀市の保守整備会社の男性幹部は「長期停止で原発関連の売り上げは3分の1に減った。廃炉作業を受注できても売り上げを戻せるか分からない」と話す。

 廃炉事業は新規参入のハードルも高い。敦賀商工会議所はふげんが運転停止した翌04年に廃止措置研究会を設置。勉強会を開いて地元業者の新規参入を後押しするが、仕事はほとんど回ってこない。稼働中に仕事を差配していた元請けが、取引実績のある下請けに発注することが多いためという。

 同会議所の担当者は「新規参入できると思っていたが、期待はずれだった」と声を落とした。ふげんは今後、より高度な技術を要する原子炉本体の解体へと徐々に移る。担当者は「技術のない地元業者はますます置いて行かれる」と危惧する。

 雇用確保などに危機感を抱く県と敦賀市、美浜町は2月、敦賀1号機と美浜1、2号機の廃炉決定を受け、全国初の廃炉協定を両社と結んだ。協定では、地域振興や雇用促進に加え、地元業者との共同研究や県内技術者の育成支援を求めた。

 今後増える原発の廃炉作業を新産業に位置づけるには、地元業者が敦賀・美浜両原発で実績を積み、高度な廃炉技術を習得できる仕組み作りが必要だ。

 

2016年7月19日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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