伊方1号機廃炉、安全コスト増で四国電延命断念 廃棄物も課題 2016/5/10 6:00[有料会員限定]

 四国電力の伊方原子力発電所1号機(愛媛県伊方町)が10日付で廃止になる。四国初の原発として約40年間、電力供給を担ってきた。だが、安全対策費の膨張が見込まれ、運転開始から最長60年まで可能な延長を申請せず役割を終える。廃炉作業は完了まで30年ほどかかるとされ、交付金が減る町財政への影響も懸念される。廃炉という未知の領域に乗り出す四国電や地元の動きを追った。

 「1号機は廃止にする。これまでの安全運転に感謝する」。3月25日、伊方原発の各執務室を回る四国電の佐伯勇人社長の姿があった。所員にねぎらいの言葉をかけるとともに、改めて安全確保の徹底を呼びかけた。

 取締役会での決定、愛媛県への報告、記者会見、伊方町への報告――。多忙を極めた合間を縫い、佐伯社長はあえて自分の口から廃炉の決断を所員に伝えた。そこには1号機が四国の電力供給の屋台骨を支えてきた歴史があった。

 運転開始から10年目の1987年に特別編さんされた社内誌「岩礁に築いて」でも、当時の幹部が「四国電初の大プロジェクト」「経営史上、最大の決定」と口をそろえた。さらに「設備利用率、世界一」を達成し「9電力で一番高い料金を安い部類に」導いたとの自負もにじむ。反対運動を受けながらも、これまでの通算発電量は1326億キロワット時と、1基で四国の約5年分の使用量を賄ってきた。

 1号機は当初、40年超の運転延長を模索した。だが、新規制基準の安全対策コストが大きな課題となった。より新しい2、3号機との設計上の違いが影響した。

 その1つが事故時に放射線量を抑えるのに役立つ原子炉格納容器上部の球状遮蔽壁。2、3号機にはあるが、古い1号機にはない。重要部分だけで5キロメートルに及ぶ電源ケーブルを燃えにくくする難燃加工も必要だ。これらの投資で費用は再稼働手続きが進む3号機の1700億円を上回るのが確実となった。

 約20年の運転延長では「投資回収が成立しない」(佐伯社長)。人口減に伴い電力需要は減り、電力小売り全面自由化に直面する中では利益を削ってまで設備を延命するゆとりはなかった。

 

2016年5月11日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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