「再エネ100%宣言」中小企業も 情報開示・認証の仕組み課題に

企業が電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを宣言する取り組みが広がってきた。大企業が参加する国際的な枠組み「RE100」に続き、国内の中小企業・団体が加われる「再エネ100宣言 REアクション」も発足した。参加企業が増えれば供給側の再生エネへの投資や参入を促し、電力の供給構造を変える可能性がある。

グリーン購入ネットなど4団体が「REアクション」の発足を発表した(10月の記者発表会)

グリーン購入ネットなど4団体が「REアクション」の発足を発表した(10月の記者発表会)

「(大企業中心の)RE100に入りたくても入れなかった中小企業や団体が加われる。5年以内に1万社以上の参加をめざしたい」。10月9日に東京都内で開いたREアクションの発足発表会で、事務局を務めるグリーン購入ネットワーク(本部・東京)の平尾雅彦会長は力を込めた。

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国際的な枠組みであるRE100は英国の非政府組織(NGO)ザ・クライメートグループの主導で発足。参加企業は2050年までに事業活動で使う電力の全量を再生エネに切り替えることを宣言し、米アップルや英蘭ユニリーバなど200社以上が名を連ねる。

日本でもソニー富士通パナソニックなど25社が参加している。ただ、国際的に知名度が高いことや電力消費が一定量以上であることなど参加のハードルは高く、国内で資格があるのは約1万社。すべてが加わっても総電力消費に占める比率は20~30%にとどまる。

そこでREアクションは中小企業にも門戸を開き、再生エネへの切り替えを後押しする。グリーン購入ネットのほか地球環境戦略研究機関(IGES)、温暖化対策に関心のある企業が集まる日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)、自治体の国際組織イクレイ日本事務所の計4団体が運営を担う。

年間の電力消費量が1000万キロワット時未満の中小企業、自治体、教育・医療機関などが参加できる。「50年までに消費電力すべてを再生エネにする」と宣言し、20、30、40年時点の中間目標を定め、進捗状況を毎年報告することが条件だ。

参加費は事業規模に応じ年2.5万~20万円とRE100よりも低廉に抑えた。資格がある企業・団体は約400万、国内電力消費量の40~50%に相当し、RE100と合わせれば電力市場の最大8割をカバーすることになる。

発足時点で植物性せっけんを手掛けるサラヤ(大阪市)、間仕切り製造のコマニー(石川県小松市)など28社・団体が参加。1カ月強で参加企業・団体は40を超えた。

非営利団体でもメガソーラー(大規模太陽光発電所)を導入した千葉商科大学、兵庫県などで病院を展開する医療法人・伯鳳会が参加。伯鳳会の古城資久理事長は「医療では安全衛生上、器具の使い捨ては避けられないが、電力は再生エネに切り替え環境保全に貢献したい」と訴えた。

一方で、再生エネ100%を宣言しても、達成への具体策をどうするか悩む企業は多い。

再生エネを調達する手段は主に3つある。ひとつが太陽光や風力、バイオマス発電などの電源を直接保有すること。大規模な工場や店舗があれば屋根などにメガソーラーを設置できるが、それができる企業は限られる。

ふたつめが再生エネによる電力を販売する企業から買うこと。新電力のみんな電力(東京・世田谷)やアーバンエナジー(横浜市)がこうしたメニューをもつ。3つめに省エネ設備の導入時などに交付され、再生エネを利用したとみなされる「再エネ証書」を購入する手もあるが、この仕組みは分かりにくい。

JCLPに加盟する芙蓉総合リースの細井聡一常務は「再生エネをどう調達できるか知らない中小企業が多い。先行事例を積極的に紹介し、再生エネの導入機運を高めていきたい」と話す。

再生エネに切り替える企業が増えることで期待されるのが、供給構造の変化だ。

東京電力ホールディングスと新電力のイーレックスは3月、再生エネの電力を販売する新会社を共同で設けた。東電の水力発電所やイーレックスが稼働させるバイオマス発電所でつくった電力を販売する。REアクションの動向が見えてくれば供給側も事業の予見性が高まり、再生エネへの投資が増えて好循環が生まれるとの期待は強い。

REアクション事務局の三好信俊IGES専務理事は「政策提言もしていきたい」と話す。政府は電力供給に占める再生エネの比率を30年時点で22~24%に高め、主力電源とする目標を掲げる。今後必要になる送電網の増強や、固定価格買い取り制度で需要家に転嫁される負担の軽減策などについて積極的な提案がほしい。

一方で、課題になるのが、各社が達成状況を客観性や透明性を担保しながら開示し、投資家や消費者らの理解を得ていく仕組みづくりだ。

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大企業が参加するRE100でも厳格な認証の仕組みはない。だがグローバル企業の多くは環境保全の取り組みを「ESG報告書」などで毎年公表し、再生エネの導入状況もデータを添えて開示している。

投資家が環境保全に熱心な企業に優先投資する「ESG投資」はこうした開示情報を参考にすることが多い。

中小企業・団体ではESG報告書の開示がまだ遅れているだけに、「100%再生エネ」を宣言するだけでは投資家らに支持されるか不透明だ。

REアクションの関係者は「発足段階で認証をどうするか議論はあったが、当面は見送った」という。参加企業・団体が社会から支持されメリットを受けやすくなるためにも、認証の仕組みを検討する必要がある。

 

2019年11月25日 カテゴリー: 未分類

 


 

 

 

 

 

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